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ROACH

愛も憎しみも全てを共有して包みこむ彼らのモッシュピット。そこに理由なんていらない

 3年ぶりの正式音源となる1stミニアルバム『BREED OF THE SUN』を昨年2月に発表して以来、ROACHはまさに精力的な活動を続けてきた。

リリース後の全国ツアーで新たな出会いを経つつ、9/30には渋谷CLUB QUATTROでの主催イベント“098-”に600名を動員。確実にその名と存在を世に広めてきた2011年を経て、彼らが新作ミニアルバム『No Reason in the Pit』をリリースする。前作で得た感覚を確信へと変えた今作。

あらゆる場所をピースフルなモッシュピットへと変えてしまう音と言葉は、ここでさらなる進化と深化を遂げている。

Interview

「理解してもらうために叫ぼう。みんなで共有するために叫ぼう。それが俺の信じるハードコアだ」(「MY FRIENDS FOREVER」)

●去年2月に前作の1stミニアルバム『BREED OF THE SUN』をリリースしてからツアーに出たりもしていたわけですが、この1年で状況は変わりましたか?

taama:1年前と今とでは、だいぶ変わったと思います。前作は"どうぞよろしくお願いします"っていう感じだったけど、今はイベントをするにしても「誰を誘おうか?」っていう話ができるようになって。"友達がめっちゃ増えた"っていうのが、まず大きな違いですね。

くぼっち:今作の『No Reason in the Pit』にも反映されているんですけど、"出会い"が大きかった1年なんですよ。前作を出した時に"良い意味で、沖縄のノリを東京でやりたいな"と思っていたのを具現化できているというか。自分達が想像した以上に広がっている感じがするのはすごく嬉しいし、もっともっと広げていきたい。

勝也:コツコツと積み上げていくのは今までと変わらないけど、"何かが見えた"という感覚はありましたね。

●ツアーで得られた感覚が今作にも出ている?

taama:1つの方向に向かっていけたのかなって。昔は曲が似たり寄ったりになってしまうことを心配していたんですけど、今回は逆に方向性が定まったことで作品として辿り着く場所が見えていたような気がします。

●ツアー中に今回の制作を始めていた?

くぼっち:制作は常にやっているんですよ。ツアー中にも、ちょいちょい作り始めていたと思います。

taama:色々と試しながら、まだ完成していない欠片の中から良いものをチョイスしていきました。ツアーをまわりながら何となく思っていたことを歌詞にして自分で読んだ時に、"こんなことも思っていたんだ"という発見もありましたね。

●過密なツアー中に、制作は大変だったのでは?

勝也:ツアー先の地方でも、スタジオに入ったりして。

taama:ライブがあった翌日の朝早くからスタジオに入ることもあったりして、大変すぎて死ぬかと思いました(笑)。

●今日もちょっと声が枯れていますよね。

taama:これは一昨日に沖縄の金武町(きんちょう)という場所でライブをした時に、ちょっと盛り上がりすぎてしまって…(笑)。

●M-7「Be hardcore in Kin Town」の歌詞に出てくる"Adam's bar"のこと?

taama:そうです。Adamっていう外国人がやっている店で偶然ご飯を食べに行った時に、店の隅にドラムセットがあるのを見つけて。最初は店員に"この日本人は何だ?"みたいな顔をされたんですけど、1回ライブをやってみたら気に入ってくれたんです。"次はいつ来れるの?"って誘われて一緒に盛り上がる内に、店自体もライブバーみたいになっていったんですよ。

●その店のことを歌にしたと。

taama:今の自分達にとって糧になっていることとして、アメリカに行ったことと前作のツアーをまわったこと、そして"Kin Town"でライブをやっていることの3つがあるんです。アメリカでは外から沖縄を見ることができたし、ツアーでは色んな人と出会えたのが大きくて。"Kin Town"の店にはステージがなくて、お客さんと同じ目の高さで歌っている感じなんですよ。お客さんが目の前にいる感じというか、すごく密接で。

●その距離感が良かった?

