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ROTTENGRAFFTY LIVE Blu-ray/DVD『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』特集:KAZUOMI(G./Prog.)に3ヶ月間の想いを訊く

ROTTENGRAFFTY KAZUOMI(G./Prog.)に3ヶ月間の想いを訊く

昨年12月、ROTTENGRAFFTYが世界遺産に指定されている京都の真言宗総本山・東寺の金堂前で開催したライブ “20th Anniversary Beginning of the Story EXTRA in 東寺”は、記憶に深く刻み込まれた一夜だった。記念すべきあの日から約半年後、彼らが毎年ライブイベント“ロットンの日”を開催している6/10に、LIVE Blu-ray/DVD『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』がリリースされた。現場の熱気と興奮と感動がリアルに蘇る今作は、我々がずっと求め続けているものが詰まっている。今回の特集では、KAZUOMI(G./Prog.)にLIVE Blu-ray/DVD『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』について、そしてこの3ヶ月間の想いを訊いた。
 
 
 
 
 
 
 
 

INTERVIEW #1


「音楽業界も色々な職種の人が集まって成り立っているということをわかってほしいですね。ライブハウスや音楽をやっているのが悪という風にならないで欲しい」


 
 
●2/26に政府からイベント自粛要請が出て、“ハレルヤTour 2020”の恵比寿LIQUIDROOMでのライブが公演当日に無くなってしまいましたが、そこから一切ライブは出来ていないですよね?
 
 
KAZUOMI:そうですね。僕は世の中の情勢や専門知識があまりなくて…メンバーや他のバンドマンたちもそうだったと思うんですが、2/26に起きたことがこれだけおおごとだと気づいていた人は、あの時はまだ少なかったんじゃないかな。
 
 
●そうですよね。
 
 
KAZUOMI:その後、エンタメ業界のどこかで感染者が出たんですよね。でも3ヶ月経った現時点でも、起きていることの実態がわかっていないというか。
 
 
●はい。新型コロナ感染症に関して、特にこの業界は先行きやどの程度の影響が今後どれくらいの期間続くのか見えていない。
 
 
KAZUOMI:今は皆さんと同じように、僕も色んな情報を…友人との会話とか報道とか、色んなところから仕入れています。政府の要請から3ヶ月以上経った今も、まだ“自粛”という制限をかけなきゃいけない状況が続いている。それは音楽家やミュージシャンなどの立場の人がどういう生き方をしているかという理解が、他の職種に比べて圧倒的に低いからなんじゃないかなと思います。
 
 
●全然認知されていないと感じますね。
 
 
KAZUOMI:この職種というのは、ある一部の人たちにとってはすごく神々しい存在で居させてもらえるじゃないですか。でも一方で、ミュージシャン側から本音を発信している人は少ないと思う。
 
 
●現時点で?
 
 
KAZUOMI:はい。有名なアーティストがニュース番組とかに出ていたりするけど、ミュージシャンとして希望を与える形で、前向きな発言や発信をしている人がほとんどだと思うんです。そういうのもすごくカッコいいと思うんですけど、“今はそういう時なのかな?”と思うこともある。
 
 
●ふむ。
 
 
KAZUOMI:政府や一般の人たちにもわかるような“何か”を発信しないといけないなと思うんです。この数ヶ月でいちばん訴えたかったのは、やっぱりライブハウスや音楽業界の人たちのことですね。そういう人たちのことを発信するミュージシャンはやっぱり少ないと思うんです。心の中の本音を言いたいけど、ステージに立つ立場の人間として言うのが辛い部分もある。すごくやりづらいなと思う職種ですね。
 
 
●なるほど。
 
 
KAZUOMI:この自粛期間、僕はずっとメディアも出ていなかったんですけど、それはお客さんに前向きな事だけを言う自分で居たいという気持ちがあるからなんです。でも今回このインタビューの話をもらった時に、そういう本音を少しさらけ出してもいいかなと思ったんです。だからこのインタビューを受けたんです。
 
 
●ありがとうございます。
 
 
KAZUOMI:そういう部分が話せないと意味が無いかなと。今は楽曲の制作もよくわからないんですよ。シーンの最先端のところから末端の人たちまで、誰も答えが出せていないんです。僕もライブというものを見据えて楽曲を制作しているので、ライブが出来ない状態で何を作ることができるのかなと。僕たちのファンの方たちに何を伝えればいいんだろう? と悩んでいます。
 
