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それでも世界が続くならインタビュー:彼らはまだ音楽を辞めない

それでも世界が続くならインタビュー:彼らはまだ音楽を辞めない

昨年9/2の活動中止ワンマン公演「休戦協定」で活動を止めていたそれでも世界が続くならが、新ドラマー・ツチヤカレンを迎えてちょうど1年ぶりに活動を再開し、9/11には4thミニアルバム『彼女はまだ音楽を辞めない』をリリースする。今年2月に再会したメンバーが何を話したのか、そしてどのような出会いで新ドラマーと出会い、どのような想いで曲を綴り、活動再開の扉を開いたのか。絶妙な人間関係とバランスで成り立つ4人に話を聞いた。
 
 
 
 

INTERVIEW #1

「僕らとバンドやっても、それでも世界が続くならの雰囲気にしないんだろうなって。しようとしても出来ないだろうし。それがすごく合ってる」

 
●昨年9/2に活動休止され、その直前のインタビューで「もし来年2月に則雄(栗原)が“続けない”と言うのなら、その時はその時で考えるつもり」とおっしゃっていましたよね。その時点での「来年2月」というのは今年の2月ですが、実際にメンバーで集ったんですか?
 
篠塚:集まりました。でもうちのバンドは話し合いとかミーティングとかしたことないので、雑談みたいな感じだったんですが、則雄は「やっぱりやらないわ」と。それで全員で「そうだよね~」って。でもメンバーはみんな覚悟してたっていう感じでした。
 
●期待はしていたんですか?
 
篠塚:「やる」と言ってくれることを期待していたのは特に僕だと思います。淡い期待というか。このバンドを組んだ時から則雄は1人だけ辞めたそうといいますか、最初はメンバーじゃなくてサポートみたいな形で入ってきて。
 
●はい。
 
篠塚:結成1年くらいでメジャーデビューの話が来て、サポートとメンバーの境目がなくなったんですけど、僕はそのまま一緒にやりたかったんです。たぶん他のメンバーも同じ気持ちだと思うんですけど、本人はどこかで“そんなにやりたくないけど大切にしたい”みたいな…。
 
●ほう。なるほど。
 
篠塚:たぶんですけどね。敢えて確認はしていなかったので。あまり難しく考えてなかったと思うんですよね。ツアーとか行ったりすると少しだけ辛そうに見えて、僕はその度に二人きりでやんわりと「これからもがんばろうね」と言ったりしていた。でも僕が則雄のことを気にかけているのを、章悟もガースー(菅澤)も何も言わないでくれていたんです。
 
●内心、“やたらケアしてるな”と(笑)。
 
篠塚:バンドを「会社と同じだ」と言う人もいますけど、僕らは友達でやってるバンドだったので、一緒に飯を食いに行く感覚なんですよ。バンドを組んだ数年間の歴史みたいなものがあるので、すごく前から“こういう時が来るんだろうな”と思っていたんです。
 
●その後、それでも世界が続くならをやろうという話はしたんですか?
 
篠塚:みんなではしてないですね。ひとりひとり個別で話してました。
 
●章悟さんとガースーさんはどうだったんですか?
 
菅澤:そもそも僕は、則雄が辞める/辞めないに関わらずバンドを辞めるつもりが無かったんです。彼の人生は彼が決めることだと。
 
●「辞める=バンドが止まる」とは考えていなかった。
 
菅澤:たぶんみんなもそう思ってたと思うので、別に確かめることもしなかった。
 
●章悟さんは?
 
琢磨:僕もバンド自体を辞めるとは思ってなかったですね。客観的に振り返ってみると自分でも不思議なんですけど、自然と「やるべ」みたいな(笑)。
 
篠塚:僕がいちばん深刻に考えてたんじゃないですかね。だから以前からケアしていたという。みんながそう考えていたなんて、いま初めて知ったし。僕いつもこういうのインタビューとかで知るんです。
 
●そんな中でカレンさんとはいつ出会ったんですか?
 
