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10-FEET 『BUZZING』


「“10-FEETってこういうバンド”という認識が無さ過ぎて、そこにこんなん出したら何をやりたいかわからないですよね。今は過去の音源という軌跡もあるし、色んなライブ回って知ってもらってるから」


 
 
 
●前回のインタビューは『HEY!』のリリース前でしたけど、あの頃KOUICHI君は腕を怪我していて大変でしたよね。
 
TAKUMA:あれ嘘ですよ。
 
●えっ? KOUICHI君、嘘なんですか?
 
KOUICHI:……そうですね。
 
●急に振るから面白い返しが全然出来ていないじゃないですか。
 
TAKUMA:返せていなかったですね(笑)。
 
●今年はSUMMER SONIC、Sky Jamboree、BIWA ROCKなどの夏フェスに出まくっていたそうですね。夏を振り返ってみてどうでした?
 
TAKUMA:でも夏を感じることが出来たのはそこだけなんですよね。あとはレコーディングか、曲を作っていた。
 
●忙しかったんですか?
 
TAKUMA:そんなにタイトでは無かったんですけど、ライブ以外は重く長い時間が多かったんです。
 
●どこも遊びに行ったりせず?
 
TAKUMA:作曲のために沖縄に行ったんですよ、
 
●シングル『BUZZING』の曲ですね。まぁ今日はCDの話を訊くつもりはありませんけど。
 
TAKUMA:はい、流しといて…。
 
NAOKI:夏はリズム隊2人でコンパツアーくらい?
 
●コンパツアーに行ったんですか?
 
KOUICHI:嘘です。ごめんなさい。
 
TAKUMA:なんで時間ないのにそういう嘘つくの?
 
●TAKUMA君が作曲のために旅したのは沖縄だけですか?
 
TAKUMA:沖縄と青森と金沢と北海道。ツアーで印象に残った所に行きたいなと思って。友達がいるところもあれば、いないところにも一人で。
 
●何か得たものはあったんですか?
 
TAKUMA:おかげさまで曲も浮かんできたりしましたね。すげぇパワフルな曲を書きたいなと持っていたんです。今まではツアー中とかに曲を作ってばっかりで、解放された状態で作るというのは全く無かったんですよ。昔は常に解放された状態で、遊んでる時とかに「ええの浮かんでしまった、どうしよう!」みたいに曲が出来ていたんだけど。
 
●今回の3曲は全部旅先で出来たんですか?
 
TAKUMA:1曲目と3曲目が沖縄で出来た曲で、2曲目は前のツアー中に出来た曲ですね。
 
●旅をして一体何を感じたんですか?
 
TAKUMA:沖縄で昔の話を聞いたり、各地の文化に興味を持って話を聞いてきたんですよ。今までは自分で思っていることや自分で経験してきたことを書いてきたんです。「こういう経験をした時にこういう気持ちになった」と。でも今回のタイトル曲「BUZZING」は沖縄の昔の曲を聴いて、そこにインスパイアされたことに対しての僕の想いを書いたんです。
 
●なるほど。
 
TAKUMA:メッセージ…これが歌いたいという想いが浮かんできて、それを歌うために曲を作りたくなった。沖縄に行って生活していたら良いメロディーが浮かんできて、「歌いたい想いを歌詞として乗せるしかないな」と。
 
●まずメッセージありきで。
 
TAKUMA:今までいろんな歌いたいことがあって、作曲活動をして、それに曲のカラーと合っているメッセージをくっつけたりしていたんです。でもメッセージだけが先にあって、それに対して流れる音楽を作ったり、乗せるための音楽を作るという順序は今回が初めてだったんですよ。
 
●旅先で何か面白いことはありました?
 
TAKUMA:やっぱり現地の全然知らない人と触れ合えたのがめちゃくちゃでかかったと思います。バイクで沖縄の田舎の方に行って庭とか入って。
 
●他人の家の?
 
