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ROLLY 来年デビュー30周年を迎える自称特殊音楽家ROLLYが歴史の中で紡いできた美しい世界

ROLLY 来年デビュー30周年を迎える自称特殊音楽家ROLLYが歴史の中で紡いできた美しい世界


 
2020年にデビュー30周年を迎える稀代の音楽家/ギタリスト・ROLLY。そんな彼が、アニバーサリーイヤーを目前にしてセルフカヴァー・アルバムを完成させた。聴く者を異世界へと放り込むほどの強烈なサウンド及びアレンジワーク、童話のような不思議な余韻の残る世界観、ROLLY節が随所に込められ、度肝を抜く描き下ろし3曲も収録された今作は、音楽家・ROLLYの真髄を存分に味わうことができる。幼い頃から積み重ねてきたROLLYのコレクションに、また1枚名盤が追加された。
 


 
「“美意識”がどこにあるか、そこが大切ですよね」


 
ROLLY:『ちびくろサンボ』の話って不思議だと思うんですよ。
 
●『ちびくろサンボ』ですか?
 
ROLLY:あの話、トラが木の周りをまわったらバターになるじゃないですか。トラがバターになったので、みんながパンケーキを作って美味しく食べた…すごく異常だなと思うんです。
 
●確かに(笑)。
 
ROLLY:おとぎ話ですけど、ふわっとした感触の話というか。そういうの嫌いじゃないんです。赤い靴〜履〜いてた〜、お〜ん〜な〜の〜子〜♪
 
●あ、『赤い靴』歌い始めた。
 
ROLLY:異〜人さんに〜連〜れられ〜て〜い〜っちゃ〜た〜♪ …ああいう昔の曲って気持ち悪くていいですよね。
 
●まさか生歌が聴けるとは(笑)。
 
ROLLY:あの赤い靴はいてた女の子、どこに行っちゃったと思います?
 
●お金持ちの外国人に嫁いだ話ではないんですか?
 
ROLLY:違うんです。
 
●えー。違うんですか。
 
ROLLY:僕は人さらいの唄だと思っていたんですけど、実際は…宣教師をやっている夫婦に引き取られてアメリカに渡ることになっていたんです。でも…。
 
●でも?
 
ROLLY:赤い靴をはいていた女の子は結核か何かで結局船に乗れなくて、孤児院に預けられ、寂しく亡くなったらしいんですよ。
 
●え、実在していたんですか?
 
ROLLY:そうなんです! 意外なことに!
 
●それは知りませんでした。
 
ROLLY:しかも! その女の子の妹は割と最近までご存命だった!
 
●まじですか。
 
ROLLY:色々と調べてみるとおもしろいんですよ。…すみません、全然関係ない話で。
 
●いや(笑)、今おっしゃったことは今回お訊きしたかったこととちょっと関連するような気がするんですが、今回のアルバム『ROLLY’S ROCK WORKS』は過去に提供されてきた楽曲のセルフカヴァーアルバムじゃないですか。その一方で、ROLLYさんは人の曲のカヴァーも多くされていますよね。
 
ROLLY:ええ。
 
●提供する楽曲は、最終的には自分が歌わない前提で作るわけで。それにカヴァーというのは、そもそもが自分のための楽曲ではない。ROLLYさんは自分の想いやメッセージが色濃く出るような表現をあまりされていないのかなと。
 
ROLLY:うんうん。
 
●どちらかというとロックバンドはストレートに自分の想いを発信する人の方が多いと思うんですが、ROLLYさんのオリジナル曲を振り返ってみても、あまりそういうタイプの曲はなくて。
 
ROLLY:「俺は今こう思っている」とか「自分はこういうところにやるせなさを感じてる」とか。
 
●だからROLLYさんが表現の中にどうやって“自我”を込められているのかが興味深かったんです。先ほどの話を聞いていて、「ふわっとした話」や「昔の曲の気持ち悪さ」みたいなところがポイントのような気がしたんですが。
 
ROLLY:ほう〜、えっとね、例えばももいろクローバーZとか色んな人に提供してますけど…ももクロさんを主人公にした映画を撮っているような気持ちというか。
 
●なるほど。映画監督のような?
 
