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Jin-Machine × INKT

Jin-Machine #2 Jin-Machine × INKT - SPECIAL TALK SESSION ジャンルやシーンの枠を超越した未体験のステージへ

PH_taidan_mainJin-Machine表紙&巻頭特集の第2弾は、KOKI(Vo.)率いる新世代ロックバンド・INKTとの対談だ。取材当日(2016/7/28)に開催された下北沢CLUB251とJUNGLE☆LIFEによる共催イベント“Whiteboard Jungle”での共演決定を機に、Jin-Machineのツアー“北関東オーバーヒートファイヤー”の名古屋・大阪でも対バンを果たしたという両者。これまで異なるシーンで活動してきた2組が交わることで、いったいどのような化学反応が起こるのか? ジャンルやスタイルの違いを超えた交流は、予測不能な広がりや未体験の楽しさを生み出すのかもしれない。

 

「“変なバンドで良かった! 変なバンドにしかできないことがあるんだ”と思えたんです」(Jin-Machine・16)
「羨ましさや憧れ的な部分もあるし、単純に“観ていて楽しい”っていうのはデカいですね」(INKT・KOKI)

●最初の出会いは、Jin-Machineのツアー“北関東オーバーヒートファイヤー”にINKTが出演したところからでしょうか?

KOKI:俺らがツアーに出させて頂いたのが最初ですね。

mACKAz:それ以前から知ってはいたけど、直接お会いしたりライヴに行ったりしたことはなかったんです。

●どういうイメージがありました?

KOKI:本当に面白い先輩というか(笑)。

mACKAz:対バンをするにあたってYouTubeで観たりして、より深く知ったんですけど、実際のライヴを観たら本当に面白かったです。

16:最初は、INKTさんと交われるとは思っていなかったんですよ。色的にも違うし、真面目なバンドだから。でも今日(7/28@下北沢CLUB251)のイベントで対バンが決まって関わりが持てたので、ダメ元で誘ってみようと話を振ってみたら「あ、良いですよ」みたいな感じで。

●思いのほか、気軽な感じだった。

16:でも、いざツアー当日に会ってみたら、恐い方々が幅を利かせている感じというか…。

KOKI・mACKAz:いやいやいや(笑)。

●最初は見た目にビビったと(笑)。

16:最初は“大丈夫かな…?”と思ったんですけど、楽屋でお話しさせて頂くと“なんて気さくな方なんだろう!”と。こちらとしては前歴も知っているし、“ミュージシャンだし、きっとプライドが高いに違いない”と思っていたんです。私は芸人出身なので、やっぱりミュージシャンは怖いっていうイメージがあるんですよ。だから話してみたら気さくだったものの“まだ表向きだけかもしれない。裏では刺されるかもしれない”と思っていて…。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

●そこまで怖がらなくても…(笑)。

16:それでライヴが始まったら、我々の「ゴリラ」という曲をやっている時にKOKIさんがステージにいたっていう…。今までやってきた中で変なバンドとも関わってきたし、仲の良いバンド同士で「この曲の時に行くね」と事前に言ってから出て来ることはあったんです。でも気付いたらステージにいた…っていうのは初めてで。最初は認識するのに、ちょっと時間がかかりましたね。

KOKI:誰かに煽られたんですよね。「俺、(「ゴリラ」の振り付けを)覚えたんだよね」っていう話をしていたら、「行け行け!」みたいな話になって。「じゃあ、行ってくる!」みたいな感じだった。

mACKAz:それは行くしかないよね。

●その場の勢いでステージに上がってしまったと。

16:その時のイメージもあって、INKTは音楽としてはロックですけど、そういうところだけじゃないんだなというのがわかったんです。これまではロックバンドに対して“この人たちはすごく真面目な人だから、関われないかもしれない”という見方をしていたんですよ。でもロックをやっているからといって別に冗談が嫌いなわけではないんだなというのを、INKTさんから教えて頂いて。