 
●なるほど。それに関しては僕もすごく同じ気持ちで、ライブハウスやCDショップが開いてないこの状況で、音楽メディアは必要とされているのか? と考え続けています。
 
 
KAZUOMI:僕も全く同じことを思っていました。僕たちバンドマンや音楽家やミュージシャンが生きていく形というのは、全てライブ興行に集約されていますよね。そのライブに向かって新しい曲を作ってリリースをしていた。
 
 
 
 

 
 
 
●だから今の状況は、自分が信じてやってきたことを否定されたような気になる。
 
 
KAZUOMI:そうなんです。ROTTENGRAFFTYのお客さんだけじゃなく、ライブを好きでいてくれていたお客さんに、こんなにライブがない生活が続くと忘れ去られるんじゃないかという恐怖や不安があるんです。
 
 
●はい。
 
 
KAZUOMI:どのアーティストも今、何かをしようとがんばって考えていると思うんです。緊急事態宣言が解除されようが、ライブハウスの人たちが当たり前のように再開できる条件は今のところ無いんですよね。悔しいけど何軒か店を閉じてしまったライブハウスもあるし、あと1ヶ月ももたないというところもいっぱいあると思うんです。
 
 
●あるでしょうね。
 
 
KAZUOMI:色々な人がライブハウスを助けようと色々やっていると思うんですけど、やっぱりミュージシャン側が訴えないとダメだなと感じています。
 
 
●報道やSNSなどではライブハウスが取り上げられることが多いですが、ライブハウスの背景にはミュージシャンやマネージメントはもちろん、ローディーやPAや照明の人たちなど色んな職種の人たちが居て関わっているから、今はみんながライブハウスをなんとかしようと動いている、という構造じゃないですか。
 
 
KAZUOMI:でもそこが直結している人は少ないと思います。他の職業の人たちもそうだと思うんですけど、音楽業界も色々な職種の人が集まって成り立っているということをわかってほしいですね。ライブハウスや音楽をやっているのが悪という風にならないで欲しいなと思います。その為にはやっぱり理解が必要ですね。
 
 
●そうですね。
 
 
KAZUOMI:いや〜、にっちもさっちもいかないなぁ(苦笑)。
 
 
●そうですね〜(苦笑)。
 
 
KAZUOMI:仕方ないことなんですけど、音楽で生活している人たちはライブハウスが無くなることで、音楽の仕事を辞めるしかなくなってきている。この世のものとは思えないですよね。僕はものづくりの人間なので、1人の時間の中に色々な葛藤があるんですよ。何か出来た時はすごくテンションがあがるし、音楽以外でもプライベートで何かが起きた時にはネガティブな方向に飲み込まれることも多々あるんです。
 
 
●ふむふむ。
 
 
KAZUOMI:そういう時でも世間は平和や希望があって、普通に時間が進んでいる感じがあったんです。そういう感じで、今までは僕の中だけで暗いことが起きていると思えていた部分があったんですけど、今は世の中を見てもすごく暗いんですよね。
 
 
●うん、明るい話がないですね。
 
 
KAZUOMI:世界を見ても暗いので、昔と比べて逆転してしまったなと思います。昔、犬を飼っていたことがあったんですけど、その子が死んだ時に立ち直れないような絶望感で身体の中が埋め尽くされていたんですよ。でも、世間はそうじゃなかった。そういうギャップに悲しさや儚さもあったんですけど、救われもしたんです。
 
 
●ああ、なるほど。
 
 
KAZUOMI:でも今は世間が暗いから、その時と逆になっている。だからこそミュージシャンは明るく振る舞って希望を与える立場であるべきだと思うんですけど、今は状況があまりにもひどいですよね。今まで楽しんできた場所が無くなる可能性があるということを、もっと発信する必要がある。
 
 
●そうですね。
 
 
KAZUOMI:僕はウイルスの専門家じゃないのでわからないですけど、こういうことは近かれ遠かれ今後もあることだと思うんですよね。来年にはある程度終息しているかもしれないけど、また再来年に感染が拡がるかもしれない。ウイルスというのは変化するものだし、こういう状況が数年に1回は来ると言う学者さんも居るし。
 
 
●はい。
 
 
KAZUOMI:またそういう状況が来た時に、音楽業界に対しての理解や知識が今のままだったら、またこのような状況になりますよね。だからアーティストが発信する必要があるのかなと思ったんです。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