ROLLY:監督であり、本当は………自分が主演をしたいんです。
 
●あっ、そうなんですか。
 
ROLLY:本当はね。僕はどちらかというと、音楽に“共感性”を求めたり、逆に“共感してもらおう”という気は毛頭なくて。映画や小説…架空の話を読んだり聞いたりしたときにどういう気持ちになるか…それだけなんですよ。赤い靴をはいた女の子も、聴いた瞬間に「うわっ!」となるよね。音楽にはそういう魔力があると思うんですよ。
 
●はい。
 
ROLLY:一瞬のうちに違う世界に連れて行く。僕は誰かの代弁者でもないし…例えば今作の中に“自我”があるとするならば、M-1「天地創造」。「今まで命を削るようにして作ってきた自分の楽曲たち、とうとう許しが出て、羽が生えたかのように、我がメロディ・我が言葉は天空を舞い上がっていくのだ! この燃え上がるような気持ちを伝えたい!」ということ。僕の音楽の自我はそこだね。
 
●自由に表現できること自体に喜びを感じる。
 
ROLLY:今作だと「己の作ったこのヘンテコ世界をとうとう自分のヴォーカルで、自分の曲として、集大成として出すことができる! しかも55歳の記念に!」という喜びに満ち溢れていますね。
 
●なるほど。
 
ROLLY:「反抗こそがロックだ!」とか昔からよく言いますけど、僕はそのことに対して高校生くらいのときから気がついてしまったんですよ。
 
●どう気づいたんですか?
 
ROLLY:不良というもの…僕が通っていた学校は地区でいちばん偏差値の低い工業高校だった、男子校で。クラスメイトはすごいリーゼントでチェーンを持っていて、いきなり入学式でリンチを行っていた。彼らは休み時間になるとトイレにたむろしてタバコを喫って、これ見よがしに振る舞っていた。でも「いやいや、待てよ!」と。彼らのやっていることは反抗なのか? その反抗のスタイルは自分で考えたのか? いやいや、違うな。かつてからある不良のテンプレートに従って、「不良ってこういうやつだよな」とやっているに過ぎない。本当に反抗的な奴ならば、今そこにあることに対して反抗するはずだから、むしろ…人間って反抗期ってあるよね?
 
●はい。
 
ROLLY:年頃になって親に反抗する。そう考えると、本当に反抗的な奴ならば、自分の“反抗する”という本能に対して反抗することが、本当の反抗的な行為なんじゃないだろうか…ということに気づいたんです。高校のときに軽音楽部で老人ホームに慰問することにしたんですよ。
 
●え? 老人ホーム? どういうことですか?
 
ROLLY:僕は学校以外でバンド活動をやっていたんですけど、学校でも音楽をやりたいと思って、僕の考えに賛同する仲間を集めたんです。音楽部はあったんですが、部員が居なかったから開店休業状態で。なので僕がキャプテンになって、子供の頃に鼓笛隊に入っていたイシオくんをドラムにして、「ベースをやってみたい」と言うミスミくんは何も楽器をやったことがなかったんですけど「お前が言ってることはおもしろそうだからベースを買う」といきなりベースを買って。それで学校で練習を始めたんです。
 
●はい。
 
ROLLY:いきなり「オリジナル曲をやろう!」と、ベースのミスミくんには「3弦7フレット…ブーン…これがEの音だ。これだけやっていてくれ」と言って、イシオくんには「ドン、タッ! ドン、タッ! ドン、タッ! これだけでいい」と言って、まったく初心者だけど音楽がだんだんクリエイトしていく喜びに打ち震えた僕らはどんどん図に乗って、毎日毎日練習していた。そうするとね、上級生たちも覗きに来るようになって。ベースアンプとヴォーカルアンプが欲しかったので先生に言ったら「そんな金はない」と。「じゃあ社会奉仕活動をして差し上げるから、それで評判が良ければ買ってくれないか?」と提案したら「おもしろい、やってみろ」と。
 
●なるほど。それで老人ホーム。
 
ROLLY:大阪の茨木市民会館で老人ホームの会があって演奏したんですが、その結果、アンプ買ってもらいまして。
 
●え! すごい!
 
