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SABOTEN × PAN

予測不可能…大阪最強タッグが生み出す無限のケミストリー

 関西を拠点に精力的な活動しているSABOTEN(サボテン)とPAN(パン)がタッグを組み、初となるスプリットCD『TROPICAL PARK』が完成した。全国に熱狂的なファンを持つ2つのツアーバンドの融合は、ある意味事件とも言えるかもしれない。初めて一緒にステージに立ってから10年間。一番近くでお互いを見続けてきた“SABOPAN”だからこそ生まれたスプリットCDは、コラボレーションあり、新曲あり、お互いのカバーメドレーありと、まさに予測不可能! キン肉マンで言うところの“マッスル・ブラザーズ”や“2000万パワーズ”をも凌ぐ最強タッグが誕生したとなれば、そのタッグが無限のケミストリーを生み出すことは想像に難くない。友情を超えて、愛情さえ感じさせられる“SABOPAN”という最強タッグがここに誕生した。

Interview

●スプリットアルバム『TROPICAL PARK』リリースおめでとうございます!

一同:ありがとうございまーーす!!

キヨシ:いやー、ほんまにええのんが出来たよな! めっちゃ中身が濃いのが出来た。

川端:ほんまによく出来たなって思いますね。初めは不安でいっぱいやったし。

●こういった形でSABOPANとしてスプリットを出そうって案は以前からあった?

川端:前から"やりたいよね"って話はあったんだけど、やっとそのタイミングが来たって感じですね。

キヨシ:いつか出そうってずっと言ってたよね。なかなかお互いのタイミングが合わなくて、先延ばしになってたんです。

●PANは昨年結成15周年を迎えて今年で16年目、SABOTENは今年で結成12年目ですよね。大阪を代表する2つのバンドの出会いってどんな感じだったんですか?

川端:ちょうど10年くらい前に一緒に対バンしたんかな? 当時はSABOTENのことも全然知らなくて、第一印象は「怖っ!」って感じやった(笑)。

ゴッチ:メンバーの顔が恐かったよな(笑)。

キヨシ:お前ら好き勝手言いやがって!(笑)。 逆に僕らはPANのことを"最近幅効かせてる先輩やから逆らったらあかん人達"やと思ってましたね。本音は"いつかシバいたろ"と思ってましたけど(笑)。当時ゴッチと風貌からキャラまでかぶっていて、お客さんにも間違えられたりしたのも嫌やったんです。

ゴッチ:そんなことあったなー! 俺なんてイベンターさんにSABOTENのライブスケジュールを渡されたこともあるし(笑)。

●そんな2つのバンドが"MASTER COLISEUM"(以下マスコロ)という共同開催のイベントを行うまで仲良くなった経緯を教えてください。

キヨシ:実は使っているリハーサルスタジオが同じだったこともあって、一緒にライブすることも増えたし、ライブ以外でもしょっちゅう会うようになったんです。夏フェスに一切呼ばれない2バンドやったんで、この際一緒に企画したら野外のステージ立てるやん! っていう安直な思いつきから、勢いでスタートしたのがマスコロの始まりで、2006年の頃ですね。

●はい。

ゴッチ:おかげさまで今ではかなり認知してもらっていると思うし、嬉しいことですね。

キヨシ:しまったな~! イベント名を"SABOPAN"とかにしときゃよかったな! そしたらバンド名ももっと広がったかも知れなかったのに(笑)。イベント名は最初"マッスルコロシアム"ってタイトルが第一候補やったんです。当時、マッスルミュージアムというイベントが全盛期で、ダイスケとかも「ええやんええやん!」ってノリノリやったんですよ。さすがにパクリ過ぎやと思ったんで、さりげなく"マスター、マスター"って僕がつぶやいていたら、みんな洗脳されて"マスターコロシアム"になったんです。略して"マスコロ"ってのには変わりないんですけどね。

ゴッチ:そのまま決まってたら、キン肉マンとか出てきそうやもんな(笑)。マッスルコロシアムに決まっていても略した時"マッスコロ"やからちょっと違ったけどな。

一同:……。(冷たい視線をゴッチに送る)

川端:ほんますんません。こいつこういうとこあるんで…。

●気を取り直しまして…。『TROPICAL PARK』という名前の由来は?

