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Yellow Studs

その音は聴く者の心を奪い去る

2003年結成、現在までに5枚のアルバムをリリースしてきたYellow Studs。繊細かつダイナミックなスケールで展開される絶妙なアンサンブルは、その場に居合わせた者の耳と心を奪い、いつの間にか会場全体を音楽の渦中へと叩き込む。野村太一のしゃがれた声は、飾らない言葉に生命を吹き込み、まるでブルースのように心の奥底で響き渡る。今まで知らなかったことを後悔するほどに狂おしく愛おしい魂のロックンロール。衝撃的な音が詰まったYellow Studsの6thアルバム『curtain』、必聴です。

 

「お客さんから全部教わってきたんです。泣いてくれる人とか居るじゃないですか。そういう人にストレートに伝えようと思ったら、飾ったりしたら届かないと思うんですよね。飾る必要がない」

●ライブがすごくてびっくりしたんです。最初に音源を聴いた印象は、激しくて鋭くて繊細なロックンロールで、聴き手を突き放すような印象を受けたんですよ。でもライブはその場に居る全員を巻き込むというか、ベクトルが開けていて。語弊があるかもしれないですけど、5人全員がまるで打楽器のように楽器を演奏されていて、全員でメロディを奏でているし、全員でグルーヴを作っているというか。それにグッと惹き込まれたというか、巻き込まれたというか。

太一:ありがとうございます!

●結成は2003年で過去にアルバムを5枚出されていますが、結成のきっかけは何だったんですか?

植田:僕と奥平が幼馴染なんですけど、バンドをやりたくて三重から上京してきたんです。でも簡単にバンドができるわけでもなく、ずーっとバイトをしていて。そのバイト先に太一とか結成当時のドラムが居たんですけど、その流れでバンドを組んで。

●そのバイト先というのは、ミュージシャンが集うような?

植田:そうです。魚民です。

●ハハハハ(笑)。

太一:それまで俺はバンドをやったことがなかったんですよ。当時、俺はどうしようもない生活をしていて引きこもりみたいな感じだったんです。俺と良平は兄弟なんですけど、更に上に兄貴が居て。その兄貴が俺の引きこもりを止めさせるために「中野と高円寺に行けば熱いヤツらが居るから」と魚民に入れられたんです。

●なんで魚民だったんだろう…。

植田:そこで一緒になった太一に「ピアノが弾ける」と聞いたので、一緒にスタジオに入って遊び始めたのがスタートですね。

太一:めちゃくちゃ下手くそだったよね。誰も音楽のこと知らなくて。

●え? Yellow Studsはロックンロールやジャズが背景にあるし、結構音楽的な知識が豊富な人たちかと思っていたんですが。

太一:当時、行方知レズが大好きだったんですけど、そこからの影響が大きいんです。

●行方知レズかっこいいですよね。

太一:かっこいいですよね。特に俺は何も音楽のことを知らなくて、植田や奥平に行方知レズや勝手にしやがれとか色々と教えてもらい、「じゃあこういうバンドをやろう」って。俺はバンドさえやれればどんな音楽でもよかったんです。で、とりあえず曲を作り、意外にイケるんじゃないかと。

●スタートは男臭いガレージやロックンロール色が強かったんですね。

太一:でも全然お客さんが増えなくて「このままじゃ駄目だ!」と。その頃、弟(良平)はまだYellow Studsに入ってなかったんですけど、良平にBUMP OF CHICKENを聴かせてもらって、「いいな」と思って今度はBUMP OF CHICKENを採り入れて。でも「売れねえや!」と。だからいい音楽はどんどん採り入れて。トム・ウェイツもそうだし、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTもそうだし。それで今に至ります。

●いろいろ迷走したんですね(笑)。良平さんが加入したのは2008年ということですが、なぜお兄さん(太一)のバンドに入ろうと?

良平:僕はもともと別のバンドをやっていたんですけど、そのバンドが解散して。ちょうどそのときに誘われたんですけど、前のバンドでもよく対バンしていたんですよ。で、当時からいちばん好きなバンドがYellow Studsだったんです。だから入らない手はないなと。

●お、いい話ですね。

太一:そういう話は初めて聞いたので、俺はちょっと視線がウロウロしています。

●ハハハ(笑)。その後、2011年1月に現ドラムの前川さんが加入して現体制になったと。

太一:前川ももともと魚民で働いていたんです。

●ほとんど魚民人脈じゃないか!

太一:そうです。だからYellow Studsのルーツはモンテローザです。

一同:(爆笑)。

●現時点ではどういうモチベーションでバンドをやっているんですか?

良平:アルバムを出す楽しみというものを前作の5thアルバム『shower』で味わったんですよ。前作は結構反響があったので、今回のアルバムを出すことも楽しみで仕方がないんです。正直に言うと『shower』まではあまり反響がなかったんですよね。だから『shower』で拡がったものが、今回のアルバムでどれだけ大きくなるのかなというのが楽しみで。ライブハウスに来てくれるお客さんも確実に増えているので、それも楽しみだし。

太一:それいいな。俺もそれかな。

●植田さんはどうですか?

植田:僕は、今までお世話になった人たちに恩返しがしたいです。

太一:植田は実家が貧乏なんですよ。

●実家が貧乏?

植田:親は自己破産をして借金まみれなんですよ。でもそんな親だけどお世話になったので、恩返しがしたいですし。

太一:植田の弟はマー君っていうんですけど、いいところ見せたいよね。

植田:見せたいね。

●マー君はいくつなんですか?

太一:29歳です。

●マー君と呼べる年ではないですね(笑)。

良平:今はfecebookとかで同級生の近況がわかるじゃないですか。地元の同級生はみんな結婚していたり、豪農の息子は600万円くらいの車に乗っていたりして、みんな楽しそうなんですよね。いつか胸を張れるようになりたいな〜。

●さっき弟の発言に乗っかろうとした太一さんはどうですか?

