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RUSH BALL2011

音楽に全身全霊でぶつかり合った夏の終わり 泥だらけの靴が僕らの最高の勲章になった

2011/9/4@泉大津フェニックス
ACIDMAN / avengers in sci-fi / BIGMAMA / BRAHMAN / KEN YOKOYAMA / the band apart / the HIATUS / The Mirraz / PENPALS/ POLYSICS / ストレイテナー / OPENING ACT:踊ってばかりの国

---ATMC--- AWAYOKUBA / FLiP / SISTER JET / The SALOVERS / UNLIMITS / winnie / 撃鉄/ サイプレス上野とロベルト吉野 / 0.8秒と衝撃。

Review

この日をどれほど待ちわびていたか。台風の影響により一時は開催すら危ぶまれたRUSH BALL 2011、日本中のキッズがパソコンの前で(あるいはケータイ片手に)固唾をのみ開催情報を待ち続けていた事だろう。私もその一人だ。そして9/3、17時30分。開催決定の文字を見た瞬間、私の心はディスプレイを突き破るかの如く跳ね踊ったのだ。
今年オープニングアクトの大役を任されたのは、踊ってばかりの国。少しアイロニカルで胸を指す言葉を放てば、ひとり、またひとりと徐々に観客が集まっていき、本編のトップバッターであるthe band apartがステージに経つ頃にはPA機材のテントまで人が溢れかえっていた。続くThe MirrazのVo./G.畠山がビールを片手に最高の笑顔を見せれば、会場のテンションはいやが上にも沸き上がる。その間にもATMCステージでは、AWAYOKUBAが本番さながらのリハで早くもオーディエンスの注意を惹き付け、歓声が響いている。両ステージを行き来するのにかかる時間は約10分、のんびりしていては演奏に間に合わない。あまりの盛り上がりように休む間もないのが少々恨めしい。
ライブと並行して、NTTドコモブースでは白熱したバトルが繰り広げられていた。スマートフォン体験イベントとして行われるゲームに参加すると抽選券がもらえるのだが、その景品はなんと出演者のサイン入りTシャツ! the band apart、The Mirraz、POLYSICS、the HIATUSのサイン入りTシャツを求め、時にはテントに入りきらない程の人が集まる事も。さらにライブが進行するにつれ随時Tシャツを提供するアーティストが増えていき、最終的にはBRAHMAN、ストレイテナー、KEN YOKOYAMAのサイン入りTシャツが追加!! こんな嬉しいサプライズもフェスならではだろう。
ようやく食料を確保して席に着けば、時は既に夕方。5年振りにオリジナルメンバーにて復活を遂げたPENPALSの演奏をBGMにアツアツの唐揚げをほおばる。何という贅沢だろう! グッドミュージックに酔いしれながら空腹を満たすと、次の演者はプレイベントであるRUSH BALL☆Rでシンガロングの嵐を巻き起こしたBIGMAMA。本編でもその勢いは留まる事なく、「荒狂曲“シンセカイ”」「計算高いシンデレラ」などロックラシック(ロック×クラシック)な名曲を次々と披露し、そのポテンシャルの高さを見せつけた。
徐々に夜も更け、雲に隠れながらも月が存在を主張し始める頃。時を同じくしてATMCステージでは、『サ上とロ吉』ことサイプレス上野とロベルト吉野が、悠々とした佇まいでステージに立っていた。「ACIDMANが終わったら友達をつれて来い! それまで始めねえぞ!」と言ったきり、本当にACIDMANが終わるまで待ち続けるふたり。何と大胆不敵…さらにライブではクラブミュージック特有のパフォーマンスで、オーディエンスと共に飛び跳ね会場を震撼させた。恐るべし『サ上とロ吉』。そしてクライマックスも近付くBRAHMANのステージには、震災への想いを切に語るVo.TOSHI-LOWの姿があった。数百メートル離れた場所でさえ感じる程のオーラが発せられ、言葉の端々に魂の叫びのような気迫と重さを感じる。音楽でも言葉でも心を撃ち抜いた彼らは、圧倒的な存在感を残しながら去って行った。
ついに迎えた最終章、幾多のライトに照らされて現れたストレイテナー。まるで物語を紡ぐように1音1音が雄弁に語りかけ、鳥肌が立つ程に幻想的な時間が流れていく。ラストの曲「ROCKSTEADY」が終わり、フェスを締めくくる花火を見届けた時、このフェスの成功に胸が熱くなった。スタッフブログを見る限り、台風の過ぎ去った会場の状況は、それは凄惨なものだった。土という土は全て泥に変わり、芝生の上には無数の水たまりが待ち受ける。そんな中、スタッフの方々は”フェスを開催したい、音楽を楽しんで欲しい”との一心で、徹夜で準備し続けてくれたのだろう。このイベントを支えてくれた全ての人に心から感謝! 来年も楽しみにしています。
TEXT:森下 恭子

