全国5ヶ所6公演にわたる、にしなのZeppツアー「SUPER COMPLEX」。その東京公演が11月26日(火)と27日(水)の2日間、Zepp DiverCityで開催された。静と動、闇と光、内と外、コインの裏表のようなふたつの側面を象徴的に表現したようなライブは、にしなというミュージシャンの世界をとても雄弁に物語っていたと思う。ここではその2日目、11月27日の公演をレポートする。
開演時刻、合成音声のアナウンスが本来化学用語である「スーパーコンプレックス」の説明を始める。細胞内のミトコンドリア「細胞分裂を繰り返すように、どうぞご自由に歌い、踊り、焼き付けていってください」。そんな言葉とともに、1曲目「plum」からライブはスタート。ステージ上でにしなが手にしたグッズのリング(LEDが内蔵されている)が光を放ち、それに呼応してフロアでも無数の光が揺れる。にしなが「キラキラお星様を作っていきましょう」と呼びかけて始まった「bugs」でも、オーディエンスの掲げた光がフロアを輝かせる。まさに「お星様」が一面に散りばめられたような美しさ。そんな風景の中、にしなは時折「はい!」とマイクをそんなフロアに向けて歌声を求めながら、ソリッドなリズムに身を委ねていった。
エモーショナルに届けられた「夜になって」を終えて、「今回のツアーはちょっと薄暗めのステージを用意した」とにしな。確かにここまで、ステージ上を照らすライトは抑えられていて、にしなの表情もほとんど見えない。それは「人の目を気にせず楽しんでもらえたらな」という彼女の想いの表れ。実際、ステージの上のにしなも、フロアでペンライトを振ったり体を揺らしたり、思い思いに曲を受け取っているオーディエンスも、どこかとても自由で居心地がよさそうだ。そんななか、うっかり弾くべきギターを間違えてやり直すなんて一幕も挟みながら「真白」へ。スクリーンに歌詞が映し出される中、肩を揺らし首を振りながらギターをかき鳴らし歌うにしなは感情の扉を大きく開け放っているように見えた。
その後も、夜の空に円錐や立方体などのオブジェクトが漂うミステリアスな映像とともに披露された「debbie」、たっぷりと間をとった弾き語りからアッパーなサウンドが溢れ出していく「透明な黒と鉄分のある赤」、そしてアコギを提げたにしなによる歌が最小限のライトの中まっすぐにこちらの心に入り込んでくるような「ワンルーム」と、にしながこれまで生み出してきた楽曲たちが次々と披露されていく。表現の仕方はそれぞれだが、どれもいつも以上に真っ直ぐ届いてくる感じがする。とりわけ青い光を浴びながら聴いた「ヘビースモーク」の切々とした手触りは、これまで幾度となく聴いてきた楽曲の、さらにひとつ奥の激情を抉り出すようだった。
そんな前半から一転、ライブは後半に入ってどんどん開けていく。「ここまでクールな感じでやってきたんですけど、ここからはみんなのパワーを発揮してもらうパートに入っていきます」とフロアに語りかけ、バンドメンバーをハイテンションで紹介すると、「みんなで一緒に歌いたいな」と「It’s a piece of cake」へ。フロアに手拍子と「ラララ」の歌声が広がり、ここかライブの空気はガラリと変わっていった。「ケダモノのフレンズ」ではにしなのライブではおなじみ、ケダモノのしっぽがフロアで揺れ、「ランデヴー」ではグッズやスマホのライトが満天の星空を作り出す。にしなのアクションも歌も、ますます伸びやかになっていくようだ。「東京マーブル」ではドラム台に乗ってジャンプをしたり、「クランベリージャムをかけて」では提げたぬいぐるみバッグから取り出したキャンディをフロアにばら撒いたり。そのパフォーマンスは曲を重ねるごとにどんどん解放されていく。バナナまみれのポップな映像とともに「シュガー」の大合唱が鳴り渡った「シュガースポット」を歌い終える頃には、にしなははしゃぎすぎて息を切らしていた。
そしていよいよ本編最後の曲。「新しい曲を書いてきたので、最後にやっていいですか?」と歌われたのはリリース前の新曲「わをん」。「愛」について考え続けてきたにしながもう一度「愛ってなんだろうって探しながら」書いた曲だ。「お互いいっぱい笑って、いっぱい泣いて、人のことを大切にして生きていきましょう」。歌の途中でそうオーディエンスに語りかけながら届けられた、大きくて力強い響きが、オーディエンスの心を激しく揺さぶっていくのが目に見えるようだった。
アンコールでは「ダーリン」を丁寧に歌い上げたあと、「ライブ前にバンドメンバーとやった黒ひげ危機一発で速攻負けた」という話で場を和ませると(負けたにしなはファイナルの名古屋で全員にひつまぶしを奢ることになったらしい)、そのあたたかい空気のまま「ねこぜ」を披露。軽やかな手拍子と「ほっとけー!」の声でZepp DiverCityは再びひとつになった。その後のラストチューン「アイニコイ」まで盛り上げきって、ついにライブは終了。名残惜しそうにオーディエンスとコミュニケーションを取り続けるにしなの姿が、この日のライブの充実ぶりを物語っていた。
<SETLIST>
アンコール
<クレジット>
文:小川智宏
写真:[DAY1]Yosuke Kamiyama / [DAY2]Tatsuki Nakata
※DAY1/DAY2でクレジットが異なりますのでご注意ください!
【リリース情報】
楽曲名:わをん
配信日:2024/12/11(水)
形態:配信限定シングル
Preadd/Presaveリンク:https://nishina.lnk.to/wawon
【公演情報】
■にしな ZEPP TOUR 2024「SUPER COMPLEX」
11月10日(日)Zepp Sapporo
11月15日(金)Zepp Namba(OSAKA)
11月17日(日)Zepp Fukuoka
11月26日(火)Zepp DiverCity(TOKYO)
11月27日(水)Zepp DiverCity(TOKYO)
11月29日(金)Zepp Nagoya
セットリストプレイリスト:https://nishina.lnk.to/SUPERCOMPLEX
■にしな ワンマンライブ(タイトル後日発表)
4月12日(土)
東京・東京国際フォーラム ホールA
OPEN 17:00 / START 18:00
<チケット情報>
価格:¥5,800(全席指定)
※未就学児入場不可
※譲渡・転売禁止
<最速先行>
受付URL:https://eplus.jp/nishina2025/
受付期間:2024年11月29日(金) 21:00〜12月15日(日) 23:59
【プロフィール】
新時代、天性の歌声と共に現れた新星、「にしな」。
やさしくも儚く、中毒性のある声。
どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。
無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。
穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。
Spotifyがその年に注目する次世代アーティスト応援プログラム「RADAR:Early Noise」に選出。ゆっくりとマイペースにリスナーを虜にしてきた彼女の声と音楽が、静かに、そして、より積極的に世の中へと出会いを求めに動き出す。
最重要ニューカマー、「儚さと狂気」を内包する才能が、ここに現る。
【関連リンク】
・にしなオフィシャルHP:https://nishina247.jp/
・オフィシャルECストア:https://store.plusmember.jp/nishina/
・Music Link:https://nishina.lnk.to/nishina
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