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何処までも続く希望の光と絶望の闇を見つめ、辿り着いた10年目の1stフルアルバム

AP_waterweedwaterweedが2003年の結成から10年目にして初となる、1stフルアルバム『CICADA』を完成させた。まだメロディック全盛の時代から、ポスト・ハードコアを通過したサウンドで強烈な存在感を放っていた彼ら。だが大幅なメンバーチェンジに伴い約2年の活動休止期間を経るなど、その歩みは苦難に満ちている。そんな数々の挫折も全て乗り越えて、彼らはここに辿り着いたのだ。タイトルの“蝉”という意味を体現するかのように長い年月にわたって地下で研ぎ澄まされてきた音と想いは今、他の誰にも真似できない道筋を地上に切り開こうとしている。

 

 

「まだここで終わるわけにはいかないし、今まで共に進んできた仲間やお客さんたちと一緒にこれからも前に進みたいという気持ちが怒りを消していった」

●2003年に結成して以来、大幅なメンバーチェンジを経験してきたそうですが…。

Ohga:自分以外の全メンバーが入れ替わっています。まず2008年に2人脱退して、残った2人で新しいメンバーを探して。新しいギターとドラムを見つけてきたタイミングで音楽性も変えようということでベースを入れて、自分はピンボーカルになりました。でもそのメンバーでいざライブをやろうという時に、自分以外のメンバーが全員抜けてしまったんですよ。そこで1人になって、新たに集めたのが今のメンバーですね。

●壮絶にメンバーが入れ替わっているんですね…。

Ohga:今や抜けたメンバーだけで野球チームを作れるくらいになっています(笑)。

●ハハハ(笑)。そんなメンバーチェンジの過程で、音楽性も変わっていったと。

Ohga:初期はもっとメタリックでしたね。曲ももっと速くて、メタルコア的な要素が強かったというか。

●今作『CICADA』はハードコア色が強いですよね?

Ohga:そうなんですよ。ハードコアになっちゃったんです(笑)。

●それは意図的にそうしたんですか?

Ohga:ある時期からメタルコア的な音のバンドがメチャクチャ増えてきたんですよね。自分たちが新たに動き始めるという時に、似たようなバンドがいっぱいいるのは面白くないなと思って。

●他がやっていない音をやりたかった。

Ohga:そこでもっと面白いことをしたいと思った時に、ベースボーカルよりはピンボーカルのほうが自由が利くんじゃないかなということで実験的にベースを入れて、ピンボーカルでやってみたんですよ。でも実際にやってみたらメチャクチャ難しくて、どうしたらいいのか死ぬほど悩んでいる期間があったんです。そうしている内にベースが抜けることになって、とりあえずまたベースボーカルでやろうと。その時期から方向性が定まり始めて、今のサウンドが固まってきた感じですね。

●ある意味で初期のサウンドは後に来るメタルコアのブームを先取りしていたわけで、そのままの方向性で活動していればもっと早くオーバーグラウンドに浮上していたかもしれないのでは…?

Ohga:ただ、その頃の俺はヒネクレ小僧だったので、そうなりたいという意識はなかったんですよ。それこそ「オーバーグラウンドなんて…、俺たちはアングラだぜ」とか言う、ちょっと生意気なガキだったと思うんです(笑)。今はもうオーバーグラウンドもアンダーグラウンドも垣根なくやっているつもりなんですけどね。

●初期は自分たちがアンダーグラウンドなことをしていると思っていた?

Ohga:そういう意識はあったと思います。「別に売れなくてもいいし」みたいな気持ちがあったと思うんですよ。ライブのスタイルも自己満足だけの、投げっぱなしの感じでやっていて。でも今はライブのスタイルも変わったし、ライブに向かう意識も変わったので、その頃よりも芯のある活動ができているんじゃないかなと。

●そこの意識変化には何かキッカケがあった?

Ohga:しばらく活動を続けていく中で、オーバーグラウンドなバンドやイベントとも絡んだりして。そこで「やっている場所がどこかは問題じゃないな」という意識に変わっていったんです。たとえばZeppでやっているバンドがダサくて、すごく狭くて汚いハコでやっているバンドがカッコ良いとか、そういう考え方じゃなくなった。どこでやっていようがカッコ良いバンドはカッコ良いし、自分たちの芯がないバンドはどこにいてもカッコ良くないわけで。昔よりも、もっとバンドをやる上でのマインドを大事にするようになりましたね。

●そういうところが曲や歌詞にも出ている?

Ohga:昔の曲は、原動力に“怒り”しかなかったんですよね。でも色んな人と出会って話したりする中でマインドも変わってきて、もっと違うものが原動力になる割合が増えてきたんですよ。たとえば結成から10年経っても同じバンドで歌えていることに関しての感謝の気持だったりとか、ポジティブなものが増えていった。まだここで終わるわけにはいかないし、今まで共に進んできた仲間やお客さんたちと一緒にこれからも前に進みたいという気持ちが怒りを消していったんです。だから、今作には怒っている曲がほとんど入っていなくて。

●でもM-9「Dead Joke」だけは、強い怒りを感じます。これはDJに向けた曲でしょうか?

Ohga:そうなんです…すいません。バレました? あんまりわからないようにしようと思ったんですけどね(笑)。正直、この頃にすごくムカつくDJがいまして…。

●ハハハ(笑)。明らかに特定の誰かに向けられている歌詞ですよね(笑)。

Ohga:もう本当にムカついたんですよ。それ以外のDJの皆さんには全く文句も悪意もないんですけど、そいつだけがもう…すいません(笑)。

●そういう原動力の面では異なりつつ、歌詞に込めたメッセージ性の強さは昔から変わらない部分では?