ツチヤ:篠塚さんと出会ったのは今年の2月です。町田直隆さんという篠塚さんの友達のバックでドラムを叩いてて、吉祥寺Planet Kでのライブの時に篠塚さんが観てくれたんですけど、その時に声をかけてくれました。すごい熱意で「かっこよかった」って(笑)。
 
篠塚:クールに言ったつもりだったのに。
 
ツチヤ:私が高校生の頃にそれでも世界が続くならのライブが観たことがあって、その時はかっこよかったし、なんか怖い人たちというイメージだったんですよ。真っ暗だし篠塚さん怒ってるし(笑)。すごい怖いバンドマンなんだろうなって(笑)。
 
一同:ハハハハ(笑)。
 
ツチヤ:でもPlanet Kのライブの後で「カレンちゃん最高だったよ~!」と言ってくれたのがすごく衝撃だった。それで「それでも世界が続くならのサポートやらない?」みたいなニュアンスの話をされて。
 
篠塚:もう初見で「スタジオ入らない?」みたいな。
 
ツチヤ:でも私は、バンドをやることに対してマイナスなイメージを持っていた時期だったんです。
 
●バンドをやることに対してマイナスなイメージ?
 
ツチヤ:同世代の人たちと前にバンドをやってたんですけど、“ドラム辞めたい”とまで思うくらいだったんです。人間関係で悩んだり、月に15本とかライブしてて体力的にきつかったし。そのバンドを辞めた後に町田直隆さんに拾ってもらって、そのくらいの気持ちでドラム叩いていた時期だったので、それでも世界が続くならで叩くのも“うーん”って。本当に好きなバンドだったんで、色々と自分で考えた上で、篠塚さんに連絡をしたんです。
 
篠塚:それで一緒にスタジオ入って“大丈夫だな”と。
 
●再開を決めたのはいつなんですか?
 
篠塚:敢えて言うとすれば、4人で初めてスタジオに入った日じゃないですかね。“カレンちゃんはやってくれるだろう”と思った時に僕の中で勝手に再開してたというか。休止の時も同じ感覚で僕の中で休止してたんですけど。
 
●でも今回のリリースに関してはどうやって話が進んだんですか?
 
篠塚:ディレクターが「再開するならリリースしなよ」と言ってくれたんです。言い換えれば「戻ってこいよ」って。すごくありがたいことなんですけど。
 
●背中を押してもらえた。
 
篠塚:そうですね。でも順番もぐちゃぐちゃになって、今作のレコーディングはカレンちゃん叩いてないんです。
 
●え、そうなんですか。
 
篠塚:僕らちゃんと準備しないバンドなのでこうなっちゃうんですね。逆に言えば隠し事をしていないということなんですが。
 
●ちょっと再開までの時系列がわからないです(笑)。
 
篠塚:3人でまず半年くらいドラムを探そうということになって。本来であれば水面下で募集ややり取りをして、正式加入を発表してからライブをするっていう順番だと思うんですけど、僕らそんなことはどうでもよくて。友達同士でやってるバンドなので、ライブしないとメンバーが見つからなそうな気がして、「とりあえずサポートでライブしよう」となって。「それでも世界が続くなら(仮)」みたいな感じで。休止中なんだけど半年間はライブやる、みたいな。
 
●ツチヤさんは正式にはいつ加入なんですか?
 
ツチヤ:今年の9/1です。
 
●レコーディングはツチヤさんが叩いてないということですけど、ライブは?
 
篠塚:やったりやらなかったりです。ドラムを探すために組んだライブと、カレンちゃんがサポートでやってるバンドのライブが被ったらそもそも来れないし。
 
●だからメンバー加入が決まったけどレコーディングでは叩けないという事が生じるわけですか(笑)。ツチヤさんは実際に加入してみてどうですか?
 
ツチヤ:初めてのライブが40分あったんですけど、ヘトヘトになりました。真っ暗で手元も見えないし。今までやってきたライブと感覚が違いすぎて、セトリも篠塚さんは事前におおまかに言ってたんですけど、いざライブが始まったら全然違うから、神経を研ぎ澄ませる必要があるというか。
 
●めちゃくちゃ大変ですね(苦笑)。
 
ツチヤ:ライブが終わった後、薄暗い中で3人がうっすら見えるところとか、お客さんの顔も見えないけど、なんか見られてる感じがするとか、色々と初めての感覚過ぎて。
 
●うんうん。
 
ツチヤ:でもそれがすごくかっこいいなと。ライブが終わって機材をまとめて運んでる時にガースーさんに「まじでそれでも世界が続くならかっこいいですね」と思わず言ってしまったんです(笑)。そしたら「君もメンバーでしょ」って(笑)。
 
一同:ハハハハ(笑)。
 
ツチヤ:端から見てる気持ちでライブしていたんです。一緒にやりながらも他のメンバーをかっこいいと思いながら出来る。サポートとか前にやってたバンドの経験はあるけど、全然次元が違うというか、“ライブってこういうことなんだ!”と思いました。改めて“ライブ”という言葉の意味を実感したというか。
 
●でもそれでライブが成立するということは、ドラムの実力的には相当ですよね。
 
篠塚:ですよね。例えばセットリストが決まってるバンドなら、例えば1回のライブで6曲練習すればいいところを、僕らはその倍以上練習しないといけない。次に何の曲がくるかわからないということは神経も尖らせなきゃいけない。だから僕はそれまで、そういうことが出来る人はもういないと思ってたんですよね。でもカレンちゃんとライブしたら出来ちゃったなあと。
 
●今まで即興性の高いバンドの経験があったとか?
 
