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the loud function

壮大なスケールで鳴り響くサウンドが新たな始まりを告げる

 美しいギターのアルペジオに誘われて、スケール感の大きなサウンドが新たな始まりを告げるかのよう…。そんなイメージを想起させるタイトル曲で、the loud functionのニューミニアルバム『Air』は幕を開ける。

今年4月に1stフルアルバム『world of monochorome.』を発表し、全国各地でリリースツアーを展開してきた彼ら。8月には結成9年目にして初となるワンマン公演をSOLD OUTで成功させるなど、確かな手応えを本人たちも感じ始めているようだ。自分たちの核にあるものを研ぎ澄ましつつ次なる方向性も見せた今作には、その自信がみなぎっている。

結成10周年を迎える来年には10ヶ月連続でのライブ開催と、ファイナルの渋谷O-WEST公演も発表。充実した1年の最後にリリースされる今作は、決して足を止めることなく走り続けていく4人の決意表明とも言えるだろう。

Interview

「普段から"叫ぶ"じゃなくて"歌う"ことを意識しているんです。勢いだけじゃない、"伝える"バンドという面が今作では出せたんじゃないかな」

●1stフルアルバム『world of monochorome.』を今年4月にリリースして、そのツアーで全国をまわってきたわけですが。

noriji:リリース後のツアーでは、初めて行く場所でも反応があって。twitterやweb上で反響を感じられたのも嬉しかったですね。

大月:地方で僕たちのことを知ってくれている人たちも増えてきて、ライブでの反応も前より良くなりましたね。すごく実りあるツアーだったと思います。

●8月に下北沢ReGで開催した結成9年目にして初のワンマンは、その集大成的な意味合いもあったのでは?

大月:これまでの9年間で積み上げてきたものを見せたいなとは思っていましたね。

ポセ:自分たちとしては満足していない部分もあったんですけど、それでも「今までで一番良かった」と言ってくれる人が多かったのはツアーを経たことでステップを一段上がれたからなのかなと。

●自分たちとしては満足いかない部分もあったと。

キヨタケ:ツアー中に今回のミニアルバム『Air』に向けた曲作りもしていたので、ワンマンの準備にはそれほど時間を取れなくて。そこで新曲をやることも決まっていたので、僕はそのプレッシャーも大きかったですね(笑)。

ポセ:ワンマンのセットリストをスタジオで通してリハーサルする時間もなかったので、ぶっつけ本番的な感じだったんです。でもそのおかげでワンマンの気負いもなくやれたのかな。

noriji:来年以降のワンマンに活かせる経験が出来たので、得るものはありましたね。

大月:次にワンマンをやる時はもっとその先を見せるつもりだし、次へと向かう気持ちの切り替えが出来たライブでした。

●ツアー中に今作の制作も始めていたんですね。

大月:ツアー中だったので時間的にタイトだった分、逆に感覚を研ぎ澄ませられたかなという気持ちはあって。前作とは違った面も出せたし、満足のいく曲が出来たと思います。

●曲作りはスムーズだったんですか?

大月:曲に関しては、今回は全て僕が作ってきたものなんです。M-2「シャイニング」とM-5「セカイのタイオン」に関しては作詞/作曲ともに僕で、あとの3曲はポセが歌詞を書いています。どれも曲の土台はあったんですけど、アレンジを詰める部分で時間がかかってしまってギリギリになってしまいましたね。

noriji:というか今回のアルバムは全体的に、その傾向があります…。

ポセ:僕らは追い込まれないとダメなんですよ(笑)。

●ワンマンではM-1「Air」とM-4「涙」を披露したわけですが、そこを目指して作ったところもある?

大月:「Air」はワンマンで初めてやったんです。そこを目指して作ったわけではないですけど、せっかくの機会なので披露出来るように詰めてはいきましたね。「涙」に関してはすごく昔からある曲で、20歳くらいの時に作ったんです。このメンバーになってからはやっていなかったし、アレンジも当時とは変わっているので感覚的には新曲に近いというか。

●「涙」は古くからあった曲なんですね。

大月:ドラムは何度かメンバーチェンジしているんですけど、その度にこの曲はやっていて。それだけ力のある曲だし、僕らの中では外せない曲だったのでようやく今回で作品化出来るという感じですね。

noriji:ライブでよくやっているM-3「Dangerous K」以外の曲は、僕にとってはほぼ全て新曲という感覚なんですよ。あと、「シャイニング」も前からあったかな。

●「シャイニング」も前からライブでやっていた?

大月:前のドラマーの頃はライブでもやっていたんですけど、現メンバーになってからは1回もやっていなくて。この曲に関しては、今までの自分たちがやってきたダークなロックの延長線上という感じですね。

●the loud functionらしい疾走感のある曲ですよね。

大月:シンプルで初期衝動に則った、突っ走る曲というテーマで作ったんです。自分たちの核にあるものは揺るがないという想いも込めて作りましたね。この曲を作っていた当時は日本の政治が混沌としていた時期で、そういう状況の中でも自分たちは先を見据えて頑張っていかないといけないなという想いを込めて歌詞を書きました。

●「Dangerous K」はライブで定番の曲ですよね。

大月:自主制作の音源に収録してはいたんですけど、その時のクオリティに自分たちも満足していない部分があって。ライブでも人気のある曲だし、今のクオリティで録り直したいと思って今回収録しました。今のメンバーになってからもずっとやっていたので、以前とは熱量が全然違うと思いますね。"今"の「Dangerous K」をみんなに聴かせたかった。

●「Dangerous K」の"K"はキヨタケくんのこと?