INTERVIEW #2


「こんなに素晴らしい世界があるということを忘れないで欲しいということと、またこういうことが出来るようになってほしいという願いや希望を込めた」


 
 
 
 
●そしてこの度、6/10の“ロットンの日”のタイミングでLIVE Blu-ray/DVD『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』がリリースとなりましたね。
 
 
KAZUOMI:このタイミングで映像作品を出せるのは良かったなと思いますね。この作品を作っている最中にこの状況になって、制作が終わったのはちょうど緊急事態宣言が出る少し前だったんですよ。4月頭には映像と音の編集が終わっていたんです。
 
 
●そうなんですね。
 
 
KAZUOMI:正直なところ「新曲を」と言っても僕らの場合はライブが想像出来てそこに直結するものというか、そういうところに新曲を出す意味を強く感じていたんです。なので僕らの新しいアイテムがライブ映像で、まだまだこれまでのように当たり前の形でライブが出来ない時に出せるのは、ありがたいことだなと思っています。
 
 
●今作を観るとリアルにライブの感覚が蘇ってくるし、お客さんの笑顔を見るだけでもグッとくる。
 
 
KAZUOMI:今作の制作中はパンデミックが世界で加速していて、日本でもどんどん感染者が増えていった時期だったんです。そこに関しては、僕もメディアに対して不快感を持った部分もあるんですよね。不安を煽られたというか。
 
 
●恐怖感を植え付ける言葉や数字を強調するというか。
 
 
KAZUOMI:だから実は、制作中はこのタイミングで映像作品を出すのが嬉しいと思えていなかったんですよ。“こんなに世間が大変な時にリリースってどうなんだ?”と思っていた部分があったんです。全然悪いことじゃないと分かってはいたんですけど、人がどんどん亡くなっている中で、何を思ってリリースするんだろうと。
 
 
●ほう、なるほど。
 
 
KAZUOMI:“リリースをもうちょっと延ばそうかな?”とも考えていたんですけど、いつリリースをするのがいいのかという正解は無いじゃないですか。そもそも“ロットンの日(6/10)”に出せるというのはすごく嬉しいのでそこを目指して来たんですけど、延期をしてでも出す意味を見つけようかなと考えていたこともあったんです。
 
 
●そうだったんですね。
 
 
KAZUOMI:でもレコード会社の人と相談しつつ、世の中の様子を見つつ、「今はライブが出来ないから、新しい映像を観て楽しんだり、ライブの存在を忘れないで欲しい」という想いを込めたんです。だから今は、リリースを出来ることが誇らしい気持ちというか。
 
 
●今作のリリースは、ROTTENGRAFFTYからのメッセージというか、意思表示とも受け取れます。
 
 
KAZUOMI:東寺でライブが出来るということが僕らにとっては本当にありがたいことですし、単純に映像としてもおもしろい。パンデミックが起きてそれ以前と考え方が変わって、今後はほとんどの人が以前と同じような気持ちでライブを観ることは無いと思うんです。それでもこんなに素晴らしい世界があるということを忘れないで欲しいということと、またこういうことが出来るようになってほしいという願いや希望を込めてリリースできた。
 
 
●今作は東寺のライブ(2019/12/14 “20th Anniversary Beginning of the Story EXTRA in 東寺”)の他に、“20th Anniversary Beginning of the Story ~We are ROTTENGRAFFTY~”のファイナル(2019/11/15@Zepp DiverCity)と、ホームとも言える京都KBSホールでのライブ映像(2019/10/6@京都KBSホール)も収録されていますよね。この3本のライブはシチュエーションが全く違うじゃないですか。
 
 
KAZUOMI:そうですね。
 
 
●そうなると、セットリストの考え方も違ってくるんですか?
 
 
KAZUOMI:東寺はやっぱり世界遺産という特別な場所なので、時間とか含めて守らなきゃいけないものが多かったんです。Zepp DiverCityと京都KBSホールはツアーの一環だったので、その中で作ってきたものがあったんです。なので東寺とはまた別物ですよね。
 
 
●東寺でのライブは1時間くらいで、「金色グラフティー」から始まって「切り札」で終わりますけど、どうやってセットリストを決めたんですか?
 