TAKUMA:そうそう。昔ながらの家って入り口が庭になっているのが多いんですよ。門入ったらまず庭で、縁側があって。ドアとかオープンにして居間でお茶を飲んだりしているんです。そこに入って、「こんにちは~庭見せてください」という感じで。おばあちゃんとかに話を聞いて、お菓子もらって、話が盛り上がって、そのままベッドイン。
 
●なるほど。上手かったでしょ、おばあちゃん。
 
TAKUMA:すごかったです。
 
●その日逢ったばかりの女性と…。
 
TAKUMA:はい、一夜限りの…。
 
●じゃあ「BUZZING」はおばあちゃんとのピロートークで出来た曲なんですね?
 
一同:(爆笑)。
 
TAKUMA:沖縄の文化に詳しい人にいろんな話を聞いてインスパイアを受けて。吉本さんという家だったんですけど、沖縄で一番古い家で文化遺産なんです。そのおばあちゃんの旦那さんが27歳の時に戦死された話とかを聞いて。
 
●アーティスティックな活動をしてきたんですね。
 
TAKUMA:楽しかったですよ。
 
●一回りも二回りも大きくなって帰ってきたわけですね。
 
TAKUMA:そりゃあもう。今までの僕だと思ってもらっちゃ困りますよ。
 
●おもしろくなった?
 
TAKUMA:その代わりスベる量も倍になりましたよ。
 
●量が増えただけかい! 量より質やろ!
 
一同:(笑)。
 
●「BUZZING」のメロディーはストレートでサビもわかりやすいじゃないですか。でもイントロはなんかおしゃれソングな感じですよね。
 
TAKUMA:作為的ではないですよ。昔に作った曲を抜粋したりしているんです。
 
●バッチリハマっていますね。
 
TAKUMA:そうですね。めちゃくちゃエモーショナルな曲になることは分かっていたので、イントロのさじ加減は一番気を使いましたね。エモーショナルな曲って聴いてても演ってても気持ちいいんですけど、意外とシンプルさとかキャッチーさと対立する部分があると思うんです。
 
●はい。
 
TAKUMA:この曲はサビをすごい聴かせたかったから、イントロで場所をとったらダメだなと。でもイントロで雰囲気を作ってから、ロックになってサビでキャッチーになるってすごく良い流れなので削除することはないと思ったんです。録り終えてからもみんなでずっと悩んでましたね。
 
●またリスナーが気づかないような細かい工夫をしたんですか?
 
TAKUMA:しましたよ。
 
●毎回細かいですよね。そんなのどうでもいいやろという所なのに。
 
TAKUMA:そうですね。
 
●…どうでもええやんというところが。
 
TAKUMA:あります、あります。
 
●…というか10-FEETどうでもええやん。
 
TAKUMA:…めちゃくちゃ失礼ですけどね。
 
●(笑)。でも聴いていて練り込んでいる、磨き込んでいるというのがわかりますよ。
 
TAKUMA:無意識のうちに入っている、バランスを取る要素って結構大事だと思うんですよね。「あそこにこういうのが入っているよね」と言われることはないんですけど、そのフレーズが楽曲に対してすごい効いているのがわかるんですよ。隠し味です。
 
●10-FEETって、ライブとCDは別モノとして捉えている感じがします。本人たちの中で棲み分けが出来ているんじゃないですか?
 
TAKUMA:あるんですけど、完全に分けているわけではないですね。「CDとライブ、全然違うやん」とは思われたくないです。CDではオルガンの音が入っていたりしますけどライ…
 
●あのオルガンはライブでは入れないんですか?
 
TAKUMA:えっ? なんで人が喋っている時になんで割り込んでくるの?
 
●あ、ごめんなさい。で、入れないんですか?
 
TAKUMA:入れないです。
 
●わかりました。
 
TAKUMA:…それだけですか? それだけの為に割って入ってきたんですか?
 
●(無視して)2曲目の「Freedom」と3曲目の「log」も全然雰囲気の違う曲ですよね。マキシということですが、選曲で悩んだりはしなかったんですか?
 