キヨタケ:よく言われます(笑)。

ポセ:ライブでドラムに乗ったりもしているしね。

大月:今後はそういう解釈でいこうか?

キヨタケ:今さら!? (笑)。

●(笑)。真相はどうなんですか?

大月:僕が原曲を作った時に付けたタイトルなので、歌詞の内容とは全く関係なくて。僕はプロレスが好きなんですけど、川田利明という選手のニックネームから取っただけで…。

キヨタケ:全然、知らないよ(笑)。

●プロレスがわからない人には全く通じないネタですが(笑)、川田選手をイメージして作ったんですか?

大月:いつか入場テーマにしてもらえたらいいなという願望だけで、内容は全く関係ないです(笑)。単純に言葉のインパクトを狙った感じですね。

キヨタケ:僕のことじゃなくて良かったです(笑)。

ポセ:実際の歌詞に関しては、サビの"Dance with me, baby"っていうのが全てを表していて。"この曲を聴いて踊ってくれ"っていうイメージですね。

●1曲目の「Air」もサビの"You are my Air"というフレーズが印象的ですが。

ポセ:そのフレーズだけは、曲を作った大月が考えたんですよ。

大月:「Air」と「セカイのタイオン」は今回の作品に向けて作った新曲なんですけど、その2曲に関してはコンセプトがあって。どちらも今年3月にあった東日本大震災で感じたことを反映させているんです。今までは暗めの曲調が多かったんですけど、今作はポジティブなエネルギーを感じさせるものにしたかったから、この2曲はすごく開けた感じにしました。

●震災で感じたことが曲に表れている。

大月:「Air」に関しては、被災地の人たちに対する周りからの愛を見ていて感じたものを表現したかったというか。空気(=Air)は人にとってなくてはならないものだから、"You are my Air"と歌うことで"あなたが必要なんだ"と伝えたかったんです。その一言に全てを集約している感じですね。それと同じように僕らの音楽も、聴いてくれる人にとって絶対に必要なものであって欲しいという気持ちを込めて今作のタイトルにもしました。

●「セカイのタイオン」はどんなイメージなんですか?

大月:震災後に僕らはツアーに出たんですけど、そこで温度差をすごく感じたんですよね。関東ではまだ余震が続いていたりして暗い空気が漂っているのに、いつもと何も変わらない感じのする場所もあって。"同じ世界の中でこの温度差は何なんだろう?"と感じたところから、まずタイトルが浮かんで。

●タイトルが最初に浮かんだんですね。

大月:「セカイのタイオン」という言葉が僕の中でかなり強くて、色んなイメージが同時に湧いてきた曲でしたね。タイトルが浮かんだ後で歌詞がなかなか出てこなくて苦労したんですけど、それもあって今まで作った中でも特にパワーがある曲になったと思います。

●自分たちとしても手応えのある曲だった。

大月:ちょうどリードになる曲が欲しかった時期なので、イントロでガツンときてキャッチーなサビがあってタイトルも強いということで自分の中では"来た!"と思いました。僕らの新しい代表曲にもなるんじゃないかと思っています。ただ、これで終わりではないので、"もっと良いものを"という気持ちで今後も作っていきたいですね。

●今回はミドルテンポの「Air」で始まる展開も、今までにはない感じがしました。

大月:今までは"オラッ!"っていう感じのストレートな曲がメインになっていたから、そのイメージを多少変えたかったというのもありますね。「Air」に関しては今までよりも大きなグルーヴ感を出さなくちゃいけない曲なので、リズム隊の2人は特に苦労したんじゃないかな。

キヨタケ:「Air」に関してはベース録りだけで2~3日かかりました。今までは作曲者の要望を聞きつつ、割とシンプルなフレーズが多かったんです。レコーディングの直前に勢いで作ることがこれまでは多かったんですけど、今回はすごく練って作りましたね。

●アレンジ面でも新しいことをしている。

キヨタケ:初めて聴いた時に、大月がどんな曲にしたいのかっていうイメージがすぐに浮かんで。その中でパッと降りてきたのが、イントロのフレーズだったんです。世界観に関してはすぐにわかったんですけど、結果的に時間はかかってしまいましたね…。

大月:細かいフレーズの部分をレコーディングで試行錯誤した感じですね。初めてのスタジオで自分のイメージに近いものを弾いてくれたので、そこは一致していたんだと思います。

