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The Mirraz

自らが変わっていく意志と世界を変えていく意識 何度も何度も何度も何度でもミイラズは立ち上がる

まさしく“満を持して”のメジャーデビューを果たした10月から2ヶ月足らずで早くも、The Mirraz(以下、ミイラズ)がメジャー2ndシングルをリリースする。メジャー1stシングル『僕らは/気持ち悪りぃ』に続いて、今回も『傷名/うるせー』という両A面シングルだ。さらには前回に引き続き、インディーLIVE BEST「LIVE TRACK from 7/16代官山UNIT・後編」を収録。ミイラズというバンドが持つ二面性をタイトルトラックで表現しつつ、インディー時代の集大成をも見せつける作品となっている。メジャーデビュー後では初という記念すべき表紙を飾ってもらう今号では、前回の1万字を超えるボリュームでVo./G.畠山承平にロングインタビューを敢行。今回の作品についてディープに迫るだけではなく、現在の心境からバンドがいまだかつてなく良い状態にあるというところまでじっくりと語ってもらった。それに加えて、畠山による今作のセルフライナーノーツも掲載。インタビューでは語りきれなかったエピソードやこぼれ話が満載…という盛り沢山の内容でお届けする。

 

★★★ Long Interview:Part 1 ★★★

●現在(※取材は11月中旬)、メジャーデビュー後では初となるツアーをまわっているわけですが、今までとは違う反応も感じたりしましたか?

畠山:特に驚いたのはライブで「僕らは」をやった時の盛り上がり方が尋常じゃないというか、今までとはちょっと種類が違うなという感覚があって。たとえば今まで「CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい」とか「check it out! check it out! check it out! check it out!」で盛り上がる時って、お客さんが暴れているイメージだったんです。でも「僕らは」をやっている時はそうじゃなくて、楽しんでいることがすごく伝わってきたんですよ。

●盛り上がり方が今までと違うと。

畠山:“こういうのって、今までなかったな”という感覚がすごくあって。お客さんが本当に喜んで楽しそうにしているのが伝わってくるということは、すごく特別な曲なんだなとは感じましたね。それがEMIに移籍してメディアへの露出が増えたおかげでそうなったのか、それとも単純に曲がすごく良かっただけなのかはわからないんですけど。

●曲の力という部分はもちろんあるでしょうね。

畠山:音質がすごく良くなったことで、届きやすくなったという部分もあると思っていて。それによって聴いてくれる人たちが増えたんだなという実感もあったし、そこはすごく変化した部分でしょうね。よくある感じの「メジャーデビューしたら、急に親戚が増えた」とかいう話は、全然ないですけど(笑)。

●(笑)。音がより幅広いところまで届くようになったことを実感している。

畠山:音がちゃんと届いているんだなという感覚はすごくあります。同じ曲をやっていても、今までは自分がイメージしているものを届けきれていないことの悔しさがあったんですよ。そこには音質の問題があると、僕は思っていて。ライブの再現力も音源も含めたところで音質がすごく良くなったので、その点からだけでも音楽を届ける力というものが全然変わったなということを一番実感していますね。

●音質が良くなったのには、スタジオや機材も関係している?

畠山:スタジオに関しては、今までも使っていたところなんですよ。でも周りのスタッフや環境が良くなったことで自分の心持ちが変わって、ギターの音が良くなったりしたのかなと思いますね。メンバーの心持ちも変わったし、曲も良かったし、全体的に良かったというのがあるんだと思います。全体的に変化して、すごく良い方向へと向いたんだなとは感じました。

●物理的な変化というより、環境が良くなったことでの心境の変化が大きかった。

畠山:僕の中ではそういう想いが強いですね。「良いものを作ろう」という気持ちが今までとは違うものになっていたというのは、絶対にあると思います。でもやっぱりライブでお客さんがあんなに楽しそうにしているのは初めて見たので、そこに一番の手応えがありましたね。

●「僕らは」はミイラズの中でも新機軸だったわけで、それもお客さんの盛り上がりに関係があるんじゃないですか?

畠山:それもあるかもしれないですね。作り手の僕としては「やっぱり特別な曲だったんだな」ということに、一番の手応えを感じました。やっぱりチャレンジしたことも良かったし、自分が表現したかったことや音質を実現できたこともすごく良かったです。本当に全てのタイミングが良かったなと思いましたね。

●ちなみに、今回のツアーで何か事件みたいなものはありました?