TAKUMA:2~3年前なら悩んでいましたね。“10-FEETってこういうバンド”という認識が無さ過ぎて、そこにこんなん出したら何をやりたいかわからないですよね。今は過去の音源という軌跡もあるし、色んなライブ回って知ってもらってるから…。
 
●例えば「log」はイントロからすごい雰囲気が出ている曲ですね。
 
TAKUMA:めっちゃ雰囲気出ていますよね。あの音は首都高の下でサンプリングしたんですけど、フェーダーの動きで波の音っぽくして。“都会”という名の波、みたいな。
 
●(無視して)こういう曲は作りたかったんですか? オーガニックな感じですよね。
 
TAKUMA:サビがド明るかったんでそこに“抜けた感”を出すには曲の前半が暗かったり霧がかっていたらいいなと思ったんです。それは「recollection」でもやっていたんですけど、キーがちょっと低めでちょっと曇った感じのハモリが大好きなのでそれも入れようかと。しかも僕らがスカをやるのがそれだけで珍しいと思ったんですよね。
 
●珍しいですね。
 
TAKUMA:クリーントーンですから。それが想像していたのと全部バッチリハマった感じですね。でも問題はここからです。
 
●あ、またライブですか。
 
NAOKI:「また」って…。
 
●大丈夫ですか? 次のツアーからやっていくんですよね?
 
TAKUMA:今演ったら笑いとる自信ありますよ。「全然ちゃうやん、これ2曲目?(笑)」って(笑)。
 
一同:(笑)。
 
TAKUMA:Aメロ、Bメロ、サビを全部クリーントーンでやる曲というのは今までで初めてなんですよ。間違えられないからすごく根性のいることなんです。
 
●本当にツアーは大丈夫なんですか?
 
TAKUMA:いや~ダメなんちゃうかな~。
 
●ライブでしないんですか?
 
TAKUMA:いや、リリース後のツアーだから普通するでしょ。
 
●CDも聴いて「log」をライブで聴きたい人もいるのに。
 
TAKUMA:しますよ。
 
●それでもしないん…
 
TAKUMA:いや、するって言ってるでしょ!
 
●(無視して)ところでノリにノッている10-FEETのみなさん、このタイミングでDVDも出すんですよね。何を血迷ったんですか?
 
TAKUMA:だって~、印税欲しかったから~。
 
●それ絶対書いておきます(笑)。僕、昨日の夜に観させていただいたんですけど…眠たかったです。
 
一同:(笑)。
 
TAKUMA:めっちゃ長いですからね。
 
●ぶっちゃけ最後の方ちょっと寝てましたもんね。
 
一同:(笑)。
 
TAKUMA:ライブに来てくれたことのある人も家で観てくれたらいいなと思う。CD買ってくれる人もDVDを買ってくれる人もライブには来て貰いたいですね。ライブの良さというのはやっぱり生で見るからこそいいもんなんでしょうけど、DVDでは普段の生活感が溢れんばかりのオフショットとか、僕らの喋りで全部フォローしてくれていると思うので。
 
●CDでは笑い声が入っている「A-ra-ra-gi」とか、DVD観たら「本当にライブでも笑ってたんだ!」と驚く人もいるでしょうね。これを観たらライブにも行きたくなるはずですよ。僕も昨日の夜、DVD観ながらライブ行きたかったですもん。
 
TAKUMA:さっき寝てたって言うてたやん!
 
●次のツアーでは新しいMCネタとか観れるんですか?
 
TAKUMA:そうですね。ツアー出る時はネタをみんなで考えて持っていっているんですよ。本当のお笑いのリハーサルみたいに。
 
●そのツアーなんですけれど、またふざけたタイトルですよね。「10-FEET “BUZZING TOUR '04…」
 
TAKUMA:「北斗腱鞘炎」!
 
●これはKOUICHI君のリベンジということですよね。
 
KOUICHI:そうです。腱鞘炎は克服できるよという想いを込めて技の名前でいってみました。
 
●もう治りました?
 
