音楽メディア・フリーマガジン

10-FEET

心が空っぽになるまで感情を出しまくった非日常的な最高の時間

2012/11/6@Zepp Tokyo
“thread” TOUR 2012-2013
SPECIAL LIVE REPORT
GUEST:B-DASH

暗闇の中、10-FEETの演奏が始まると大きな歓声が沸く。フロアを埋め尽くす人々の塊からはコールが沸き起こり、一瞬にして大きな一体感が会場を包み込む。10-FEETが9/19にリリースしたアルバム『thread』のレコ発ツアー東京公演2日目。暴れる準備は万端だ。

爆音の中にコール&レスポンスがビシビシと差し込まれる「focus」。大きくうねる人の塊の上に、至るところからダイバーが打ち上がっては消えていく。「VIBES BY VIVES」で揺れる会場。Vo./G.TAKUMAが「わかったよ。今日のお前らがめちゃくちゃヤバいっていうことは」と笑ったように、ライブスタート直後から観客の興奮は限界を超えている。

いわゆる“キラーチューン”と呼ばれる、ライブバンドにとっての武器をたくさん持っている10-FEET。ニューアルバム『thread』は、そんな彼らのライブを更に進化させていた。等身大で人間味溢れるメッセージが詰まった『thread』の新曲たちは、キッズが暴れまくるフロアにおもしろいほどハマっていく。胸騒ぎを覚えるようなリズムから急転直下、哀愁感溢れるメロディが琴線に触れまくる「SKANKIN' CHOKE BANGER」。とてつもなく切ない歌詞とメロディなのに汗でぐちゃぐちゃの笑顔が大合唱する「CRYBABY」。そして日常と心の風景を切り取ったような「コハクノソラ」。まるで何年も前から鳴らされ続けていたような錯覚に陥るほど新曲はライブハウスと10-FEETのオーディエンスに馴染んでいる。

筆者は約1ヶ月前の大阪公演(10/12@Zepp Namba)も観たのだが、このツアーの3人はいい意味で肩の力が抜けているように感じさせた。MCではその場で感じたことを言葉にし、時折客席からの声に応え、ステージで熱くなるときは思い切り熱くなり、ウェットなメロディでは感情をほとばしらせる。その場その時に感じたことを音に乗せる彼らの音楽は、飾っていないからこそたくさんの人の心を震わせるのだ。

TAKUMAのハープが心に染みた「淋しさに火をくべ」では、泣き顔と笑顔の中間のような表情が会場に溢れ、同時に数えきれないほどのサーフモッシュが沸き起こり、曲が終わった瞬間にはフロア全体から大きな拍手。1曲の中にありえないほどたくさんの感情が同居するのは10-FEETならではというか、10-FEET以外のライブでは見ることができない光景だ。その流れのまま続いたのは「シガードッグ」。「過去の延長線上の今。良いことも悪いことも日々たくさんある。あの哀しい想い出やずっと引きずっていることも、無かったことにしたいあのことも。明日はきっといい日だなんてそんなことを俺は言いたくありません。明日はきっと俺ら次第やし、あんたら次第や。旅を続けます」というTAKUMAの言葉が胸に響く。

以降は、汗と涙と感情と笑顔が埋め尽くした壮絶な瞬間の連続。Ba./Vo.NAOKIはステージの上で何度も何度も感情を爆発させ、彼らしく身体全体を使ったプレイで魅せる。Dr./Cho.KOUICHIは時折歌を口ずさみながらタイトなドラムでライブをコントロールする。約10年前にシングルとして発表された「RIVER」は、まさに10年間10-FEETと共に走ってきた代表曲。フロアの至るところで有り得ないほどの数の肩車ができ、10-FEETが仕掛けたフェイクに会場は歓喜のカオス。そしてアンコールの一幕、TAKUMAの「ライブも人間の一生も限られた時間や! 限界を超えたところ見せてくれ! お前らの番や!」という叫びに応えるようにぐっちゃぐっちゃになるまで暴れまくったZepp Tokyo。「4REST」で終幕と思いきや、寝転がったままTAKUMAがギターを弾き始めて「back to the sunset」まで全力で走り切った全22曲。普段の生活では出さない感情を心が空っぽになるまで出しまくった非日常的な時間と空間。ライブハウスでしか味わうことができない大切な記憶を胸に会場を後にした。

TEXT:Takeshi.Yamanaka / PHOTO:HayachiN

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