キヨシ:これはマスコロの名前を付けた時と全く同じノリで、みんなでスタジオの外でタバコ吸いながらみんなで案を出し合ったんです。なんとなく"TROPICAL"って言葉は入れたいなって思っていて。

川端:ちょうど公園が近くにあったので"公園=PARK"ってええんちゃうん? って、また完全にノリですね。アー写もその公園で撮影したんですけどね、ハワイの(笑)。写真1枚撮るのに経費120万くらいかけてますからね。

キヨシ:交通費だけで120万、レコーディングに2,000万位かけてるんで気合い入ってますよ(笑)。

●(笑)。でも、どうして"TROPICAL"を入れたかったんですか?

川端:この写真ありきじゃなかったっけ? 先に写真の撮影をしたんやけど、衣装も当日決まったりバタバタしてたんですよ。まぁハワイなんで(笑)。出来上がった写真もよかったし、『TROPICAL PARK』という名前に落ち着いた感じです。

●マスコロが始まる前にも1度合作で音源を作っていますよね。

川端:今回新たに録り直したM-6「今宵の影」という曲を2003年に一緒に作ったんです。ちょうどお互いのわだかまりも溶けてきたころやね(笑)。

●M-1「インタレスター」はどうやって出来たんですか?

キヨシ:ほんまに合宿みたいな感じで取りあえずスタジオに全員で入って、"さてどうする?"みたいな(笑)。

●曲の案とかも全く無い状態で?

川端:もちろん全く無い状態で。みんなで一緒のスタートを切る事に意味があるんちゃうかなと。結局なかなかできなくて、ギリギリになってあれこれ決まっていった感じやったね。

キヨシ:ほんまにネタが無くって"ヤバいぞ!"ってなって、僕がネタを作って持ってきたんです。

●みんなマイペース過ぎるでしょ(笑)。

川端:キヨシが持ってきたネタから、みんなで構成を決めていったり広げていってメロディができて、最後に歌詞を作ったんです。歌詞はホンマに最後の最後やったけどな。

キヨシ:それこそレコーディングの歌入れ直前に歌詞が出来上がった感じやったよね。僕と川端が交互に歌う箇所はそれぞれで考えて、途中のラップパートはヤッソーを中心にコーラス隊に考えてもらって。

●今回はヤッソーさんを大フィーチャリングしたラップパートがありますよね。

ゴッチ:曲はどうであれ、ヤッソーのラップパートは絶対に入れようって。ラップパートありきだった(笑)。

キヨシ:「インタレスター」には、メンバーそれぞれの音楽の原点を盛り込んでいこうや! って想いがあって、ヤッソーの原点はHIP HOPなんで絶対にラップを入れようって(笑)。

●ヤッソーさんの原点ってHIP HOPなんですか?
ヤッソー:HIP HOPも好きだし、ダンスミュージック全般ですね。

●それは意外でした。「インタレスター」にはどういった意味が込められている?

川端:ありきたりな単語は嫌だったし"面白がる人達"って意味で、造語を作ってみたんです。お互いのバンドの持ち味もちゃんといいバランスで出せてるし、最初に言いましたけどほんまにいい曲が出来たと思います。

キヨシ:やっぱりメンバーが多くなるので、いろんな意見が出たしレコーディング自体もそれなりに大変やったんですけど、みんなも"なんとかなるやろ!"って気持ちはずっと持ってましたね。PANの新しいドラマーのヨコシンが、元々鍵盤を弾けたってこともあってピコピコしてるサウンドも入っているし、決してライブで披露できない曲ではないんですよ。

●それであんな音が入ってるんだ。

キヨシ:もっと言えば、レコーディングはツインベースですからね。ずっと2人のベーシストが同時に弾いているという、なかなか面白いサウンドになってます。今のSABOPAN全メンバーが一緒にステージに立つというのが目標にあったんで、全員ちゃんとパートを持とうと。

●歌詞もSABOPANらしくて面白い。

川端:Aメロは俺が書いて、Bメロはキヨシで、サビは2人で話し合って決めたし、くどいかもしれんけど「インタレスター」はほんまにPANとSABOTENの今のいいところが出せたと思ってます。

