全国15万部を誇る日本最大級のミュージックフリーマガジン on Web!!

10-FEET 『1sec.』

10-FEETにとって2008年は今までで一番ドラマチックだったのかもしれない。余計なことを考える前に身体が動き出すアルバム『VANDALIZE』のリリース及びツアー。そして大成功に納めた自主企画野外イベント“京都大作戦 2008”。11月にアメリカ西海岸をまわった“10-FEET WEST COAST TOUR 2008”、続く12月にはライブ&ドキュメンタリーDVD『OF THE KIDS, BY THE KIDS, FOR THE KIDS! IV』のリリース。様々な刺激を受けた濃密な2008年を経て生まれたのは、聴けば心にグッと染み込んでくる、3人の“素”が刻まれたキラーチューン3曲。
 
 
 
 


「“京都大作戦”が終わってドキュメントDVDを出したら、普通は“うわ~、次どうしよう?”ってなりますもんね(笑)。」


 
 
 
 
 
●早速ですが、去年の12月にタイトルを考えるのがめんどくさいからまた同じタイトルの『OF THE KIDS, BY THE KIDS, FOR THE KIDS! IV』が出ましたよね。
 
KOUICHI:こいつ前も同じこと言うとった。
 
TAKUMA:やっぱ殴っといた方がええぞ。
 
●あの取材の時、「次のリリースは?」と訊いたら「春くらいに音源を出しますよ」とTAKUMAくんが言っていたんですけど、ちょっと信じてなかったんですよ。遅れるだろうなと思って(笑)。でも間に合いましたね。
 
KOUICHI:当たり前やんけ! ナメんな!
 
●(無視して)昨年11/1から11/10の間、ツアーのために渡米されていましたけど、噂では帰国したあたりから創作意欲がガンガン湧いていたらしいですね。
 
TAKUMA:うん、そうやった。
 
●ということは、アメリカツアーがすごくいい刺激になったということですよね。だから新譜のことを訊く前に、今回初回盤特典のDVDにも映像が収録されている“10-FEET WEST COAST TOUR 2008”のことを訊こうと思って。
 
KOUICHI:特典DVD観てくれました?
 
●KOUICHIくんはいつも取材で「~観ました?」とか「~聴きました?」とか訊いてくれますけど、いつも観ていないし、聴いていないですよ。
 
KOUICHI:(無視して)DVDどうでしたか? どこが面白かった?
 
●MCで言っていた、NAOKIくんのチェリービーンズがおもしろかった。
 
KOUICHI:ああ~、チ◯コね。
 
●というか、アメリカでのライブは下ネタばかりだったじゃないですか(笑)。
 
KOUICHI:でも下ネタのおかげで爆笑というか、ライブが盛り上がったんですよ。
 
NAOKI:そうそう。
 
●真面目な話、1つ1つのライブを経験することによって、だんだんリラックスしてアメリカを楽しめているという感じが伝わってきました。
 
NAOKI:僕らそれまで韓国と台湾に行ってますけど、完全に別物でしたね。
 
●どういう部分で?
 
NAOKI:韓国も台湾もわりとあたたかく迎え入れてくれたんですよ。知ってくれている人もいたし。でも当然ですけど、アメリカは誰も知っている人がいなくて。あそこまでのどアウェー感というのは始めてというか、アメリカの一発目とかはあからさますぎて。1曲目始まっても、目の前でじーっと観ながら酒飲んだりしているんですよ。“こいつらを巻き込むためにはどうしたらええんやろ?”とライブ中ずっと考えていた。
 
●はいはい。
 
NAOKI:そこまで色々考えながらやることが出来たから意味があったというか。前の日のライブの反応を参考にして次の日のセットリストを変えてみたりとか。やっていくうちに目に見えるものがありましたね。
 
●原点に帰る、みたいな。
 
NAOKI:そうですね。
 
●日本ではずっと当て振りだったんだけど、アメリカではさすがに弾いたと(笑)。
 
KOUICHI:通用せえへんからね(笑)。
 
●セットリストもいつもはマネージャーに考えてもらっているけど、アメリカでは自分たちで考えてみたと(笑)。
 
TAKUMA:アハハ(笑)。“10-FEET史上初! 自分たちでセットリストを考える!”みたいな(笑)。
 
KOUICHI:そのまま誌面に載せよう(笑)。
 
●でも明らかに後半はテンションが変わっていて、“アメリカ楽しい!”という感じになっていましたよね。印象的だったのはMCとかで“DREAM”という言葉を多用していたということだったんです。アメリカでライブをするのは夢だったんですか?
 