 
KAZUOMI:20周年ツアーでやってきたものと明らかに考え方が違うのは、やっぱり京都で出来るというところ。更に東寺という特別な場所なので、相乗効果が出て更に鋭い矛先を持ちそうな曲を選んだんです。その中でも「響く都」と「e for 20」は特にやりたかった。
 
 
●映像を観て改めて思いましたけど、「e for 20」はすごく染みました。
 
 
KAZUOMI:東寺でのライブはやりたいことが多かったんですけど、でもそもそも普段ライブをする場所でないので、出来ないこともあったんです。
 
 
●そうでしょうね。
 
 
KAZUOMI:でもやっぱりすごかったです。僕らは金堂の前に立たせてもらって、ステージから見て左側に五重塔があるんですよ。本当は紅葉の時期までしかライトアップされていないのに、東寺の方のご厚意で僕らのライブの日までライトアップしてくれていて。
 
 
●うんうん、そうでしたね。
 
 
KAZUOMI:当日来てくれたお客さんはある程度景色も楽しんでもらったと思うんですけど、ステージからの景色のほうがエグかった(笑)。
 
 
●KAZUOMIくんはライブ中も「なんやあれ!」と言っていましたもんね(笑)。
 
 
KAZUOMI:僕、ライブ中は理性がきかないので、思ったことをそのまま言ってしまうんです(笑)。
 
 
●最高の景色でした?
 
 
KAZUOMI:そうですね。音楽をやっていて良かったことっていっぱいありますけど、去年は東寺で出来たことが大きかったですね。
 
 
 
 

 
 
 
●京都でやってきたROTTENGRAFFTYが成し得たことの1つというか。
 
 
KAZUOMI:はい。お客さんもそういうことを感じてくれていたと思うんです。あの日はダイブが禁止になっていましたけど、ダイブせずにその血をあらわにするというのは音楽の楽しみ方の正しい形だなと思っています。
 
 
●ところで映像作品としては今回で5作目となりますが、KAZUOMIくんは映像の編集と音の編集をやっていたんですよね?
 
 
KAZUOMI:はい。
 
 
●作業的には、KAZUOMIくんとディレクターさんとのやり取りなんですか?
 
 
KAZUOMI:そうですね。実際にはメールでのやり取りが中心になるんですが、音のミックスをやっている場所と映像を編集している場所は違うところで、作業的には同時進行なんですよ。僕は音をミックスしている場所でエンジニアさんと相談して、その間に映像が送られてきてそれに対して「こういうカットはないですか?」とか、映像の素材がどこまであるのかというのを洗いながら、色々な映像をチョイスしたりするんです。
 
 
●へぇ〜、そういう作業なんですか。
 
 
KAZUOMI:そういう作業を何週間にも渡って繰り返すんです。僕はスタジオで音を一個ずつやるので、結構時間がかかるんですよ。
 
 
●映像作品を作る時は、KAZUOMIくんの頭の中にライブを“音”として捉えた軸が1本あって、その軸に対して映像を当てはめていくということ?
 
 
KAZUOMI:そうですね。ただ、自分たちが演奏しているので全体のグルーヴ感を覚えている部分もあるんです。だから“ここでなにか言ってたよな”というところには、「引きじゃなくて誰かの寄りの画にしてほしい」と頼んだり、その中でもどの角度からの画がどのくらいあるかを確認したりするんです。
 
 
●要するに、KAZUOMIくんはこのDVDの全カットに携わっている。
 
 
KAZUOMI:そうですね。もちろんゼロからの作業ではなくて、映像監督さんが最初にたたき台で出してくれているものが軸にはなるんです。でも演者の立場として見える部分から“画的にこういう風になったらいいな”というアイディアを出していく。「ここのカットは3秒くらいにしてください」とかそういう細かいところまでやっているんです。
 
 
●すごい!
 
 
KAZUOMI:だから結構時間がかかりますね。
 
 
●東寺の映像を観ていて思うのが、お客さん目線というか、色々な場所で観ているお客さんの記憶の映像を切り取ったみたいな感じがあって。カットの切り替わりがめちゃくちゃ多いと思うんですけど、色々なお客さんの気持ちになれる。
 
 
KAZUOMI:だからすごく時間がかかるし、色々僕が言い始めたもんだから正解が僕の中にしかないということもあるんです(笑)。あくまでも僕は映像に関しては素人なので、そういう僕の希望をうまく汲み取ってくれて、映像監督さんが全てうまいことやってくれているんです。
 
 
●映像作品に関して、音に関する作業は“調整”ですよね?
 
