音楽メディア・フリーマガジン

yumeiroecho

何気ない日常に潜む喜びを描き出すユメイロサウンドスケープ

 TOWER RECORDS発のオーディション“Knockin' on TOWER's Door”で最終選考に残ったyumeiroechoが、1stミニアルバムをリリースする。シンガーソングライターのechoを中心としたソロユニットだが、今作『定点観測』はVOLA & THE ORIENTAL MACHINEやセカイイチのメンバーをサポートに迎えて作り上げられた。そこに描き出されるのは、イマジネイティブかつカラフルなサウンドスケープ。紆余曲折を経た彼女だからこそ紡ぎ出せる言葉と音は一筋の光となり、何気ない日常の中にある喜びを照らし出しているかのようだ。

Interview

●ライブを拝見した時に"yumeiroecho"という名前から想像するドリーミーな感じよりも少しロックっぽい印象を受けました。

echo:ライブだとどうしても、私はエモくなっちゃうんですよ。"ユメイロエモー"です(笑)。

●(笑)。元々は"echo"という名義でソロ活動をされていたんですよね。

echo:その頃もサポートメンバーを入れていたんですけどアコースティックセットだったし、もっとバンドサウンドを前面に出したかったんです。それに単なるソロアーティストとサポートメンバーという関係じゃなくて、一緒に"yumeiroecho"というバンドをやっている感じを出したかったのでこの名前に変えました。

●サポートメンバーも含めての"yumeiroecho"。

echo:"yumeiroecho"チームみたいなイメージですね。ほぼ固定で各パートに2人ずついて、その時々でどちらか都合の良いほうがライブに出る。私が「こうしたい」と言ったことに「イヤだ」と言われたりもするし、サポートメンバーという枠を超えているんです(笑)。

●現在のメンバーはどうやって集まったんですか?

echo:ナラやん(G.楢原英介:VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)に関しては初代ドラマーの神谷洵平くん(赤い靴/大橋トリオ、etc.)の紹介だったりして、人と人とでつながっていった感じですね。人には本当に恵まれていて、音楽以外の部分でつながっていくことも多いんです。昔住んでいた場所は近所にスタジオがあって、そこでdownyや54-71のメンバーと仲良くなったところから、日暮愛葉さんとも偶然知り合ったりしました。

●人同士のつながりを元に活動してきた。

echo:そういう流れに身を任せて、進んできた感じですね(笑)。私は音楽業界の人と関わり始めた時にイヤな思いをした経験から、人間不信の時期があって。色んな事務所の方から声をかけてもらっても、なかなか信じられずにいたんです。でも歌いたかったし、サポートしてくれるメンバーもいる。全くのボランティアでマネージャーをやってくれる人と出会ったりもして、"悪い人ばかりじゃないんだな"と気付かされたんですよ。

●それはいつ頃?

echo:自主制作盤の『ユメイロジック』(2010年4月)を出した頃ですね。そういう経験をしている内に"結局は人なんだな"と気付けた。自分が信じないと相手も信じてくれないし、自分が疑うから間に壁もできてしまう。だから"踏み出していかなきゃな"と思って、そこから"Knockin' on TOWER's Door"にも応募したんです。何かアクションを起こさないと、リアクションはないと思って。

●その時に3位以内に入れなかった時の気持ちを歌ったのが、M-4「カレイドスコープ」なんですよね。

echo:結果発表の後すぐに作った曲ですね。やっぱりショックだったんですけど、その時もメンバーが"入賞しなくてもやっていけるんだよ"っていうことをそれぞれの言葉で前向きに言ってくれたんです。"砕け散っても自分の中に色んな想いはあって、そこをのぞき込んだ時に万華鏡のような自分にしかない花の模様が見えるんだ"っていうことを歌っています。どんな結果でも自分の中に花は咲いているので、砕け散ってもいいからどんどん進んで行こうと思って作りました。

●実体験を元に曲を作ることも多い?

echo:経験したからわかることがあるし、私は架空の物語は書けないんですよ。自分が見聞きしたことについて、絵を描くように音楽を作りたくて。でも私は追求しすぎてしまうので、"果てしない"とは何かを知るために富士山に登ってみたり、アイスランドの音楽が好きだから実際に行ってオーロラを見たりもして(笑)。そこじゃないと感じられないものを知りたいんです。

●自分が直接感じた現実を音楽で表現するというか。

echo:現実をちゃんと見つつ、いかに誰かの光になれるかっていうことを考えています。今回のアルバム『定点観測』は最初に"点と線"をイメージして、作曲や選曲をしたんです。これまでの人生での色んな経験が点としてあって、その中で選択しなきゃいけない時もたくさんあった。その点をつないでいった時に自分だけの天体ができるっていうことを歌ったのがM-2「ナスカ」で。

●この曲がアルバムのテーマにもつながっている。

echo:私に色んなことがあったように、誰にだって良いことも悪いことも起きる。その点をつないでいった時に"みんなはどんな絵が描けるんだろう?"と思って。自分という定点から見たり聴いたり感じたりしたものをまとめたのが今回のアルバムなので、"これが私の定点観測だよ"っていう感じですね。

●ここにしかないyumeiroechoの"定点観測"が描かれているわけですね。

echo:同じものはないことや生きている中で忘れがちなことを私は追求していきたいんです。そんな中に少しでも光を見出せたらなと思っていて。何か1つのことを前向きに捉えるか"悲しい"と捉えるかは自分次第だから。自分が闇を一度経験したから見せられる光もある。今はとにかく突き進んで、点を結んでいった先に自分だけの何かを見たいなと思っています。

Interview:IMAI

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