●この曲が1曲目にあることで、今までとはイメージが変わる気がします。

大月:今までの僕らを聴いてくれてきた人にとっては新鮮だと思いますね。アンダーグラウンドなロックだけをやっていると聴く人が限られてしまうので、もっと色んな人に聴いてもらいたいという想いが常々あるんです。初めて聴いた人にも良いと思ってもらえそうな曲だから、間口を広げる意味もあって1曲目にした感じですね。壮大なスケールのサウンドが、"新しい始まり"というイメージにもピッタリなんじゃないかな。

●開けた雰囲気もあって、一歩先へと突き抜けた感じもしました。

大月:今まで僕らがダークなロックをやってきた基盤があるからこそ出来た曲だとも思うんです。そういうものがあるから、今までやってきたものの中で新しいタイプの2曲がより際立って、バンドのパワーが感じられるようにもなるというか。今作のために作った曲と今までもやってきた曲が混ざり合って出来た1枚なので、僕らのことをよりわかってもらえるんじゃないかなと思います。

●サウンドの幅も広がったわけですが、この5曲はどんな基準で選んだんですか?

大月:今まで自分たちがやってきた中で一番表現したいことを、前作には全部詰め込んだという想いがあって。そこからは漏れたけど、良い曲をまずピックアップしていきました。震災もあって自分の中でテーマも出来たので、新曲も作って入れた感じですね。勢いで押していくイメージだけじゃなくて、もっと大きなグルーヴも表現出来るんだというところでミドルテンポを2曲入れたんです。

ポセ:ミドルテンポの曲をやることで、勢いのある曲もより映えるから。今回そういう試みが出来て良かったなと思います。勢いだけじゃない、"伝える"バンドという面が今作では出せたんじゃないかな。

●歌い手としても表現力が広がった?

ポセ:曲の幅が広がるのにつれて、歌の表現力も幅を広げていかなくてはいけないという意識はありましたね。勢いは出しつつもメロディはきちんと聴かせたいので、普段から"叫ぶ"じゃなくて"歌う"ことを意識しているんです。これからのテーマでもあるんですけど、ライブは勢いだけで押したくないという気持ちがあって。ミドルテンポの曲でもちゃんと表現出来るバンドでありたい。ライブでの表現もこれからも変化していくんじゃないかなと思います。

●来年は10周年ということで、10ヶ月連続ライブを予定されているわけですが。

noriji:今年の4月くらいまで、誰も気付いていなかったんですけどね(笑)。せっかく10周年だから何かやりたいなということで、10ヶ月連続ライブをやろうということになったのは6~7月頃だったと思います。

ポセ:たぶんnorijiが言い出していなかったら、何もやらなかったんじゃないかな(笑)。そういう意味でも、彼の存在は大きくて。今までにいなかったキャラクターだし、僕らを引っ張ってくれているところもあるんです。

●norijiくんになって、ドラムも固定出来たわけですからね。

キヨタケ:ドラムが何度も変わっているから10周年と言われても、実感があまりないんですよね。だから忘れていたというわけじゃないですけど(笑)。

ポセ:やっぱり自分たちを追い詰めていかないといけないなっていう気持ちもあったし、腰を上げるキッカケになりましたね。

大月:10年やっているバンドは結構いると思うんですけど、同じ10年間でも僕らと他のバンドとでは差があると思っていて。周りから「10年もやってまだここなの?」と思われるんだろうなっていう悔しさはずっとあるんです。ステージに立っている時はみんな理想を持って、自分が一番カッコ良いと思ってやっているはずなんですよ。その理想を実現するためにも、自分のケツを叩くようなことをしていかないといけないなと。

●どんな企画にしていく予定?

大月:まだ詳細は決まっていないんですけど、色々と考えてはいます。対バンに関しては昔から縁のあるバンドに加えて、自分たちより高いステージでやっているバンドも呼びたいなと思っていて。

noriji:つながりの有無は別として、自分たちが"一緒にやりたい"と思えることが一番大事だと思うから。そういう相手を中心に声をかけていくつもりです。10本とも自分たちのイベントなので、色んな演出が出来ると思うんですよ。会場や対バンによって雰囲気も毎回違うので、やりたいことを全部詰め込んでいきたいなと。自分たちの好きなことがやれて、お客さんにも楽しんでもらえるチャンスが10回あるということなので色んなアイデアを詰め込んで楽しむ1年にしたいと思います。

●自分たちでも楽しみなイベントではある。

ポセ:10周年のお祝いでもあるのでお祭り気分で楽しみたい気持ちと、"腹をくくって頑張らないといけない"っていう想いが半々の感じですね。楽しみと不安の両方が渦巻いているんですけど、やりきった時の景色は今までと違うはずだから。最後に渋谷O-WESTが控えているので、その時に自分たちがどれだけのバンドになっているかはこれからの行動で決まってくると思っていて。そこに向けて強い想いで挑んでいきたいし、本当に勝負の1年だと思います。

キヨタケ:10年もやってきたことは自分の中でもすごいことだと思うんですよ。昔一緒にやっていたバンドはもう解散していたりもするわけで。10ヶ月連続でやり終えた後も、僕らはずっと続けていきたいですね。この先が続くかどうかの分かれ道にもなると思うので、良い方向へ持っていけるように自分たちも動いていきます!

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