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RIZE

荒々しくも神々しい、三体の魂を感じとれ RIZEは、決して諦めず、歌い続け、傍にいる

結成から15年。RIZEの“現在”(いま)がパッケージされたLOCAL DEFENSE ORGANIZATION。東北の震災以降、更に強くなる“隣人”“地元”“仲間”への想い。ミュージシャンとして出来ること。表現者として、やらねばならぬこと。その志が言霊となり押し寄せて来る!!RIZEの音楽は、天と地のかけ橋。“雷鳴”と共にわたしの心を揺さぶる。

 

 

「破壊的な音だったりしますけど、傷つけたり壊したりっていうことではないんですよね。建設的な目的がちゃんと具体的にあるわけだし」

●レコード会社を移籍されてからの初シングルということなんですけれども、この4曲は流れが良いですね。作品はメッセージ性が非常に強い。なぜ2曲目からライブ音源なんでしょうか。

金子:ライブの音源って最近はもう録れるときはすべて録ってるんですよ。プライベートスタジオとかハウススタジオでミックスもできちゃうんで、リリースしないにしてもこうやって地方へキャンペーンとかで来れる時があったら、「リリースしないんですけど昨日のライブ音源流していいすか?」って流しちゃったりしますし。

●ああ、そうなんや。そんなことやってるんだ。

金子:テクノロジーの進化でそのへんのフットワークがものすごく軽くなってるんですよね。ほんとだったらライブの音源って叩き売るべきものなのかもしれないけどね。今回この選曲っていうのはうちのVo.JESSEのパーソナルの魅力が発揮されてると思いますし、あいつやっぱりラッパーだし、アジテーターでもあると思う。歌う人間というよりはスピーチする人間だとも思うし、伝える人間だと思ってるんですね。それは彼のいちばんの強さだと思っていて、人間としては才能でもあると思う。それを全面に出したような形になればいいと思っていて。ライブの音源も曲自体もそうなんですけど、その前後のMCであったりとか、そこがいいなあと思うものを抜粋して繋げた形になってます。

●なるほど。

金子:特にRIZEで動くときっていうのは、ライブ中は曲がパッケージ化されてるんです。みんなも一緒に盛り上がれて、流れが分かってたりしますけど、突発的にその完全なインプロビゼーション(即興演奏)で演奏するっていうのが俺達は好きなんです。だから、そのときの自由で実直な言葉をいつか音源化したいなあと思ってたんですよ。ライブ音源が入ってるっていうよりは、曲以外の部分を入れたいなあと思って。それが今回出来ましたね。

●じゃあそういう風にレコーディングしたんですね。その時々をパッケージした、そのときしか出ないものを収録したと。

金子:録っといてよかったなあって思います。

●タイトルが「LOCAL DEFENSE ORGANIZATION」、ローカルの防衛組織ってことですよね。内容的にはどのようなメッセージ性が?

金子:最近いろいろなパターンで曲を作ってるんです。例えば俺から作り始めるもの、JESSEから発信されるもの、とか。どの楽器から始まるかも分からないし、今回のこれに関してはギターのリフとタイトルはJESSEが作ってくれて、すごくいいなあと思ってたんですよ。これは歌詞に関してもタイトルから広げていったもので、いたく気に入りまして。「LOCAL」という言葉もすごく具体的でいいし、個人的には何よりも「DEFENSE」というタイトルがなかなかないなと思って。RIZEのようなバンドはパッと見ものすごくオフェンシブなことやってるんだけど「本来大事なのはディフェンスだ!」というのを打ち出していけるっていうのはすごくいいんじゃないかな、すごく全うなんじゃない?って話をしたんです。破壊的な音だったりしますけど、傷つけたり壊したりっていうことではないんですよね。建設的な目的がちゃんと具体的にあるわけだし。一発目でとりあえず景気のいいサウンドでパッ! とこうやれるのはすごくいいんじゃねえかなと思ってね。哲学を提示するというか。JESSEらしいっていうのかな、すごく具体的で、それがいいなあと思ったんですよね。

