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THE NAMPA BOYS

自分たちにしか歌えない歌と、自分たちにしか鳴らせない音

DCIM100GOPRO昨年6月、シングル『プランジ』で華々しくデビューを果たし、続く7月にミニアルバム『froM』をリリースして一躍全国区となったTHE NAMPABOYS。その後、多数のイベントに出演するなど全国各地でライブを重ねてきたこの1年間は、決して順風満帆ではなかったという。もやもやとした霧の中で見つけた、自分たちにしか歌えない歌と、自分たちにしか鳴らせない音。ミニアルバム『バトルズ』は、闘う4人による、すべての闘う人に贈るロックンロールが詰まっている。

 

 

 

 

●シングル『プランジ』(2012年6月)とミニアルバム『froM』(2012年7月)をリリースしたデビューイヤーの2012年を経て、今年の夏はフェスにいくつか出演しましたが。

小林:“SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2013”がめちゃめちゃ楽しくて。フェスは基本的に好きなんですよ。自分がまだ子供の頃にテレビで観て憧れたのは、野外でライブをやっているバンドの姿なんです。今年の“SUMMER SONIC”も“SWEET LOVE SHOWER”もそうなんですけど、野外でやれたこと自体が嬉しかった。で、ステージで試しに訊いてみたんです。「THE NAMPA BOYSのライブ初めて観た人ー?」って。そしたら「ワーッ!」といっぱい手が挙がって。「ちょっとは気を使ってよ!」と思ったんですけど(笑)。

●ハハハ(笑)。

小林:でも初めて観る人がめっちゃ渦になって踊っている姿を見て、それが本当に嬉しかったんです。もちろん夏フェスだから基本的にみんな楽しいっていう前提があると思うんですけど、でもそれは自分たちの音楽で初めて勝ち取ったような光景だったので、感動したんです。

田中:“SWEET LOVE SHOWER”は夏の締め括りには最高すぎでしたね。今年は実生活で夏を感じることがほとんどなかったんですけど、“SWEET LOVE SHOWER”で「夏だー!」と感じて次の日に夏が終わる、みたいな。だから今年はいい夏でした。

澤柳:“SUMMER SONIC”と“SWEET LOVE SHOWER”の2日間以外は、今年の夏はずーっと今作のレコーディングしていたんですよ。だから頭の切り替えが大変だった(笑)。

後藤:夏らしい思い出はその2日間だったね。ここまで大きい規模のフェスに出演したのは今年が初めてで。フェスの一体感はすごいなって思いました。

●8月は今作の制作で忙しかったとのことですが、前作のリリースは昨年7月じゃないですか。結構期間が空いていると思うんですが…。

小林:ずっとインディーズバンドでやっていたところにドラマのオープニングテーマ描き下ろしの話を頂いて、その流れで昨年6月にシングルでデビューさせていただいたんです。その後に出したミニアルバム『froM』の6曲は、とにかく集中して、そのときは次の作品のことなんて考えていなかったんですよ。昨年7月に『froM』を出して、取材も初めて経験して、余韻が去年の9月くらいまで残っていたんです。“もしかしたら俺ら人気バンドなのか?”みたいな。

●ちょっと調子に乗っちゃった?

小林:そうですね(笑)。で、しばらくして“次の作品をどうしよう?”と考えたとき、自分で納得のいく答えを出せなかったんです。曲も作ったんですけど、不完全燃焼というか、自分の中でモヤモヤしているものがあって。

●そのモヤモヤは、具体的にはどういうものなんですか?

小林:新しい曲を作ったときに、全部『froM』と比較しちゃうというか。歌詞を書いたとしても、“もっといい言葉があるんじゃないかな”と思って紙をクシャクシャにして捨てちゃうというか、なんか煮え切らない感じが2013年に入っても続いていたんです。その間、全国をまわってのライブは続いていたんですよ。そこで新曲を演ったりもしていたんですけど、自分自身があまりグッとこないなと思っていて。

●ふむふむ。

小林:本来は、今作は今年の4月にリリースする予定だったんです。そこでなんとなく…本当に「なんとなく」っていう言葉がぴったりなんですけど…なんとなく“これでいこう”という6曲が出来ていて、それで制作は進んでいたんですけど、俺が「申し訳ないですけど、もう1回イチからやり直したい」という話をして。その悔しさみたいなものが存分に詰めたのが、M-1「MAKEINU SONG」なんです。「MAKEINU SONG」ができて、そこからは“もう自分を信じてやるしかない”と思って制作はスムーズに進んだんですけど。

●その6曲は、自分的にグッとくるものがなかった?

小林:本当に、なんとなく歌っているんです。言いたいことはあるんですけど、それよりも、“伝わるか/伝わらないか”を基準にしていたというか。訴えようとしている感じがなくて、なんとなく言葉を選んで、お利口な感じで綺麗にまとめていたんです。でも、もっと吐露したい。吐き出したい。例えば「戦争は反対だ」と思っていて「戦争反対!」と歌うのは違うと思うんです。ロックバンドなりの言い回しというか、小林聡里なりの言い方がなきゃダメだなと。

●なるほど。

小林:「MAKEINU SONG」なんかは、今までの曲と比べたらかなりシンプルなんです。でもちゃんと言葉を乗せたらすごく響くものになって、“あまり難しくまとめようとしなくていいんじゃないかな”って思ったんです。それですごく楽になったというか。

