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そこに鳴る 究極を目指して研ぎ澄ませた刃が 一閃のもとに全てをぶった切る。

そこに鳴る 究極を目指して研ぎ澄ませた刃が 一閃のもとに全てをぶった切る。


そこに鳴るが、現時点での最高傑作と呼べる新作ミニアルバム『一閃』を完成させた。昨年5月にリリースした前作のミニアルバム『ゼロ』のリード曲「掌で踊る」のMVがYouTube上で150万回以上(※2019年3月時点)の再生を記録し、今年1月に下北沢SHELTERで開催した初ワンマンもSOLD OUT。2月に実施したヨーロッパツアーも各地で大反響を呼び起こすなど、バンドは確実に良い状況へ向かっていると言えるだろう。過去5作品での経験も昇華した上で生み出した今作を手に、ブレイクスルーの瞬間を迎えようとしている2人に話を訊いた。


「“究極”というところまでは行っていないけど、そこに鳴るらしさをより研ぎ澄ました作品にはなっていて。究極にはなれないとしても、永遠に究極へ近付いていきたいという想いがあります」


 
●昨年5月にリリースしたミニアルバム『ゼロ』のリード曲「掌で踊る」のMVがYouTube上で150万回以上再生されているわけですが、バンドとして自信につながったのでは?
 
鈴木:楽曲という面では、自信になったというか。“間違っていなかったんやな“という感覚はあります。
 
藤原:“ちゃんとやってきて良かったな”と思いました。全くブレずに進んで来たというわけではないですけど、真っ直ぐに進んできて良かったなって。
 
●今まで自分たちのやってきたことが間違っていないと感じられた。
 
鈴木:正直、自分たちの中ではそれまでに出してきた作品がリスナーにあまり引っかかっていない感覚があったので、何を作れば良いのかわからない状態になってしまっていたんです。でも「掌で踊る」が引っかかったことで、“これが求められているものなのかな”と思って。だから『ゼロ』以降は、そこから発展させていくことを意識して曲を作っていました。
 
●「掌で踊る」の再生回数が伸びたことが、今後の方向性を決めるキッカケにもなったんですね。
 
鈴木:楽曲的な部分では、まさにそういう感じでした。
 
●メンバー間でも、こういう方向性で行こうと話し合ったんでしょうか?
 
藤原:いや、別に…。
 
鈴木:僕らって意思疎通が取れているのか取れていないのか、よくわからない関係性なんですよ(笑)。
 
●ハハハ(笑)。今作『一閃』のリリースに先立ってM-1「業に燃ゆ」のMVをアップした時に鈴木くんが“ずっと音楽が嫌いだった頃の自分を振り向かせるような音楽を作っている。(中略)それが、結果的にたくさんの人に響けばいいし広まればいい。この順序が大切”とツイートしていたのが印象的でした。
 
鈴木:“順序が大切”というのは、「掌で踊る」を出した時にも思ったことで。それまでは、関わってくれているレーベルや家族のことも考えて、“早く売れなければ!”という焦りがあったんです。売れるためにどうすれば良いかというのを考えて色々と試行錯誤してきたんですけど、期待したほどの結果は出ていなくて…。だったら一度そういう考えは捨てて、“もう俺の価値観だけで作ってやろう”というところからできたのが「掌で踊る」だったんですよ。
 
●リスナーの反応を意識せずに、自分が本当にカッコ良いと思えるものを作ったというか。
 
鈴木:“これに反応がなかったら、もうどうしようもないな”というところで作ったんです。そうやって作った「掌で踊る」の再生回数が伸びたことで、やっぱり順序が大事なのかなと思いました。
 
●そういう意味でも大きなキッカケになったわけですね。前作リリース後の9月にまずM-5「re:program」をライブ会場限定盤でリリースしたわけですが、これも「掌で踊る」の発展形になっている?
 
鈴木:「re:program」のほうが、もう少し盛っている感じですね。現状で自分たちの作れるMaxというところまで、やりたい放題にやった曲なんです。「掌で踊る」から入ってきてくれた人たちを惹き付けつつも、よりハチャメチャで、よりポップにしたというか。砂糖と塩をめっちゃ入れたような…。
 
●砂糖と塩をめっちゃ入れるって、どんな味になるのか想像できないんですが(笑)。
 
鈴木:しょっぱいし、甘いし、忙しい感じかな(笑)。両極端にパラメーターを伸ばしたようなイメージですね。
 
●なるほど。「re:program」は先にリリースしていた関係もあって、今作の中では他の曲よりも早くできていたんでしょうか?
 