●M-2「ザンシング」はPANの新曲ですよね。サビから始まるんですが、Aメロのリズムは今までのPANの楽曲とは違った感じで"斬新"だなと感じました。

キヨシ:確かに急にあのリズムが来るのは聴いてて斬新やと思った。

ゴッチ:おっと"斬新"頂きましたよー!(笑)。

川端:確かにそうかもしれんなぁ。歌詞に"今しかない"って言葉が出来てくるんやけど、楽しいことは今しかない! ってことじゃなくて、テンションが上がってきて"今しかない! 行くぞ!"って瞬間っていくつになってもあると思うんですよ。そんな時を思ってできた曲です。思い立ったらやろうぜ! って挑戦する気持ちは大事やと思うし、忘れたく無いなって。

●ゴッチさんはこの曲で新しい斬新な試みに挑戦したんですか?

ゴッチ:冒頭のギターリフなんかは、今までには無い感じだし新しいチャレンジでした。新しい自分を発見出来たのは嬉しいし、いつも通りテンションも高いんで、歌詞もギターもちゃんと聴いてもらえたら嬉しいです。

●なるほど。M-3「Tresure Hunter」はSABOTENの新曲ですが、レゲエ調のトロピカルな曲。

キヨシ:アルバムタイトルとのリンクは全く意識してなかったんですけど、ここまでずっとゆったりなレゲエは初めてですね。スプリットに収録するにあたって何曲か候補があって、ストレートな楽曲を収録しようとしてたんです。でも、今やりたいことっていうのを優先しようと思ったし、チャレンジではあるんですが、思い切ってこの曲を選びました。

●冒頭に出てくる"ロトニー・フラットリー"って、映画「グーニーズ」に出てくる登場人物ですよね?

キヨシ:よくご存知ですね。知ってる人も多いと思うんですがグーニーズって宝探しの映画なんですけど、バンドって宝探しにちょっと似ているなと思ったんです。音楽って答えが無くて、成功の形も人それぞれ違うと思うんです。僕らはバンドをやってる過程が宝なのかなって思っていて、昔ヤッソーとグーニーズを観ていてインスパイアされたんです。ロトニー・フラットリーは、最初悪者で登場するんですよ。顔も強面なんやけど、実はめっちゃいい奴で、最終的には仲間になるんです。いい映画なんで、みんなにも是非観てもらいたいですね。

●バンドにとっての成功の形をイメージしたことありますか?

キヨシ:今回ずっと一緒にレコーディングして作業の過程も見てきたし、いろんな話をする中で気付いたことは、"お互いの価値観って結構近いんやな"ってことなんです。結成したときは"売れたい"とか"有名"になりたいって想いもそれぞれあったと思うんです。お互い10年以上やってきたけど、セオリー通りに進んで来なかった2バンドだよなって話を川端としたりね。

川端:それに対して僕らは不満は全然無かったしね。

●そういうSABOPANだからこそ生まれたマスコロだし、今回のスプリットだと思うんです。

川端:嫌なものを除外するんじゃなくて、俺等はおもろいと思ったことを真剣にやってるし"誰でも一緒に入って来いよ!"って感覚かな。マスコロは特にそういう想いが強いし、ありがたいことに年々"一緒に出たい"って言ってくれるバンドも増えてるんですよ。

●嬉しいことですよね。PANにとっての理想のバンド像ってどんなのですか?

川端:中学生の頃にいいなと思って聴いていた曲は、なんでいい曲なんやろ? ってことを今になって考えることがあって。説明しなくても、感覚で"いいな"って感じられる曲を作れるようになったら、バンドも変わってくるんかなって考え方をするようになったかな。

●なんだかマジメな話をし過ぎましたか?

キヨシ:えらいこっちゃ! 全然爆笑トークちゃうやん!

川端:要約すると、俺はサビでう○こって言いたいねん! めっちゃいい歌詞の後に、小さな声でう○こって言いたい! ライブの時もTバック穿いてるしな。

ゴッチ:急にマジメな話した自分が恥ずかしいからって…。今言ったこと全部カットじゃー!