ツチヤ:ないです。でもサポートを頼まれたりしてて、急に曲を覚える必要に迫られる状況にはいたんです。なので集中力はある方だと思います。
 
篠塚:それがかっこよかったし、一緒にバンドやりたいなと思えたんです。たぶん不器用なんですよ。力をセーブ出来ないんです。
 
●セーブ出来ない(笑)。
 
篠塚:自分のカリスマ性や人間力を表現としてドラム1本で出しちゃうんです。誰とやっても全力でやる人なんだろうなって。どのバンドにいってもツチヤカレンはツチヤカレンなんだろうなって。僕らとバンドやっても、それでも世界が続くならの雰囲気にしないんだろうなって。しようとしても出来ないだろうし。それがすごく合ってるなと。
 
 
 
 
 
 
 
 

INTERVIEW #2

「僕は浅い友達が欲しいわけではなく、出来ることなら音楽を通して悩みを相談し合いたい。飾る必要はないんです」

 
 
 
 
●今回のミニアルバム『彼女はまだ音楽を辞めない』でツチヤさんは叩いていないということですが、活動再開までの流れと並行して制作を進めていたんですか?
 
篠塚:はい。バンドが止まっていた間はずっと曲を作ってなかったんですけど、そしたら禁断症状みたいになっちゃって。要するに、僕にとっては曲を作るのが精神安定剤だったんですよね。
 
●なんかわかる(笑)。篠塚さんってそんな感じ。
 
篠塚:曲を作って吐き出してるから自分語りをしなくても済んでたし。でも曲を作らなくなったらおかしくなってきて、「無理だ!」と思って久しぶりに作ってみたら落ち着いたというか。それで隠すのもなんだし、とりあえずTwitterにアップしたんですけど、それをディレクターが見て、並行してカレンちゃんも入ってくれそうな時期だったので「とりあえず出そう」という感じで後押ししてくれて。
 
●篠塚さんにとっては、曲を作ることは必要なことだったんですね。
 
篠塚:「人に相談すると楽になるよ」とか言うじゃないですか。それがすごくわかるなって。みんな曲を作って歌った方がいいです。
 
●そういう意味では、今作は歌わざるを得なかったことというか、心から溢れてきた音と言葉の集合体なんでしょうか?
 
篠塚:このアルバムが何なのか、もう半年くらい待ってもらっていいですか? 自分では未だちょっとわかんないです。
 
●言葉的には尖ってるものも多いし、M-4「地獄に落ちろ」では“こんな気持ちは歌にしちゃいけない”と歌ってるじゃないですか。…ということは、歌わざるを得なかったのかなと解釈したんですけど。
 
篠塚:確かに。
 
●篠塚さんを昔からよく知っているガースーさんと章悟さんからみて、今作はどういう作品だと思います?
 
菅澤:どうだろう…。僕の場合、あまり篠くん(篠塚)を頭に入れずにバンドをやってるので、そういう意味でわかんないというか(笑)。やりたいからやってます(笑)。
 
琢磨:僕も全然わかんないですね(笑)。2人(篠塚、菅澤)が楽しそうだったのでいいなって思います(笑)。
 
●すごいバンド(笑)。『彼女はまだ音楽を辞めない』というタイトルは1stアルバムの『彼女の歌はきっと死なない』というタイトルと繋がるような気がするんですが。
 
篠塚:関連付けたという感覚はあります。ああいうのがやりたかったんですよね。もう1回やりたいことをやったらジャケットも近い感じになったというか、気持ちが戻って、やりたいことを突き詰めた。
 
●バンドとか音楽に対してのきちんとした向き合い方として?
 