Ohga:歌詞はすごく大事にしていますね。今まではアンダーグラウンドと呼ばれる場所でやることが多かったので、そこで活動するバンドから受けた刺激が主に歌詞には出ていて。ハードコアバンドは歌詞が命だと思っているので、これからもそういう感じにはなっていくと思います。

●今回初めて日本語詞を取り入れたのも、そういった想いの現れかなと。

Ohga:自分は洋楽を聴いて育ってきているので(日本語で歌うことが)照れくさい部分もあるし、最初は「どうなるのかな?」という感じでしたね。でも英語が喋れるわけでもないので、やっぱり日本語じゃないと表現できない部分というのが出てくるんですよ。そこで今回は日本語詞に挑戦してみたんですけど、自分の中では違和感なく言いたいことが言えたと思っています。

●今回の歌詞は、自分に対して奮い立たせるような言葉が多いですよね。

Ohga:自分ができていないことを他人には言えないので、まず自分が変わらないといけないなという気持ちがあって。別に説教臭いことを言うつもりはなくて、単に「俺はこうしていきたい」ということを歌詞で伝えているだけなんです。そういうことを他の人たちはあまり歌わなくなってきている気がするし、自分たちは歌詞で奮い立たせることのできる音楽を作っているつもりなので何よりもそこを伝えたいというか。音だけじゃないということをわかってもらいたいし、そういう歌詞になっていると思います。

●別にバンドをやっていなくても同じような気持ちを抱いている人はいるでしょうし、そういう人が奮い立たされる歌詞になっていると思います。

Ohga:“奮い立たせる”という表現が、自分はすごく好きなんです。ライブで何を言っているかは聞き取れなくても、その姿を観て毛穴から熱い何かが湧き出てくるような感じというか…。そういうパッションを持った音楽がすごく好きなんですよね。それを感じさせるのは、やっぱり日本語で歌っているハードコアのバンドが多くて。彼らの何に奮い立たされているかというとやっぱり音に乗る言葉だったり、その人間自体のカッコ良さだったりする。マンパワーみたいなものに今までやられてきたので自分ももっと人間としての力を付けて、そういう存在になりたいと思っています。

●自分がその時に抱いている想いを最も表現できるサウンドを選んだ結果、今回はハードコア色が強くなったということなのかなと。だから今後も人間的な成長と共に、音も変わっていくんでしょうね。

Ohga:そうだと思います。俺は今のメンバーがすごく好きなので一緒にやっていることがメチャクチャ楽しくて、これからも一緒にやっていきたいと思っているんです。だからたとえばドラムが「8ビートだけの曲をやりたい」と言ったとしたら、俺はたぶん作っちゃうんですよ。今この4人でやりたい音をやりたいから。でもそんなことは絶対に言わないですけどね(笑)。

●メンバーを本当に信頼しているからこそ、そういうスタンスになれる。

Ohga:メンバー全員が完璧じゃないし、ダメなところも知っているんです。でもダメなところがかわいかったりもして…っていう子どもたちを見守る親父みたいな心境ですね(笑)。

●そんな心境になれるのもここまでの歴史があるからこそだと思うんですが、MVにもなっているM-3「10 years」は結成してからの10年を意味しているんでしょうか?

Ohga:自分たちの10年という意味もありますね。でも元々の意味で言うと、大阪に新神楽というクソ汚くて狭いライブハウスがあって、自分たちはそこでずっと活動してきたというところからなんです。新神楽もできてから10年くらいになるので、同じくらいの期間を共に過ごしてきて。そこでの活動が俺らの10年間そのもので、そこでやってきたことが今のwaterweedを形作っている。最初は新神楽について書いたつもりが、自分のバンドのことにもつながっていたという感じですね。

●今の心境を映した歌詞というか。

Ohga:こういうことがやっと書けるようになったんですよ。メンバー同士の仲や今の自分が置かれている環境がすごく良いので、そういったポジティブなこともスラスラと書けるようになったんでしょうね。自信を持って言えることしか書いていないし、今の自分に書ける歌詞を嘘偽りなく書いた感じです。

●ラストのM-14「Destination」は全日本語詞の上に、ダークでスローテンポな曲調も異色かなと。

Ohga:昔は速い曲が好きだったんですけど、今は遅い曲の良さもわかっているから。昔はわからなかった日本語の良さもわかっているし、それを表現できるように成長もできた。今作で一番挑戦的な曲なんですけど、こんなに暗くてゆっくりした曲でも俺の中ではポジティブな意味で作っていて。「Destination」は“目的地”みたいな意味なんですけど、それがなくなってしまうことが俺は一番怖いんです。ずっと追いかけ続けたいし、満足したくない。“何処までも続くように”という意味を込めて、このタイトルにしました。

●そういう想いがあるから、ラストに持ってきた?

Ohga:そうですね。満を持しての1stフルアルバムですけど、最後にこの曲を持ってくることで「これで終わりじゃない」という意味を強調したくて。

●“何処までも続け”ということを“希望の光”だけじゃなくて、“絶望の闇”に対しても歌っているのがwaterweedらしさなのかなと。

Ohga:たとえば「メンバーがみんな抜けちゃったよ…」という時の想いのほうが、自分にとっては原動力になっているので。もちろん「今後こういう面白いことをしたいな」っていう希望は持ち続けているんですけど、そんなに上手くいくことばかりじゃないのもわかっている。これからもどんどん挫折したいし、それを乗り越えていきたいなと思っていて。今まで苦しいことがいっぱいあったおかげで今があるのはわかっているから、いくらでも苦しい想いをしたいくらいの気持ちなんです。

Interview:IMAI

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