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四星球

シーンの最先端が、ここにある。

PHOTO_四星球012013年6月、自主レーベル・みっちゃんからシングル『フューちゃん』をリリースし、ますます注目を集める日本一泣けるコミックバンド・四星球。主に関西方面で絶大なる支持を集めている彼らは、結成11年目となる今年、全身全霊をかけて我々を笑わせることに邁進する。8/7にみっちゃんからリリースされる4年ぶりのフルアルバム『COMICBAND 〜アホの最先端〜』は、あふれんばかりのサービス精神と反骨精神とコミックバンドとしての覚悟が詰め込まれており、もはや“音楽CD”というちっぽけな既成概念には収まり切らないほどの歴史的作品。2013年夏、彼らを追い続けてきた我がJUNGLE☆LIFEは、今回も懲りずに全メンバーインタビューを敢行。音楽シーンの最先端が、ここにある。

 

 

アホの最先端 その1

「エポックメイキングじゃないですけど、一石を投じるというか、それで周りが変わるようなものを作らないとあかんなとは思ってました」

●“京都大作戦”のライブはすごかったですね。入場規制が出るほど盛り上がりましたが、お客さんの上にゴムボートを乗せて、そのゴムボートの上で康雄くんが歌うという。

康雄:ありがたかったです。「Mr,Cosmo」のあのパートでは、普段は僕が客席でミステリーサークルを作るんですけど、“京都大作戦”に出たことがあるバンドからの事前情報によると、どうやらあの会場では難しいだろうなと思っていて。だったら他のことをやろうと。

●まさやんは勢い余ってステージの屋根に登っていましたよね。下でスタッフさんが「降りろ!」って焦ってましたけど。

まさやん:スタッフさんに「あのときの君は目がおかしかったよ」と後で言われました。

●ハハハ(笑)。

まさやん:あのときはステージ全体がしっちゃかめっちゃかになっていて、“どうしたらみんな僕の存在に気づくんやろう?”と考えたとき、より高いところに登ろうと。

●そしていよいよ8/7に3rdフルアルバム『COMICBAND 〜アホの最先端〜』をみっちゃん(自主レーベル名)から出すわけですが。

4人:はい!

●“COMICBAND 〜アホの最先端〜”というのはアルバムタイトルなんですよね?

康雄:そうです。何やと思ったんですか?

●いや、スローガンとか。

康雄:まあスローガンでもあります。

●聴かせていただいたんですけど、もう腹が立って腹が立って仕方がなかったんです。

モリス:余すところなく腹が立ったと。

●はい。ちょうど全部腹が立ちました。

U太:ハハハ(笑)。

●もう突っ込みどころが多すぎる。

康雄:褒め言葉ですね。

●みんなが思ってる“音楽のCD”という概念で作ってないでしょ?

康雄:そうなんですよ。アルバムタイトルは『もはやCDではない』という候補もあったんです。

●うん、もはやCDではないと思いました。多くのバンドは音楽をやりたくてバンドをやっているだろうけど、四星球は人を楽しませたくてバンドをやっているんだなということが伝わってくるアルバムというか。もっと言うと、四星球というバンドは“人を楽しませたい”という目的が大前提としてあって、その方法としてやむなく音楽を選んでいるんだなと。

康雄:ハハハハ(笑)。でも今は実際にそういう考え方でバンドをやってますね。

●だから自由でしょ?

康雄:自由です。

U太:そうやな(笑)。

●じゃないとこんなアルバム作れないもん。度肝を抜かれました。CD聴いてこんなに笑ったの初めてです。

4人:ありがとうございます!

康雄:ほんまに、そういうものを作りたいなと思ったんです。エポックメイキングじゃないですけど、一石を投じるというか、それで周りが変わるようなものを作らないとあかんなとは思ってました。一目を置いてくれている人たちに対しても、びっくりするようなものを作らんとあかんなと。

●それは過去2枚のアルバムを作ったときとも、考え方が違うんですか?