TAKUMA:ずっと行きたかったですね。個人的にアメリカにはただ単に旅行としても行きたかった。というか正直なところ、“アメリカでライブは一生出来ないんじゃないかな”と思っていたんですよ。なんかやるチャンスがないような気がしていたんです。
 
●あ、そうなんですか。
 
TAKUMA:自分の音楽の真ん中にアメリカは存在するんですけど、アメリカの音楽の中にウチラが進む道は無いと思っていたんです。
 
●ああ~、なるほど。
 
TAKUMA:アメリカのカルチャーからもらった栄養みたいなものがたくさんあって、でもそれが故に通用しないなという意識も強くて。10-FEETはアメリカ人からしたら、「ああ~、それね」というくらいに日本に溢れかえってるうちの一つだと思っている。ちょっと歪なコンプレックスを持っていたんですよ。
 
●はいはい。
 
TAKUMA:だから、日本独自のものを武器にしていかないと向こうの人は喜んでくれないのかと思っていたんです。でも行ってみたら全然アメリカ人にとっても新しいものだったみたいで、「もっとおいでや!」みたいなことをお客さんがめっちゃ言ってくれたんですよ。つまり僕らはアメリカから取り込んでいたはずのカルチャーを…全然表現出来ていなかった…。
 
●(爆笑)。
 
TAKUMA:向こうからしたら「お! 新しいやん!」って(笑)。ほんまにめっちゃ言われたんですよ。「自分らほんまにアメリカでウケると思うし、もっとライブやりにおいでよ!」とお客さんに言われて。「え? ほんまっすか? アメリカのCDいっぱい買ってやっているつもりなんですけど…ちゃいますか?」って。表現できていなかったのがもう、自分ながらに笑えた(笑)。
 
●でも表現出来ていないというより、いい言い方をすれば、吸収して自分たちなりの表現をしているから新鮮に映ったんだと思いますよ。
 
TAKUMA:うん、そうですね。
 
KOUICHI:JUNGLE★LIFE的に言えば?
 
●コピーすら出来ていなかった。
 
KOUICHI:アハハハハハハ(笑)。
 
●でも映像からひしひしと伝わってきましたけど、本当に充実したアメリカツアーだったんですね。その経験を経て今回のシングル『1sec.』が生まれたということも聴けばすぐ理解出来たし、収録曲3曲からにじみ出ているヴァイブスは格別だと思いました。今回の3曲は今までの楽曲と比べて心の中の状態…感情や温度や色や景色…と音楽が近い気がしたんです。
 
TAKUMA:まんま出てきてる?
 
●そうですね。ナチュラルというか。
 
TAKUMA:要するに”出たもの”と“作ったもの”の違いという。
 
●そうそう。
 
TAKUMA:それはあると思う。
 
●『VANDALIZE』という素晴らしいアルバムを出して、7月に“京都大作戦”を大成功させて。第三者的に見れば「その次はどうするの?」とちょっと心配だったんですよ(笑)。でもそんな周りからのプレッシャーも気にせず、結果的にきちんと流れに沿ったシングルが出来たんじゃないかと。
TAKUMA:プレッシャーが無かったのは、絶対にアメリカのおかげ。“京都大作戦”が終わってドキュメントDVDを出したら、普通は“うわ~、次どうしよう?”ってなりますもんね(笑)。
 
●ですよね(笑)。今回の3曲はすごく心に染みるという印象がありました。特にタイトル曲の「1sec.」とか、アメリカツアーが終わってそのまあ出来たような感じだし。
 
TAKUMA:そのままですね。音楽で遊んだり楽しんだりすることとメッセージを伝えること…今までは曲ごとにそれを分けて表現していたイメージなんですけど、しみったれたことをドライに楽しくスピード感ある曲に乗せて歌うからこそ突き刺さるものがあったとして、最近はその表現の手法がもっと濃くなったかなという実感はありますね。肩の力を抜いて歌うからこそ、肩の力を入れて書いた詞が刺さったりすることは大いにあることだと思うんです。だから例えば「1sec.」では、本当に言いたいことを言っている場所はほんのちょっとしかなくて。
 
●そうですね。
 
TAKUMA:そこだけに全部を込めていて、後はメッセージかゼロかというくらい。もちろんアメリカで実際にあった日常のことかをおもしろおかしく歌っていて(全英語詞の大半はアメリカのジャンクフードを食べて太ったという内容)、でもそれは一つの歌の形だと思うんですよ。例えばどの国でも豊作だったら歌って、人が死んでも歌って、結婚したら歌って…そういう感じの曲をひょっとしたら10-FEETとして初めて作れたんじゃないかと。そういう意味ではさっきクズが「心の音楽の距離が近い」と言ってたけど、正解かもしれない。
 
●…え? クズ?
 