●RIZEって決して破壊的な音じゃないと思いますよ。

金子:そう言ってもらえると薬になるよ(笑)。うちらを知ってる人間とかはそうかも知れないですけど、俺はいろんなメディアに出させてもらってるから、おじいちゃんおばあちゃん、子どもたちの中にはドラマなどをとっかかりにして入ってくることもあるんですよ。そういうとこにもやっぱり聴いてもらいたいですよね、ちょっとは。やっぱり出来るだけ多くの人に聴いてもらいたいし、認めてもらいたいですよ。こういうのは気取っちゃだめで、正直に言っていくべきだと思う。そういう思いもあるんで、ちゃんと言うことははっきり言わないといけない時代だとも思うし、発信も受信も自由になってスピードがすごいじゃないですか、今。すぐババッとアップデートが始まっていくんで。ほっとくと埋まってっちゃう。しばらく時間空いちゃいましたけど、アップデートをぱっとやったらもうやり続けないといけないですよね。作り手としてはすごく体力気力いりますけど、それが好きなんで。やれ不景気だ不景気だと言われてますけど、俺からしたら混沌としてるときほどやっぱり楽しい。時代は移り変わっていく途中だし、どうなるか分からない、ルネッサンス期じゃないけれど何かが生まれる時代だと思ってます。突発的に、いわゆる奇跡的に人が持ち上げたくなるようなものとか、そういういろいろなものが重なり合っていろんなものが出来る瞬間だと思うんですよね。しっかり提示するっていうのがすごい大事なんですよ。はっきりとやるっていう。そうしないと再生を押すまでもいかないような時代になってると思うんですよね。すぐ流れてしまうというか。それこそ配信で今音楽が成り立ち始めちゃってるんですけど、それで買うと聴いた気になっちゃってあんまり聴いてなかったりすることもいっぱいあったりすると思うんです。手に取る喜びとかもしっかりあると思うから。そういうのって衰退したけど絶滅しようがない部分だったりもするんで、だからそういう絶望感みたいなのはないんですよね。

●それだったら別の僕のコーナーに出てほしかったです。アナログとCDはもっとちゃんと買ってきちんとそのコンセプト聴こうよっていう企画のコーナーやってるので、今度またそこ出てほしいな。

金子:そりゃあもうぜひぜひ呼んで下さい。スタジオがどんどん潰れたり、アートワークとかエンジニアが廃業したりね、それが全体に波及しちゃってるので、それで良くなるはずだったもののチャンスが潰えたり、思いが途中で終わっちゃったりとかっていうのは切ないですよね。いつの時代もなにかどっかでものごとは起きてるんだろうけど、自分の関わってる部分ならできるだけそこは持ち上げていきたい。

●曲順のところで言うと、この「LOCAL DEFENSE ORGANIZATION」に続いて「KAMI」、「RESPECT」、「GHOST」と非常にストーリー性を感じるんですが、コンセプトは。

金子:どの曲を抜粋しようかっていう時は、もちろんそのストーリー性、コンセプトっていうのは考えました。表題曲に対してのここからの流れがね。何通りか考えたんですけど結果今回これになりました。あとはライブのその曲と曲の間に起きていること、それはほんとそのとき何も決めずに起きていることを入れました。それがライブの醍醐味だし、やっぱり現場で体感してもらうのがいちばん。共有してもらうのがいちばん。それはヒントのひとつ、とっかかりとして音源化するっていうことは目的でしたね。

●MCからの導入でJESSEが言いたいこととか、伝えたいことがあったからということと、ストーリーを感じたからなんですね。

金子:結成当時、2人だけのときからそういうライブをずっとやってきてるんですよ。中高生のほんとにガキの頃から、いつのまにかできてたスタイルなんです。昔は「なんで分かってくんねえんだ!」っていう根拠のねえ自信があって。時代が変わって人生も年齢も重ねてきてるけど、その根幹は変わってないんですよ、そのスタイルというか。この屋号でいく場合はそのスタイルっていうのがうちらの流儀になってくると思うし、それはやっぱり自負もありますから、きちっと認識してもらいたい。共通意識を持ってライブを楽しめたらっていうのがあります。曲以外のときにみんながうわっと聴きに入るんで、それで言葉が引き出される部分とかってあると思うんですよね。演奏も然りですけど、そこから曲になったりするんだよね。そこで生まれたものは、いいじゃんこれは覚えておこう、っていうのがあるんですよ。いいこと言ってたよ、とか、あれを曲にしちゃえばいいじゃん?ってなるんです。パッケージする意味とはまた別のところでね。音楽は人間の力ですね、動物的に。バッて出る瞬間っていうのはどのジャンルでもそうかもしれないですけど、そういうパワーってすごくて。ライブの魅力って語り尽くせないですけど、特にRIZEのステージに関しては曲になったときにみんなでダン! っていく瞬間と、降りてくる瞬間と、そのニ極かなあと思うんですけどね。