ROLLY:それでもっと調子に乗って、夏になって体育祭があったんですけど、「君たち暑い中でマスゲームやるのとかどう?」「いや、ちょっとやりたくないですね」「わかった!」と言って、「体育祭で吹奏楽を演奏して差し上げる。その代り体育祭には出ない」と先生に提案したんです。そしたら「おもしろい、やってみろ」と。
 
●いい先生ですね。
 
ROLLY:いい先生にめぐり逢いましてね、イチバ先生っていうんですけど。
 
●はい。
 
ROLLY:音楽部なのでサックスやトランペットはあったんです。でも誰も使ってなくて。あったから、全員好きな楽器を持って、校歌を体育祭で演奏したら褒められましてね。「来年も頼む」と。
 
●お、そこまで。
 
ROLLY:だんだんいい気になってきて、次の年は下級生がいっぱい入ってきていたので演奏を任せて、リーダーの僕は朝礼台の上で校歌をジミヘン風に演奏したんです。さすがにイチバ先生に「お前、ええかげんにせいよ!」と叱られて、3年生のときは普通に体育祭に出ましたね…何の話やったっけ?
 
●ハハハ(笑)。要するにそれが反抗だった?
 
ROLLY:僕にとってのロックンロール観はそういうものだったんです。「そこにないことをやる」ということかな。マイルス・デイビスのバンドに新しいギタリストが入ったとき、「僕はどんな風に弾けばいいですか?」と訊かれたマイルス・デイビスは「そこにないことをやれ」と答えたらしいんですが、それは実に真理で。ロックというものが反抗の証であるとするならば、みんながその方法を取っているのであれば、違う方向のアプローチをしなければいけないのではなかろうか。僕は常にトリッキーな奴で居たいので、日本のみんなが自分を真似るようになったら、辞めるね。みんなが同じスタイルになったらいち早く辞めて違うことを考える。
 
●そういう意味での反抗。
 
ROLLY:なんでこういう話になったかというと…あ、そうですね。JUNGLE☆LIFEに載っているような若者たちは、比較的リアルな自分の欲求や気持ちを音楽でぶつけることが多いけど、ROLLYは一切そういうものをぶつけていないので、なぜそんなことで30年もやってられるんだ? という質問でしたね。
 
●そこまで突っ込んだ質問ではなかったですけど(笑)。
 
ROLLY:だからこそ30年もやってこれたんだと思います。他にいないから。
 
●なるほど。そこでもう少し作品に質問を寄せますが、ということは、オリジナル曲を書く場合と、ももクロさんに提供する楽曲を書く場合では、心持ちというかモチベーションは同じなんですか?
 
ROLLY:音楽が如何にすごいかと知ったのはすごく小さい頃なんですけど…(※おむつをしていた頃の回想シーンの話が長くなったので省略)…音楽というのは人の気持ちを悲しくさせることもできるし楽しくさせることもできる。わざと寂しくなるために寂しい音楽を聴いたりもする。だから僕はどんな音楽を聴くとどんな気持ちになるかの実験を繰り返してきたんです。
 
●ほう。実験ですか。
 
ROLLY:そうやってずーっと蓄積してきたものを、29年くらい前のアルバムに詰め込んだ…リビドーを全世界に向けて発射したわけですね。
 
●すかんち時代ですね。
 
ROLLY:そうです。すかんちって派手な格好した兄ちゃんがやってるポップなロックバンドというイメージだったんですが、アルバムではSF超大作みたいなことをよくやっていたんですよ。そういうコレクションっていうかな。
 