康雄:そうですね。2ndアルバム『2009年途中の旅』(2009年6月リリース)は“コミックバンド”しか見えてなかったと思うんです。コミックバンドが“アルバムを作るぞ!”と思って作った作品だったんですけど、今回は、もちろんコミックバンドが大前提で、“音楽シーン”という大海原を意識した上でのコミックバンドとしての立ち位置を意識したというか。

●ああ〜。

康雄:だから色んな人のアルバムを聴いて、世の中のアルバムというものはアコースティックが入っていたりリミックスが入っていたりするものが多いから、じゃあそれをコミックバンドでやったらこうなる、みたいな。

●だからリミックス(M-8「ロマンチックがどえらいことに〜Drummer's mental remix〜」)やアコースティック(M-10「くノ一」)が入っているのか。…リミックスとかアコースティックをアルバムに入れてる人たちをちょっとバカにしてるでしょ?

4人:いやいやいやいや!

康雄:バカにしているというか、“僕らやったらこうしますよ”っていう感じなんです。

U太:“こっちの方がおもろいでしょ?”っていう。

●そういうところが方法を選んでいないというか、音楽という枠組みでまったく考えていない感じがして、褒め言葉ですけどひどいと思う。

康雄:ひどいですよね(笑)。

U太:「ロマンチックがどえらいことに〜Drummer's mental remix〜」なんてしゃべりを重ねただけですからね(笑)。

康雄:なんかほんまに“変えたいな”って思うようになりました。

●既成概念みたいなものを。

康雄:そうそう。だからタイトルにも“COMICBAND”という言葉を入れたし。

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アホの最先端 その2

「今回は自分なりの哲学を入れなあかんと思っていたんです。ライブで生き残っている曲って、やっぱり哲学がちゃんと入っているんですよ」

●今作は見方によれば「アホなことしてるわ」で終わってしまう危うさもありますけど、一方で「これだけのアイディアを詰め込むにはものすごい情熱と想いが必要なはず」という評価をされる作品でもあると思うんです。いつ頃から作り始めたんですか?

康雄:前のアルバム以降の4年間で作ったというか。これはどのインタビューでも言っていることなんですけど、前のアルバムを出してからの4年間っていうのは、世の中が本当に暗くなってしまったと思っていて。

●確かに。

康雄:そういう時代にコミックバンドがアルバムを出すならば、絶対にアホなアルバムにしたいと思っていたんです。絶対にアホで、とびきり明るいやつ。それがようやく形になったと。

●“暗い世の中をなんとかしたい”というジレンマがあった。

康雄:もどかしさをずっと感じていたんです。やっぱり僕たちみたいなバンドはバッシングもあったりして。それこそ震災の直後なんて「なにふざけてるねん!」と言われかねない。

●ふざけてるバンドですからね。

康雄:でもそのときになにかできなかったとしたら、それまでの自分たちの活動が嘘みたいになってしまうし。そういうところを突き詰めて、僕らなりに時代に合った作品を作ろうという構想があり、今回のアルバムとして仕上がったんです。

●アルバムタイトルで“アホの最先端”と謳っていますし、自分たちでも「アホ」と言っていますが、今作がすごいのはアホで済ませてないところだと僕は思うんです。例えばM-1「コミックバンド」の“笑い方に方言がない”という歌詞とか、M-5「ビンテージヤング」で人生をワインに例えているところとか、こういうのは四星球なりの哲学というか、磨き抜かれたアフォリズムだと思うんですよね。

康雄:うんうん。

●前のインタビューで康雄くんが言っていましたけど、30歳を迎えた説得力というか、結成10年を超えた説得力みたいなものをアルバムの随所から感じるので、「アホなアルバム」だけで済ませたくない。

康雄:哲学と言ってもらいましたけど、本当に今回は自分なりの哲学を入れなあかんと思っていたんです。ライブで生き残っている曲って、やっぱり哲学がちゃんと入っているんですよ。それは自分たちが歌いたいものだし、お客さんのニーズにも合っているものだと。

●うんうん。

康雄:そういうことはシングル『オモローネバーノウズ』(2012年6月リリース)を作った辺りからずっと思っていて。自分の中で“曲に哲学が入る=ライブで生き残る”という方程式ができたんです。

●アホの方程式ができたんですね。アホに筋を通すと。

U太:アホアホ言い過ぎでしょ。

康雄:今回はそういう曲をいっぱい作ることができたと思うんです。だからライブでやりやすいですよね。

●曲を作るときに、そういう哲学というかアイディアみたいなものを意識的に入れるんですか?