篠塚:僕の中でそうですね。計算をどれだけ取っ払うか、意図をどれだけ無くすか。人生とか生きることってハプニングの連続じゃないですか。予定通りなんてことはないし、思ってなかったことが起こり続けるじゃないですか。
 
●はい。
 
篠塚:僕にとってはハプニングが起こり続ける方がリアルというか、人生の延長線上なんですよ。周りのバンドから見たら僕らは特殊だと思うんです。でも僕から見たらみんなのほうが異常なんですよ。僕にとっては普通で、“なんでみんなはそんなに予定調和をしたがるのかな?”と思ってるけど、みんなはそれが当たり前で。
 
●うんうん。
 
篠塚:ぐちゃぐちゃでかっこ悪いところを見せてもいいじゃないですか。整える理由なんて“好かれたい”しかない。もしそれが友達とか上司とかにモテたいという気持ちだったら全然いいんですけど、例えば「親友になりたい」とかだったら、そこを取っ払ったところから始まるじゃないですか。僕は浅い友達が欲しいわけではなく、出来ることなら音楽を通して悩みを相談し合いたい。飾る必要はないんですよね。
 
●M-6「9月1日」に“僕は僕にしかなれないんだ”というフレーズがありますけど、この言葉に集約されている気がします。
 
篠塚:自己評価が高くないから、評価を高くしたいけどなれないんですよね。変わろうとすることは大事だと思いますけど、変われないところもあってもいいのかなって。そういう気持ちが、タイトルにも繋がっているんです。
●それはさっきもおっしゃったように、活動休止期間中に思っていたことなんでしょうか?
 
篠塚:そうですね。自分にとっては重要ですし、こんなにぐちゃぐちゃな状態でアルバム出すことなんて普通のバンドは無いと思うんです。普通だったら「ちょっとタイミングずらしてカレンちゃんが叩けばいいのに」と思うじゃないですか。でもレコーディングを直訳すると“記録”という意味だから、ダメな時も残しておくのが大事で、活動が止まったということが残っているアルバムなんです。僕の中では、このアルバムタイトルはカレンちゃんのことがあったので付けたんです。恥ずかしすぎてカレンちゃんに見られないようにディレクターとやり取りしてました。
 
●彼女はまだ音楽を辞めない…まさにツチヤさんに当てはまる言葉ですね。
 
篠塚:カレンちゃんアルバム聴いた?
 
ツチヤ:聴きました。こんなアルバムが世の中に出る前に聴けるのが嬉しいです(笑)。
 
●ファン目線(笑)。
 
一同:アハハハハハ(笑)。
 
篠塚:単純にこんなバンドができてることが嬉しい。
 
●メンバーに恵まれてますね。
 
篠塚:恵まれてます。こんな人たち3人に出会えてる。他のメンバーがかっこいいと思えるって、僕も同じ気持ちなんですよ。4人で1つの気持ちを表現するより、4人バラバラの気持ちのほうがバンドっていいと思うんです。一緒にいるけど一緒の人生じゃない。
 
●9/1のライブから活動が再開するわけですが、きっと次に出す作品はツチヤさんが叩くだろうし、今後色んな化学反応が起こりそうなメンバーですね。
 
篠塚:ちゃんとバンドが動き出して、スタジオとか入って、「暇だな~」とか言って作り始めたらバンドっぽくなっていくんだろうな…。今は時間が欲しいんですよ。
 
●時間が欲しい?
 
篠塚:活動が再開するからという理由でカレンちゃんとの距離を急激に詰めたくないんです。実感がほしい。それは僕らのバンドを好きでいてくれてる人も同じだと思うんです。応援してくれる人も、僕らも、ゆっくりと初めてバンドを組む感覚で付き合っていきたいと思います。それをずっと守りながらやってきたつもりなので。
 
●篠塚さんがそう思っていて、ガースーさんは自分が楽しければいいと思っていて、章悟さんはメンバーが楽しそうだったらいいと思っているという(笑)。
 
篠塚:更に新しく入ったカレンちゃんは“かっこいいバンド”と思ってる。
 
一同:ハハハハ(笑)。
 
●バランスとれてますね(笑)。
 
篠塚:人間関係は成立してますね。バンドとしては成立してるかわからないけど。でも目の前の人を大切にするバンドでいたいから、それでいいです。
 
interview:Takeshi.Yamanaka
assistant:Yuina.Hiramoto
 
 
 
 

 
 
 

4th ミニアルバム
『彼女はまだ音楽を辞めない』

ROCKBELL / Bellwood Records
BZCS-1178
¥1,852+税
2019/9/11 Release

http://www.soredemosekaigatsudukunara.com/