KOKI:とんでもないですよ(笑)。ライヴが本当に楽しかったから、あの時は一緒に何かしたいという感覚が強かったんですよね。

●ライヴを観ていて、素直に混ざりたいと思った。

KOKI:ただ楽しんじゃいました(笑)。

mACKAz:あの時のツアーで初めてライヴを観させて頂いたんですけど、すごく面白かったんですよ。ただ面白いだけじゃなくて、曲のメロディもキャッチーでフレーズが耳に残るので、すぐに覚えちゃうんです。その場でいきなり2番から一緒に歌えるような曲で、しかも面白くてエンターテインメントがしっかりしているバンドだなと思いましたね。良いところを盗めたらな…なんて思いながら、俺らはマグロを投げていました(※「マグロに賭けた男たち」の振り付け)。初めてライヴでマグロを投げましたよ(笑)。

●マグロを投げたりゴリラの振り付けをやったり、すぐに入り込める要素があるのも大きいんでしょうね。

KOKI:マグロを投げましたね(笑)。なかなか経験できないことですよ。

mACKAz:ただフザけて楽しい感じだったら“ん〜…?”みたいになっちゃうんですけど、やっぱり曲がカッコ良いし、演奏技術もしっかりした上でのエンターテインメントだから一緒にライヴを楽しみたいっていう。我々は完全にお客さんでしたね。

●そのツアーでの対バンをキッカケに、お互いの距離も一気に縮まったんでしょうか?

16:木村はこの間、一緒に遊びに行ったんだよね?

木村:SASSY(Dr.)さんと一緒に出かけました。まさか俺からじゃなくて、あちらからお誘いを頂くっていう。

KOKI:へぇ〜、珍しいね。

mACKAz:マブだ。

●2人でどこに行ったんですか?

木村:ドラムショップへ2人で遊びに行ったんですけど、わざわざSASSYさんが自分の車を出してくれて。まさかそんなことになるとは全然思っていなかったので、驚きました。

mACKAz:この歳で男とサシでどっかに行くってなかなかないですよね。あったとしても、呑みくらいで。

KOKI:楽器屋には行かないよね。しかも今まで色々な人と対バンさせてもらっていますけど、たぶんSASSYがサシで誰かと遊びに行ったのって、ここ2〜3年で初めて聞いたかもしれない。

●すごいレアケースなんですね。

KOKI:レアだと思います。SASSYに何があったのかわからないですけど。

mACKAz:何かときめくものがあったのかもしれないですね。

木村:自分からしたらmACKAzさんとSASSYさんの前歴も知っているし、ただのファンだったんです。キャリアが全然違うから、“格下の我々が関わっても良いんだろうか?”っていう気持ちもあったし、“怖い”っていうのがまず第一に…。

●やっぱり怖いんだ(笑)。

KOKI:何故かそう言われるんですよね…(笑)。

mACKAz:実際は全然なんですけどね。

木村:それでも我々のことを知ってくれているらしいというのも聞いていたし、KOKIさんは移動中の車で「ゴリラ」のフリをずっと練習していたらしくて(笑)。

●相当、気に入ったということ?

KOKI:単純に“これ覚えたいな”と思って。振り付け解説動画を見て、“あ、これ覚えられるかも”っていう(笑)。

mACKAz:ダンス魂に火がついたっていうね(笑)

KOKI:久しぶりにね。前日にホテルで1人、練習していました(笑)。

●そこまで(笑)。ツアーでは大阪と名古屋の2ヶ所で共演できたというのも大きかったのでは?

KOKI:それはあると思いますね。1ヶ所だけだとあまり交流がなく終っちゃうバンドもいるので、2日連続で一緒にやれるっていうのはデカかったです。

16:しかも大阪での対バンの日は出演バンドも多かったので、喫煙所に色んなバンドの人たちがゴチャッとなっていたんですよ。今までは出演バンド数が多くても交流が生まれないことのほうが多かったんですけど、そこでINKTとも自然に話せるようになって。あれを機に私は他のバンドとも話せるようになったんです。“仲良くなれるんだ!”っていう自信が持てましたね。

●喫煙所で仲良くなったんですね。

KOKI:あのイベントの喫煙スペースは、すごくデカかったですね。他のバンドの方たちとも仲良くなれたから。本番が近付くと「いってきます〜!」と出て行くのに対して、見送る側も「いってらっしゃい〜!」みたいな感じが自然とできていて。すごく楽なスタンスでいられました。

●Jin-Machineは初対面のバンドが相手だと、ちょっと構えてしまうところがある?