 
KAZUOMI:そうですね。ミックスをする感じですね。並べた音を更にどういう音質にして、どういう並べ方にするか。
 
 
●それはCDのミックスの時と基本的に考え方は一緒なんですか?
 
 
KAZUOMI:そうですね。演奏は当日の演奏があって、レコーディングはそのレコーディングの音源があるだけなので、どちらにせよレコーディングされた音を細々とやっていく感じですね。でもDVDやBlu-rayはテレビやノートパソコンやイヤホンで聴くと思うので、そういういろんな再生機器で色々リスニングしてみて…全部出来るわけじゃないんですけど…色々なシチュエーションを想定した上で音をミックスしていくんです。
 
 
●自分で色々聴いてみるんですか?
 
 
KAZUOMI:そうです。
 
 
●うわ、そこまでやっていたんですか。
 
 
KAZUOMI:テレビのメーカーにもよるんですけど、スタジオにテレビがあったのでそのテレビで映像を流して聴いてみたりとか。
 
 
●今作は当日来た人も来れなかった人も、たくさんの人に観て欲しいですね。
 
 
KAZUOMI:本当にそう思います。単純に国宝の前でロックバンドがライブをしているというのはおもしろいと思うんですよ。ROTTENGRAFFTYを知らない人も、ここ最近知った人も、今作を手にとってほしいですね。ライブというのはすごく楽しいものなんだということを、初めて出会う人は好きになって欲しいし、今までずっと変わらず好きでいてくれた人はこれからも好きでいてほしい。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

INTERVIEW #3


「ライブもやりたいし、これまでライブに来てくれていたお客さんに会いたい。ただの赤の他人じゃないし、音楽で繋がっている人なんですよ。ましてや僕らが作った音楽を楽しんでくれているお客さんと一緒にライブをやれていたのって、奇跡に近い」


 
 
 
 
●いつライブが再開できるようになるか現時点ではまったく見えていませんが、待ち遠しいですね。
 
 
KAZUOMI:今回のことで常識や考え方やモラルが変わると思いますけど、僕がいちばん求めるのは、それまでの形がそのままライブに戻ってくることですね。今のところそうなるには時間がだいぶかかりそうですけど。
 
 
●そうですね。
 
 
KAZUOMI:僕自身もそうですけど、このパンデミックによって植え付けられたウイルスに感染する怖さもあるし、高齢者の方の致死率が跳ね上がってしまうことも怖いですよね。
 
 
●はい。
 
 
KAZUOMI:ROTTENGRAFFTYのファンの方にも親御さんと一緒に住まれている方もいるだろうし、やっぱり怖いです。世界に比べたら日本はまだいいのかもしれないですけど、そこの理由も知りたいですよね。文化の違いとも言われていますけど、死者数が少ないですよね。僕らは学者じゃないのでわからないですけど。
 
 
●そうなんですよね。わからないことが不安に繋がっている。
 
 
KAZUOMI:僕、今まであまりテレビを観なかったんですけど、色々な情報を得たいから最近は色々と観ているんですよ。ネットの情報を集めてみたり。でもやっぱり不安を煽ってきますよね。
 
 
●はい。
 
 
KAZUOMI:でもライブハウスとか、人が密集する所でコロナが発生しているわけじゃないし、もしそこで感染者が出たのであれば殺菌消毒みたいなものをして店はまた開いていいんじゃないかとも思うんです。この状況が3ヶ月続いて、これ以上はもたないライブハウスが出てきている。でもそんなライブハウスで色々な音楽が生まれてきたんです。そこをもうちょっと大事にしたいなと思いますね。
 
 
●「こんな大変な時期に娯楽は必要ない」みたいな言われ方をすることもあるじゃないですか。確かに音楽は娯楽や文化だとは思いますけど、一方でそれを仕事にして生きている人も居る。社会から差別されているような感覚になりますね。
 
 
KAZUOMI:ただでさえライブハウスはパンデミックが起きる前から、そういう遊びを求めていない人たちにとっては騒がしかったり、いい印象を持つ場所では無かったと思うんです。逆の立場になってみると、そこで感染者が出てしまった時に高齢の方たちは嫌だと思うのも当然ですよね。そういう“嫌だな”と思う気持ちの角度が行き過ぎるか行き過ぎないかというのは、知識や理解がないからそうなってしまうのかなと思うんです。
 