●4曲ともすごく一本筋通ってるけど、アレンジの部分でアプローチが違う。シングルってあんまりいらなかったりするけど、これは飽きない。アプローチが非常にバリエーションに富んでるからだと思いますが。

金子:既にある曲をライブのテイクで聴かせられたりとかっていうのはほんとに願ったり叶ったりで、やっぱり流れも作りやすい。無理して作ったカップリングみたいなものが入ってるといちばん不毛なことになるので。もうちょっと温めれば良いものになったかもしれないものってあるじゃないですか。そういう報われないものが生まれるっていうのはほんとに悲しいことだからこそ、ライブの録音は回せるだけ回せるようにしてるんです。

●でもRIZEってそれをしなきゃいけないですよね。それから発生するものもあるし。

金子:そうですよね、そういうことなんです。ものすごくやりやすくなってるんですよね。スムーズにやれるようになってるしいい感じだと思います。録音も機材さえそこにあればそこでミックスしなくてもいいわけだから、録ってあとからミックス出来る。最近はほんとにスピードが早いですね。

●JESSEのリリックは突発性も含めて、感性で書いてるんでしょうけど、金子さんも詞は書かれるんですか?

金子:たまにですけど、日本語に直したりします。でもJESSEがどんなことを言いてえのか、って一緒に考えるときが増えましたね。性格ももちろん全然違うわけですけど、JESSEは誰かがいたほうが力を発揮する場面が多いんです。俺が時間取れるときはどの作業も一緒にやるし、いるだけで変わるし。これはどうかな、変かな、とか、こういうの例えばどう?とか。そこはできるだけ共有してっていうのは心がけてもいますし、それがいちばん上手くいく。成り立ちがいろいろですけど、タイトルから出来るっていうパターン、なんとなくひとつのワードがあってそこから育てていくパターン、最近は俺から要望入れるパターンも出てきたんです。サビのメロディーだけ作ってあって、タイトルも俺はこれでいきたい、自身の言葉でこのパートのここと、ここは埋めてほしいんだけど入れてくんないかなあ、とか。「英語で何て言うの?」って和英辞典と英和辞典でお互い訳し合いながらやってるんですよ(笑)。JESSEからは漢字とか語尾の感じどうかなあ、みたいな感じで。年齢も重なってきて、あいつに似合う日本語のニュアンスとか、変えすぎちゃダメっていうところもちゃんと掴んで舵取りしてお互いに補い合ってます。

●ライブ見てても3人は嘘がないですよね。そのまま出てるから。

金子:寅さんみたいな感じですかね(笑)。昨日言われたんですけど(笑)。

●ライブテイクのMCの中で「みんなが俺のヒーローだ!」という部分がありますが、金子さんの個人的なヒーローは?

金子:いっぱいいますね。音楽で言ったらほんとに偶像化してるとこだとカート・コバーンとかはもちろんですけど、ジェフ・バックリィとかも俺は好きですし、いろいろですね。現役だとジム・ジャームッシュとかも好きですね。やっぱり芸術家は多いかな。カラヤンとかも好きです。何をもってヒーローとするのかってことですけど、アイドル的なことでいうとそんな感じかなあ。特に思春期の頃に影響を受けたのはその人たちですかね。バンドとしては、西海岸がすごく勢いがあったミクスチャー全盛の時代だったんで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとか、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかの頃でした。311(スリー・イレブン)とかね。だからこの歌詞の“311”ってやっぱりそこも引っかかったからです。スリーイレブンって敢えて言ってるから、そういうのもあるのかなあと思います。フィッシュボーンとか、ジェーンズ・アディクションもそうですけど、ニューヨークの音楽が好きでしたね。ビースティ・ボーイズとか、その時代の十代は必ず知ってたようなシーンっていうのはすごく影響強いですね。自分には演奏の足腰を求められてたので、ミクスチャーの時代では特にソウルとかファンク、ブルース、わりと難しい音楽も素養として取り入れて持ってないといけない時代だったんですよね。うちらは両親がミュージシャンだったりしたんで、そういうのが手に入りやすかったというか。そういう場面に行きやすかったんですよね。だから高校時代とかもよく高円寺のJIROKICHIとか行ってブルースのセッションに飛び入りで入ったりしてたんです。そういう時代もありました。お稽古させてもらうような感じでしたね。先輩にはほんといろいろ教わりましたし、今だってそれがすごく活きてきてると思う。そのバックグラウンドを作っていくっていう上では、シンプルにしやすいし、いろんな引き出しがあると、いいときは足し算ではないですからね。どんどん逆算して引いていくっていう作業なので何かのテーマの問いかけに対して答えが自分なりにパッと出るっていう足腰っていうのは時代が培ってくれてる気はします。だからヒーローって言うと90年代中盤から後半、90年代の洋楽ですね。