16:みんなはバンドから始めているわけですけど、私の場合は芸人からスタートしていて。芸人を始めて間もない頃に、仙台でバンドのイベントにMCで出演したことがあったんですよ。とりあえず転換中に騒いで盛り上げようとしたんですけど、初心者というのもあって、なかなか盛り上がらなかったんです。そしたら、その次に出てきたバンドさんがMCで、「俺らはお笑いとかいらねぇから。音で勝負します」みたいなことを言って…。その時に“そっか、ロックバンドってこういうものなんだ”と思ったのをもう10年以上引きずっているんですよね。

●その経験がトラウマになっていると。

16:だから今でも対バン相手がそういうスタンスかもしれないので急に距離を縮めるんじゃなくて、探り探りいかないといけないという意識があって。

KOKI:そういうバンドも中にはいると思うけど、俺らは全然楽しけりゃ良いって感じだから(笑)。

mACKAz:俺らは基本的に人見知りなんですよ。だから、少しでも向こうから来て頂けるとすごく嬉しいですね。

●ツアー中の雰囲気が良かったというのも大きいのでは?

KOKI:その時は喫煙所という場所も含め、ライヴ自体にフェスっぽい雰囲気があって、打ち解けやすかったなという気はしますね。その空気感はデカかったと思います。普通はあれだけたくさんバンドが出ていると、中には自分たちの出番が終ったらそのまま機材を積み込んで帰るという人もいると思うんですよ。でもあの日はみんな最後まで残って楽しんでいて、そこはイベントやライヴの雰囲気がデカいんだろうなと思いました。

16:あのツアーをやって本当に良かったなと思いますし、自分が他の人と交流ができるんだっていう自信にもなりましたね。我々はヴィジュアル系の中でも隅っこの存在なんですけど、そこで他の人と関わる術を知ったというか。我々が作っている変な曲でも、コミュニケーションツールの1つにできるんだなと知ったんです。実際「ゴリラ」をリリースした時、うちのお客さんの受けはすごく悪かったんですよ。

●えっ、そうだったんですか?

16:でもその時にKOKIさんが面白がって舞台で一緒にやってくれたりして、他のバンドとも色々やれた時に“変なバンドで良かった! 変なバンドにしかできないことがあるんだ”と思えたんです。

木村:自分たちは変なことをやっているからこそ、真面目にやっている人たちから「お前らナメてんのか?」って言われるんじゃないかとドキドキしている部分はありますね。

KOKI:そこは俺らとしては、羨ましさがある。俺らもライヴを楽しくしたいんだけど、やり過ぎたら悪フザけになってしまうから。だから羨ましさや憧れ的な部分もあるし、単純に“観ていて楽しい”っていうのはデカいですね。

●Jin-Machineの場合は技術やルーツの裏打ちがある上で、プロのエンターテインメントとしてやっているからこそ受け入れられているんでしょうね。

KOKI:本当にライヴはエンターテインメントだと思うので、お客さんを楽しませて出演者も一緒に楽しむのが最強のライヴだなと。そういう意味で、本当に羨ましさがありますね。自分たちが学ばなきゃいけないところは、すごく多いなと思いました。

16:こちらも観ていて、学ぶところが多かったです。私はカッコつけ方の引き出しが少ないんですよ。今までヴィジュアル系のフィールドで見てきたカッコつけ方って大体はテンプレートで、そこにちょっとオリジナリティがあるかないかっていうくらいなんですよね。結局はその人の人間性によると思うんですけど、舞台に立つ上である程度カッコつけることは必要じゃないですか。INKTのライヴからは“ここまでやって良いんだ”とか“私がやったらどうなるんだろう?”というヒントをたくさん頂いて。“頑張ってカッコつけよう”と思うキッカケになりました。

●ステージ上での立ち居振る舞いの大事さを知ったというか。

KOKI:ステージに上がる以上は、カッコ良いのが大前提だという気はしていて。やっぱり憧れられるべき存在だと思うから。もちろん上手さも必要だけど、それよりもカッコ良さが欲しいなと思いながらやっていますね。たとえばパジャマで出てきても、カッコ良い人はカッコ良いと思うんですよ。そういう圧倒的なものが欲しいなと思いながらやっています。

16:楽器をやっている人って、弾けているだけでまずカッコ良さがあるから、それはズルいなって思う。楽器をやらない人間からすると、エフェクターを踏む動きすらもカッコ良いんですよ。特にドラムが一番ズルいと思っていて。動きも大きいし、モノが多いから、ただでさえカッコよく見えやすい。

木村:モノがいっぱいあると、すごい人っぽく見える。

KOKI:確かに(笑)。

●逆にINKTから見て、Jin-Machineのカッコ良いところとは?

