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ROLLY

ROLLYが誘う『果てしなきグラムロック歌謡の世界』

 70年代初期にデヴィッド・ボウイやT-REXといった、UKのアーティストを中心に流行した“グラムロック”。後のパンクやニューウェイヴにもつながる音楽性とスタイルは、日本の音楽シーンにも強い影響を与えた。今作『果てしなきグラムロック歌謡の世界』はそんなグラムロック全盛の時代に生まれた日本の歌謡曲を、グラム的な要素を持つアーティストたちがカバーした作品だ。この果てしなき世界への水先案内人として、すかんちのVo./G.としてグラムロックを取り入れた音楽性と中性的なビジュアルで人気を博したROLLY氏を招き、その不思議で奥深い魅力を語ってもらった。

Interview

「今作全体で"グラムロック歌謡の世界"が出来上がっている。間違いなく21世紀に突如現れた"迷盤"ですね」

●そもそもROLLYさんとグラムロックの出会いとは?

ROLLY:小学校3年生の時にフィンガー5のデビュー曲「個人授業」を聴いて、"これは今までの歌謡曲にないモノだ"と思ったんです。ちょっとヘヴィなところもあるし、グラマラスな感じもあって。当時はそんな表現自体を知らなかったけど、気に入って朝から晩まで聴いていましたね。それと同時期に出た山本リンダさんの「きりきり舞い」(M-2)というフレンチポップ風の曲にもハマって。今から思うとグラムロックを直接知る前から、歌謡曲の中にある"グラム"的な要素に惹かれていたのかな。

●歌謡曲の中に、グラム的な要素を自然と感じ取っていた。

ROLLY:同時期のイギリスではちょうどT-REXやデヴィッド・ボウイが全盛だったので、きっと当時の作曲家の方たちもそこから影響を受けていたんでしょうね。今思えば、シャッフルビートの入っている歌謡曲が僕はすごく好きだった。姉が部屋で一日中かけていたメッツの「ジュディ・ランラン」が好きだったのも、グリッタービートだったからで。

●当時のヒット曲の中にはグラムロックの影響が結構入っていたんですね。

ROLLY:60年代の歌謡曲って暗くて演歌っぽいところがあるんですけど、70年代の歌謡曲には突き抜けたポップさがあって。榊原郁恵の「夏のお嬢さん」とかも大好きだった。中学校で放送委員になった時に、放送室で古ぼけたスージー・クアトロのアルバムを見つけたんです。その1曲目に入っていた「The Wild One」っていう曲を聴いた瞬間に、"「夏のお嬢さん」と同じ曲やん!"と気付いた。そこが僕の中で、歌謡曲とグラムロックが合体した瞬間だったかもしれないなぁ。

●好きなモノ同士がつながった。

ROLLY:歌謡曲の中にハードなディストーションギターは入っていないんだけど、自分の中ではそれが鳴っているように聞こえていたんです。歌謡曲に入っている豊潤なストリングスと頭の中で鳴っているディストーションギターが勝手にミックスされて、すごくシビレたんだよね。

●その頭の中にある音楽を自分でやろうとしたのが、出発点でしょうか?

ROLLY:すかんち以前に、初めて組んだバンドの頃からそうだったかな。初めてバンドでやった曲は、ずうとるびの「ペチャパイブギ」で(笑)。そこでもやっぱり、ブギなんだよね。

●自然とグラムロックに通じるモノを選んでいた。

ROLLY:根底が歌謡曲&ロックなんですよ。高校生の時に近田春夫とハルヲフォンの超名盤『電撃的東京』が発売されたんだけど、そこには子どもの頃に憧れ続けた山本リンダの「きりきり舞い」のカバーが入っていたんです。それを聴いて、"これだ!"と思ったし、人生の道がそこで決まったというくらいの衝撃を受けました。

●自分が目指す音楽の理想型というか。

ROLLY:実を言うと、デヴィッド・ボウイのアルバム『ジギー・スターダスト』を初めて聴いたのはつい3年くらい前のことなんですよ。T-REXの『電気の武者』や『スライダー』も当時は聴いていなくて。彼らが全盛だった頃、僕はまだフィンガー5を聴いていたような時期だから知らなかったんだよね。

●いわゆるグラムロックの王道的作品は通ってこなかった。

ROLLY:僕がロックを聴き始めた頃のデヴィッド・ボウイはスーツを着始めた頃で、彼がかつてグラムロック野郎だったなんて知らなかったんですよ。それは後に知ったんだけど、ここまで聴かなかったんだからもう他のみんなに任せようと思ったんです。

●王道的な作品を聴く人は他にもたくさんいるわけですからね。

ROLLY:僕は割とそういうところがあって、ビートルズも中学校の時に『ゲットバック』を1枚買っただけでほとんど通っていないんです。自分は常に王道ではなく、時代の波に完全に乗り切れなかった一発屋的なB級ロックに愛情をすごく感じていて。

●時代の"徒花(あだばな)"的なモノに惹かれる?