鈴木:「re:program」は、去年の5月中旬頃には完成していましたね。他の曲は8月頃から作り始めて、レコーディングが始まる10月頃には出揃っていたと思います。
 
●曲作りは難産ではなかった?鈴木:いや、わりと難産だったと思います。“どうしたら良いのかわからない”という感覚が、今回も自分の中にあって。作為的じゃないように作りたかったんです。僕は“いかにもリード曲”みたいなものが好きじゃないんですよ。それよりも“良い感じに作ったら、リード曲っぽいものになりました”というほうが自然というか。
 
●“リード曲を作ろう”と意識して作るのは、順序が間違っていると。
 
鈴木:でもそこが難しいところではあって。リード曲を作ろうということで“ノリやすい曲を作ろう”とか“ちょっとスロウな曲を作ろう”という方針を先に決めて作るほうが、やっぱり楽なんですよ。でもそれによって不自然さが出るかどうかという境界線が難しいので、できるだけそうならないように気を付けています。
 
●「業に燃ゆ」は、リード曲を作ろうと意識して作ったわけではない?
 
鈴木:いや、意識しちゃいましたね。最初は、歌から始まる形ではなかったんですよ。でもリード曲にしようと決めてから、歌始まりに変えたんです。
 
●歌い出しの“日々の間に埋められた小さな幸せが/僕の体を今にも蝕んでいくんだ”というのは、どういう意味なんですか?
 
鈴木:“本当の幸せとは何なのか?”というところで、人は思い悩んだりするじゃないですか。“小さな幸せ”って、世の中的にはポジティヴな意味で捉えられると思うんですよ。たとえばお風呂あがりにハーゲンダッツのアイスクリームを食べることとかも、“小さな幸せ”の1つというか。
 
●そうですね(笑)。
 
鈴木:僕もそういうことに対して嬉しい気持ちがないわけではないですけど、そんなに満足感を得られたことがあまりなくて。“ハーゲンダッツが美味しい”という気持ち以上に、“人はいったいどこまで行けば満足できるんだろうか?”という疑問が浮かんできちゃうんです。満足感よりも虚無感が先立つというか。
 
●もっと深く考えてしまう。
 
鈴木:“それでもやはり小さな幸せにすがって生きていかなければならないのだろうか? でもそんな小さな幸せで満たされる気もしないな”と思ってしまって。“小さな幸せ”という言葉を使うことで、“絶対に間違いではない幸せ”みたいなものに辿り着くことから目を背けているような感覚になるというか。
 
●小さな幸せを得るだけで満たされていると、最終的に大きな目標には辿り着けないという危機感を感じているんでしょうか?
 
鈴木:その“大きな目標”というのが、自分にとって何なのかわからなくて。たとえば実際にめっちゃ売れたとしてもそれはそれとして、今と同じようなことを歌うと思うんですよ。そういうことよりも、普遍性のあるものを求めていたいというか。その方法がわかれば苦労しないし…というところが、“得られない得られない得られない”という歌詞につながっているんじゃないかと思います。
 
●“宇宙の果てを探してる”という歌詞も、誰も届かないものを求める気持ちの現れなのかなと思います。
 
鈴木:そうですね。もう宇宙規模で考えていかないとアカンなと思っていて。
 
●今作の歌詞は今まで以上に、独自の世界観があるように感じました。
 
鈴木:自分の中では、あまり変わっていないつもりなんですけどね。規模は日本から宇宙に広がったけれど、歌っていること自体はそんなに変わっていないと思います。ただ、前のほうが(一般的に)受け入れられやすい歌詞だったのかもしれない。あえてそういうふうに作っているところもあるんですけど、(リスナーが)共感しづらいものになっているというか。
 
●確かに抽象的な感じがします。
 
鈴木:抽象的ですね。今回は“あなたと私”という距離感ではなく、“俺と宇宙”くらいの距離感になっていて。僕が共感できるのは、逆にそういう歌詞のほうやったりするんですよ。やっぱり自分が“良いな”とは思えない表現をしても、ちぐはぐな良くないものになるだけやから。そう考えて書いたら、抽象的になっちゃいましたね。
 
●サウンドと同じく、自分が良いと思うものを突き詰めた結果なのでは?
 
鈴木:それはそうですね。味をより濃くしていった感じです。自分としては、本当のことを言いたいだけなんですよ。本当のことを言っている歌詞が好きやし、それ以上のことはしたくもないし、する必要もないかなと思っていて。
 
●歌詞に関しては、“こういう言葉のほうが共感されるだろう”といった狙いは最初からないのかなと。
 
鈴木:そんなに器用じゃないですからね。そういうことを意識して作れないんですよ。それは曲に関しても同じで、器用じゃないから上手く(何かに)寄せられないんです。『METALIN』(ミニアルバム/2017年)とかを聴いてもらえば、不器用さが出ていると思うから。バランス感が極端というか、良い塩梅を探せない…。
 
●先ほどの“砂糖と塩をいっぱい入れた”という表現にも通じる気がします。
 
鈴木:そうですね。美味しいものはとにかく、たくさん入れておこうっていう。“その手段しかわからない”という感じなんです。
 
●藤原さんも同じような感覚がある?
 
