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10-FEET 『TWISTER』

今まで歩いてきた軌跡を大切にしつつ、思いっきり飛び跳ねて縦横無尽に暴れまくる魅力いっぱいの音楽が詰まったニューアルバム『TWISTER』。結成10年を目前にし、空が暗くなっても泥だらけになってふざけまくる3人は美しい。
 
 
 


「僅かな生涯数十年 全力でふざけりゃ後悔はない」


 
 
 
●さっきからデリバリーのカレーを食べていますけど、今からお待ちかねのJUNGLE LIFEの取材ですよ。
 
3人:モグモグ(3人ともカレーに夢中)
 
●…では勝手に始めます。新作『TWISTER』を聴いて初期衝動を感じたんですよ。若い頃って、何も知らないからこそ出せる”怖いもの知らずの勢い”があるじゃないですか。そういう初期衝動ではなくて、一度挫折を知って凹んで、それを乗り越えて改めて出てきた勢いというか。
 
TAKUMA:モグモグ…あ、ホンマですか。
 
●はい。
 
KOUICHI:アルバムどうでした?
 
●いや、さっきから感想いってるじゃないですか。
 
KOUICHI:もっと音楽的な感想を言って!
 
TAKUMA:早くビリヤードしに行きたいから手短に!
 
●あ、すみません。…えーっと改めてバンドサウンドを感じたアルバムですね。
 
TAKUMA:はい。
 
●10-FEETは強いメッセージといいメロディに加えて、アレンジの妙を楽しめるような音源を作るバンドだと思うんです。個人的には細かいアレンジとか演出がものすごく好きなんですが、今回もそういうアレンジの妙がないわけじゃないですけど、それ以上にシンプルなバンドサンドの良さが際立っていると感じました。
 
TAKUMA:確かにシンプルというのは前のアルバムよりも意識しましたね。なるべく肩の力を抜いてというのもあった。まあ中には力をグッと入れて演った曲もありますけど。

●年明け頃、曲がなかなか出来ない時期があったとおっしゃっていましたよね。春にはコラボアルバム『6-feat』をリリースしましたけど。

TAKUMA:「場繋ぎのアルバムや」と前に言われましたよね(笑)。

●(笑)。そして今作12曲中にはシングルの曲も入っているし、NAOKIくんによる曲も1曲入っているし、8年前に原型を作った曲も2曲入っているし…結局、新曲がアルバムに間に合わなかったんですか?
 
一同:(爆笑)。
 
TAKUMA:ホンマにめちゃくちゃ言いますね(笑)。
 
●という勝手な解釈をしたんですが(笑)、前号のインタビューで「今回のアルバム制作にあたってはかなりのプレッシャーを感じた」とおっしゃっていましたよね。
 
TAKUMA:今まで何曲も曲を書いてきているじゃないですか。やっぱり今までやっったことはなぞりたくないという葛藤というか、こだわりがあって。
 
●はい。
 
TAKUMA:でも、別にやりたくないけれど、古き悪しきものとも思っていなくて。それらがあったからこそ、当然ここまで来ることが出来たし。
 
●確かにそうですね。
 
TAKUMA:いいところは伸ばして、その上で新しいアイデアを加えたりしたいんですよ。そう考えると正直もっと時間が欲しいし、もっとウキウキして曲を作りたくなる時期を待ってから新作を出すというやり方もあると思うんです。でも、早く出したいという想いも強かった。
 
●どういうアルバムにしようと考えていたんですか?
 
TAKUMA:いや、全然考えていなかったんですよ。1曲ずつ丁寧に作っていくしかなかったし、なるべく過去に無い曲調で10-FEETっぽい曲にしないといけないと思っていて。でも僕らはシンプルで面白くて似たような曲に見せかけて、実は違うというイメージを大切にしてきた部分があるから、凝ったことや難しいことばかりしてその条件をクリアしても、本末転倒になっちゃうんですよ。
 
●はい。
 
TAKUMA:でも10-FEETっぽい音楽を無理に作らなくても、僕らがやりたいことをやれば必然的に10-FEETっぽくなる論理というか。その結果すごく面白いアルバムになったと思うんです。今までで一番客観的に聴けるし。
 