康雄:そうですね。“この曲はこういうことを歌いたい”と思ったとき、そこにキャラを持たせたいんですよ。ライブなんて基本的に何を言っているかわかり辛いじゃないですか。だからライブで「こいつ何を言ってるかよくわからへん」と思われたとしても、CDで聴いたときに「なんや…ちゃんとしてるやん」と思ってもらえるようなものじゃないと意味がないと思ったんですだから最近は、より核になるものを持っておきたいと思って作ります。

●今の話は「コミックバンド」に象徴されていますね。バンドのメッセージというか、まさに曲名通り、四星球というバンドの核となるマインドを歌った曲で。

康雄:「コミックバンド」はある程度曲が揃ってきた頃に作ったんですけど、U太に「歌というか語りっぽい曲が欲しい」と言われたのがきっかけだったんです。そういう曲は、実は僕も以前から作りたいと思っていて。語りが入っている曲はめちゃくちゃかっこいいじゃないですか。エレカシとかめちゃくちゃかっこいい。

●エレカシはかっこいいです。エレカシは。

康雄:でもそういう曲は、語っている人の人間性がしっかりしていて、そして言葉に説得力がないと滑稽なものになってしまうと思うんです。

●確かにそうですね。

康雄:だから自分からは提案できなかったんですよ。「ちょっと語っている曲を作りたいねんけど」と言う勇気はないんですよ。

●「オナニー見て」と言うようなもんですからね。

康雄:ほんまにそうですよ。だからそれをU太に言われたときにめちゃくちゃ嬉しくて。

●U太くんに「康雄のオナニーを見せてくれよ」と言われたんですね。

康雄:そうです。だから自慢のオナニーをしたんです。とっておきのやつを(笑)。

●ハハハ(笑)。だから自分たちのことを語り、アルバムのテーマにもなったと。

U太:オナニーから始まるアルバムです(笑)。

一同:ハハハハハハ(笑)。

●「ビンテージヤング」もさっき言ったように四星球なりの哲学が入っている曲ですが、この曲こそ今じゃないと歌えないことを歌っているなと思ったんです。

康雄:この曲も制作期間の最後の方に作った曲なんですけど、アルバムは毎回“このアルバムはこの年齢で作った”ということがわかる曲を入れたいんです。

●お、なるほど。

康雄:前作でいうと「おセンチセンチメートル」という曲なんですけど、あれは25〜26歳くらいに作った曲で。今回の「ビンテージヤング」は、30歳に作ったということがわかる曲にしたかったというか、自分の中のリード曲というか。刻んでいく中でのリード曲はこの曲かなって思っています。

●この曲には“足踏みは人生のワインを作っているんだ”という康雄くんなりの哲学が入っていますけど、こういう上手いこと言った感のあるフレーズはいつ思いつくんですか?

康雄:別にメモっているわけではないんですけど、自分の中に“上手いこと集”があるんです。それとは別に“準・上手いこと集”もあるんですけど、それらをバランスよく組み合わせたら繋がるというか。イメージはパズルゲームみたいな感じなんですけど。

●あ、パズルなんですね。

康雄:自分の中に“こういうことを歌いたい”という器が5つくらいあって、器に“準・上手いこと集”の言葉が貯まってきたら、そこに“上手いこと集”から1つ持ってきて曲にするんです。

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アホの最先端 その3

「おもしろい曲っていうのは、聴くたびに鮮度が落ちていくのは仕方がないですよね。となったらもう、初見でのインパクトに賭ける」

●さっき話題にあがりましたけど、「ロマンチックがどえらいことに〜Drummer's mental remix〜」は既発曲にモリスのしゃべりを重ねただけという、単なる手抜きに思えなくもないですけど(笑)、これをリミックスと言い張るアイディアはすごいなと思ったんです。

康雄:これは今まででいちばん汚いやり方かもしれないですね。

●うん、汚い。でもすごい。

U太:リミックスの意味すらわかってないですからね(笑)。

康雄:1枚のCDに、既成概念を壊すようなトラックは必ず欲しくなるんですよね。

●この曲でのモリスのしゃべりは、台本を書いたんですか?