●セッションっていうところで言うと、影響は大きいよね。

金子:でかいと思いますよ。特にうちの賢輔(KenKen)はRIZEに入るまではずっとセッションマンでやってきてるんです。入るまではずーっとバンドをやってはいるけど、なかなか自分に合う場面がなかったんだと思います。RIZE結成当初とかはライブとかにも連れていったけど、彼はまだ小学生でしたからね(笑)。そういう稀なキャリアを積んできて、それによってやっぱり腕がついてきたってことじゃないですか。それは彼が努力したっていうことですよね。ほんとに練習しないとあんなになれないですからね。やっぱり二世だから、ってよく最初から上手いと思われがちなんですけど、彼はものすごい練習してますからね。それはほんとに大事なことで、それも時代のおかげですね。2000年以降Pro Toolsが出始めたあと、シューゲイザーとかリンキン・パークの時代以降になってくると、ちょっとタイプが変わるんですよね。アメリカのバンドっがすごく一時期衰退して、演奏力の低下もあって、国土が広いからライブの本数は増えるんだけど、良好なスパイラルが起きなくなってデフレみたいなことが起きてしまうんです。ヨーロッパ、イギリスとか、日本でもよく言われるんですけど国土の広さはやっぱり重要らしくて、アメリカ全国回るってなると1年か半年かかっちゃうんですよね。100本くらいやらなきゃいけなくなる。民族的にも体力がすごくあったりだとかいろいろあるんですけど、うちら東京のバンドなんで、東京に似合うものというか、東京から発信できるっていうスタンスは自然とあったんです。ローカルな話になっちゃうけど、それはずっと胸には刻んであります。西海岸も好きだけど、精神性としてはやっぱり東とかニューヨークとか、あっちの方が近い部分もあります。イギリスだったりとか、その情報社会の中にいるっていうこととかね。西海岸っていうとやっぱり田舎ですから、車がないとダメだし抜けが良くて、天気が良くて、気持ちが良くてっていう環境じゃないですか。だからああいうバンドがいっぱい生まれたんだと思うけど、その憧れもあったから、それをまねっこしながらやってました。だんだん噛み砕いていくうちに、いろいろなものが自分になってくるじゃないですか。自分の味になってきて、人のくせを盗む時間っていうのが長く取れたのはほんとにラッキーだったんですよね。

●ライブテイクのMCで「信じていけ」、「信じたいものがあるなら貫き通せ」という部分がありますが、金子さんの信じてるものというのは、何かあげるとしたら何でしょう?

金子:最終的には自分自身に帰結しますけど、それに伴う周りの環境ですかね。そこはひずんだり、ちょっと無理が生じたり、社会にいる以上何かを我慢することになるんだけれど、必要ないそういうものがあったりしますよね。俺は合理主義なところがあって、リアリストだから、いらないものをどんどん排除していくっていう引き算の頭のような考えが地頭であると思うんですよ。なにかを作るときもそうなんだけど、自分自身に対してもそれを投影して、自分の周りはどうか、周りを信じれるかってことですよね。

●「99人に邪魔されても1人を信じて貫き通せ」という部分もありますが、貫いてるものっていうのはありますか?