●これだけいろんな曲を作ってきて、当然キャリアも積んできているのでやろうと思えば本当に色んな曲を作ることが出来ると思うんです。バンドサウンドからかけ離れた曲も技術的には可能だろうし。でもそこはやっていないですよね。
 
TAKUMA:そういう意味ではバンド感を大切にしていますね。ただ、段階を踏めばバンド感を残しつつかけ離れた曲を作ることは可能だと思うんです。今まで色々なバンドを聴いてきて、急にガラッと音楽が変わることもありだと思うんですけど、やっぱりそれまでのスタイルが好きだったから大幅に変わることがリスナーにとってマイナスに働くこともあると思うんですよね。今だからこそバンドが変わる気持ちもわかるんですけど、あの"裏切られた感”はすごく嫌だというイメージがどこかに残っているんですよ。この先、僕らにどんな展開が待っているのかがわからないですけど、今のところは露骨に変化するのは嫌だなと思っています。
 
●なるほど。「child」はNAOKIくんにとって一番新しい感じがする曲だったそうですが。
 
NAOKI:音作りに関しても、今まで一番時間をかけたんです。今回は今まで以上にベースの種類をたくさん用意して、曲のイメージにあったベースをチョイスしたんですけど、その音のイメージを合わせるやりとりも多かったし。
 
●曲の幅も拡がりつつ、その曲に合わせるための方法論も増えたんですね。KOUICHIくんはどうでした?
 
KOUICHI:僕の場合は曲の世界観というか雰囲気を意識しながら叩くことに集中しましたね。今まではそこまで意識したことはなかったんですけど…ブッ!
 
●…今、屁こきませんでしたか?
 
KOUICHI:もしかしたら聴いた人はあまり違いを感じないかもしれないですけど、叩いている側からしたら全然違うんですよ。
 
●さっきも言いましたけど、今作には8年前に原型を作った「NO WAY」と「NICK JAGGER」が収録されていますが、そもそも8年前に作った曲を入れようと思ったのは?
 
TAKUMA:8年前の精神状態でしか思いつかないような曲だと思うんですよ、コード進行とかも含めて。当然のことながら「昔の曲は過去のものだから今更やらないよ」と言う人のほうが多いと思うんです。
 
●確かにそういう人のほうが多いでしょうね。
 
TAKUMA:でも残念ながら、スタジオで合わせてみたら楽しかったんですよ。スッと出来たし、今の10-FEETがやっても誰もびっくりしない曲だなと思って。僕ら自身にとっても、あまりにも前に作った曲だから、他人の曲を演るかのように新鮮だったんです。
 
●なるほど。
 
TAKUMA:あと、8年前の作品に対して現在の僕たちがアレンジをするのか確かめてみたかったし。8年前の僕らと今の僕らとのコラボですね。
 
●今までもTAKUMAくんは作り貯めているパーツを曲作りの段階で引っ張ってくるという作業が数多くあったじゃないですか。でも8年も前に作った曲を持ってくるというのは?
 
TAKUMA:無かったですね。でも、一番たくさんの曲のネタを作ったのは8年くらい前なんですよね。あの頃に作ったネタとかパーツが今の曲に活きていることは確かなんですけど、曲をまるごとそのまま持ってきたのは始めてです。
 
●歌詞も8年前のものを一部使っているし、すごいことですよね。8年前のクオリティがものすごい高いのか…。
 
TAKUMA:…バンドとしてまったく成長していないのか(笑)。
 
一同:(爆笑)。
 
●8年前と言えばTAKUMAくんが22歳…"京都の〇〇〇〇”と呼ばれていた頃ですよね?
 
TAKUMA:もう帰れ。今すぐ帰れ。
 
●音楽が色褪せていないんでしょうね。それと「child」は歌詞にびっくりしたんです。シングル曲「OVERCOME」でも情景描写的な歌詞が新鮮だと感じたんですが、この「child」の歌い出しの情景描写は強烈でした。(※歌詞より抜粋:背中を嬉しそうにガチャガチャと鳴らして子供たちは帰る/通りはまだ少しだけ明るいよ 街灯が目を覚まそうか迷う)
 