 
●そうですね。
 
 
KAZUOMI:メディアがそういう取り上げ方をすることが多いので、どうしたらいいのかと毎日思っています。まだ答えは出ていないけど、でも新しい何かを考えるということはすごくいいことでもあるなと思うんです。今は新しい試みを色々考えるということを誰もがやっていて、単純に動画配信だったり、ROTTENGRAFFTYも…僕は出ないですけど…YouTubeでお酒を飲みながらしゃべったりしていて。今までだったら想像が出来てもしようとしなかったことを、今は出来ている。それはそれでプラスかなと思いますね。
 
 
●新しいことを考えるきっかけになっている。
 
 
KAZUOMI:はい。僕より年下の若いミュージシャンたちはこれをチャンスだと捉えて、音楽の夢を諦めずに新しい何かを作っていって欲しいなと思いますね。僕らをびっくりさせるようなやり方を作っていってくれるんじゃないかなと思っています。
 
 
●なるほど。
 
 
KAZUOMI:僕らはライブハウスで生きてきてライブハウスで存在価値を見出してきたバンドなので、ライブハウスから新しい何かが生まれる時代を望んでいるんです。規模の大きなアーティストだったら“ライブハウス”という場所を経ずともそういうことが出来ると思うんですよ。でも僕らは、音楽という大きな業界の中では端の方にあるライブハウスという場所で、そこから生まれる不安と希望を両方持ちあわせていたいと思います。
 
 
●先が見えないし毎日暗くなっちゃいますけど、チャンスと捉えるしかないですね。
 
 
KAZUOMI:そうなんですよ。僕はここ10年くらい、こんなに期間が空いたことって無かったんですけど、今はバンドをやり始める前の気持ちに似たような感覚にもなっているんです。
 
 
●それはどういう感覚ですか?
 
 
KAZUOMI:ライブがあるわけでもなく、“これからバンドをやってみるか”という気持ちになっていた時って、わけもなくスタジオに行ってちょっと演奏してみたりするだけの期間が数ヶ月あったんです。沸々とダラダラするというか。
 
 
●はい。
 
 
KAZUOMI:今はそういう日々を過ごしていて、それがすごく新鮮で、自分の中でようやく作りたい形が見えてきたというか、制作意欲が出てきている。
 
 
●充電が出来たと。
 
 
KAZUOMI:充電出来てますね。こんな充電の仕方はしたくなかったけど(笑)。
 
 
●確かに(笑)。
 
 
KAZUOMI:望んでいた形ではないけど、時間はある。3日の時間があるのと数ヶ月の時間があるのとじゃ全然違うんですね。自分の思ったままに生きる癖が僕は取れないので、3日間気分が乗らない時もあるんです。でも数ヶ月あったら気分が乗らないもクソもない(笑)。
 
 
●ハハハ(笑)。今後また新しいものを生むエネルギーになっている。
 
 
 
 

 
 
 
KAZUOMI:あとはやっぱり本当にライブがしたいです。どのアーティストも訴えていることですよね。僕はSNSをやっていないんですけど、そういう気持ちをみんな色んな所で言ったらいいと思いますね。ライブもやりたいし、これまでライブに来てくれていたお客さんに会いたい。ただの赤の他人じゃないし、音楽で繋がっている人なんですよ。ましてや僕らが作った音楽を楽しんでくれているお客さんと一緒にライブをやれていたのって、奇跡に近いんだなと感じますね。当たり前が当たり前じゃなくなったし、そういうのを考え直せる期間でもありました。自分たちの楽曲で喜んでくれたり、感情をあらわにしてくれる人に会いたい。
 
 
●今回の映像を観て僕もライブの感覚を思い出したんですけど、やっぱりその場でみんなに会いたいですよね。あの気持ちが蘇る。
 
 
KAZUOMI:お客さん同士でも素敵な出会いがあったりもするだろうし、演者側でもそういうことはいっぱいあるんです。ステージに立つ人間だけじゃなくて、色々な職種のスタッフもそうだと思いますし。当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなかったということに改めて気付きましたね。
 
 
●そうですね。
 
 
KAZUOMI:過去のお客さん1人1人に「ありがとう」と言いたい。早く会いたいです。でもこれ、再開できたときのライブ一発目はかなりヤバいと思いますけど(笑)。
 
 
●きっとそうでしょうね(笑)。
 
 
KAZUOMI:わけわからなくなってずっと沸点超えていると思います。ずっと泣いているのかもしれないし、ずっと笑っているのかもしれない。すごい温度感で…多分泣くな(笑)。
 