金子:全員が右行っても俺は左だ! っていうことですよね。作ってても「絶対これだ!」って思ったら絶対これ、っていうものすごい頑固なとこもあると思う。「LOCAL DEFENSE ORGANIZATION」も一番最近出来た曲だから、まだ出来あがってないときに「これだ!」とか言っちゃってすごい忙しくなって大変になりましたね(笑)。「絶対これなんだよ!」、「残念だけどこれだな」っていうときは絶対逆らわないですね。だから例えばテレビとか映画とか出始めよう、スタンスをちょっと変えようっていうときも、絶対反発されるところもあるし、敵も作ることになることもありました。当時、どんどん時代が変わってきていて「音楽業界に冬がやって来るぞ!」ってみんな言ってるんだけど「越し方がわからねえ!」っていう時期で。ライブハウスもレコード会社もイベンターもアーティストもみんなそういう雰囲気がすごいあって、何かアクションを起こさないといけないんだなってときに、みんなが身を屈めて保守的にならなきゃいけないようになったときに、なんとかならねえかなと思ってたら良い話がポンポンポンとあったりしたので、これはなんか呼ばれてるなと思ったんです。ちょっとでもいいんですよ、プスッと風穴がちょっとでも開いてくれれば良いかなってそのときは思ったんです。もういったれー! で行きましたね。行くんだったらど真ん中いかないと、気取ってアーティスティックにやるなら意味はなくて体力の無駄になっちゃうから、死ぬほど記憶がすり減っても心がすり減ってもそれは真ん中にいくべきだっていうのが自分の考え方なので、そういう話をしたのを今でも覚えてますね。バンドマンとかミュージシャンがそんなことやるっていうのはタブーとされてるんですよね。ある種今までいなかったし、湯加減見てあちぃから帰ってきちゃう人とかもいたりするから、やるからにはひたすら食らいついてほしい。もうほんとに首もげるまで噛み付いとこうと。でもやっぱり甘い世界じゃないっていうのは分かってるから、ちゃんと礼儀をわきまえていかないとね、っていう話をして。だからちゃんと泥も被る覚悟でいかないといけない、最初の何人かは大変だと思うんだけど、っていう話はすごい覚えてます。

●ドラマーだけじゃなくて他のアーティストのサポートやモデル、俳優もやってますよね。特にサポート活動はデリケートだと思いますが。

金子:父親がドラマーだったりして、小さいころから音楽に触れていたし、自分の本質的な性格もすごくバランサーなところがあるんですよ。ステージ上でもそうかもしれないけど、スポーツとも似てますからね。うまくパスが回るようにとか、空間を作っていく、流れや循環、代謝を良くしていくっていうのかな。そういうイメージを常に持っているんですよね。良いチームとか組織ってやっぱり絶対そうなんですよ。循環が良くて、代謝が良くて、断捨離ははっきりしていこうっていうのがあると思うんです。それは考えてますね。考えるというか、そういう性格なんですよ。性にはやっぱり逆らえないというか、どうしてもそうやっちゃうっていう。何か作ってるときもそうだし、バンドやってもそう、現場に行ってもそうだっていう。最近は表に出してもらえるようになってきたことで、必ずシュートを打たなきゃいけない場面がきたらバーンって打てるようになったりして、そういう感覚を手に入れることができたんです。強みだったりとか、バッて勢いで発言できるようになったり、後先考えないといけないときにも考えないでいけるようになったりもしたんです。やっぱりそれは足りなかった部分だったと思うんですよね、今まで。あまりにもバランスを気にしすぎて結果ものすごい保守的になっちゃったりしてたんです。出来るだけ民主主義でいくけど、それは違うんじゃん、これは絶対だよ、とか、強く何かを言うということをすごく学ばせてもらって。やっぱりJESSEとかってそれの塊みたいなところもあるので、それに頼ってたと思うし、そことバランスを取ろうっていう世界観だけだとそうなっちゃってたんだなーって今はそう思いますね。

●ドラマー、モデル、俳優、ぶっちゃけると(笑)、どの職業がいちばん好きですか?

金子:そりゃあバンドですよ! 酒飲んだら音楽の話しかしなくなっちゃうし、結局そういうことですよね。どの世界も日々勉強ですけど、やっぱり大変な世界ですよ、歴史もあるから。すごい人に会っちゃったり、体感しちゃうとね、こりゃあ敵わねえや、みたいな人はやっぱりいますね。自分が音楽の場面とかこういうフィールドに戻ったら。人にそう思わせたいなって思うんですよね。自分がやってるところを体感してもらえたら、それはそれで説得力というか、究極的な答えみたいなものが生まれると思うんです。理由と答えって紙一重なんで、それが見えればって思います。最近はそういうつもりで他のメディアにお邪魔してやってるんですけど、歴史が出来てくるっていうのはある種やっかいで、まず情が生まれるでしょ、愛情もできるでしょ、プライドも生まれてくる。裏方さんだったりとか、信頼関係もどんどん深まってくると、ああこっちも始まっちゃったんだなって感じますね(笑)。

●なんなら一番は俳優ですって言ってほしかったな!おもろいこと書けると思ったのに(笑)!