康雄:そうです。曲に合わせて台本を書いて、僕なりになんとか作ってみるんです。それをモリスに渡したら、彼は1発で完璧に仕上げるんです。想像を超えたものが出てきました。

U太:たぶんモリスは自分のキャラクターがよくわかってるんでしょうね。

●モリスは本番に強い男だと。

モリス:康雄と僕の阿吽の呼吸ですよね。康雄がやって欲しいイメージがばっちり伝わってきたんです。

康雄:要するにこの曲は、僕がモリスに「お前のオナニー見せてくれ!」と頼んだ曲なんです。

一同:アハハハハ(笑)。

●M-2「絶対音感彼氏」はライブの定番になっている曲ですけど、途中でCDだけのアレンジというか、小ネタが入りますよね。“ライブでよくやっているあの曲か〜”と思いながら聴いたんですけど、びっくりして。初めて聴いたときの衝撃のみを全力で目指しているというか、CDは一生残るものなのに、一発芸みたいなことを全力でやっているという。

康雄:悪ノリですよね(笑)。アルバムの2曲目とかに悪ノリを入れたかったんです。アルバムの後半に悪ノリを入れるのはよくあるパターンだと思うんです。でも試聴機とかで聴いたとき、「うわ! こいつら2曲目にこんな曲入れよった!」というところに賭けたんです。だから今作は曲順もめっちゃ気に入っていて。1曲目の「コミックバンド」で割とガチなことを歌っておきながら、2曲目でスカすというのが気持ちいいんです。

●そういうマインドは四星球のライブにも通じると思うんですが、“定番化させない”というのはこのバンドの1つのコンセプトになっていますよね。ライブでは毎回違う仕込みをしているじゃないですか。1回1回に込める熱量の高さが素晴らしいなと。無駄を恐れずに、毎回闘ってるなと。
4人:ハハハ(笑)。

康雄:おもしろい曲っていうのは、聴くたびに鮮度が落ちていくのは仕方がないですよね。となったらもう、初見でのインパクトに賭けるっていうか。今作でそれを担っているのが「絶対音感彼氏」だと思うんです。

●なるほど。

康雄:あと、鮮度の話でいうと、「ビンテージヤング」の最後はまさやんのインタビューがスパッと切られて、次のM-6「私をoiって叫ばせて」が始まるじゃないですか。

●そうですね。まさやんのインタビューが「私をoiって叫ばせて」のイントロのシンバルで遮られるという。

康雄:でもiPodのシャッフルとかにすると、他の音でまさやんの言葉が切られるんです。

まさやん:他のバンドの曲で切られることもありますよね。

康雄:これが何回聴いても笑えるマジックなんです!

●ほんとだ!

康雄:このアルバムでシャッフルしても、まさやんのしゃべりが法螺貝で切られたり、モリスのしゃべりで切られる可能性もあるんです。

●無音で切られる可能性もありますね。

康雄:ありますあります(笑)。今作はそういうトリックが潜んでいる恐ろしいアルバムなんです。

●恐ろしいアルバムだ!

康雄:今作は本当にいやらしいんです。初見に賭ける一発の笑いもあれば、他のバンドの曲を利用しての笑いだったり。“笑わせる”という部分では満足のいくものができたと思います。

●そもそも“笑わせる”という部分を考えてCD作る人はほとんどいないと思いますけどね。

康雄:そこは本当にこだわりました。聴きどころですね。

●ちなみに「ビンテージヤング」とかに入っているナレーションの女性は誰なんですか?