畠山:事件というか、長崎で夜景を見た時にみんなのテンションがめちゃくちゃ上がっていましたね。たぶんカップルで行っても、あんなにテンションは上がらないと思うんですよ。女の子がキャーキャー言ってる感じってあるじゃないですか? あれの男版っていうのもあるんだなと思いました(笑)。

●何か気持ち悪いですね(笑)。

畠山:あと、今回のツアーではバンドとして毎回のライブで挑戦するというところで、「今日はここがダメだったから明日はこうしよう」とか話し合いながらやっていて。今までのツアーよりも1日1日がすごく充実していて、みんなの意識が本当に「良いライブをしよう」というところに向かって一丸となっているんです。日を追うごとにライブがすごく良くなっているのが実感できるというか、今までにそんなことはなかったので僕にとってはそれが一番の事件でしたね。

●1日1日でバンドが進化していっていることを実感できるというか。

畠山:「ライブをやることが楽しい」とか「気持ちいい」とかよく言いますけど、そういうことよりも今回は生で音楽をやっている結果としてお客さんに良いものを聴かせられているということの喜びというか。僕らがやっていて気持ちいいとか、お客さんが喜んでいるのを見て嬉しいとかじゃなくて、その瞬間にちゃんと“音楽を作り上げている”っていう実感があるのが僕は一番うれしいんですよ。しかも、それが毎日毎日の結果としてちゃんと付いてきて、どんどん良いライブに向かっている。そんなことは今まで本当になかったので、それがすごく嬉しいんですよね。

●そういうライブができているのも、環境の変化によるところが大きい?

畠山:それも当然あるけど、可能性がすごく広がったというのが一番にあるのかな。たとえば今までのツアーでは「ライブでこれ以上に再現するのは無理だよね」と言っていたとしたら、今回は「それもできるんじゃない?」と言えてしまうというか。去年のツアーでも「演奏は今すぐに上手くはならないから、今回はこのくらいが限界だよね」みたいなところがあったと思うんですけど、今は「でも、こういうふうにやれば絶対に良くなるよね」っていうものがすぐ見えるというか。

●限界ということで諦めるのではなく、次の可能性を見据えて動けている。

畠山:みんなでそういうことを話し合って目標を決めてやるということが今できているのは、本当に環境によるところが大きいですね。スタッフも含めたメンバーの心持ちが、そういう方向を向いていて。「良い音を出したいよね」という欲求があることが本当にいいなと思うんです。しかもそれが自己満足じゃなくて、ちゃんと1つの世界を作ろうというところでの発想になっているので。

●1つの世界を作るというのは?

畠山:ライブハウスで本番前のリハーサルをやっている時にも、みんなで「こういう音にしよう、ああいう音にしよう」と話し合ったりしているんです。照明とかにも注文を出して作りこんだ世界の中に、お客さんが入ってきて2時間とか楽しんでもらえる。その世界をどんどん深いものにして、日常とは全然違う世界へ移動したような感覚にさせるというか。そういうことが今はすごくできていますね。そこにお客さんに対して媚びる気持ちは一切ないし、逆に「ビックリさせてやろう」というくらいの気持ちがあって。最近はメンバーみんなが自信を持って、ライブをしている感じがするんですよね。

●自分たちでも日々、新鮮な気持ちでライブをできている?

畠山:そんな感じですね。メンバー1人1人にも「今日はこんなチャレンジをしよう」という目標があるし、バンドとしての目標にみんなで向かっている。「ライブをやるからには歌が下手じゃまずいな」っていう義務感じゃなくて、「良い音楽を作りたいから歌は上手いほうがいいな」っていう考え方になるというか。そういう感覚です。

●クオリティを維持しようとするんじゃなくて、もっと高みへと進化しようとしているというか。

畠山:以前はプレッシャーばかり感じていたんですよね。もちろん今でもプレッシャーはあるんですけど、本当に良いものを作るということが自分たちの仕事なんだなというのがわかる環境なので。そこがやっぱり一番デカい気がします。