TAKUMA:自分が小学生の頃とかを思い出して書いたんですけどね。
 
●"背中がガチャガチャ鳴る”って一見おかしい表現ですけど、全然違和感がなくて。
 
TAKUMA:歌だったらあまりないような表現かもしれませんけど、小説だったらこういう表現ってよくありますよね。聴いた人が自分なりの画を浮かべることを目指して書いたというか…自分で思いっきり風景を浮かべて書いたかな。
 
●直接的な表現じゃないんですけど、描くイメージが直接的に飛び込んできたんですよ。資料で“いろんなパターンを知って「どうせこんなもんだろう…」という憶測がどんどん自分をつまらない人間にしていく”とTAKUMA君は解説されていますが、これは共感する部分がすごくあって。
 
TAKUMA:「冷めている」と言われるんでしょ? 僕、めっちゃ言われるんですよ。
 
●感情を表に出さないようにしていたら、本当に感情の起伏が無くなっていくという。
 
TAKUMA:そうそう! だから“造り笑いの中で答えを探して生きてゆく”と歌っているんです。本当はそこまでして強くなりたくはないんだけど、でも生きていくために強くならないといけなかったり。
 
●同じようなことを「kokoro no naka」でも感じて。“悔しがらない美学が「らしさ」を消してゆく”という部分で。
 
TAKUMA:これはもう「child」とワンセットの曲ですね。「kokoro no naka」は今までで一番(自分の心の中を)掘り下げた曲かもしれないですね。
 
●ああ、そうなんですね。この歌詞は本当にグッと染み込んできたというか、嬉しかったんですよ。
 
TAKUMA:ちょっと掘り下げ過ぎかなとも思ったんですけど、極端な作品もいいかと思って。
 
●うん、良いと思います。そんな中、NAOKIくんが作った「the guide」も収録されていますが、ものすごく良い曲ですね。NAOKIくんのリードヴォーカルとTAKUMAくんのバックグラウンドヴォーカルというコントラストも新鮮で。
 
NAOKI:でも最初デモを作ってバンドに持っていく時は恐怖感しかなかったですよ(笑)。
 
TAKUMA:「何曲か作ってきて」と言う話はしていたんです。アレンジでかなり変わったというのはあるんですけど、サビとかはほぼデモのままで。NAOKIの音楽性と僕の音楽性がバチッとハマった曲ですね。
 
●こういう曲は今後も期待してしまいますね。
 
KOUICHI:次は僕も曲を…。
 
●あ、それはいいです。
 
KOUICHI:…。
 
●ところで夏はフェス三昧ですね。個人的な楽しみなところはありますか?
 
KOUICHI:やっぱりFUJI ROCKですね。
 
NAOKI:Sky Jamboreeかな。雰囲気が好きなんですよ。
 
TAKUMA:僕はROCK IN JAPANですね。ここ数年、バンド的な野望とか目標とかを持たずにやってきたけど“GRASS STAGEのトリを演りたい”と去年目標を立てた場所だし。まだまだ先は長いですけどね。
 
●そして9/1からは全48箇所のツアーですね。相変わらずふざけた名前のツアーですが(来年10年! どないすん年! TOUR 2006)。
 
TAKUMA:今回のアルバムは曲の振り幅が広い分、「child」や「SLIGHT」や「the guide」みたいなポイントとなる新曲をきちんと聴かせることが出来たら、バンドとしてレベルアップすると思う。今までライブを観に来てくれている人にもフレッシュな10-FEETを感じてもらえるだろうし。…あとは笑いと余韻。
 
●もはや定番となった、全会場同じネタのMCですね。
 
TAKUMA:なんでそんな事言うの? ワンマンする場所ではちょっと違うことしようと思っているのに…まだこれから考えるところやけど。
 
●では、JUNGLE LIFE読者だけにどんな余興をするのか教えて下さい。
 
TAKUMA:まだ考えてへんけど、劇とか漫才がやりたいな…。コントとか影絵とか。
 
●ワンマンでは劇か漫才かコントか影絵をやるということで。
 
KOUICHI:楽しみにしていてください。あと、僕の弾き語りも。
 
●あ、それはいいです。
 
KOUICHI:…。
 
●では、最後にメッセージを。
 
KOUICHI:JUNGLE LIFEという素晴らしいフリーマガジンの表紙を飾ることが出来て、本当に…。
 
TAKUMA:JUNGLE LIFEの…。
 
 
NAOKI:JU…。