金子:ははは(笑)! これを期に俳優に完全シフトします! とかね(笑)。なんちゃって(笑)、ははははははは(笑)!

●俳優とかモデルをやることで音楽に対する変化ってありますか?

金子:ありますね。まず自分の本質はまず何かっていうことの再確認ですよね。それからやっぱりああいうものが持ってるものを伝えるために投げて届く距離ってバンドだけやってると考えられない距離なんですよ、放射線状にね。1%の視聴率って言ったって単純計算で100万人ですからね。ウッドストック3回分ですから。そう換算すると使わない手はないでしょっていう。

●計算がおもしろいね(笑)! 何でウッドストックが出てくるの(笑)。

金子:ははは(笑)!「3回分?!」みたいな(笑)。だから、俺はやらない手はないなって。でもある時期にすごいそういうオファーが来てもずっと断ってた時期があったんです。昔子役やってて、親戚がテレビマンだったんです。そういうのが嫌で、嫌だ嫌だ! ってやめて、バンドを中学生のときに組んでそれがもうRIZEで、っていう人生だったんですね。例えばそういうのをやって、そういうマネジメント事務所に所属していたりしたから、そういう窓口から話が来るじゃないですか。営業をかけずともありがたいことに声かけてくれたこともずっとノーだ! って言ってたんです。それがバンドの先輩とか、ミュージシャンの先輩に、これからどんどん変わっていくから、その窓口を使ってけよお前! って何人かに同じタイミングで言われたり、びしっと言われたことがあったんです。流れなりで言われたんじゃなくてね。それでそうか、って思ったんです。背中を押されたっていうのもあるなあ。

●それは金子さん自身がもらってるものですからね。

金子:そう。だから使えよって。使わない理由があんのかよ、って言われて。「ないです!」って(笑)。それはフェスのあとでした。それも大阪だったなあ。アメ村のどこだっけ、味穂かな。

●意外とべたなとこで食べてるんだね。RIZEが味穂に行くの?

 

 

 

 

 

 

金子:そうですね。普通にみんなでいる。でもあそこ日曜日休みでしょ? だからね、アメ村だったらタコタコキングとかですね(笑)。

●どこまで宣伝すんねん、タコタコキング(笑)! オイシいなあ、これ(笑)。

金子:そうですよ、アメ村。味穂もよく行くなあ。

●京都大作戦もステージ袖で見てるんですよ。

金子:ほんとですか?! こないだのは見てた(笑)? ズッコケライブ(笑)!

●そうそう、TAKUMAくんもどうすんの?! って感じだったね。他の原稿にも書いたけど、ああなるとは思ってなかったよね?

金子:ああ、ほんとに(笑)! 思ってなかったよ(笑)! ライブでたまに1人ステージに上げて、歌いたい奴出てきて歌わせるとかあったりするんですけど、あのときはなぜか歯止めが効かなくなって。もうゾンビ映画みたいになっちゃった(笑)。ブワァー! って100人くらいいたのかな。1人ずつ楽器の音が止まっていって、ああ死んだ! と思ったね(笑)。最近で言うとウォーキングデッドみたいな感じかな。それでもドラムって入り込みづらいらしくて、俺がぶっ叩いてるところで目の前に人がウワーっているから、酸素が薄くなっちゃってさ(笑)。外でもこんなことになるんだ、と思ったね。でもやっぱり嬉しかったよ、みんなあんなのやってくれるなんて。あの場面もめっちゃくちゃだったし笑っちゃうけど、総合的にどの感情かって言ったらやっぱり嬉しかったっすね。嬉しいなあとしみじみ思いました。