まさやん:声優さんをやってる僕の知り合いです。

●だからあんなにいい声なんですね。

康雄:このアルバム、1人だけプロの声が入ってます(笑)。

U太:バンドメンバー以外の人やけどな(笑)。

●あと、いちばん驚いたのはM-12「何だちみは?!」なんですけど、もはや音楽ですらないという。

一同:アハハハハ(笑)。

U太:みんなでしゃべってるだけですからね(笑)。

康雄:ラスト1曲を前にしてね(笑)。

●しかも「フューちゃん」をここでまたフィーチャーするという。

康雄:コントは毎回入れていたんですけど、今までは他の曲との関連性とか考えずに、“おもしろいものを作る”という概念でしか作っていなかったんです。でもアルバムに入れるコントなんやから、アルバムを踏まえたものにしないといけないんじゃないかな? と。そうやってこの4年間ずっと自問していたんです。僕は自分が作った過去の作品を肯定するタイプのアーティストなんですけど…。

●アーティストだったのか。

康雄:でも過去の作品に入れたコントに関しては自分自身に疑問を抱いていたんです。別にそのコントがなくてもアルバムとして成立するんじゃないか? と。コミックバンドを表現するためにはコントは必要かもしれないけど、アルバムを表現するために本当に必要なのか? って。だから今回は、このアルバムに必要なコントにこだわったんです。

●ちゃんとストーリーが見えますもんね。すごく悔しいけど「何だちみは?!」は爆笑してしまった。

康雄:ほとんどアドリブだったんですけど、うまくハマりましたね(笑)。でも実は、僕はキャラを演じることが本当に苦手なんですよ。演技しようとしたら笑ってしまうというか、変な感じになってしまって。

●え? そうなんですか?

康雄:「何だちみは?!」の僕の声はエフェクトがかかっていますけど、あれはキャラを演じることができないから、最新の技術を使って声を変えてもらったんです。だから色んな部分での進歩が見えるアルバムなんです。

●最新の技術をこんなことに使ったのか…。

康雄:そういう部分でも、バンドとしては成長しましたよね。

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アホの最先端 その4

「パッと見の人はわからないんですよ。でも中級者くらいになると“四星球がおもしろいのはツッコミがいるからだ”っていうのがわかる」

●何度も言いますが、四星球は“人を楽しませる”ということに対して全力ですよね。高いお金払ってレコーディングスタジオ借りて、高い機材を使って、声優さんにも手伝ってもらって。

U太:ほんとにそうですよね(笑)。

●その熱量の多さは今作を聴けばビシビシと伝わってくる。だから感動してしまったんです。この4人が同じベクトルを向いていることもすごいと思うし。もしこの中に1人でもミュージシャンがいれば成立しないだろうし。

一同:アハハハハハ(笑)。

U太:僕、そこは諦めました。

●ミュージシャンであろうとした時期もあったんですか?

U太:例えば四星球を1つの組織とするならば、僕は音楽担当なんですよ。

●言われてみれば、確かにベースはすごくいい味を出してますよね。

U太:あれは僕なりの主張なんです(笑)。

●「こんな曲でそんなにグルーヴィーなベースわざわざ弾かなくてもいいのに!」と思うことが多々あった。

康雄:それがおもしろいところでもあるんですけどね。

U太:そういうおもしろさもあるし、ミュージシャンとしてそこは譲れないという想いもあるんです。自分の中でどうバランスを取るかっていうのは、このメンバーの中でいちばん悩んだと思います。

●その葛藤はいつごろ整理がついたんですか?

U太:ここ数年ですね。音楽的な話をするのはこのバンドでは無理やと思ったんです。かと言って、僕がクリエイティブなことをできるわけでもない。だから自分なりにどうにか整理して続けてきたんですけど、続けてきたら続けたなりに深いところが見えてきたんです。

康雄:でもU太のツッコミは単純にすごいと思うんです。ロックって、何かをぶち壊したり、何かを作り上げる作業じゃないですか。でもその中で“ツッコむ”という作業をしているというのはすごいことやと思います(笑)。

●U太くんのツッコミはアドリブなんですか?