●もちろん使いますけど(笑)。さて、今作ではそれぞれの楽曲をカバーしたメドレーM-4「サボレー」とM-5「パドレー」が収録されていますね。

川端:これは、SABOPANという2バンドにしかできへん事ってなんや!? って考えに考え抜いた結果カバーをすることに決まったんよな。

キヨシ:最初はドラマを作ったり、お互いの未発表曲をカバーしたりと意味のわからん企画もあったんやけど、これだけ一緒にやってきたバンド同士なんで、カバーをしようという話に落ち着きました。

ゴッチ:単純にカバーするだけは普通やけど、それをメドレーでやるのは新しいんちゃうかな?

●選曲とか大変だった?

川端:お互い全く打ち合わせ無しで、長さも曲数も決めずにレコーディングしました。

キヨシ:いやいやいや、 そこは俺等ちょっとヤラれたわ~! お互い5曲っずつって決めてたはずなんですけどねぇ(笑)。結局僕らも5曲に絞りきれなくて8曲程になっちゃったんで、申し訳ないなと思ってたんですよ。そしたらPANは11曲録ってやがったんですよ(笑)。

川端:いやいやいや、歌は無くてもフレーズとか素材まで入れたらSABOTENも結構曲使ってるやん!(笑)。しかもセリフとか勝手に入れてるし、ほんませこいわ~!

●どっちもどっちだと思いますが(笑)。あのセリフはどこからやってきたんですか?

キヨシ:あれは、PANのライブをそのまま持ってきただけですよ(笑)。なぜかめっちゃ印象に残ってるんですよね。

川端:だから俺らも昔のSABOTENのライブの入り方を真似してるねん。あれめっちゃ好きやねん。

ゴッチ:リスペクトやね。
ヤッソー:あんな入り方のライブ相当昔やで(笑)。

●本当にお互いのことが大好きなんだなってことはわかりました(笑)。

キヨシ:もう10年一緒にやってきてますからね。好きとかじゃなくて、嫌でも耳に残ってしまうという。

●実際にカバーしてみて、新たな発見もあったんじゃないですか?

川端:あるある。俺はSABOTENの歌って難しいなと思った。メロディもPANとは違うし、レコーディングは楽しめましたね。

キヨシ:選曲しないといけなかったんで、改めてPANの昔の曲から全部聴き直してみたんですよ。そこで"あ、俺はPANの曲好きかも"って改めて感じたんです。だからレコーディングもめっちゃ真剣にやったろうと思ったし、中途半端なテンションだと逆に失礼に当たるなと思った。恐らく全メンバーが同じ気持ちやったんじゃないかな。ギターに関しても、ゴッチは直感的にギターを弾くタイプなんで"ここでこのフレーズ弾くんや"って発見があったりして、いろいろ刺激は受けました。

ゴッチ:まさにパッションですね(笑)。

●去年から今年にかけてPANはドラムの脱退、SABOTENはヤッソーさんがベースを置き、お互い激動の時期でしたよね。今回のスプリットで新生SABOPANをみなさんに披露できたと思うんです。

キヨシ:お互いハンデを持ってたんやなぁと思いますね。

川端:どうなるんやろう? っていう危機感は特に無くて、なんとかなるやろとは思ってたんですよ。結果的に最高のスプリットをリリースすることができたから言える事かもしれないですけどね。その辺はゴッチの方が感じてるかもしれんけどな。

ゴッチ:ドラムが抜けるって時に、俺も辞めようと思った時期があったんです。結果、これだけ素晴らしい作品をみんなで作る事ができて、続けてよかったなって思います。

●ヤッソーさんはどうですか?
ヤッソー:もうバンドできないんちゃうかな? って悩んだ時期もありましたけど、今サポートでベースを弾いてもらって僕がSABOTENに残れているということに感謝してます。

川端:これだけ長い事バンドやってたらいろいろあると思うんです。30超えてもお互いの勢いは全然落ちてないし、もっとおもろいことやっていける自信もある。このスプリットでいろんな人に元気を与えられたら最高ですね。早くライブで演りたいです。

キヨシ:僕らのことを知っている人にも知らなかった人にも、イッパツでSABOPANの良さが伝わるCDが出来たし、ほんまに伝わるライブが今は出来ているので、マスコロもツアーも楽しんでもらいたいです。

Interview:上田雄一朗