●偶然に良いものができる感じじゃなくて、ちゃんと目標を決めて必然性を持って良いものを生み出そうとしている。

畠山:最近はみんながそういうふうに自覚して行動していると思うんですけど、やっぱり僕がミイラズを始めた頃やそれこそミュージシャンを夢見ていた頃というのは、CDが100万枚売れるという夢がまだあった時代で。「良い曲を作れば、100万枚売れる」っていう夢があったんですよ。でも今の時代って、その夢を追いかけていたら完全につぶれちゃうなと。

●そういう時代ではないですからね。

畠山:夢としてはもちろん追いかけているんですけど、すぐそこに行けるということはないから。一歩ずつ確実に進んでいくということが大事なんだなと、すごく感じていて。だからやるべきことをちゃんとやって、日々チャレンジしていくことが大事だなとメンバーも僕もすごく感じているんです。

●ミイラズはインディーを長く経験してきた中で一歩ずつ積み重ねてきているから、今の状況があるのかなと思います。

畠山:それも当然ありますし、時代に対してちゃんと考えられるということが大事だなと思いますね。

●今の時代性をちゃんと理解した上で、上を目指して進んでいくことが大事。

畠山:そうなんですよね。ツアーに出てみて感じるのは、やっぱりライブハウスに来るお客さんも減ってきているし、ロックファン自体が減ってきているということで。売れているバンドが少ないからロックファンもどんどん減っていくし、そうなってくるとロックで100万枚なんて売れるわけがない。そこで今は、ロックファンを作っていくという地道な作業がすごく必要だなと思っていて。

●バンドがロックファンを育てていくというか。

畠山:今回のツアーをまわっていて思ったのは、お客さん1人ずつに「ロックってカッコ良いな。バンドってカッコ良いな」と思ってもらえるようにする宣教師みたいな気持ちがないと今はダメだなということで。その中で「ミイラズってすごくカッコ良いんだな」「他のバンドと全然違うよね」というものをわからせる作業というのがすごく大事だなと思いました。

●あまり行ったことのない地方へツアーに行くのも、そうやって広めるための布教活動的なものとして意味があるのかなと。

畠山:そこには当然プロモーションという意味もあるんですけど、やっぱり若い子たちにはミイラズを観て「カッコ良いな」と感じるセンスを育てて欲しいなと思うんです。僕はミイラズというものが日本ではすごく少ない種類のバンドだと思っているので。こんなふうに洋楽を再現したり、洋楽の世界観を徹底して追求しているバンドは他にいないと思うんですよ。ライブもそういうところを今は目指してやっているので、そこもちゃんと感じて欲しいですね。

●ちゃんと意志を持って音楽を作っているということを感じて欲しい。

畠山:最近は若いバンドの子から好きだと言ってもらえたり、男の子のファンがすごく増えていたりもして。そういう子たちが新しいものを作っていくようにしていかないと、日本の音楽シーンは変わっていかないと思うから。そういう子たちが育っていったらいいなと思いますね。

●今のロックシーンには同性に憧れられる存在が少ない気がします。

畠山:僕もそう思うんですよ。だからやっぱり、ミイラズがそういう存在にならないとダメだなと思う。

●それが結果的に、シーンを引っ張っていくことにもつながる。

畠山:そうやって1つ1つのことを意識的に行動するというのが、すごく大事だなと思います。もちろん無意識的にそういうことを天然でやれるのが一番良いとは思うんですけど、僕は1つ1つ意識的に考えないとできない人間なので。本当に油断したら全然カッコ良くもないし、良い曲も書けないから、やっぱりそこは自覚的にやっていますね。僕は僕なりに一番良い“僕”を演じられるように努力しないといけないなとは思っています。

★★★ Long Interview:Part 2 ★★★

●今回のメジャー2ndシングル『傷名/うるせー』は、いつ頃に作ったんですか?

