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TëKMO+ サウンド設計室 — てくもと学ぶ“懐かしい音”の正体 — 第6回「blind start」—冷たいサウンドの上で、心臓が暴れ出す

今回取り上げるのは、3rd ALから「blind start」。

この曲をひと言で表すなら、冷たいエレクトロのサウンド上で、感情を熱くする曲です!

打ち込みのシーケンス、4つ打ちのビート、鋭いシンセサウンド。
そこだけを切り取れば、かなりクールで硬質な楽曲に聴こえるんですが、この「blind start」は、ただのエレクトロロックでは終わりません。

暴れるピアノ、ベースのうねり、ドラムの押し引き、そして限界まで前に出てくるボーカル。
機械的に整えられた枠の中で、生身のバンドサウンドが鼓動を与えるような楽曲になっています!

この「冷たさ」と「熱さ」のぶつかり合いこそが、「blind start」の一番おいしいところです。

1) 今月の問い

なぜ「blind start」は、イントロから一気に身体を持っていかれるのか?

ポイントは、曲の始まり方にあります。冒頭のサウンドは、い少しレンジを狭めたような、フィルターがかかったような質感から始まります。

わかりやすく言うと、最初は音の景色が少し曇っている。視界が狭い。まだ全貌が見えない、そんなイメージ。

「blind start」というタイトルにある“blind”という言葉とも、ここがとてもよく噛み合っています。何かが見えていないような状態を表していますね。

そしてドラムのカウントとともに、音の視界が一気に開ける。狭かった景色が、急にフルカラーで広がる。

この瞬間に、リスナーはただ曲を“聴き始める”のではなく、曲の中へ“放り込まれる”感覚になります。

 

2)設計ポイント①

引き算から爆発へ、計算されたセクション展開

「blind start」は、セクションAメロ・Bメロ・サビ)ごとの温度差の作り方を緻密に計算しています。

Aメロでは、あえて音数を絞り、派手なシンセや大きな展開を抑えています。
ただし、曲の勢いが落ちているわけではありません。低い場所でうねるベースと細かい16ビートのノリが、内側でずっとエンジンを回し続けている。表面はクールなのに、足元ではすでに走り出しているような緊張感を感じてもらえるはず

そこからBメロに入ると、走っていたビートが「ドーン」と突き放され、ピアノやシンセの響き一気に広がります。

リズムの抜き差しや一瞬のブレイクによって、サビ直前の「来るぞ」という期待感を丁寧に作っているのもポイントです。

そしてサビ、ここまで抑えていたエネルギーが一気に解放されます。
80年代ファンクやシンセポップを思わせる鮮やかな上モノ、現代的な4つ打ちの推進力、低音で暴れるベース、そして前に突き抜けるボーカル。ここで「メロディを聴かせる曲」と「身体を踊らせる曲」が完全に重なります。

Aメロで削り、Bメロで焦らし、サビで爆発させる。
この流れがあるから、「blind start」はただ派手なだけではなく、聴き手の身体を自然にサビへ連れていく楽曲になっています。

 

3)設計ポイント②

「グリッド」と「グルーヴ」の話

ここで少しだけ専門的な話をします。

音楽制作では、DAW(コンピュータ)上のマス目に合わせて音を並べることがあります。
このマス目のことを、ざっくり「グリッド」と呼びます。

グリッドにピタッと合った音は、正確で、強くて、気持ちいい。特にエレクトロやダンスミュージックでは、この正確さが大きな武器になります。

しかし、人間の演奏はそこに少しだけ揺れがあります。
ドラムやピアノのタメ、ベースの弦を弾く強さ。ギターのカッティングの速度。ボーカルが言葉を前に押し出すニュアンス。

これらの揺れが、いわゆる「グルーヴ」を作っていんです!