●「MAKEINU SONG」を初めて聴いたとき“これ本当に20歳のバンドか?”とびっくりしたんですけど(笑)、心の奥底の感情をぶちまけたんですね。

小林:夜、自分の部屋で曲を作ろうと思って、覚えたてのお酒を飲みながらギターを弾いていたんです。でもいい歌詞が出てこなくてもやもやしたままで。そんなことをずっとやっていたら朝になってしまって、もやもやが残ったままバイトにいかなきゃとか、会社に行って打ち合わせしなきゃとか、スタジオで練習しなきゃとか…毎日いろんな闘いが続いていくんですよね。そこで“まだ俺はやんなきゃいけない”っていう、音楽に対してポジティブな気持ちになれて、その気持ちをそのまま出した曲なんです。それはもしかしたら“ポジティブ”ではないのかもしれないけど…。

●ちょっと意地に近いというか。

小林:そうですね。意地もあるし、音楽と向き合いたいっていう気持ちを自分自身が認めてあげて、“まだやれるからがんばれ!”って自分を鼓舞しているような気もするし。今は感情を吐き出してまだ熱いままなので、5年後10年後にこの曲がどのようになっていくかはまだ自分自身わかんないです。ただ、その震わせた気持ちを曲に吐き出せたっていうのが、事実としてすごく嬉しかった。そういう作品が今回出来上がったというのは、今後のTHE NAMPA BOYSにどう影響していくか? というところが自分自身楽しみなんです。

●うんうん。

小林:『froM』からしたら「THE NAMPA BOYSどうしちゃったの?」と思う人も中には居るかもしれないけど、20歳になったTHE NAMPA BOYSはちょっと違うぞっていうところで今はやっていこうかなと。

●「MAKEINU SONG」のように、生々しい感情を出す感覚の曲は今までもあったんですか?

小林:なかったですね。泥臭いですし、メロディと歌詞がすんなり入ってくる感じの曲になって。俺はもともと、ちょっと考えさせるようなものが好きだったんですけど、もっと簡単で、楽しいことを自分の言い方で出した方がいいんじゃないかなって思えたのが「MAKEINU SONG」なんです。“この曲いいと思われるかな?”とか迷いながら出すんじゃなくて、自分ですんなり納得して“とにかくいいから聴いとけ!”って出せる感覚は初めてだったんです。

●熟考して出したわけじゃなくて、自分の感覚や直感に近いというか。

小林:そうですね。きっと音楽理論的に「ここどうなの?」という部分は多々あると思うんです。ただ、だからこそ感情に訴えかける部分もきっとあると思うし。いちばん自分たちがかっこいいと思うのはどこなのかな? と探しながらやっていって。だからレコーディングもほぼそんな感じだったよね?

澤柳:うん。

小林:「こっちの方がかっこいいからとりあえずやってみよう」って。難しいことを考えるのも好きですけど、今回の作品はそういうことを歌いたいんじゃない。もっと直情的な気持ちを吐き出すっていうところがいちばん大事だと思ったんです。

●完全にバンドがシフトしたわけではなく、今回歌いたいことが直情的なものだった。

小林:そうですね。『バトルズ』は、闘っているTHE NAMPA BOYSを表現したので、闘っている人に聴いてもらいたいと思ったんです。自分たちの闘いというのは、音楽的なところじゃなくて精神的なところにあるんだぞって。精神的に闘って、「大丈夫だ!」と言えちゃう不敵さというか。

●それってライブの価値観に近いですよね。例え演奏が完璧じゃなくても、精神的に訴えてくるライブは観ている側もグッと惹き込まれる。

小林:そうですね。“SWEET LOVE SHOWER”の話をしましたけど、決していい演奏と言えるライブではなかったんです。俺もギターをバーン! とやっちゃったし、放送に耐えられるものかどうかはわからない(笑)。でも自分たちが求めているのはそういうところではなくて、いちばんはみんなが楽しく手を挙げて、笑顔でライブを観てくれる…そういうことだと俺は思ったんです。『froM』を出して1年間全国をまわってきて、空回りしたライブもいっぱいあったんです。そこでバンドとしても“どうしよう?”と悩んだし、メンバーの中で俺がいちばん「もっと上手く」とか「もっと完璧なライブしてよ」って、自分は全然完璧なライブしてないのにメンバーに対して思ってました(笑)。でも色々と経験して、“ライブが楽しいのは完璧な演奏しているバンドなのか?”って。“そこじゃないだろ”っていう発想になってきて。

●うんうん。

小林:何を美しいと感じるか? というところだと思うんです。俺たちがかっこつけて演奏して、ライブが終わったら「バイバイ」ってステージを去ってもかっこよくないんですよね。

●そうですね…とは言えないけど(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

小林:そういうことに向いている人は全然いいと思うんです。でもこんなに田舎のずんぐりむっくりがかっこつけても、お笑いにしかならないんですよ。だったら「うるせぇ! 俺たちが負け犬だろうがなんだろうが笑うんじゃねぇ!」って吠えてる方が絶対に楽しいと思うんです。笑えるんじゃなくて楽しいだろうし、俺も実際にずっとそういう想いを抱えてバンドをやってきたし。きっと、俺はずっと抱えていた想いを吐き出したかったんですよね。“マイナスをプラスに”っていうのが、俺の歌の大きなテーマとしてあるんです。

●そうそう。マイナスをプラスに変換している曲が多い。暗闇から光を見ているというか。

小林:生きていたらほとんどがマイナスだと思うんです。楽しいことってあまりないじゃないですか。俺だったら、普通に生活して“バイトめんどくせぇな”と思いながら、でもライブは楽しくて。そのライブで「バイトがめんどくさい」ということを歌ってたとしたら、“バイトめんどくせぇ”という俺のマイナスの気持ちを吐き出すことによって、誰かがプラスになりますよね。

●確かに。

小林:それがいちばん大事というか。それが自分にしかできないことなのかなって。

interview:Takeshi.Yamanaka

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