畠山:レコーディングは7月くらいだったかな。元々はこの曲(M-1「傷名」)じゃなくて、別の候補曲がメジャー1stシングル(以下『僕らは〜』)を作っている頃にあったんです。その曲は既にメンバーに聴かせたりもしていたんですけど、“他に何かできないかな”と思って新たに作ったのが「傷名」だったんですよ。本当にレコーディング1ヶ月前とかに作りましたね。

●元からあった候補曲から変更したんですね。

畠山:『僕らは〜』とは別の見せ方をしたいと思っていたんですけど、「ミイラズにしかできないことをもっと提示していったほうがいいんじゃないか」と考えた時に、元々の候補曲のほうは「他のバンドでもできるかも?」と思ってしまったんですよ。そういうものを避けたかったというのがありましたね。

●“傷”と“名”を合わせて“傷名”にするというアイデア自体は、前からあった?

畠山:そのアイデアは結構、前からあった気がしますね。歌詞は1つのネタから広げていったりもするので、普段から思い付いた言葉をメモしていたりもして。その時に「今このタイミングで、シングルをこのタイトルで出したら面白いかな」と思ったんですよ。

●曲のタイプとしては、「僕らは」に近いところもありますよね。

畠山:ダブステップっぽいリズムとダークなリフと、言葉数が多いところは「僕らは」から引き続きという感じですね。でも全く同じことにはならないようにということは考えながら作りました。

●そのままだとストレートすぎる“絆”という言葉に「傷名」という文字をあてているのが、ミイラズらしさだと思います。

畠山:この曲に関しては先にテーマがあったので、迷わず作れたんです。そうじゃないと、作っている最中に「これってミイラズらしいのかな?」とか迷っちゃうんですよね。ミイラズというバンドの立ち位置やメジャー2ndシングルというタイミングも含めて、これからどういうふうに売っていこうかと考えた時に「これだな」と思って迷わずに作れた。だからやっぱり、そういう要素は大事なんだなと思いましたね。

●ミイラズらしさが核になっている。

畠山:メジャーに移籍してみて僕がすごく思ったのは、「色んなアーティストがいる中でも、やっぱりミイラズにしかできないことってすごくあるんだな」ということで。言っちゃえば、「それ以外をやる必要はないな」と思ったんですよ。「色んな人に聴いてもらいたいから、あれもこれもやる」という考え方じゃなくて、「俺らはこれしかやらないから」っていう発想で今はいいんだなと。

●まずは自分たちらしさを貫こうと決めた。

畠山:それでどこまで行けるか、突き進んでみたいなと思ったんですよ。『We Are The Fuck’n World』や4thアルバム『言いたいことはなくなった』 の時には、自分の中で「もっと売っていかなきゃいけない」みたいな気持ちがちょっとあって。そこで「よりJ-POPを感じさせるものを作っていこう」っていう発想が、自分の中に強くあったんで。

●本当にやりたい音楽がそのまま売れるとは限らないわけですよね。

畠山:まぁやりたいことはやってるんですけど、極論を言っちゃえば、僕は「一生、アクモン(アークティック・モンキーズ)から影響を受けてます」っていうくらいの気持ちでやっているんです。でもやっぱりそれだと「オリジナリティがないよね」と言われたりもするし、自分でもそれだけだとつまらない部分が当然ある。そこで今のヒットチャートとかを見渡して、日本の音楽シーンを考えながら曲を作ろうともしたんですけど、そういう考え方が既に迷っているんだなと思う部分もあって。

●周りを意識し過ぎると、自分たちらしさが何なのかわからなくなる。

畠山:でも日本の音楽シーンでの自分たちの立ち位置を考えた時に、「ミイラズにしかできないことっていうのはこういうものなんだ」というのがわかってきて。それを迷わず提示して、リスナーにわからせるということをしないとダメだなというふうに最近すごく思ったんです。それは音源だけじゃなく、ライブやPVとかにも言えることで。これまで活動してきて答えがわかってきたので、今はもう迷わずにものが作れている感じですね。

●自分たちらしいものが何なのか見えたことで、確信を持って進めている。

畠山:今は「迷わず進んでいる」という感覚が一番大事だなと思っていて。このまま2〜3年進んでいけば、ある程度の結果は出るだろうし、出た結果に対しても不満はないと思うんです。今はそういう感覚があるので、すごく良い状態なんですよね。

●以前はまだ迷いがあった?

畠山:今までは「こういうことをやったら面白いんじゃないか」と思い浮かんでも、「でもな…」となってしまうことが多かったんです。でも今回「うるせー」のPVを自分たちで撮った時も、「メンバーが女子高生の格好をしたら面白いんじゃないか」っていう思いつきを実際にやれて。いわゆるイメージ通りのロックバンド的な感覚で「カッコ悪いことはしたくない」とか言う人たちだったら、そういうことはやらないじゃないですか?