「blind start」は、このグリッドとグルーヴの境目を面白く作っています。

曲全体はきれいに制御されているのに、その中で人間の演奏がかなり暴れている。だから、冷たくも聴こえるし、熱くも聴こえる。整っているのに、どこか必死。この矛盾が、曲の中毒性になっています。

“心臓 鳴らす”は、ただの歌詞ではなくサウンドの合図

この曲の中心にある歌詞は、やはり「心臓 鳴らす」という言葉です。このフレーズは単なるメッセージとして置かれているだけではありません。

サウンド全体で心臓を鳴らしにいく。

ドラムキックが心拍を刻むように、ベースは血流のように走り、ピアノやシンセがそれらに有機的な色彩を与えています。

そしてボーカルの「鳴らせ」という声が、頭を起こしにきます。

つまり「心臓鳴らそう」は、歌詞の中だけの言葉ではありません。アレンジそのものがその言葉を証明しているからこそ、この曲は、理屈で聴く前に身体が反応する。
“考えるより先に鳴る”という状態を、曲全体で作っているんです。

 

4)今日の“懐かしい音”の正体

今日の“懐かしい音”の正体は、
the telephones『Keep Your DISCO!!!』

AORのメロウなシャッフル感!

https://www.youtube.com/watch?v=keF5SXSKRjc

脳天直撃のシンセリード!!: 80sやテクノの質感をハイスピードなロックに落とし込み、高音域で鳴り響くシンセサイザーの「派手さ」「ネオン感」のバランスが、blind startに非常に近いです!

 

今夜の“耳トレ”ポイント

最後に、この曲を聴くときのおすすめポイントを3つ。

まず、イントロ。
最初の狭い音像から、音の視界が一気に開く瞬間を聴いてみてください。
ここで曲の世界に入れるかどうかが決まります。

次に、Aメロのベース。
派手なサビに耳が行きがちですが、実はAメロの推進力はかなりベースが作っています。
低いところでどれだけ曲を走らせているかに注目すると、曲の聴こえ方が変わります。

そして、サビ。
ボーカル、シンセ、ベース、ドラムが一斉に前に出てくる中で、どれかひとつだけが主役になっていない。
全部が同時に前に出ているのに、曲として破綻していない

この密度感こそが、「blind start」の武器です!

 

まとめ

「blind start」は、ぼやけて見えないまま走り出す曲です。でもそれは、無謀に突っ込んでいるという意味ではありません。

見えないからこそ、心臓の音を頼りにする。外側の正解ではなく、自分の内側で鳴っている衝動に従う。

そのテーマを、歌詞だけでなく、サウンドの構造そのもので表現しているところに、この曲の強さがあります。

正確なビート。
硬質なシンセ。
うねるベース。
前のめりなボーカル。
その全部がぶつかり合いながら、最後にはひとつの言葉に向かっていく。

心臓鳴らそう。

「blind start」は、TëKMO+が持つエレクトロ、ファンク、ポップス、ロックの要素を、かなり高い圧で一曲に閉じ込めた楽曲です。

冷たい機械の上で、熱い人間が走っている。
その摩擦が、この曲をただのダンスチューンではなく、TëKMO+の“始まりの衝動”として鳴らしています!


【作品とライブの案内】

3rd Album:『CONTINUE?』全国発売中!
『navyblue』を収録したアルバム。全曲はこちら:
(配信で聴く→https://pcim.lnk.to/continue

(全国のCDショップにてお買い求めいただけます。)
(販売元購入サイト:https://pcimusic.com/s/pec/item/detail/TKMO-0003?ima=4016

(タワーレコード:https://tower.jp/search/item/T%C3%ABKMO%EF%BC%8B

(楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/18420063/?l-id=artistpage-item

 

ONE-MAN LIVE 情報

8/21(金) 月見ル君想フ

TëKMO+ ONEMAN LIVE ”Summer pulse”

〜テクモと騒ぐ夏〜

https://7057.zaiko.io/e/tekmo0821

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