音楽メディア・フリーマガジン

THE PINBALLS

溢れる創意を描き出すガレージロックの超新星

The WhoやThe Rolling Stonesに代表されるブリティッシュ・インヴェイジョンの系譜を組む4人組ガレージロックバンド、THE PINBALLS。タワーレコード主催のオーディションで1位に選ばれ、今年3月にシングルを発売した彼らが初のミニアルバムをリリースする。荒々しくも歌心溢れるボーカルとライブで磨いてきた王道ロックサウンドが詰まった今作から、4人がその名を全国に轟かせていく。

Interview

●今年3月にシングル『アンテナ』をリリースした時には新曲をすぐにやりたくなるという話がありましたが、今回も新しい曲が多い?

古川:今回のリード曲になっているM-2「十匹の熊(テンベア)」は前回のインタビューを受けた頃に、ちょうど作っていて。この曲とM-4「yeah yeah yeah」が新しく作った曲で、あとはライブでもよくやっている曲ですね。

●ライブで磨いてきた曲も入っている。

古川:特にM-1「I know you」は、今までにライブですごくやってきている曲なんです。初めて聴いてもらう人を想定した時に、これが一番自信を持って出せるかなと思ったので1曲目にしました。みんな一緒に"せーの"で一発録りしたので、勢いがあってライブ感が出ているのも良いかなと。この4人で最初に音を出した時の気持ちから、一番ブレていない感覚もあると思います。

●次の「十匹の熊(テンベア)」はどんな意味?

古川:映画に出てくるインディアンの名前が、"テンベア"だったところから取ったんです。M-3「サイコ」も同名の映画から取ったんですけど、歌詞のインスピレーションは映画から受けることが多いんですよ。この曲では、自分の中に湧き出るインスピレーションを"十匹の熊"と捉えていて。

●インスピレーションを熊に例えている?

古川:凶暴な部分もあったりすると思うんですよね。"自分の中からどんどん出てくるインスピレーションを隠すんじゃないよ。人に笑われちゃうかもしれないけど、凶暴な化け物みたいに隠すんじゃなくて、出していこう"っていう歌詞ですね。

●中屋くんの中にも"十匹の熊"がいたりする?

中屋:いや、一匹もいないです。

古川:いるって! (笑)。彼の中に一番います。

森下:この曲を録っている時にドラムの石原くんが悪ふざけしていたので、それに対する"こいつー"みたいなものが僕のプレイには出ていると思いますけどね(笑)。

●石原くんへの怒りが凶暴なプレイに出ている(笑)。

石原:特に何もやっていないと思うんだけど…。

森下:こういうところに対して湧き出る想いです(笑)。

●自分では気付いていない(笑)。以前にM-6「アンテナ」は右脳的な曲だと話されていましたが、感覚派の石原くんはそれを象徴している?

石原:僕は右脳200%かもしれないです(笑)。

古川:メンバーにアレンジを考えてもらう時はイメージも簡単に伝えるんですけど、あまり具体的には言っていなくて。基本的にそれぞれの感覚に任せているんですよ。中屋はレコーディング本番まで毎回違うと言ってもいいくらいフレーズを変えるんですけど、こっちが「今の良いね!」と言っても本人は覚えていなくて(笑)。そういう意味では彼が一番、感覚派なのかもしれないです。

中屋:自分では結構、考えているつもりですけどね。彼(石原)と一緒にはしないで欲しい。

一同:(爆笑)。

●「yeah yeah yeah」も感覚的な感じ?

古川:この曲はとにかく楽しい雰囲気が出ればいいと思って、クレイジーなくらいの勢いで録ったんですよ。

森下:普段は色んなことを僕は考えてしまうんですけど、この曲は弾いた感じが気持ち良ければいいと思って録りましたね。

中屋:録るまでに時間もなかったので、あまり詰めずにやったことが良い方向に出たんじゃないかな。

石原:考えても何も良いことはないですからね。この曲は僕が得意な感じでした(笑)。

●(笑)。M-5「タバコ」はルーズな感じが今作の中ではちょっと異色な気がします。

古川:これは中屋が書いた曲なんですよ。曲を聴いた時にちょっと暗い感じがあって閉塞感みたいなものを感じたので、"今いるところから逃げ出したい"っていうイメージで歌詞を書きました。中屋はいっぱい曲を書いているんですけど、なかなか聴かせてはくれなくて。

中屋:僕の中では"THE PINBALLS"というイメージがすごくハッキリあるので、自分が書く曲はそれとはあまり合わないと思うんですよ。

古川:でも逆に、この曲は今作の中に入れると良い感じで浮きそうだなと思って収録しました。

●ラストのM-7「ニューイングランドの王たち」はどういう意味を込めているんですか?

古川:ある映画の中に「おやすみ」を言う時にこの言葉を唱えて、子どもたちを寝かせる医者が登場するんです。ニューイングランドの家庭では子どもたちを本当に大事にしているから、"おまえたちは王様にでもなれるくらい、未来は輝いている"という意味で言っているんだと思うんですよ。それがとても素敵なことだなと思ったので、自分の中では"おやすみ"という意味でこのタイトルにしました。みんなに聴きながら眠って欲しいっていう、子守歌みたいな曲ですね。

●アルバムタイトル『ten bear(s)』の"(s)"の意味が気になるんですが…。

古川:今回は自分のインスピレーションを熊に例えているんですけど、"ten"というのは単にたくさんあるということの例えなんですよ。インスピレーションの1つ1つが単体であって、それは数えることができないという意味で"(s)"にしたんです。見た目にインパクトも出るし、"どういう意味なんだろう?"と思って引っ掛かって欲しいんですよね。そこからコミュニケーションも生まれると思うから、…よくぞ訊いてくれました(笑)。

●(笑)。自信作ができたという気持ちはある?

古川:最初からミニアルバムにしようと決めていたわけではないんですけど、自信がある曲だけを入れたらこの7曲になったんですよ。今のベストを尽くした結果が、今作ということです。このレコーディングを終えてから初めてのツアーに出たりして前よりも成長していると思うんで、また今作のツアーへも最新の姿を見に来て欲しいですね。

Interview:IMAI

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