taama:普段はほとんど外国人のお客さんしかいない場所なんですけど、僕らが日本人のお客さんをそのバーに連れて行ってライブをした時、お互いに言葉は全く通じない中でもみんなすごく仲良くなったんです。そこで"楽しもうとする気持ちがあれば、それだけで良いんだな"っていうことを実感させられたのが自分の中ですごく大きくて。今までは日本語詞が多かったんですけど、英語で歌えば外国人のお客さんにも気持ちを伝えることができると思ったので、今作では英詞も増えたんですよ。

●"場所がどこであれ、楽しむ気持ちがあれば良い"という想いはタイトル曲のM-2「No Reason in the Pit」に凝縮されている気がします。

taama:この曲ができた時に、アルバムタイトルも"これしかないよね"っていう話になりました。そこに集まって、みんなで感じることが大事だと思っているんです。自分も元々はキッズだったので、ライブハウスでモッシュしたりダイブしたりするのが当たり前で。爆音で言葉が聞き取れない中でもアイコンタクトやスキンシップで意思疎通をして友達になっていく流れが好きだったし、"みんなにもそういう気持ちを感じてもらいたい"っていう曲ですね。

●次のM-3「MY FRIENDS FOREVER」にも同じく"Pits"という言葉が出てきますね。

taama:あんまり意識はしていなかったんですけど、つながっていますね。この曲では攻撃的なワードを使いつつ、結局は"愛"を歌っていて。モッシュが好きなお客さんもいれば逆に嫌いなお客さんもいるから、サビの"Scream for them who hate right here"っていう部分は"この場所(モッシュピット)が嫌いな人達のために叫ぼうぜ"みたいなことを歌っているんです。

●それはどんな想いで?

taama:"理解してもらうために叫ぼう。みんなで共有するために叫ぼう。それが俺の信じるハードコアだ"っていうことを歌っていて。"hate"の感情って、その先に発展がなかったら意味がないというか。嫌いな人達すら包み込んで共有していけたら、何か変わるんじゃないかなって思うんです。初めは知らない人同士がライブを通して仲良くなる姿を実際にたくさん見てきたし、この1年は俺自身も色んな壁を壊しながら友達が増えていったから。"hate"の感情に囚われずに、共有することに意味があるんじゃないかなというところからこの曲が生まれました。

●タイトルからしてM-6「Don't hate but love」も、近い内容なのかなと。

taama:この曲は自分の身の周りにあるピースを使って歌っていて。米軍基地問題や石垣島の尖閣諸島問題など、沖縄にも色んな問題があるんです。何が正しくて何が間違っているのかまだわからないけれど、環境も食べ物も文化も音楽も、色んなことがもう一国でまかなえる時代ではないような気がする。"僕の島、私の国"ではなく、"僕らの星"というボーダレスな考え方をしていかなくてはいけないんですよ。そこで"嫌ったり、奪ったりしている場合じゃないでしょ?"って。みんなで解決していかなきゃいけない問題はきっと山ほどあるから。まずはお互いに認め合うことが必要なんじゃないかと思うし、相手の立場になって互いにシェアし合えたらなぁと。これぞ"No Reason in the Pit"ですね(笑)。

●過去の歴史にちゃんと向き合って受け継ぎつつ、前へと進んでいくというか。

taama:今まで自分が見てきたものや先輩から受け継いできたことを、次の世代に託していきたいという気持ちはあって。ソクラテスの時代から「最近の若者は」っていう言葉はあるらしいし、やっぱり時代が変わる度にみんな不安になるものなんですよ。でも俺は、変わっていくことに対して不安になりたくない。"形は変われど、頑張っているヤツには大事な芯の部分が受け継がれていくから大丈夫"っていうことを歌ったのが、M-5「DNA Never Die!!」ですね。

●受け継がれていくという意味では"DNA"と同じように、M-1「MADE IN BLOOD」のタイトルにもある"血"も同じですよね。

taama:モッシュピットの中では、人とぶつかり合ってケガをすることもあって。そうやって人間が血を流しながら形成していくシーンだという意味もあるし、単純にロックっぽい言葉だから"BLOOD"を使っている部分もありますね。