●やらないでしょうね(笑)。

畠山:でも面白いことをやったほうが話題にもなるし、それによって自分たちが望む結果にもつながるかもしれない。ミイラズがやりたいことの中に「売れたい」というものがあるので、そこに矛盾がなくなるのはすごく良いことだと思うんです。

●自分たちがやりたいことをやりつつ、セールス的な結果も伴うのが理想ですよね。

畠山:やっぱり売れないと、音楽を続けられないから。「ちゃんと売れて、やりたいことを続けられるような環境を自分たちで手に入れないとダメなんだ」っていう発想で僕らはやっているんです。そういう面白いこともやりたいことの1つに入っているところが、ミイラズのすごく良いところだと思いますね。

●メジャーデビューしてからのPVも外部のプロが録ったものと、自分たちで録ったものを両方見せているというところがミイラズらしさじゃないかなと。

畠山:そこは自分がやりたいと思えるからやっていることだし、僕がやりたいと言った時にスタッフから「じゃあ、やろうか」と言ってもらえる今の環境がすごく良いんですよ。今回の「うるせー」のPVを自分たちで作ったことでも「日本でこういうことをやっているのはミイラズだけだ」ということをちゃんと提示したいし、逆に「僕らは」のPVみたいにちゃんとわかりやすいものを作って広げていくという作業も必要なんです。両方ともやりたいことだし、それがちゃんとやれているというのはすごく良い環境ですよね。

●そこを両立できるのも、ミイラズならではだと思います。

畠山:そうですね。バランスもちゃんと取れているので、本当にカッコ良いと思えることができているなっていうのはすごく感じています。

●「うるせー」のPVに関してもギャグと言えばギャグだけど、カッコ良く見えてしまうのがすごい。

畠山:やっぱり「クオリティの高い衣装じゃないと、ただのギャグになっちゃって逆に面白くないよね」という話はしていて。そこでスタッフがあの衣装を見つけてきてくれたんです。あの衣装だからギャグだけどカッコ良くも見えるし、なぜそういうことをやったのかとリスナーに考えさせるようなものにもなる。僕らがやりたいことをちゃんとやれるような環境に、周りがしてくれているところが本当に良いなと思いました。

●あの衣装を着ることに込めた意味もあったりする?

畠山:あの衣装は、本当に女性用なんですよ。それこそ今のアイドルの人たちがレンタルしているような、本格的な衣装を使っていて。最近のランキング上位のPVを見ていると、女の子が太ももを出した衣装を着ているようなものがすごく多いんですよね。同じ格好を自分たちがすることで「太ももを出したら売れるんでしょ?」みたいな冗談も言えるし、「こういう流行り廃り(に左右されるようなもの)だけで、本当に大丈夫なのか?」というちょっとした皮肉にもなる。

●今の音楽シーンに対する皮肉も込められている。

畠山:そういう皮肉やメッセージ性を感じる人もいれば、ただのギャグとして面白いなと思う人もいるだろうし、色んな気持ちが込められるので良いなと思いました。自分が表現したいPVとしての面白さもあるし、ミイラズとしてのユーモアもあるし、今の音楽シーンに対する皮肉のようなものも感じられるっていう。面白いPVになったなと思います。

●1つの解釈だけじゃなくて、人によって色んな解釈ができるものだから広がるんですよね。それが普遍的ということでもあって、歌詞に関しても「僕らは」に続いて「傷名」もそういうものになっていると思いました。

畠山:そうですね。「傷名」に関してはテーマとオチが先にあったので、そういう物語をどうやって描くかということをすごく考えて書いたんです。あと、「僕らは」ではできなかったことが1つあって。ちょっと真面目すぎるというか、ミイラズらしいユーモアのある歌詞が書けなかったんですよ。それは曲に合わせた結果なので構わないんですけど、ミイラズの良さとしてユーモアの部分を出したいなと思っていて。次のシングルではそういうものをやりたいなと思っていたので、それが今回はちゃんとできたなと。

●“暮らし安心”とか?