KOKI:さっきmACKAzも言っていたんですけど、プレイ自体がすごく上手でハイクオリティという基盤があった上での笑いなんですよね。ただ笑わせるだけではないというカッコ良さはすごくあると思います。

木村:確かに一見おフザけをしているように見えているけど、ライヴ中にふとバックを見たり、音楽を聴こうとした人に“ちゃんとやっているんだ!”というのが絶対に伝わるようには意識してやっています。

16:我々は“演奏できるゴールデンボンバー”と名乗っている以上、演奏しなきゃいけないんです。

一同:ハハハ(笑)。

KOKI:でも本当にそれは大事だと思う。ちゃんと演奏できない人の悪フザけは、ただの悪フザけなので。

●もしただの悪フザけをやっていたら、“仲良くなろう”とか“また対バンしよう”という気持ちにもならないでしょうからね。

KOKI:そうかもしれないですね。

mACKAz:どこか惹かれるものがないと、何から取っ掛かりを見い出せば良いのかわからないですよね。そういった意味では、Jin-Machineはリハから見させて頂いて惹かれるものがあったので“話してみたい”と思ったんです。

●お互いの人間性的な部分で惹かれたところもある?

16:人間性ですか…、そこを知るところまではまだ距離が縮まっていないかな。

mACKAz:たぶんちょっとお酒を酌み交わすと、またそこから深まっていくと思うんですけどね。

●まずは呑み会からだと。

16:それを本当にやってみたくて。呑みに行きたいですね。仲の良いバンドやメンバーとは一緒に行くことがあるけど、新規開拓がなされていないんですよ。一緒に呑みに行ったら、“どんな話が聞けるんだろうな”っていう楽しみはあります。

KOKI:音楽の話とかじゃない、本当にくだらない話をしながらの呑みって、すごく距離も縮まると思うから。

mACKAz:まだ、好きなAV女優も訊いていないしね。

一同:ハハハ(笑)。

●男同士って、そういう話題を話せると一気に距離が縮まりますよね(笑)。

KOKI:くだらない話って、すごくデカくて。たぶん俺らが今まで“音楽”として仲良くなってきた人と、それをさらに超えて“人”として仲良くなる人たちとの違いって、そこなんじゃないかな。バカなところも見せられるというか。

●そういうこともできる相手だと感じている?

KOKI:それはありますね。Jin-Machineはライヴも楽しいし、やっぱり一緒にやって楽しい人たちとやりたいっていう気持ちはすごくあるから。今後も一緒にやれる機会があればやりたいし、もしそうなったら一緒に呑みにも行ってみたいなという気持ちはあります。せっかく何度もご一緒できたというのは、きっとご縁もあるんだろうし。

mACKAz:次は僕ら企画のイベントにも出てもらいたいですし、共通の知り合いのバンドとかも含めて、もっと色んなバンドと一緒にぜひやりたいです。

16:我々がそちらのイベントに出させて頂いてINKTと仲の良いバンドと一緒になることで、また広がりが生まれますからね。私が培ってきたスキルにまた1つ自信がつくかなと思うし、そういうのが最近は楽しかったりします。

●この2組の出会いをキッカケに、さらに広がっていくかもしれないですね。

KOKI:やっぱりバンドって周りとのつながりも大事だと思うので、友だちを増やしたいんです。俺ら自身はジャンルにすごくこだわりがあるわけでもなくて、一緒にやって楽しい人たちとやりたいっていう感覚だから。

mACKAz:ジャンルはあまり関係なく、色んな音楽を楽しむ人たちと一緒に、色んな楽しいことができたら良いなと思っています。

16:ちょっとヴィジュアル系寄りのイベントなんだけど上手くINKTも入り込めるような、お客さんも出演者も上手く合致するようなものができたら面白いかなと思います。特定のジャンルだけでお客さんを囲い込むんじゃなくて、“ヴィジュアル系じゃなくても楽しい舞台があるんだよ”っていうのをわかってもらえるようなものができたら良いですね。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子
Photo:美澄

 
Jin-Machine表紙&巻頭特集第1弾ロングインタビューはこちら!
 
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