太一:俺は親父とお袋に褒められるために音楽をやっているというところがあるんですよね。俺、子供の頃はすごい優等生だったんですよ。でもYellow Studsの1枚目を出したとき、親父に「聴けねぇよ」と言われたんです。「じゃあもう1回がんばるから聴いてよ」と言って2枚目、3枚目と渡したんですけど、それもなかなか聴いてもらえなくて。

●はい。

太一:でも、その後両親がライブに来てくれたんですけど、親父がブログに「感動した」と書いてくれたんです。

●親父さんブログやってるのか…。

太一:子供の頃にピアノを習っていたときはよく褒められていたんですけど、就職もできないような俺が今褒められることはバンドくらいしかないかなと。

●このバンド、みんな人間臭くておもろいですね(笑)。3人から人生の香ばしい話を聞きましたけど、それがキチンと音楽になっていますよね。ジャンルの話ではなく、Yellow Studsの音楽はブルースだと思うんです。そういう背景やバンドに対するモチベーションみたいなものが、曲の説得力や伝わる力に繋がっている。なおかつ、そういう人間性をさらけ出した音楽を聴いて、ライブハウスでお客さんが楽しそうに踊りまくるっていうのは素晴らしいことだと思う。

太一:基本的に俺たちは評価されたことがない人間なんですよ。

●でもそれがステージに全部出ていて。5人とも全然飾っていないし、それがバンドの味になっているというか。

太一:俺は23歳からバンドを始めて、お客さんから全部教わってきたんです。泣いてくれる人とか居るじゃないですか。そういう人にストレートに伝えようと思ったら、飾ったりしたら届かないと思うんですよね。飾る必要がないというか、飾るのはスーツだけでいい。

●どうやったら伝わるか、どうやったら心に響くかということをお客さんから教わった。

太一:そうですね。“なんでこの人泣いているんだろう?”とか“なんでこの人は笑っているんだろう?”、“なんでこの人は感動してくれてるんだろう?”って。そういう試行錯誤をずっと続けてきたんです。

●曲はどうやって作っているんですか?

良平:太一が元を持ってきて、メンバーで肉付けをする感じです。セッションというか。

太一:だから歌詞は完全に後からなんですよ。『shower』以前は、歌詞の重要性がまったくわかっていなかったんです。でも植田に「俺は歌詞を読むよ」と言われたり、お客さんに「歌詞がいい」と褒められたりして。そこから真剣に考えるようになって、“俺の人生の経験がどの曲に似合うかな?”と考えて歌詞を書くんです。

●歌詞は後からなんですね。でも今回のアルバム『curtain』は、音からもすごく人間性が伝わってくる感じがあったんです。

良平:僕も今回それがリンクしている感じはしました。曲と歌詞がリンクしている。お客さんはびっくりするだろうなっていう歌詞もいっぱいあるんですけど、でも野村太一のアルバムだなっていう感じがしますね。

●そうそう。音も爆発しているし、言葉も爆発している。

良平:そうですね。

●何が人に響くかどうかというレベルでの言葉選びというか。理論的かどうかはわからないですけど、自分の中にある純粋なものや誠実なものを言葉に変換しているというか。

太一:理論は全然わからないんですけど、歌詞って2通りあると思うんです。それはいい歌詞とうまい歌詞。で、俺はうまい歌詞はできないやと思って。譜割りがうまい歌詞というのは、リズムにしっかり乗っているんですよね。例えばPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」はうまい歌詞だと思うんですけど、俺にはできないなと思っていて。だから譜割りは別として、俺にできる歌詞を書こうという感じで書いたんです。

●あと歌詞というか曲について1つ気になったことがあったんですが、今作では「さえずり」とか「カラス」や「バード」、過去の作品でも「ひばり」「カナリヤ」「キスバード」など、鳥をモチーフにした曲が多いですよね?

太一:鳥大好きなんですよ。良平も鳥を飼ってますし、俺も飼ってます。

●野村家が鳥好きなのか。

良平:好きですね。実家では色々とペットを飼っていたんですけど、鳥はいちばんたくさん飼っていたんです。

太一:鶏は50羽くらい飼ってました。鳥は…(※しばらく鳥談義が続いたので省略)

●先ほど「この5人は評価されたことがない人間だ」という話がありましたが、各メンバーのそういった想いを音で爆発させているというのは、ライブを観たり作品を聴けば伝わってくるんですよね。このバンドをやっていて、いちばん幸せを感じるのはどういう瞬間ですか?

太一:俺はやっぱり、お客さんが「かっこいい」と言ってくれることですね。かっこいいと言われるとバンドの寿命が延びるんです。それでバンドが今まで続いてきたというか。

●良平さんは?

良平:僕は、太一が言ったこともそうだし、自分が出した音がドラムやベースに完全に乗っかった瞬間の気持ちよさがたまらないんです。リズムを作り出して、レコーディングして、音を聴いて。そのときに音楽をやっている幸せを感じるかも。

●それはライブを観ていてもわかります。音を合わせることの気持ちよさが伝わってくる。

良平:楽しいんですよ。別にソロがやりたいわけではなくて、僕は黙々とドラムに合わせてギターを弾いていたい人間なんです。それをやれているときがいちばん気持ちいいです。

●植田さんは?

植田:僕は曲を書かないから持ってきてもらう立場の人間なんですけど、その曲を自分の力でもっと良くしたときがいちばん幸せかもしれないです。

太一:なんかそれいいね!

●あっ、また人の発言に乗っかろうとしている!

Interview:Takeshi.Yamanaka

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