畠山:そうそう。“暮らし安心”とか完璧だなと思いました(笑)。

●しかも普通に流して聴いていると、早口なので細かいところまでは聞き取れなくて、ギャグだとは気付かなかったりも…(笑)。

畠山:そこは曲がもたらしている説得力みたいなところで、そういうふうに捉えられないようにわざとしている部分もあるんです。

●歌詞カードを見て初めてギャグだと気付く。

畠山:そこで「これってギャグなのかな? それともそうじゃないのかな?」って思わせるのが曲のすごさだと思うので。それこそ「僕らは」を作った時に、思ったことがあって。歌詞がすごく大事だと思って今までも活動してきたんですけど、曲に説得力がないと歌詞だけがすごく良くても説得力が全然ないんですよね。

●曲との相互作用で歌詞が説得力を持つというか。

畠山:色んな音楽を聴いていても、そう思うんですよね。みんなが同じようなメッセージを出しているわけじゃないですか? 特に“絆”なんていうテーマに関しては、今回は漢字を変えて違うように見せかけているけど、歌っている内容は結局おおまかに言えば他と同じようなことなんですよ。

●そこにどうやって説得力を持たせるかですよね。

畠山:説得力があるものというのはそこに真実がないと、僕は音楽として良いものとは思えないんです。それがただの言葉じゃなくて、“音楽”になっている理由だと思うから。音楽性にすごく助けられるようになっているんですよ。だから歌詞と音楽性がちゃんとマッチしているというか、矛盾していてもそれが逆にマッチしていたりもする。メッセージ性とかがちゃんとあれば、歌詞が嘘に聞こえないというか。そういうものを作るためには、曲とのバランスをちゃんと考えなきゃいけないんだなというのはすごく思いましたね。

●メッセージ性がある歌詞って曲調を間違えれば、説教臭くなるんですよね。

畠山:説教臭くなるし、全然伝わらなかったりもして。「何、このチャラい歌?」みたいなものになっても面白くないから。特にバンドでやることで説得力のあるものにはしやすいと思うので、そこは大事だなと今回すごく思いました。

●前作は「僕らは」と「気持ち悪りぃ」でミイラズの二面性を表現していたわけですが、今回の「傷名」と「うるせー」もそういう組み合わせになっている?

畠山:そうですね。ライブ音源の後編(M-4「LIVE TRACK from 7/16 代官山UNIT・後編」)をこっちに入れることが決まっていたので、商品パッケージとして2枚で対になるような作品にしたいねという話は最初からあったんです。だから、そこは狙ってやりましたね。

●カップリングに収録したM-3「I don't know」は?

畠山:前回の「E-miんの歌」に関しては移籍ということに合わせて入れたんですけど、今回のカップリング曲の「I don't know」に関してはせっかくだから前のツアーでやった曲を入れてあげて、お客さんに「この曲、聴いたことがあるな」と思ってもらえたらうれしいなということで入れました。この曲は『言いたいことはなくなった』の流れでできたんですけど、そのアルバムには入れられなかったのでシングルに入れようかなという感じでしたね。

●『言いたいことはなくなった』を作った時には、もうできていた?

畠山:ちょうど『言いたいことはなくなった』のレコーディングが終わった頃にできた曲なんですよ。そのアルバムを作ったからできた曲というか。そういう意味で1つの集大成だったし、結果的に僕はこの曲が一番好きになって。すごく良い曲だからリリースはしたいなとずっと思っていたんです。

●洋楽ロックのシングルで1曲目になっていてもおかしくないくらい、クオリティが高い曲だと思いました。

畠山:そうなんですよ。USインディーっぽい感じもすごくあるし、『僕らは〜』で初めてミイラズを聴いた人がこの曲を聴いたら「こんなこともできるんだ!」となると思うんですよね。そういう幅の広さもちゃんとわかるシングルだし、こういう洋楽を意識した音楽があるんだということをちゃんと提示できていると思うし、メジャーの1枚目から引き続いてミイラズというバンドがより深くわかるものになっていると思います。