藤原:あると思います。たぶん似ているんですよね。私も器用じゃないから。
 
鈴木:意思疎通が取れていないようで、こういうところではめっちゃ取れているんですよ。
 
●演奏はすごくテクニカルだけれど、かといって“器用”なわけではないのかなと思います。
 
鈴木:不器用やから、テクニカルなことをやっているんですよね。
 
藤原:カッコ良くするための手段が、テクニカルに弾くことやったというか。“手段”としてのテクニカルであって、それが“目的”ではないんです。
 
●だから、あざとさを感じないんだと思います。もう1曲MVが公開されているM-2「絶対的三分間」がちょうど3分間になっているのも、狙って調整したわけではないそうですね。
 
鈴木:そうなんですよ。仮歌の段階で最初の“耳に残った三分間の正体”というフレーズがメロディと一緒に浮かんできて。お風呂に入っている間にイントロからAメロくらいまでの流れを思い付いて、それをパソコンでデータに起こして、フル尺が完成したらちょうど3分やったんです。ミラクルでしたね。
 
●お風呂で浮かんだ曲なんですね…。
 
鈴木:そうなんです。実はこれが今回、一番最後に作った曲で。これを除いた6曲入りの作品になるかもしれない状況やったんですけど、元々“「re:program」以外で6曲作ります”と自分で言っておきながら5曲しかできなかったという罪悪感もあって…。あと、その6曲しか入っていない状態の今作を聴いた時に、“もう1曲欲しいな”と思ったんですよね。タイトなスケジュールの中で何とか作ったというのもあって、それゆえに“クセの塊”感が強い曲になったんじゃないかな。
 
●“クセの塊”って(笑)。
 
鈴木:KOGA RECORDSに所属する前の“そこに鳴る”っぽさが出ている曲なんじゃないかなと思います。“(先が)読めない”感じというか。“何でそのフレーズが今来るんや!?”みたいな感覚が、この曲には結構あるんですよね。
 
●ある意味、振り切っている感じでしょうか?
 
鈴木:でも自分としては、今回は『METALIN』の時ほど振り切った感覚はなくて。逆に“ちょっと遊びが足りないかな?”という気もしているんですけどね。
 
●過去4作を作ってきた中で、良い具合の振り切り方がわかってきたのでは?
 
鈴木:“自分たちらしい振り切り方”みたいなものは、できているかもしれないですね。“良い塩梅”を調整できるようになってきたのかもしれない。
 
●作品タイトルの『一閃』には、“最終的に全てをぶった切りたい”という想いを込めたそうですが。
 
藤原:現状とか時代とか音楽シーンとか、そういった全てをぶった切りたいということですね。普遍的なものになりたいというか。時代を作りたいし、歴史に名を残すようなものを作りたいんです。タイトルは最後に決めたんですけど、色々と考えていく中でこれが一番しっくりくる言葉でした。
 
鈴木:音を言語化したような感覚もあって。“こういう意味でこの言葉を選んだ”というよりは、“(今作の)音を文字に起こしたら『一閃』やった”という感じですね。
 
●今作に関して、自分たちが目指すものに近付けたという実感はある?
 
藤原:現段階でのベストなアルバムだとは思うんですけど、そこに鳴るのベストではないというか。ここがゴールではないと思っているから。ポテンシャルを感じさせるものにはなっていると思います。

鈴木:“究極”というところまでは行っていないけど、そこに鳴るらしさをより研ぎ澄ました作品にはなっていて。究極にはなれないとしても、永遠に究極へ近付いていきたいという想いがあります。

Interview:IMAI

Member
鈴木重厚(G./Vo.) 藤原美咲(Ba./Vo.)

リリース情報
New Mini Album 『一閃』

KOGA RECORDS
KOCA-97
¥1,700+税
2019/4/3 Release

ライブ情報
“そこに鳴る『一閃』release tour
〜ULTIMATE IMPACT〜”
5/09(木) 広島CAVE-BE
5/10(金) 福岡Queblick
5/11(土) 大分club SPOT
6/03(月) 仙台enn3rd
6/04(火) 新潟RIVERST
6/12(水) 札幌SPIRITUAL LOUNGE
6/17(月) 大阪 梅田Zeela (※ワンマン)
6/19(水) 名古屋APOLLO BASE
6/21(金) 東京 新代田FEVER (※ワンマン)

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http://sokoninaru.com/