●JESSEもユニークだよね。かっこいいってよりも、絡みやすい感じ。

金子:そうですね、だから寅さんですよ(笑)。

●ドラムを後ろの方から見たりしてると、U2のラリーのイメージがしますよ。

金子:そうですね、タイプ的にそうなんでしょうね。チャーリー・ワッツとか。見てると考え分かるなあ、ってすごく思う。よく共感できるのはドラマーももちろんそうですけど、ディレクターもプロデューサーもそうなんです。そういう人と気が合っちゃうときとかすごく多いですね。ドラム得意だし好きだし、自分の相棒みたいなもんで、体の一部みたいになってるし、ドラマーだけど、それが第一だって考えてないんですよね。いらないときは全然いらないし、ドラムなくていいときとかあるし。人格が2つあるようなものなんです。演奏してるときはほんとにトランス状態に入るときもあるし、場面でやっぱり切り替わっちゃうんですよね。U2とかは確かに近いかもしれないです。そう思うとやっぱりヨーロッパとか、ミューズも最近すごいかっこいいし、ああいうテンションの幅が近いと思う。

●立ち位置もそういう雰囲気がします。近くで見たとき、空気が似てるなーと思いました。「ラリーやん!」と思った。

金子:ほんとですか? 嬉しいですね。俺も彼好きなんで。

●好きなドラマーや影響されたドラマーは?

金子:それはほんとにもう幅広いっすね。90年代のロックドラマーとかほんとにもうレッチリとかレイジとか311とか西海岸の音楽はひとしきり聴きました。バーナード・パーディとか、ジェームス・ギャドソンとかモータウン系もそうですし、タワー・オブ・パワーのデビッド・ガリバルディとかの、ソウルファンク。日本人ってああいうファンクやろうと思うと白人のビートの方が近いんですよね。スティーブ・ジョーダンとかも好きだし、ルーツのクエストラブとかもすごい好きですけど、あれはほんとに根本的な違いがあると思うんですよ、体の作りとかもあるし、リーチもあるしタイミングもある。ガルバルディとかアンディ・ニューマークとか、白人のファンクドラマーのタイム感、だからU2とかもそうなんですよ。特に近いなあと思うんです。そこは何やってもそっちに似てきてしまうっていうのは自分で気付いたときがあって、ああそうなんだなあ、と思いました。それも数えきれないですね。だからあんまりツーバスにはいかなかったです。左手でゴーストとかで音波を感じさせるけど、基本タムも1個で、キックも1個でっていう、あまり環境に左右されないやり方っていうのを重視して育ってきたのかなあと思いますね。いつでもやれるようにとか。

●お父さんのジョニーさんにドラムは教えてもらったの?

金子:具体的に何かを指示して教わったってことはないですよ。音楽論とか論理的なこととか。ただ、ほんとに大きなことを教わってますよね。背中を見て育ったわけだし。そういう環境に幼少期から置いといてくれたっていうこと自体がそうですよね。そういう音楽を家で親は好きでかけてたんだろうけど、そういうものが素養として入っているライブラリーみたいな物も気付いたらすごい数になってて、大人になって酒飲んでるときにお店なんかでかかってた音楽が、誰のだかは知らないけど全部知ってるとか、これはあれだったんだ、とか誰かがカバーしてたものをその人の曲だと思っちゃってたりもしたね。学論とかはなかったけど、生き方であったりとか、体感として、生きるってことに直結するようなやり方で教えてもらったと思います。それは親子関係ですよね。背中で教えるっていうか環境で教えるっていうのは何よりも大きな教育なんですよね。言い出したらきりがないです。

●結構ジョニーさんに似てますね、すごい優しい感じで喋ってくれるし。

金子:体格も一緒ですしね。びっくりするくらい体はほんとに一緒だね。

●JESSEとKenKenの好きなところを教えて下さい。

金子:2人とも優しいですよね。ほんとに人が良い。断れないし(笑)。頼まれちゃうと全部OK! って全部やっちゃう。人のことを考えてしまうっていうか。そういう感じはわかるでしょ、寅さんっぽい感じっていうか(笑)。そういうの、すごくいいよなあ、って思いますね。俺はさっきも言ったけど、現実主義の合理主義のわりと俯瞰してものを見ちゃうタイプで、長男だからそういう風に育っちゃったんですよね。俺から見るとほんとにうらやましいところだらけで、あんな平気でベローン! てなれたらいいなって思うなあ、ははは(笑)!