ROLLY:自分は永遠にフェイクでいたいし、B級でありたい。95年に東芝EMI(現EMIミュージック・ジャパン)所有のグラムロック音源ばかりを集めた『甘美のロックンロール(B級)』っていうアルバムを出したんですけど、あえてタイトルに"(B級)"と入れたのは愛情を込めてなんです。"一般的には知られていないけど、すごく良い曲があるんだ"ということを言いたかったし、僕もそういう存在になりたくて。身体に染みついているから、勝手にそうなっちゃうんだけど(笑)。

●良い意味でのB級感がある(笑)。

ROLLY:twitterで"ROLLY"と検索してみると、"~がROLLYに見えた(笑)"っていう感じで色んなカッコ良い有名人の名前と一緒に僕の名前が出てきたりするんですよ。そして最後には必ず"(笑)"が付いている。そこの下世話感というか、"この人にそんなことを言ったら怖いことになるんじゃないか?"っていうピリピリ感がないのが良くて。

●イジられるということは、ある意味で愛されているわけですよね。

ROLLY:やっぱり笑ってもらえる存在でいたいんですよね。それが人にかわいがられるコツというか。クィーンのフレディ・マーキュリーもあれだけのビッグアーティストですごく才能もあるのに、最後まで笑える人だった。下世話でいかがわしくて、嘘っぽくて、すごい曲をやっていても敷居が低い。

●そういう存在だからこそ、世界中で親しみを持って愛された。

ROLLY:だから僕は自分の名前が出た時に"(笑)"が付くのはちょっとうれしいんです。そういう意味で言うと、僕はいまだにB級グラムロックの人生を突っ走っているわけですよ(笑)。グラムロックと歌謡曲の両方の要素が入っているという意味では、THE YELLOW MONKEYも自分に近いと思うんです。でもTHE YELLOW MONKEYに影響を受けたと言う人はすごく多くても、すかんちに影響を受けた人はそのことを公言できないっていうところがまた良くて(笑)。

●ハハハ(笑)。

ROLLY:でもマキシマム ザ ホルモンのメンバーがすかんちに影響を受けたと言ってくれているのを最近知った時はすごくうれしかった。しかも、すかんちみたいな音楽を彼らがやっていないところが良いんだよね。自分が歩んできた"時代のあぜ道"に反応してくれる若い人たちも少しはいるっていうのがすごくうれしいんです。

●影響を受けても、それをそのままやっているわけじゃないから面白い。

ROLLY:すかんちみたいなことをそのままやっているバンドがもしいたら、自分が恥ずかしくて見ていられないな(笑)。違う要素が混じってくることで、新しいモノになれると思うから。

●"グラムロック歌謡"にも、グラムロックと歌謡曲という一見違うモノが合わさっての面白さがある

ROLLY:70年代は洋風のオシャレな格好をしている娘さんも家に帰ってきたら、ちゃぶ台の前に座って急須でお茶を入れて飲んでいるイメージがあって。その"カツオ節"感は日本独自だし、歌謡曲にはそれが染みついているのが良いんですよ。グラムロックにその"カツオ節"感がまぶされているような"グラムロック歌謡"っていうのは、まさに僕の世界なんです。

●そう考えると、今回の企画もうってつけだった。

ROLLY:歌謡曲をグラムロック風にやるということは常にやってみたかったし、そういう曲を集めたアルバムを作りたいとは思っていたんです。たまたま去年、今作にも参加しているRama Amoebaの秋間経夫さんの50歳記念パーティへ出た時に今回の話を頂いて。"それは面白い"ということで、僕からも色んな人たちに声を掛けて集めたんです。

●ROLLYさんが声を掛けたバンドもいる?

ROLLY:YOUNG PARISIANを紹介したのは僕なんですよ。彼らは一般的には知られていない存在だけど、世界で最もグラムをよく知っているグループだと僕は思っているんです。"すごくカッコつけているのに、完璧にカッコ悪い"感じを彼らは完全にわかっている。今回のM-3「ビューティフル・サンデー」<田中星児>も、イントロが鳴った瞬間に全てが完成されていて。サービス精神の塊みたいなところが素晴らしいし、ここまで理解し合えたバンドは他にいない。グラムロックの権化みたいなバンドですね。

●ROLLYさんのM-11「私のアイドル~歌は生きている」<チューリップ>はソロ1stアルバム『Rolly's Rockrolly』にも入っていましたが。

ROLLY:これはその時の音源をリマスターしたモノなので、今回新録したM-1「S・O・S」<ピンクレディー>とは質感がちょっと違っていて。

●聴き比べると進化も見えたりする?

ROLLY:すかんち時代からボーカルもやっていたけど、どちらかというとギタリストとしての比重が大きかった。でもシャンソンを始めてから、歌手としての自分にも目覚めたんです。「S・O・S」にはシャンソン的な歌唱法も取り入れているし、クィーン風のコーラスからMOTT THE HOOPLEのイアン・ハンター風まで、1曲の中に色んな歌い方を入れているんですよ。そういう意味では成長した部分も相変わらずなところもあって、自分でも今一番気に入っている作品ですね。

●他の収録曲で意外なモノもあった?

ROLLY:DIAMOND✡YUKAIさんのM-8「酒と泪と男と女」<河島英五>なんて曲単体で聴くとグラムじゃない気がするんだけど、今作の流れの中に入っているとすごくグラムなんだよね。「S・O・S」「ビューティフル・サンデー」にM-5「キューティー・パイ」<伊東ゆかり>っていうおバカ路線の中に、異様にカッコつけまくったこの曲が入ってしまっている感じはすごくグラムだと思う(笑)。

●アルバム全体の流れの中で、グラム感が出ている。

ROLLY:今作全体で『グラムロック歌謡の世界』が出来上がっているから。これは間違いなく21世紀に突如現れた"迷盤"ですね。そもそもグラムロックなんていうのは音楽の種類じゃないし、軽薄でいかがわしくて、時代に咲いた徒花的な部分が大きいわけだから。"迷盤"というのも、僕としては誉め言葉なんですよ。そもそも『果てしなきグラムロック歌謡の世界』っていうタイトルから、笑わせようとしているとしか思えない(笑)。

●タイトルを考えた人は、本気かもしれないですから…(笑)。

ROLLY:それはそれで面白いからいいじゃないですか。どう転んでも笑えるから良いんですよね(笑)。

Interview:IMAI

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