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YAZAWA ACROSS THE GENERATION

JUNGLE☆LIFE編集部4人による『Last Song』クロスレビュー 20代・30代・40代・50代の各世代にその音はどう響いたのか?

収録曲:
M-1. IT'S UP TO YOU! (作詞:馬渕太成 作曲:矢沢永吉)
M-2. 翼を広げて (作詞:馬渕太成 作曲:矢沢永吉)
M-3. 夢がひとつ (作詞:Ginger 作曲:矢沢永吉)
M-4. BUDDY (作詞:馬渕太成 作曲:矢沢永吉)
M-5. パニック (作詞:加藤ひさし 作曲:矢沢永吉)
M-6. 「あ.な.た...。」 (作詞:Ginger 作曲:矢沢永吉)
M-7. JAMMIN’ ALL NIGHT (作詞:小鹿 涼 作曲:矢沢永吉)
M-8. Mr.ビビルラッシー (作詞:加藤ひさし 作曲:矢沢永吉)
M-9. 吠えろこの街に (作詞:馬渕太成 作曲:矢沢永吉)
M-10. サンキューMy Lady (作詞:馬渕太成 作曲:矢沢永吉)
M-11. LAST SONG (作詞:山川啓介 作曲:矢沢永吉)

1. 50代 / 人と音楽に対して、深い愛情で綴られた矢沢の心象風景

矢沢永吉デビュー40周年の大きな節目にあたる今作は、タイトルの示すとおりの作品に仕上がっている。『Last Song』。そう矢沢にとってのラストソングは、全編に“愛”と“哀愁“と彼なりの“けじめ”が刻み込まれている。サウンド面では僕の勝手な見解だが、無駄なものをいっさい入れない工夫がされているような気がした、それゆえに矢沢のボーカルがいやおうなしに響いてくる。唄の原点を探った時に、行き着く先は、きっとシンプルな声の説得力だと言わんばかりに。1曲目の「IT'S UP TO YOU!」で、これまでの生き様を確認。次へのステップを宣言し、最後の「LAST SONG」では、少年の日の矢沢が、今の矢沢に叫ぶ! “旅をつづけろ”と。2曲目から10曲目までは実にバラエティに富んだ矢沢独自の楽曲が並ぶ。個人的には4曲目の「BUDDY」で泣いた。いや自然に涙が出た。同じバンド経験者として、人を信じる事が“当たり前”だと感じられる一人の人間として。矢沢永吉の心の叫びが、僕とシンクロした。最後に『Last Song』のメッセージとは、“まだ歌えない My Last Song”このワードにすべてが集約されている。

JUNGLE☆LIFE 発行人 平井孝明(PJ)

2. 40代 / 歌に込められた感情の鮮度と純粋性にハッとさせられる

まず驚いたのは、すべての音が優しくて綺麗なこと。バラードはもちろん、激しくて尖ったロックンロールな曲も、ヴォリュームを最大にして聴きたくなる。無駄な音はいっさいなく、とてもシンプルで、でもそのひとつひとつに強烈な説得力がある。早い段階から海外で活動/制作を行い、世界標準の人たちから彼が貪欲に吸収してきたもののひとつは、この“音の秘密”なのではないだろうか。
そして絶対的な存在感を放ち続けるのは矢沢永吉の歌。まるでその場でその瞬間に発せられたような瑞々しさを放ちながら、独特の歌いまわしで飛び込んでくる言葉たち。歌に込められた感情の鮮度と純粋性にハッとさせられる。
おそらく彼はずっと孤独だったのだろう。そしておそらく彼は、40年間ずっと諦めていないのだろう。今作はゴールではなく、偉大なアーティストによる40年目のアルバムというだけのこと。アルバム最後に収録されている「LAST SONG」を聴いて、彼が40年もの間、第一線でロックを鳴らし続けてきた理由と、“ロック”というもの、そして矢沢永吉というアーティストの本質を少しだけ理解できたような気がする。

JUNGLE☆LIFE 編集長 山中毅

3. 30代 / 思い出せ、“いのち賭けてもいいほど 美しい何かを”

“ホントはもう気付いて いるんだろう 時代のせいばかりじゃ 無いことを” そんな歌い出しに、思わずドキッとさせられた。それは今の社会状況に蔓延する空気の核心を突く一言ではないか。不況、就職難、政治不信…数え上げればキリのない閉塞状況の全てをどこか他人のせいにして、目を逸らし続ける人々。そこに“オマエはどうなんだい?”と矢沢永吉は投げかける。冒頭のフレーズから始まる1曲目「IT'S UP TOU YOU!」のタイトル通り、「オマエ次第だ!」と。40周年の節目に放たれる『Last Song』という意味深なタイトルのニューアルバム。もしかしたら…などという安直な考えを一瞬で吹き飛ばすだけでなく、逆に聴く側にハッパをかけるような作品だと感じた。“心がまた疼く ふざけんなって吠えてみろ”と歌うM-9「吠えろこの街に」。心の奥底から湧き上がるような衝動や熱情を、誰もが人生で一度は体験したことがあるだろう。思い出せ、“いのち賭けてもいいほど 美しい何かを”(M-11「LAST SONG」)。40年間の長きに渡り磨き続けてきた男の“歌”は、どんな言葉もリアルに響かせる。そして我々に生きる意味を問いかけ、再び奮い立たせるのだ。

JUNGLE☆LIFE 副編集長 IMAI

4. 20代 / 平成生まれのライブ狂いも魅了する“スター”のオーラ

矢沢永吉といえば、字面を見るだけでも威厳を感じてしまう。しかしながら、平成生まれの私が彼の作品をフルで聴くのはこれが初めて。“いきなり40周年という節目の大作に触れるだなんて…!”と恐縮するとともに、内心では“ギラギラした曲ばっかりちゃうの? 11曲も連続して聴けるか不安やわあ”なんて思っていた。
とにかく再生してみると、ジャキジャキと鳴らされるギターと熱気を感じる8ビート。出ました、イメージ通りのロックンロールナンバー。しかし、親しみやすい爽快なチューンや歌謡曲テイストなミドルチューンと、次々に色を変えていく。M-11「LAST SONG」なんて、思わず「あらら? これが矢沢永吉?」と驚いてしまうほど。夕暮れの穏やかな川を思わせるメロディアスなバラードで、じっくり聴いているとせせらぎの音さえ聞こえてきた。…入り込みすぎである。
バラエティー豊富で最後まで飽きさせないアルバム構成に加えて、どの楽曲からも“スター”のオーラがプンプン漂っている。ライブハウスでのライブが大好きな私だけれど、“これは広大な日産スタジアムで映えるだろうなあ”と、彼のステージにも興味が湧いてきたのだった。

JUNGLE☆LIFE スタッフ ヒラセメグミ

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