9月の初旬、ゆっくりとした速度で日本を縦断した台風12号は猛威を振るい、関西地方と東海地方で甚大な被害をもたらせた。その台風12号の影響で、関西の夏の終わりを告げる2大フェスであるOTODAMAが開催中止を発表したのが9/2。RUSH BALLの開催も危ぶまれる中、開催決行が発表されたのが前日の夕方で、豪雨の降りしきる中の設営作業を進めてくれたスタッフの絶え間ぬ努力に感謝しつつ、当日を迎えることになる。開催場所である泉大津フェニックスにつくと、芝生の場所は案の定田んぼ状態。しかしそこは野外ロックフェス、靴がどれだけ汚れようと楽しむ以外選択肢は残されていないのだ。そうこうしているうちに、オープニングアクトである神戸出身踊ってばかりの国の演奏がスタート。ゆったりと揺られながら会場をぐるっと一周し、今年もフェニックスにやって来れた事に感謝をし、2011年の僕のRUSH BALLがスタートした。
GREENS力竹氏、松崎氏による開会宣言に続き登場したthe band apartはタイトなリズムと演奏力でオーディエンスをRUSH BALLというお祭りにグっと惹き付け、トップバッターの大役を見事に果たす。G.川崎のモズライトから発せられる流れるようなギタープレイについつい目と耳が釘付けになってしまった。続くThe Mirrazはなんと反町隆史の「Forever」で入場。一気に会場の心を鷲掴みにし摩訶不思議ダンスチューン「CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい」で雨を降らせ、スコールディスコタイム。雨に打たれながら踊るのも悪くないもんだと思いながらATMCステージへと移動すると、大阪発平均年齢23歳のファンキーパーティバンドAWAYOKUBAがキラッキラのステージを披露。若さに任せた勢いだけのステージングではなく、今年のFUJI ROCK FESTIVALでも魅せてくれた確かな演奏力はホンモノで、勝手に体が動き出す。大阪でこの手のバンドが出てきたのが本当に嬉しくて、この日1杯目のビールに手を出してしまった。
メインステージではPOLYSICS Vo./G.ハヤシの「トイス!」の一言で雨が止むという神がかった演出(もちろん偶然だが)に、テンションが上がりまくる。個人的には京都大作戦に続いて2回目になる3人でのポリの演奏。正直な感想は“以前よりも分厚く無い?”だ。3ピースになったことでよりバンドらしいサウンドになったのか、そのテンションとオーディエンスを楽しませる心意気は一級品。その頃ATMCではUNLIMITSが白熱のパフォーマンスでキッズたちを魅了していた。泥だらけのダイバーたちは清々しい程に笑顔で、拳を高らかに挙げシンガロング。続く0.8秒と衝撃。のパフォーマンスはフリーダム。あらゆるジャンルを巻き込んだ彼等の演奏はカオスで、尊敬するPOLYSICSの「トイス!」からインスパイアされた、「おっぱい!」コールも妙に盛り上がっていた。
avengers in sci-fi の無限の音の広がりを楽しむのも束の間、“脱原発”Tシャツに身を包んだKEN YOKOYAMAが登場すると“RUSH BALL! パンクロックやろうぜ!”と「Running For The Winding Road」からキラーチューン連発でフロアを加速させる。俺を観ろ! と言わんばかりのKEN兄のパフォーマンスに、男として惚れてしまったのは僕だけでは無いだろう。途中ストリップさながらのセクシータイムからの、“今年、AIR JAMでやるであろう曲、ステイ“ファッキン”ゴールド!”というMCで、ハイスタ時代の名曲「STAY GOLD」が始まると、後方にいたオーディエンスがステージ前になだれ込み大合唱が起こった。続いて登場したRUSH BALL 7年振りのPENPALSは、円熟味を増した大人のロックを披露。初期の曲を中心にグイグイと確かなパフォーマンスでオーディエンスを魅了してくれた。彼等の代表曲とも言える「ラブソング」を敢えて演奏しないなど、彼等らしい潔いステージで“またいつかここで会いましょう。サンキューRUSH BALL”と言い残しステージを後にした。
