音楽メディア・フリーマガジン

THE BOOGIE JACK

かけがえのない想いと信頼で鳴らされる彼らの遠吠え

188_TBJ2007年7月に活動休止したにも関わらず、PANやSHACHIといった先輩からのライブの誘いをきっかけに集い、再びその音を鳴らし始めたTHE BOOGIE JACK。再会したメンバーが鳴らした音たちは、お互いへの信頼とTHE BOOGIE JACKというバンドをできることの喜びに満ち溢れていた。前作『GALERRIA』から約2年、“今”の気持ちを詰め込んだアルバム『HOWLING』は、どこまでもピュアで突き刺さる音と言葉が詰まっている。今月号では、Vo.ヒライとDr./Cho.青山にSkypeでインタビューを行った。

 

●バンド活動を再開されてから2年半くらい経ちますけど、以前の感覚と比べるとどうですか?

ヒライ:確実に言えるのは、THE BOOGIE JACKの活動の1つ1つがすごく楽しいということで。ライブだけじゃなくて、バンドのことをやっている何気ないこと…例えばフライヤー作ったりTwitterでつぶやいたりすることも…その1つ1つが楽しいですね。

●なるほど。

ヒライ:今はメンバーのほとんどが家庭を持っていたりとか仕事をしていたりするんですけど、ライブとかは土日が中心なんですよ。要するにバンドだけがやれている環境ではないからこそ、やっぱりバンドが愛おしいものなんだなって思えるんですよね。活動休止前は僕が全部曲を作ったり、いろんなものを転がしていかないといけない意識だったんですけど、今はできないものはできないからメンバーに委ねようと。で、その委ねることに何も疑いを持っていなくて、こんなこと言うのは恥ずかしいですけど…信じているというか(照)。

●メンバーを信じているんですね?

ヒライ:信じて…います!

青山:アハハハハ(笑)。曲の作り方も変わったんですよ。今は、アレンジはほとんど野津くんに任せているんです。それがまた、自然とみんながいいと思えるものを作ってくるんですよ。

●メンバーを信用しているから?

2人:そうですね(照)。

●離れた期間があったからこそ、自分にとって何が大切かがわかったと。いいことですね。

ヒライ:いいことですね。客観的にTHE BOOGIE JACKがどういうバンドだったかということが僕がわかって。自分の曲を野津に任せて作るっていうのがTHE BOOGIE JACKらしさなんだなって。そうすると、「もっと料理してよ」と言えるようになったんです。

●7/10にリリースするアルバム『HOWLING』には、今のバンドの心境や背景がすごく表れていますよね。今作のほとんどの曲は“大切なもの”を歌っていますよね。

ヒライ:そうですね。バンドマンである自分がまず大事っていうところがあって。もちろんその根底には家族がいたりとかがあるんですけど、本当に綺麗事とかじゃなくて、バンドマンでいたいんですよ。そこがすごく大事で。

●「バンドマンでいたい」というのは、具体的にいうとどういうことなんですか?

ヒライ:朝まで飲んでしまうとか、汚くて狭くて臭いライブハウスの楽屋にいたりとか、ワゴンで日本のいろんなところに行ったりだとか。知り合いのバンドに会ったとき、久しぶりなんだけど久しぶりじゃない感じとか。なんかそういうのがすごく自分にとって大事なんです。それをずっとやりたい。

●バンドマンでいること自体が大事なことだと。

青山:活動休止前は、この部分には着眼していなかったんですよ。バンドマンというのが当たり前だと思っていたというか。でも、今は環境が変わってきて、バンドをやれることすらもすごく大事に思える。

ヒライ:家に帰ってきて、風呂に入ろうと思ってTシャツとか脱ぐとき、ライブハウスの匂いがするんですよ。あれですよ。そこにバンドマンを感じるんです。「ああー! バンドやってるなー!」って。それを失いたくないんですよね。

●普通に社会人をやっていると、笑ったり怒ったり、心の底から感動することなんてなかなかないと思うんですよ。むしろ大人は感情を出さないことが求められるというか。でもバンドマンは、ステージの上や楽曲の中で感情を溢れさせたりするのが日常だと思うんです。その違いなんでしょうか?

ヒライ:まさにそうですね。THE BOOGIE JACKという場所で、はじめて自分が思っていることだとか、家族への感謝もそうだし、日々思っているようなことをきちんと出せるんです。人によってはそれがサッカーだったり、絵を描くことだったりするかもしれないけど、僕の場合は間違いなくバンドなんですよね。

●確かに今作は、普段面と向かって言えないようなことを歌っていますよね。

ヒライ:活動休止する前は、歌詞をちょっとひねるというか、比喩を使ったりしていた時期もあったんです。ストレートに表現することの恥ずかしさを感じていたりもして。でも今はそういう感覚も全然なくて、やっぱりそのまま、生の気持ちのまま歌わないと、今こういう関係でバンドをやっている意味がないと思ったんです。もう32歳になる年ですけど、10年前に遡ったような青臭い匂いがする曲もあるし。そういうのを出せてよかったなと思います。

●心に素直に音楽をできているんですね。

ヒライ:そうですね。“音楽が好き”というところをちょっと超えた気がするんです。聴くのも好きだしライブを観るのも好きですけど、THE BOOGIE JACKをやっているのが好きなんです。

●それはメンバーを信頼しているから?

ヒライ:そう…ですね(笑)。メンバーはもう13年も一緒にいるので、友達という感じでもなくて、他の何にも例えられない関係なんですよね。特に野津とは、僕はよくぶつかっていたんです。音楽性について。でも、そのズレがだんだん相性のズレになっていたことも昔はあったんです。でも今は、野津がいないとTHE BOOGIE JACKじゃないと思えるし。

青山:昔は水と油みたいなものだったんですよ。バンドに対する考え方とかも全然違ったし。その違う部分が化学反応を上手く起こしていたと思うんです。でも今は、もっと本質的な部分で分かり合えているというか。それは側で見てて思いますね。

interview:Takeshi.Yamanaka

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj