全国15万部を誇る日本最大級のミュージックフリーマガジン on Web!!

twitter instagram

yEAN

その音は感情の起伏に共鳴して増幅する

 叙情的なサウンドと多彩なコーラスワーク、ダンサブルなビートとポピュラリティのあるメロディ、詩的に視点を切り取った記号的な歌詞を併せ持つyEAN(ヤーン)。

誰かひとりが欠けたら成し得ない到達点で鳴らされるその音楽は、僕らの感情の起伏に共鳴して増幅する。破壊力を持つステージングでそのライブも話題となっている彼らが、遂にデビュー作となるミニアルバム『4C』を気鋭のインディーレーベルactwiseからリリース。バンドの結成から現在までを訊いた。

Interview

●yEANは2010年に結成したとのことですが、なぜこの4人が集まったんですか?

サナキ:僕とイイヅカさんは以前千葉でスクリーモバンドを組んでいたんですけど、タケイはそのサポートドラムだったんですよ。そのバンドが解散したとき、タケイから「新しいバンドをやろうよ」と誘われて。ベースがいないかったんですけど、タケイが大学のサークルの後輩だったミサキを連れてきたんです。

タケイ:自分が曲を作るバンドをやりたかったんですよね。それまでは作るけどなかなかできなかったんです。誘われてバンドに入ったり、サポートで叩くことも多くて。でも思い切って自分でバンドをやろうと思って、ダンスバンドを組もうということで始めたのがyEANです。踊りたかったんですよね。家でもよく踊っているので。

サナキ:嘘つけ(笑)。

●ミサキさんはそれまで何をしていたんですか?

ミサキ:サポートでベースを弾いていたことが少しありましたけど、それ以外は大学のサークルでコピーバンドをやる程度でした。でもやっぱりバンドがやりたくて。

●曲はタケイさんとミサキさんが書くということですが、どうやって作っているんですか?

ミサキ:私は歌のメロディと歌詞をまず書きます。最初に歌が付くようなコードを付けるんですけど、なかなか上手くいかないから、サナキさんやタケイさんがアレンジしてくれます。

サナキ:タケイさんが持ってくる曲はけっこう形になっているものが多いので、バンドで合わせたときにガラッと変える必要はないんですよ。でもミサキちゃんが持ってくる曲は…「よくそのリフを思い付くね」っていう(笑)。

●ベタなものを持ってくるということ?

サナキ:そうです。「完全に◯◯じゃん!」みたいな(笑)。

●それは変えざるを得ないですね(笑)。

サナキ:だから良さだけを残しつつ、ガラッと変えたものの上にメロディを乗せる。ということを、1曲につき何パターンかずつ作っています。完全に僕の気分なんですけど、飽きたら次のアレンジにして、その中でいちばんしっくりきたものを採用する。

●曲は2人が作るけど、アレンジはサナキさんが担っていると。

ミサキ:断然サナキさんです。

●今日の取材には来られなかったイイヅカさんは?

サナキ:運転担当です(笑)。車を持っているので。

タケイ:あと家ですね。家も提供してくれています(笑)。

●え? 家?

タケイ:サナキが一緒に住んでいるんですよ。

サナキ:居候ですね。今は千葉で一軒家の借家に住んでいます。

●話が逸れることを恐れずに訊きますけど、なぜ居候してるんですか?

タケイ:最初は六畳一間みたいな普通のひとり暮らしの中に居候で入っていったんですよ。かれこれもう3年くらい一緒に住んでいます。イイヅカさんがちょうど家を空けていたことがあって。

●もう全然話が見えなくなってきた(笑)。

サナキ:最初に「イイズカさんと5人組のスクリーモバンドをやっていた」と言いましたけど、イイヅカさんはそのときのヴォーカルと上手くいかなくてクビになり、一時的に実家に帰ってしまったんです。そのときのメンバーで僕だけ都内に住んでいたので、練習のたびにイイヅカさんの家によく泊めてもらっていて合鍵も持っていたんですよ。で、イイヅカさんが実家に帰っている間に荷物をコソコソと持ってきて定住して。イイヅカさんがまったく知らない人を呼んで、大掃除もして、一度は完全に僕の家になったんです。

●ひどいな(笑)。

サナキ:その後、スクリーモバンドが解散して気分がすっきりしたのか、イイヅカさんがまた家に戻ってきたんです。そのタイミングでタケイに誘われたので、一緒にyEANをやろうと。

●そうですか。

サナキ:今は賃貸の一軒家に住んでいるんですけど、区画整理で立ち退かなくてはいけなくなってもうすぐ引越しなんですけどね。今度は4LDKの家を手に入れました。

●「手に入れた」って、イイヅカさんがでしょ!

サナキ:気持ち程度ですけど家賃は僕も支払っていますよ。それに立ち退きで結構まとまった額のお金が入ったんです。

●イイヅカさんにね。

サナキ:もうひとり同居人も増える予定です。yEANとも仲がいいバンドの友達に「もうすぐ大きい家に引っ越すから一緒に住もうよ!」と声をかけたんです。

●本当にひどいですね(笑)。良く言えばメンバーの絆が強いというか。

サナキ:そうですよ。イイヅカさんには何でも話せますもん。

ミサキ:よく「家族よりも大切」と言っていますからね。

サナキ:「家族よりも大切」って言うとイイヅカさんは喜ぶんです(笑)。

一同:アハハハハ(爆笑)。

●音楽の話に戻しますが、ミサキさんはもともと曲を作っていたんですか?

ミサキ:いや。でも作ってみたくなったんです。最初はLos Campesinos!みたいに男女のヴォーカルが入っていて、ノリがよくて、コーラスが綺麗な曲を考えて作ってみたんです。

タケイ:歌メロは割としっかり作ってくるんですよ。ただ、ベースとリズムになるとうーん…っていう(笑)。

●ある意味、yEANのメロディセンスのポップな部分はミサキさんが担っているんですね。今作を聴いて、エモーショナルというか、哀愁感というか、情景的な印象を全体から受けたんですが。

サナキ:多分そういう感じは僕が作り出しているんだと思います。コードの進行や、それに乗っかる音から風景が感情が見えるような音楽が好きなんです。ちょっとキュンとする感じというか。シンセを入れた4つ打ちだけど、90年代エモみたいなキュンとする感じにしたらおもしろいかな? と思って。僕は他にもうひとつバンドをやっているんですけど、そっちはモロに綺麗なギターでほとんどがインストのバンドなんです。ミサキちゃんが持ってきた超ポップな歌とメロディにそういうニュアンスを入れてみたらいいんじゃないかなと。

●なるほど。サナキさんも曲作りをしたことはあるんでしょうか?

サナキ:ありますね。逆にコピーはしたことはないという。

●全員作曲能力があるんですね。…あ、イイヅカさん以外は。

サナキ:イイヅカさんは運転ができます!

タケイ:家もあります!

サナキ:いちばんすごいです!

●ハハハハハ(笑)。でもバンドとしては絶妙なバランスなんですね。誰かひとりがバンドを引っ張っているのではなくて、全員の持ついろんなものが詰め込まれた結果としての音楽。逆に言えば、誰かひとりでも欠けたらyEANではなくなってしまうという。

タケイ:今作のタイトルを『4C』にしたのはまさに今おっしゃった通り、4人のカラーが絶妙なバランスになっているこの状態を表したかったんです。ジャケットもアーティスト写真も4色になっているし、今日の話とも全部リンクしていますよね。

●コーラスも多いですけど、コーラスを考えるのもミサキさんなんですか?

ミサキ:いえ、入れてほしいところがあれば言いますけど、大抵はタケイさんとサナキさんが考えます。自分のコーラスは自分で考えていますけど。

●コーラスで歌っている内容も歌詞とリンクしているじゃないですか。単純にミサキさんが歌っている主線のハモリというわけではなくて、コーラスの歌詞が曲のポイントにもなっていたりして。

サナキ:だからハモリという感覚ではないですね。別メロじゃないけど効果的に使えるようにっていう。まずは"なんか音が欲しい"と思って、でもみんな手がいっぱいだしどうしようってなったときに「あ、口があったわ」という感じ(笑)。最初に声で和音が出したいというアイディアがあって、言葉も乗せたいと思ったらその曲の歌詞を書いている人にお願いして言葉を付けるんです。

●なるほど。歌詞は基本的にミサキさんが書くんでしょうか?

タケイ:僕が作った曲の歌詞は僕が書きます。今作だとM-4「衛星フラップ」ですね。でもミサキは歌詞を書くのは好きなんだよね?

ミサキ:はい! 電車の中とかで書くのが楽しいんですよね。

●何が楽しいんですか?

ミサキ:電車の中って軽くザワザワしているじゃないですか。みんな自分のことしか考えていないから、私が何をしていても何も言われなくて。みんなが好き勝手にしていて干渉されない感じが好きなので、そういう所で書くのが好きです。

●別に部屋でひとりで書けばいいじゃないですか。

サナキ:確かにそうですよね(笑)。

ミサキ:だって、ひとりで部屋で歌詞を書くってなんだか暗い人みたいじゃないですか。

●歌詞を読んだらわかるけど君はけっこう暗い人じゃないか!

一同:アハハハハ(笑)。

ミサキ:でも部屋で書くともっと暗いことを書いちゃうような気がするんです。yEANは歌詞だけじゃなくて周りの音も大切にしたいから、あまり行き過ぎないようにしていて。たまに怖い歌詞の歌があるじゃないですか。聴くのは好きだけど、自分でやるのは嫌だから。

●そういうことか。オケができたときに歌いたいことが出てくるんですか?

サナキ:逆ですね。先に歌詞とメロディがあります。

ミサキ:同時に作るんです。それをみんなのところに持っていって、作ってもらいます。

サナキ:ミサキちゃんが持ってくるのは、ベースで弾き語りをする感じなんですよ。でもベースフレーズとかは「これまじかよ?」っていう。その中から良いものを拾ってきて、僕が何個かベースのフレーズやギターのフレーズを考えたり、「ギターはこれを弾くから鍵盤を入れてみようか」とか、ドラムパターンはさっきやったやつをまたここで持ってこようとか組み立てていく。それが見えたら「ばっちり合うと思うからさっきの歌をどうぞ!」という感じ。

●難易度の高い大喜利みたいなもんですね。

サナキ:そうですそうです。「みなさんこれで考えてください!」って。

●さっきおっしゃっていましたけど、「衛星フラップ」はタケイさんが作った曲なんですよね?

タケイ:そうですね。これは"彼女ができたぞ!"という曲です。

●彼女ができて嬉しかったから曲を作ったんですか?

タケイ:いやいや。曲ができちゃうだけなんですよ。

●彼女もできるわ、曲もできるわ。いいことづくめですね。

サナキ:かっこいいな~(笑)。

タケイ:実は結構前に書いた曲で、"これは心情が深すぎて駄目だ"と思ってボツにしていたんです。でも「この曲いいじゃん」と言われたので掘り起こして作ったんです。

●え? ということは、この彼女はもう…?

タケイ:いないです。フラれました…。

一同:(苦笑)。

●えっと…なんか、すみません。

タケイ:僕としては複雑な気持ちでしたけど、曲としてはいいと思うのでいいかなと。僕はメロディと構成を作ってから歌詞を考えるんですけど、あまり歌詞を書ける方じゃないんですよ。でもこの曲は歌詞がすぐに書けたし。

●感情が動いたときに歌詞が出てきやすいんでしょうか?

タケイ:そうですね。感情が動いたときばかりです。頭を使って書いてみたいんですが、なかなかできないんですよ。

●じゃあまた新しい彼女作って、またフラれたらええやん。

タケイ:え? そのためにですか?

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M