TAKUMA:サウンドについては、この曲は思いっきりやろうと思ったんです。『VANDALIZE』の時は思いっきりやっている感を出したくて、それが上手く出来たと思う。今回はそれがもっと極端で、中にあるものをそのままポーンと出したかった。なんだったらメロディ無しで叫んでもええわというくらい。
 
●感情を表にする作業ということ?
 
TAKUMA:それに近いけど、簡単なことをそのまま思いっきりやろうと。もちろん色々ひねってはいるけど、一番MAXが出せるところを出したいというか。曲にもよりますけど。
 
●よく考えたら展開が多いですからね。でも受けた印象はシンプル…シンプルと言うと語弊があるかもしれないけど。
 
TAKUMA:いやいや、凝った展開だと思われないように作ったから、そう感じてもらえたなら嬉しいですよ。メインとなるパーツがしっかり目立っていたら、いい意味で他の細かいパーツが目立たへん…つまりそれがシンプルに聴こえるんだと思います。もちろんスカになって静かになるところもあるから、やかましいところが活きている部分もあるだろうし。
 
●なるほど。「SEASIDE CHAIR」(M-2)を聴いて、前の取材でTAKUMAくんが「“京都大作戦”で本当に幸せになったことによって、長い間水槽の底に沈んでいた“感謝”というものが数年ぶりに水が全部抜けて“うわ~、こんなんやったんや”と見えた感覚があった」と言っていたことを思い出したんです。そういう“感謝”が曲となって発露したのかなと。
 
TAKUMA:確かに“京都大作戦”あたりから自分の中では“感謝”というものがテーマとしてバーっと出てきたんです。それで、アメリカのとある海岸のに椅子が置いてあって、多分寄付されたものだと思うんですけど、その椅子に“お父さんお母さん、いつまでもこの海を眺めて幸せでいてくださいね”というメッセージが書いてあって。
 
●ふむふむ。
 
TAKUMA:多分亡くなったお父さんやお母さんに贈ったメッセージだと思うんですけど、それをみてすごく温かくなったんです。悲しいんだけど、すごくポジティブというか、この人達の感謝の気持ちってすごく大きくて、ありふれた言葉かもしれないけど「世界はなんて美しんだ」みたいな言葉を心の底から言っている感じというか。この曲で言いたいのは、“人生最後の日に笑えるかどうか”ということでもあって、それはずっと前から思っていたし、曲にもしてきたことなんですよね。そういうことを真っ直ぐストレートに歌いたいと思ったんです。
 
●なるほど。そして「ナクシタモノ」(M-3)ですが、なんか弾き語りでポロポロ作ったものをバンドでアレンジしたようなイメージがあって。
 
TAKUMA:今回は3曲ともそうですよ。河原にエレキギターを持っていって。
 
●あ、そうなんですね。その中でもこの曲は、10-FEETの今までの印象とはちょっと違っていたんですよね。
 
TAKUMA:きっとそのはずですよ。素ですもん。この曲、メンバー全員恥ずかしげもなく真っ直ぐなアレンジで。ミックスの時にメンバーとスタッフに「これやりすぎてない? 大丈夫?」と聞きまくるくらい(笑)。でもこの曲はこの形が一番良かったんですよね。
 
●すごくいい曲だと思います。今回、レコーディングはスムーズだったんですか?
 
NAOKI:自分的にはスムーズにいったほうかな。時間があまりなかったんですけど、逆にそれが今回の3曲に合っていたと思いますね。時間が無くて追われている感はすごく嫌いなんですけど、でも結果的にはそれが良かったと思います。
 
●なるほど。KOUICHIくんはどうでした?
 
KOUICHI:わからん。知らん間にレコーディングが終わってた。