U太:アドリブです。ここまで来たら康雄が何を仕込んでいるかとかも事前には見ないようにしていて。だから、ツッコミの発想力とか瞬発力がなくなってしまったらステージではしゃべらないでおこうと自分で決めているんです。お客さんの空気を読んだ間と、声量と、言葉のチョイス。それが出てこなくなったらしゃべる意味がないのかなって。

●かっこいいけど、音楽の話ではない。

康雄:しかもそれを演奏しながらですからね。

●そうか。すごいな。

康雄:そこがコミックバンドの難しさですよね。だから他のベーシストではできないことだと思います。MCだったらよくある話だと思うんですよ。でも僕らは曲の中にねじ込んでいるじゃないですか。だから普通のバンドとはまったく方向が違うと思うんですよね。それはやっぱりこの11年で培ってきたものなのかなと。

U太:“自分が目立つにはどうしたらいいか?”と悩んだんです。2〜3年目の頃なんですけど、自分の存在の意味を考えたというか、目立ちたいからバンドをやっているのに目立てない。そこで“じゃあ自分には何があるんだろう?”と考えたときに、ツッコミかなと。でも僕がやっているのはツッコミというより訂正ですね。絵画でいうところの額縁というか、わかりやすくガイドラインを引くというか。僕は人間としても普通ですから、普通をウリにするにはこういう方法しかなかったんです。

●自分の価値をそこに見出したと。

U太:そういうところを自分が担うことで、バンドとしての深みを持たせることができたらいいのかなって。

●よく考えてみたら、四星球にU太くんがいなかったら散らかって終わりのバンドですね。

康雄:そうそう。パッと見の人はわからないんですよ。でも中級者くらいになると「四星球がおもしろいのはツッコミがいるからだ」っていうのがわかるんです。もっと極めた上級者の人は、僕らが想定しないようなところまでおもろいと思い始めるんです。それがバンドの深みなんかなって。

アホの最先端 その5

「ツアーはいろんなジャンルの人たちとやることになるんですけど、そういう中でコミックバンドとしての今の四星球の位置を改めて確認したい」

まさやん:そういえば僕、今作のレコーディング中にアンプ壊れたんですよ。

●わっ! 何も質問してないのに勝手にしゃべり始めた!

まさやん:勢いのある曲を最初に録ろうということになって、アンプのメモリを全部10にしたんですよ。

●いわゆるフルチンですね。

U太:フルテンです。

まさやん:それで7〜8時間録ってたら最終的にアンプが壊れちゃって。そのアンプで録りたかった曲は全部終わっていたのでレコーディングは大丈夫だったんですけど、まだ修理中なのでその後のライブですごく苦労してます。

モリス:その壊れたアンプの呪いがまさやんの身にいろいろと降りかかっているんです。

●え? どういうこと?

まさやん:アルバムを録り終わったら6月にヘルニアになって、7月は手首を怪我しちゃって(と手首の包帯を見せる)。

●あっ、ほんとだ。手首に包帯してる。

まさやん:打ち上げでこけた先にグラスがあって、そのグラスが割れて怪我したんです。

●アンプの呪い怖いな…。

康雄:ちなみに僕、アンプが壊れたことを今知りました。

●アハハハハハハ(笑)。

康雄:それくらい僕は音に関与していないんです。

●ひどいな(笑)。

康雄:この4年間でバンド内の役割がよりはっきりしたんです。それによってバンド全体のスピードが上がっていて、それも成長だと思うんです。

●コミックバンドとして着実に成長しているんですね。あと、今作を聴いて改めて思ったんですが、こんなに笑いが盛りだくさんなのに、下ネタに走っていないのはすごいことだと思うんです。

康雄:あ、バレました?

