音楽メディア・フリーマガジン

文字

人が書いた文字が好きだ。

 

最近25歳の生誕ライブでファンの方から手紙を貰った。アイドルを応援している人は「手紙」との距離感が近い。お祝いの場や記念日的な日以外にもお手紙を書いてくれることがある。アイドルになっていなかったら、こんなにお手紙をもらう人生を送っていなかったはずだ。

 

私も学生時代は手紙を書きまくっていた。小学生の時は授業中に友達とちっちゃいメモ帳で手紙をブン回し合っては、紙に書くまでもない会話をしたり、秘密の話をしたりして、仲を深めたり、険悪になったりした。インクが透明なのに、ブラックライトを当てると文字が浮かび上がるペンが流行った時はアツかった。

 

中学生になってからは、特に美術の授業で手紙をブン回していて、私たち仲良しグループ丸ごと美術の先生のブラックリストに入っていたと思う。女児しかやらない、あの独特な紙の折り方を見るとそんなことを思い出す。

 

私自身が文字を書くこと自体も好きだ。

 

私が書くチェキの文字(とても「個性的」と言われる)を知っている人は信じられないと思うけど、中学生時代書道を習っていた。ちゃんと何らかの段位も持ってた。体操を習っていた弟が頻繁に賞状を貰っていたことが羨ましくて、自分も賞状が欲しいという下心が始めた理由だった。書道教室に通う同級生に、賞状の入手具合の探りを入れたりもした。とにかく賞状が欲しくて、字を書くことも好きだったから都合良かった。

 

いざ始めると、思いの外簡単に賞状が貰えて、私の賞状欲しい欲はすぐに満たされてしまった。正座をしなきゃいけない(当たり前)のと、先生に筆を強く握られながら、力任せに指導されるのとかが嫌で、2年経たないくらいで辞めた。

 

生誕ライブでもらった手紙やメッセージカードで色んな人の字を見た。字を見て、ギャップを感じたり、そのままの人となりを感じたり、省略文字の書き方や文字のクセ、間違えた文字の誤魔化し方とかから勝手に色んなことを想像した。綺麗も汚いもどちらが良いもない。何なら不器用そうな文字の方が高まる。恐らく自分の手書き文字の自己評価が低くて、わざわざWordなどで打ち込んで印刷してきてくれる人も居るけど、どんな字でも良いから全然見せつけてほしい。

 

手紙は思いを整理するのも、書くのも(打ち込むのも)時間がかかる。私のために時間を割いて、言葉を選んでくれたことが何よりも嬉しいし、その言葉に救われることも沢山ある。アイドルを始めてから貰った手紙は全部大切に取っておいてあって、自室の収納のほとんどを占拠している。

 

この先も色んな人の色んな字が見たい。字を見て勝手に思いを馳せたい。高まりたい。調子がいい時は、字を見るだけでその人の幼少期まで遡って想像できて、愛おしさに胸を苦しくさせることだってできる。

 

アイドルがよく「手紙が一番嬉しい」と言うけど、多分これは信じていい。


 

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