ATMCステージではwinnieが見事なコーラスワークを披露し、JUNGLE☆LIFEでもお馴染みの沖縄出身FLiPがガールズバンドとは思えない力強い演奏で新時代の幕開けを予感させる。20歳に満たないThe SALOVERSの感情的で魂むき出しのステージからは、エモーショナルという簡単な言葉だけでは片付ける事ができないエネルギーを確かに受け取る事ができた。その頃メインステージでは、本誌にRUSH BALLの意気込みを語ってくれたBIGMAMAが登場。“今年は夏フェスにたくさん出たけど、メインステージはRUSH BALLだけなんでめちゃくちゃ嬉しいです!”とVo./G.金井が言い放つと、夕日とのコントラストで美しいメロディと幻想的なサウンドが絶妙なバランスで混ざり合い、キャンパスを彩っていく。彼等がステージから景色はさぞ美しかったであろう。
the HIATUSの出番が近づくとざわめき出すオーディエンス。みんなが指差す方を見上げると、奇麗な虹がかかっていた。天候までも見方にしてしまう彼等のパフォーマンスは完璧の一言。ラストはもちろん「Insomnia」で、Vo./G.細見の世界観が凝縮された濃いステージを披露してくれた。もはや常連とも言えるACIDMANはメジャーデビュー曲「造花が笑う」からスタート。結成15周年という記念すべき2011年、ステージ前に集まったオーディエンスにはたまらない選曲だったに違いない。諸手を挙げて歌った「ある証明」から、ラストの「ALMA」の流れは見事の一言で、静と動を見事に制御した珠玉のライブパフォーマンスに、思わず涙するオーディエンスも。
すっかり陽が落ち暗くなった会場にBRAHMANが登場すると、一瞬にして空気が張りつめる。名曲「ARRIVAL TIME」のイントロが流れた瞬間、10数年来の記憶がフラッシュバックする。当時キッズとして今は無きベイサイドジェニーに足しげく通いダイブを繰り返していた僕にとって、彼等がRUSH BALLに出演しているという事実がただ嬉しいのだ。TOSHI-LOWの“BRAHMAN始めます”という言葉、“阪神大震災の時、小銭を募金してそれから何もしなかった。東日本が復興するには対になる西日本の力が必要。俺みたいに後悔しないように行動して欲しい。”という言葉に目頭が熱くなる。おもむろにステージを降り、観客に支えられながら歌ったTOSHI-LOWからは神々しささえ伺えた。ATMCステージも負けてはいない。撃鉄は半裸で序盤からトップギア。ラストは“風になりたい!”とおもむろにステージをよじ登り、テントの上に立ちそのまま消えていくという衝撃の結末。サイプレス上野とロベルト吉野はステージ上で消化器をぶちまけ、唯一のHIP HOPユニットとしてその存在感を存分にアピール。奇抜なパフォーマンスだけではなく、アッパーな曲ではしっかり踊らせ、聴かせる曲ではメロウにオーディエンスを揺らせ音楽の無限の可能性を示してくれた。“法定速度で台風のもとやってきました~!”とSISTER JETが登場すると、ゴキゲンなロックンロールサウンドでオーディエンスを魅了してくれた。
2011年のトリを飾るのはストレイテナー。結成当初、ドラムとギターという2人のユニットだった彼等は、RUSH BALL 2003に初出演し回を重ねるごとにメンバーも増え、8年間をRUSH BALLと共に歩んできたバンドと言っても過言ではない。至高の名曲「BERSERKER TUNE」、「ROCKSTEADY」と畳み掛け最高のエンディングを作ってくれた。彼等だけではなくこの日出演した全てのバンドが、台風の中開催できたことと、来場者には見えないスタッフの働きを労う言葉を残していたのが印象的だった。泥まみれになりながらも最高の音のシャワーを浴び、思い思いに楽しむオーディエンスを観て、音楽の力を改めて教えてくれたRUSH BALL。たった数千文字では語り尽くせるものではないが、来年もその先もずっとこのドキドキ感を与え続けてくれることを期待して家路に着いた。
TEXT:上田雄一朗