 
●みんなそうなるんじゃないですか? 演者もお客さんもスタッフも。
 
 
KAZUOMI:そうですね。皆さんが好きだったライブという形は、全然悪じゃないし、ずっと好きでい続けていてほしい。まだライブが出来る状況じゃないけど、その感情は大事に持っていて欲しいと思います。あとは会いたいということが、今言えることですね。
 
 
●うんうん。
 
 
KAZUOMI:周りにはフェスを中止したバンドも居るし、まだ希望を持って前向きになんとか遊び場を残そうとしているバンドも居る。みんながそれぞれ闘っていて、ピュアな世界になったなとも思います。競い合いの中で生まれてくるものもあるけど、今はどのアーティストもひとつになっている気がします。
 
 
●みんなが生きようとしていますよね。それはミュージシャンだけじゃないと思いますけど、そういう意味で「ピュアになっている」というのはすごくわかります。
 
 
KAZUOMI:そのピュアな気持ちをミュージシャンももっと言っていいと思いますね。かっこつけたいのもわかるし、弱音を吐きたくないのもそれはそれで素晴らしいけど、ミュージシャン側の苦悩を訴えるのもそれはそれで闘っている。
 
 
●そうですね。
 
 
KAZUOMI:この自粛生活の中でも、世の中を良くしようといてくれている職種の方たちが居るわけじゃないですか。医療関係者とか、ゴミ収集とか、食品を売る人とか。そういう人たちが居なかったら本当に終わってしまう。こんなに恐怖を植え付けられた世界で働いて下さっている人には、本当に感謝と尊敬の気持ちがありますね。海外に比べて死者数の数が少ないのも、そういう医療関係の人たちが居てくれたからだと思います。ゴミ収集とかも感染リスクがあると言われている中で毎日やってくださっていて、この世界もまだまだ捨てたもんじゃないなと思いますね。
 
 
●うんうん。
 
 
KAZUOMI:僕は今まで自分の中の世界だけで生き過ぎていたというか、周りのことをあまり考えないで生きていたことが多かったんだなと感じました。そういうことも考えている数ヶ月だから、きっとこの時間も無駄ではないと思います。今回起きたことが、今後僕の作る音楽に何かしら反映すればいいなと。今までのことが当たり前じゃなくなったからこそ、新しいものが生まれてくるという希望が絶対あると思いますね。
 
 

interview:Takeshi.Yamanaka
assistant:Yuina.Hiramoto

 
 
 
 

 
 
 
 

LIVE Blu-ray/DVD『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』
Victor Entertainment / Getting Better Records 2020/6/10 Release
 
[完全生産限定盤:3Blu-ray+PHOTOBOOK]
VIZL-1773 ¥8,610+税
[完全生産限定盤:3DVD+PHOTOBOOK]
VIZL-1774 ¥7,610+税

[通常盤:2Blu-ray]
VIXL-310~311 ¥6,100+税
[通常盤:2DVD]
VIBL-985~986 ¥5,610+税

https://rotten-g.com

 
 
 
 

ROTTENGRAFFTY All Time Best Album 『You are ROTTENGRAFFTY』特集 21年目の全メンバーソロインタビュー

2019年に結成20周年を迎え、前半戦と後半戦の20周年記念ツアー及び京都の真言宗総本山・東寺でのワンマンライブを大成功させ、シングル『ハレルヤ』と20周年記念トリビュートアルバム『ROTTENGRAFFTY Tribute Album 〜MOUSE TRAP〜』をリリース。冬の風物詩となった"ポルノ超特急2019"で熱い2日間を作り上げた、響く都のROTTENGRAFFTY。彼らの20年間を網羅したAll Time Best Album 『You are ROTTENGRAFFTY』が、この度3/18にリリースされる。一歩も立ち止まることなく加速する彼らの"未来"を知るべく、昨年JUNGLE☆LIFE誌面に掲載した『20年目の全メンバーソロインタビュー』に続く全メンバーソロインタビューを敢行。ベストアルバムを通して彼らの20年間を振り返りつつ、21年目、そして5人が見据える"未来"について訊いた(※当インタビューは2/24に実施いたしました)。

 
 

ROTTENGRAFFTY 20th Anniversary Beginning of the Story EXTRA in 東寺 ライブレポート

 
 
 
 

 
 
 

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