●ここまでのシングル2枚で、ミイラズというバンドを表現できている。

畠山:ミイラズがやりたいことはもちろん、新しい音楽性とかもちゃんと出せていると思います。前作はやっぱりメジャーで1枚目のシングルということで“ミイラズらしさ”をいつもより意識していたんですけど、そこからすると今回は自由度が上がっているんじゃないかな。「もっとこういうことを表現したいな」というものをより強く出せていて、それがミイラズらしさにもつながっている。1枚目よりもミイラズらしく、でもやりたいことも詰め込めていて。2枚で対になってはいるけど、前作を買っていない人も楽しめて「良いな」と思ってもらえるものになりましたね。

Interview:IMAI

Vo./G.畠山承平による『傷名/うるせー』のセルフライナーノーツ

お昼の方はこんにちは、夜の方はこんばんわ。朝の方はおはようございます。ミイラズのボーカル畠山です。
今回はメジャー2ndシングル『傷名/うるせー』のセルフライナーノーツということですが、まずは曲が出来た経緯から。「傷名」は傷と名で、キズナって言葉になるなっていうのを思いついてそういうタイトルの曲を作ろうと結構前から考えていて2ndシングルのタイミングで作りました。絆っていうキーワードはミイラズだとちょっと歌いづらいテーマかなと感じていましたが、「傷名」という捻くれたタイトルならむしろミイラズらしいなと思えました。
「傷名」の他にもシングル候補はいくつかありましたが、「傷名」はミイラズにしか出来ない曲だな、ということでこれがシングルに決まりました。
「傷名」は1stシングル「僕らは」の続編のようなサウンドになっています。リズムはダブステップのような要素もありつつ、ミイラズらしいダークなリフと言葉数の多さ、2ndシングルでよりミイラズを知ってもらえる楽曲かなと思います。
テーマは絆なんですが、傷と名、というテーマから絆というテーマに向かって行くストーリーを楽しんでもらえたら嬉しいです。
こういう歌詞の書き方はあまりしないので、新しいミイラズの一面も見れるのではないでしょうか。
そして「うるせー」ですが、これは「うるせー」って普段叫べないけど、叫びたいよなーっていう人のために作った曲です。
ライブで「うるせー」って一緒に叫びましょう。そんな感じ。でも歌詞は反抗期の少年みたいに「うるせー」っていうんじゃなくて自分の心の葛藤が「うるせー」っていう歌詞なんです。そんな自分「うるせー」、みたいな。ポジティブな感じにまとまってます。
歌詞のパターンが何種類かあって、業界用語バージョンっていうのもありました。これはギャグばかりでけっこう好きでしたが、自らボツにしました。俺、偉い。サウンドは近年のカリフォルニアのインディーバンドサウンドって感じ。
そして「I don't know」。これは2012年3月のツアーからやっていた曲で、『言いたい事はなくなった』というアルバムの集大成のような楽曲です。夏っぽい。夏のための歌。冬のリリースなのに…。
そんな3曲のレコーディング。実は僕のお気に入りのビンテージギターアンプが壊れてしまって、悔しい思いをしました。
しかし、直前に買っていたマグナトーンというビンテージのギターアンプが大活躍しました。「うるせー」と「I don't know」のギターイメージはこのアンプで作られていますね。かなりかっこいいですよ。ぜひ堪能してほしいです。
そしてさらに、ライブ音源がこれまた大量に収録されています。これは1stシングルに収録されていた前編の続き。つまり後編になるわけです。
1stシングルと両方あわせてベスト盤、みたいになるのでぜひ2枚とも手に取ってほしいです。
この2ndシングルもミイラズというバンドがどういうバンドなのか、1stシングルより深く理解出来る1枚になっています。
最近知ったお客さんに優しい、そんなバンドっていうことでよろしくお願いします。

Vo./G.畠山承平

<収録内容>
01:傷名
02:うるせー
03:I don’t know
04:LIVE TRACK from 7/16 代官山UNIT・後編
(MCを含む代表曲を網羅したインディーLIVE BEST 全11曲)
・なんだっていい/////
・Make Some Noizeeeeeeeeeeee!!!!
・ハッピーアイスクリーム
・朝、目が覚めたら
・i want u
・TOP OF THE FUCK’N WORLD
・Let’s GO!
・ラストナンバー
・観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
・イフタム!ヤー!シムシム!
・ソシタラ〜人気名前ランキング2009、愛という名前は64位です〜

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