KOUICHI:バッチリです。痛みもなく。
 
●ケガをしていた時はどうでした?
 
KOUICHI:バイトとか一生懸命やって金貯めてましたね。
 
●で、でもケガをしている間TAKUMAくん一人でインタビューさせてもらったんですけど、その時TAKUMAくんが「腕が折れるまでやったらいいやん。俺は一生付き合うから」と言ってて。…その頃KOUICHI君はバイトして金を貯めていたんですか…。
 
KOUICHI:そうですね。僕からしてみれば(TAKUMAの発言は)余計なことですよね。
 
一同:(爆笑)。
 
TAKUMA:これが10-FEETでございます!
 
●でもファンの方々も心配していたと思うんですが。
 
KOUICHI:BBSとかで「大好きなのですか?」というのはありました。だからそういう人たちのために行けなかったところにも…
 
TAKUMA:(遮って)バンドなんてフロントサイドがあれば大丈夫。
 
NAOKI:うん。
 
TAKUMA:実際盛り上がりましたからね。だから別に…。
 
KOUICHI:僕も本当よく休んだと思いましたよ。
 
●え?
 
KOUICHI:僕がいなくて大丈夫かなと。でも(ヘルプの人で)バッチリだったみたいですね。
 
一同:(爆笑)。
 
KOUICHI:「僕じゃなくてもいいんや」って。
 
●次の職を見つけるくらいの勢いでバイトに精を出せますね。
 
一同:(笑)。
 
●しかし、最近はファンが増えましたよね。
 
TAKUMA:実感するのはやっぱりライブなんですよね。昔、お客さんが4~5人だったライブハウスが埋まって「ここはこんなに揺れるのか」と思ったり。
 
●DVDでもありましたよね。かなり以前のライブ映像で、「オイ! オイ!」と言ってもお客さんが全然乗ってくれないシーン。
 
TAKUMA:棒立ちフェスティバルでしたね。「みんなが言わな、やらへんぞ!」と言っておきながら、やむを得ずやりましたけど(笑)。
 
一同:(笑)。
 
●その映像のあと、パッと日比谷野外音楽堂のステージに切り替わる。ああいうの感動しますよね。
 
TAKUMA:しますね。
 
●10-FEETはそういうのをすごく大事にしていると思うんですよ。これだけ有名になったんだから、もっといろんなメディアに出てもいいくらいだし。でも現場を大事にしている姿勢が活動自体から伝わってくるんですよね。
 
TAKUMA:そうですね。正直ビビリもあるんですけど。メディアを使って人気が出た時に、それに対して常に返答出来るような状態でなくてはいけないと思っているんですよ。テレビに出てドカーンとお客さんが膨張した時に、それからテレビを使わなくてもしっかりとしたレスポンスをこっちから出していける状態。自分たちで自分たちを追ってくれている人のことを常にフォローできるのであれば、何でも使っていきたいなと思っているんですけど。
 
●なるほど。
 
TAKUMA:それがスローガンじゃないですけど、常にそうありたいと思って今までやってきたんです。
 
●自分らでやっていることは、自分らでケツ拭けるくらいの心の余裕を。
 
TAKUMA:本当にそうですね。だからテレビに出なくても、常に良いライブをしていて、常にいい曲を書いているという位置にいたい。
 
●応援しています。では最後に読者に1人ずつメッセージをお願いします。
 
KOUICHI:えっ、喋っていいんですか?
 
●最後くらい別にいいですよ。
 
KOUICHI:ライブに来てください。
 
NAOKI:ツアーでゆっくりKOUICHIを拝んでもらえればそれでいいです、僕は。
 
TAKUMA:今日は長いことインタビューをしてもらって、いろんなジャンルの色んな事を話させてもらいましたが、全部嘘です。
 
●京都からお越しいただいたロットングラフティーの皆さんでした。
 
3人:ありがとうございました。