●はい。今日のインタビューでもわかるように僕は下ネタが多いんですけど、四星球は下ネタで逃げることがない。ある意味、下ネタってズルいというか楽なんですよ。

康雄:そうですよね。

●そういうこだわりがかっこいいなと。ブリーフ姿で歌ってるバンドなのに。

康雄:親と一緒にCD聴いてて変な空気になるのが嫌なんです。

●高校生か(笑)。

康雄:CDには入れないし、そういうこだわりで今作も作っているんですけど、でも「ここ」というときには入れます。

●ちんちんの着ぐるみでライブしたり?

康雄:それはないです。

●あ、すみません。

康雄:“ここでの下ネタはおもろい!”と思ったら使ってもいいと自分の中では思っていて。要するにNGではないというか、引き出しの中にはあります。

●そうなんですね。でもCDは親が聴くから入れないと。

康雄:親が聴くから入れません。

一同:ハハハハハハ(笑)。

●ところで10月から約30本の全国ツアーが控えていますが、どういうツアーにしようと思ってますか?

まさやん:怪我と故障のないツアーにしたいです。

●そうですね(笑)。U太くんは?

U太:まだ発表はできないんですけど、今回のツアーは対バンがすごくおもしろいんです。うちがいないと集まらないメンツが集まっているというか。いろんなジャンルの人たちとやることになるんですけど、そういう中でコミックバンドとしての今の四星球の位置を改めて確認したいなと思ってます。この1年くらいは、敢えて他の畑でライブをすることを意識して活動してきたんですけど、そういうライブを自分たちのツアーで組んだらどうなるのかな? と思っていて。

●うんうん。

U太:それに対バン相手だけじゃなくて、その対バンをどの地方でやるのか? にもこだわっているんです。そういうライブで培ったものを、年明けのワンマンシリーズで活かすことができたらいいなと思ってます。

●西高東低の気圧配置(※四星球は西日本では動員がものすごいが東日本はそれほどでもないという現象を「西高東低」と呼んでいる)を変えたいと。

U太:そうですね。今までは、関東でそういう動き方があまりできていなかったと思うんです。そういうところを意識していった方が、ライブがおもしろくなるだろうなと。

●モリスは?

モリス:楽しみたいです。

●康雄くんは?

康雄:やっぱり年々体力が衰えてきているので、そこをがんばっていきたいなと思ってます。

●まだ30歳でしょ?

まさやん:でも20歳の頃に比べたら年々落ちてはいますね。

康雄:だから今、体力づくりのために走ってるんですよ。夏フェスやツアーに向けて毎日走ってるんです。

●ストイックですね。

康雄:調子よく1週間くらい続いていたんですけど、つい先日、犬に追いかけられまして…。

一同:アハハハハハハ(笑)。

康雄:徳島は田舎だから墓場がいっぱいあるんですけど、“墓場があったら折り返す”ということを毎日やってたんです。墓場を通るのは怖いので。それがいい感じで続いてて、“今日もがんばるぞ!”と思って走っていたんですけど、犬が出てきたらもう帰るしかないんです。子犬だったんですけど。

●え? 犬怖いんですか?

まさやん:康雄は動物が苦手なんです。

康雄:僕、学生の頃に芸人になりたいと思っていた時期がちょっとだけあったんですけど、動物が苦手だから絶対になれへんなと思って諦めたんです。それくらい動物はもう絶対に無理なんですよ。

●そうだったのか。

康雄:ツアーやフェスに向けてがんばって走ってたら「キャン! キャン! キャン! キャン!」って犬が出てきたから「わー! ごめんなさいー!」って逃げて帰ってシャワー浴びて“明日からどうしようかな…”と。走るの止めようかなと思ってるんです。

●オバQか。

康雄:でも、コミックバンドは元気な姿を見せるべきだと思うんです。ツアーで疲れて元気がなかったらコミックバンドとしては辛いじゃないですか。全部のライブをフルテンションでやりたいというか、そこができてこそのコミックバンドだと思うんです。だからツアーに向けて体力づくりをしていくつもりです。

●また走るんですか?

康雄:屋内でやります。

interview:Takeshi.Yamanaka

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