●曲の制作はコレクションを増やす行為だと。
 
ROLLY:4枚目のアルバム(『OPERA』)では不治の病に罹った息子のために、家財道具を売り払った両親が息子を冷凍保存して見守るっていう曲(「さよならの贈り物)を作って、5枚目(『GOLD』)では30年前に宇宙ロケットに乗っていた旦那さんがエンジンの故障で宇宙を彷徨うことになったんだが、30年かかってその電波が届いたっていう話をおばあちゃんが刺抜き地蔵で孫に聞かせる曲(「時間の言葉」)を作って、どんどん自分の本棚にコレクションを増やしてきたんです。そうやって子供の時から積み上げてきたものを曲にしてきたんですけど、だんだん大変になってきて…。でも他人に提供する曲だと新鮮に作れるんですよね。
 
●はいはい。
 
ROLLY:板前さんが作るまかないとお客さんに出す料理の違いのように、だんだん自分のオリジナルはシンプルになってきているような気がする。お客さんに出すやつはゴテゴテにすることができるから好きなんですよ。
 
●ということは、オリジナルと提供曲は別物という感覚ではない。
 
ROLLY:僕は「はんこを押す」と呼んでいるんですけど、ROLLY印が押された楽曲を残したい。だから色濃く僕らしさを盛り込んだ曲の中で、そのアーティストを演じてもらいたいんです。その人を主人公にした映画を撮っているような感覚ですね。こういう話がありましてね…。
 
●なんですか?
 
ROLLY:演出家の方って、人を演出するくらいですから、すごく上手いんですよ。むしろ俳優さんよりも上手いんです。要するに、自分が作った世界観は自分がいちばん上手くできるんです。
 
●今回のアルバムがセルフカヴァー集なのは、そういう想いが背景にあったと。
 
ROLLY:しかも提供曲は毎回「スペースオペラみたいな感じで」とか「すかんちのあの曲みたいな雰囲気で」というオファーを貰って、命を削って作るわけじゃないですか。そういうものが集まったアルバムなので、あまりにも濃厚過ぎて、通して聴くのは不可能だと思いました。
 
●ハハハ(笑)。最初にROLLYさんは「常にトリッキーな人で居たい」とおっしゃいましたが、どの楽曲からも音楽を作る上での“美意識”をすごく感じるんです。ROLLYさんの音楽は“美”を追求した結果なのかなと。今作は確かに濃いですけど、他にないものやトリッキーさが詰まっているだけじゃなくて、おそらく美しいものを見ようとされているんだろうなと。
 
ROLLY:ふふふ(笑)。“美意識”のあり方というのは人それぞれ違うと思うんですが、“美意識”がアーティストの真髄というか。ブラックボックスという考え方知ってます? 二次関数だったか三次関数だったか、何かを入れて、何かをすると、何かが出てきますよと。そのアーティストの本質みたいなところって、何かを入れた後に「そこで何をするか」っていう部分が心臓部だと思うんです。“美意識”がどこにあるか、そこが大切ですよね。

 
Interview:Takeshi.Yamanaka
Artist Photo:中野 敬久
 
 

リリース情報
Album
『ROLLY’S ROCK WORKS』

KING RECORDS
KICS-3798
¥3,000+税
2019/5/21 Release

01.天地創造(オリジナル新曲)
02.Eejanaika(オリジナル新曲)
03.僕等のセンチュリー(ももいろクローバーZ)
04.恋のトレモロマジックダーリン(八木田 麻衣)
05.秘密のギミーキャット~うふふ 本当よ~(PUFFY)
06.恋のROCK’N’ROLL!DRIVE!(藤木 直人)
07.眠れる森の少女(9nine)
08.宇宙のMON DIEU(MEG)
09.恋してキメル!(KIMERU)
10.鏡の中のフェアリーテール(高橋 瞳)
11.恋するラヴレター(豊崎 愛生)
12.未来泥棒(イヤホンズ)
13.Dear Music (オリジナル新曲)

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