●金子さんってあんまり喋らないイメージがあったんですけど、全然そんなことないですね。

金子:喋りますよ。最近は特に喋んなきゃなあ、と思うんです。ちゃんと発信しなくちゃいけないって思うから。

●RIZEのファンとか、RIZEの周りも話してみたら意外とフランクなの?

金子:みんなそんな感じですよ。バンドの今のカルチャーとか、(10-FEET表紙を指差して)こいつらもそうだしさ、Dragon Ashもそうだけど、みんな優しいね。ほんとに良い奴で、考えもすごくヘルシー。時代でしょうね、ほんとに。それってひいてはうちらの両親の代が耕して開拓したものを、個人的にはどうやって第二世代が修正するじゃないけど、まだ日本のロックって言っても何十年かの話で、俺たちみたいなのっていうのは最初のそういうパターンっていうか、それを築いていく上の話でなんかおもしれえことやりてえなあ、って思うんですよね。うちの他のRIZEの2人とかは、それが自然なんです。今俺がこうやっていろんなメディアで表に出てっていうのは人生ほんとわからないねって思うし、予定にはなかったからね。だから半分裏方な感じでパッパッてやっていこうかなっていうイメージだったんですけど、逆にそれで見えてきた部分はいっぱいある。それを2人が利用して、そこは変えなくて良い、無理して変えることはないって常々言ってます、得意なことはやりゃいいんだって。そう思いますね。

●2人の一番好きなところっていうのはその優しいところ?

金子:あと、明るいね。前向き。気は小せえけど(笑)。気が小さいからバンドやってるんだけどさ。でもそこはほんとにすごい良いと思うよ。だから人が集まるんだと思う。それはやっぱり俺個人じゃなくてあの2人が外に出て行こうぜ行こうぜ! って感じが、今までのRIZEの色になってきたと思う。そこはやっぱり俺以外の2人が近い体温をしてると思いますね。これからまた30から40代になっていくときに、JESSEは子どもが産まれたりしたので、だからJESSEは昔よりも今すごく良い意味でメロウですごくゆっくりした時間の運び方になってるし、昔喋るときはガーッてなってたけど、今はすごくまったりした、ちゃんと腹割って要点を話すっていう。縁側で喋ってる感じですよ。じいちゃんみてえな(笑)。時間とか積み上げてきたものが成せるものかなと思うんですけどね。ほんとにうらやましいところだらけだね。助かってますよ。

●今後のヴィジョン、RIZEからのメッセージを。

金子:久しぶりに出したっていうのには理由があるんですけど、大きな理由としては震災があったりですとか、いろんなことがあった中で一度作りかけてたものを全部破棄して、全部作り直したっていうのがひとつ。そして制作の環境を作り上げようっていうのをテーマに置いて、だから1年半くらいかけて準備してきたので、これを出したっていうことはそのシステムはもう大体出来たんですよ。ワーッと、もっていけるスキームが出来たっていうことは、もう無尽蔵に作れるってことなんですよ。テンションはすごくあるし、今いわゆる確変に入ってるような状態なんで、溢れ出てくるどれを切ろうかみたいなところなんですよね。だからすごくいい時期だし、これを逃したくないし、そうやって拾ってくれる人がいてっていうのはほんとにありがたいことなんで、RIZEっていう野望としてはちょっと時間があいた分、ほんと隙間あけずにどんどん出していこうって思ってます。今回は大事な作品になってるし、これからまたそうなっていくものがいっぱい出てくると思うし、そのあとを楽しみにしててもらえたらなと思います。驚きもきっとあると思います。日本人の全員が傷を負ったこの何年かだったと思うから、いっぱい亡くなった方もいるわけで、何も終わってないしね。始まってもいないかもしれないし。でも培った、授かった強さみたいなものは絶対あるんです。俺たちはそれを音にしてバンドでやってやるしかないし、それはすごくラッキーなことだと思ってやってるので、そういうのははっきりきちっと表現していきたいなと思ってます。ライブにもぜひ来て下さい。今回音源化はされてますけど、やっぱり現場で見てほしいです。一期一会だし、そのときはそのときしかないっていうのを感じてほしい。ライブなんで草の根運動でやっていくしかないんですけど共有したいんですよね。

●バンドの活動においてリリースの手法など新しいシステムをRIZEが作り上げるのを期待してます。

金子:そうですね。またよろしくお願いします。

Interview:PJ
Edit:Kaori.T