●M-4「MAKE HERE HELL」もロックっぽいタイトルですよね(笑)。

taama:良い意味で「あのライブは地獄絵図だったね」とか言っている時のイメージですね。「ロックって何?」と訊かれたら、俺は"言葉"だと思うんです。自分が思うロックな言葉を実行するから、その生き様がロックになるわけで。この曲のサビ前には単語を羅列してあるんですけど、全部がそういう言葉なんです。"地獄"っていう一般的には怖いフレーズも場合によってはホメ言葉だったりするし、ここに並べている言葉も「とても良い」と言っているだけなんですよ。

●「MADE IN BLOOD」でも色々と叫んでいますが、あれはどんなことを?

taama:"Are you guys ready?(準備はいいか?)"と"That's gonna be fun!(楽しいよ!)"、タイトルの"No Reason in the Pit"と叫んでいます。あと、"しなさりんど!"って叫んでいるんですけど、これは沖縄の方言で"お前、ぶち殺すぞ!"っていう意味です(笑)。

●ハハハ(笑)。それはロックですね!

taama:でも、あんまり気付いてもらえないんですよね。

くぼっち:沖縄の人じゃないとわからない(笑)。歌に乗せるためにイントネーションを変えていたから、俺でも最初は全然違う言葉に聴こえたくらいだし。ここは何度も録り直したし、こだわった部分ですね。

●この曲はMUCCのG.Miyaさんがトラックを作っていますが。

taama:俺から「こんな感じが良いです」っていうイメージを伝えて、Miyaさんに作ってもらいました。Miyaさんの家に行って、1日でトラックを組み上げて2日目で完成させた感じですね。今回はイントロを入れたいなと思っていたので、こういう要素が欲しかったんです。

●前作からつながっているような感覚もあります。

taama:前作ではラストの「全てはまた此処から」がフェードアウトして終わっていたんですけど、今回はそこからフェードインして始まるんですよ。前作からの続きという気持ちはありましたね。音楽をやって人と関わっていく中で"つながっていくって、きっとこういうことなんだな"と歌っていたのが前作で、"やっぱりそうだった"とわかったのが今作なんだと思います。

●前作で思っていたことを確信できたんですね。

taama:何かを成し遂げることで、次のステップに進めると思っていて。"これを成し遂げれば、次はこういう景色が見えるはず"という想いで頑張って生きてきたんですけど、結局は"道がただ続いていた"っていうだけなんですよね。"うわ! まだ続いていたよ"って落胆しつつも、"続いていて良かった"と思えるようなハプニングが去年はたくさんあったんです。2011年は俺らにとって、大きな年だったと思います。

●去年1年の成果が今作にも出ている。

くぼっち:前作のツアーでは新たな出会いがあって、そこで対バンしたバンドとかから刺激をもらって作った曲しか今作には入っていないんです。そういう意味では、体の内側にあるものが全部出たっていう感じですね。ヘヴィだけど本当にキャッチーだし、どの曲もメロディが立っているのですごく良いなと思います。

勝也:作り始めた頃は"客観的に見てわかりにくいんじゃないかな?"っていう不安もあったんですけど、歌メロが乗って曲が並んだらめちゃめちゃキャッチーに感じたんです。1曲1曲というよりも、全体で1つの作品として上手く完結しているような気がしますね。

●今作のツアー後に、どうなっているかも楽しみですね。

勝也:どんなことでもそうなんでしょうけど、バンドを続けていく中で"やっぱり積み重ねるしかないな"と去年思ったんです。日々積み重ねることでバンドをより熟成させて、ファイナルを迎えたい。ツアーごとに成長を実感していくのが楽しみだし、今回もそれを実感できるツアーにしたいです。

くぼっち:前作よりもライブハウスをイメージしやすい曲が揃っていると思うので、前回のツアー以上に良い景色をみんなで見られたら良いなと思います。

全員:モッシュピットで会いましょう!!

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子