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10-FEET 『hammer ska』

既に音楽シーン夏の風物詩と化しつつある、10-FEET主催の野外フェス”京都大作戦”。今年は初めての雨(しかも豪雨)に見舞われながらも、興奮と笑いと感動の連続で当然ながら大成功の2日間だった。そしてライブハウスシーンに刻まれたアルバム『Life is sweet』から1年…ついに彼らが新作をリリースする。『1sec.』や『super stomper』の流れを汲み、ライブでんも激アガリが予想されるパワーとメッセージとクオリティを兼ね備えたシングル曲「hammer ska」。そして飾らない心境をナチュラルに綴った熱く切なげなカップリングの「rainy morning」と「求め合う日々」に計3曲。いつまでも子供心とハングリーさを忘れない3人がまた走り出した。
 
 
 


「どうやったらそこに行けるか、どんな練習をしたらいいのか、何を考えて生きていたらいいか、どういう環境に自分を置いていたらそういうものを引き寄せられるか」


 
 
 
●”京都大作戦2010”、お疲れさまでした!
 
3人:お疲れさまでした~!
 
●2日目の時に言っていましたけど、初日は3人ともめちゃくちゃ緊張していたらしいですね。NAOKIくんが「原因はわからないけど、オエーッ! となるくらい緊張した」と言っていましたが。
 
NAOKI:オエーッとなってましたね。
 
TAKUMA:余計なことを考えないようにしすぎた結果じゃないですか。3回目だし。2回目の去年も似たようなプレッシャーはあったけど、”あ、でも楽しめばええんやな”というパワーを周りから貰って。でもそういうこともわからないうちに終わったんですよ。ウワーッとやっている間に。
 
●うんうん。
 
TAKUMA:それも知って3年目はどうしたらいいんだろうと。自然体でいるのが単純に難しかった。今思えばですけどね。「だから良くしようと思ったらあかんねん」と言っている自分もいるんですけど、1年目も2年目も気を張っていたし。「どうやって…何を頑張ったらええんやろ?」とフワーッとなっているうちに、今年も終わりましたね(笑)。
 
●アハハハ(笑)。1日目のステージは確かに若干緊張しているように見えたんですけど、2日目は全然そんな感じしなかった。
 
NAOKI:全然違いましたね。1年目2年目の時は”自然体でやろう”とすらも思っていなくて。でも今年は前の2回を経てだから”自然体でやったらええんやろうな”と考えていて、そういう風に考えたことによる緊張が出たんだと思う。
 
KOUICHI:「俺の自然ってどんなんやったっけ?」と。
 
●完全に自分を見失っていますね(笑)。
 
NAOKI:でも1日目があって、逆にガッチガチなくらいでステージに出ていった方が自然になるのかなと思いました。
 
●何より印象的だったんですけど、2日目のライブが終わった後、TAKUMAくんがステージで喋りながら泣いたじゃないですか。ステージ横の大きなビジョンに泣き顔が映されていて。
 
KOUICHI:あれ映っていたんですか?
 
●不細工な顔がドアップでしたよ(笑)。1人だけ泣いていて、あとの2万人は笑っていたという印象的な場面だったんですけど…あれ、事前に泣く練習をしていたんですか?
 
一同:アハハ(笑)。
 
TAKUMA:全然涙が出なくて、ゲネプロでやっと出たんですよ。
 
一同:アハハハハハハ(笑)。
 
TAKUMA:でもあれは感動の涙でも何でも無くて、さっき言いましたけど気合いをめっちゃ入れていたのに、最後まで一番良いときの自分が出せなかったのが悔しかったからなんですよ。
 
●あ、そうだったんですね。
 
TAKUMA:「ホンマにごめん」という感じ。でもライブが終わって2人と話したら全然テンションが違っていたんです。「今日は結構ええ感じで出来たな」と2人は言っていて、俺は「俺はあかんかったわ」と。それでもライブの雰囲気はめっちゃ良かったから、すごい助けられたんだなと。
 
●今年も楽しい2日間でした。そんな京都大作戦を経て、9/8に待望のシングル『hammer ska』がリリースとなりますね。聞くところによると、今回はかなり苦労したらしいですね。
 
TAKUMA:過去最高なくらい苦労しました。”自分のやりたいこと”と”こういうの作らな”というのと、”そういうことを考えても結局いい曲なんて出来ないんだから何も考えないでいい”という、3つの気持ちがずっと交錯していて。さっきの京都大作戦みたいな話なんですけど。
 
●ツアー中に作っていなかったんですか?
 
TAKUMA:いや、色々なネタとか作っていたんですよ。でもそれよりもツアー中はずっと文学少年みたいになっていて。
 
●文学少年?
 
TAKUMA:ツアー中は音楽も作っていたけど、思ったことを書き留める時間のほうが圧倒的に多かったんです。毎回ライブで何を掲げて歌おうとか、どんなことを思って歌おうとか考えながら、思ったことを書き留めたりしてて。普段色々と考えていることの中の何かがライブ中にフワッと降りてきて喋るのと、”今日のライブのMCではこれ言おう”と考えてから喋るのだと、後者は多分おもしろくなくなると思うんですね。
 
●うんうん、意図的というか。
 
TAKUMA:ライブハウスの真ん中で燃えている炎があったとして、その炎がより大きくなるようなものがフワッと降りてくるように、と思って普段から色々と考えていたんですよ。ノートにメモしながら。
 
●それはどういう形で書き留めるんですか?
 
TAKUMA:詩みたいな感じもあれば、作文みたいな感じもある。全部手書きで。ツアー中はそんなことばかりしていましたね。そこで色々と考えたことが今作では形になっているんですけど。
 
●そうだったんですね。
 
TAKUMA:でも今回何に苦労したかと言うと、M-1「hammer ska」はレコーディング中にイチから作ったんですよ。元々別の曲があってそれを入れるつもりだったんですけど、レコーディング中に「これじゃアカン」となって。そこで何もイメージとか無かったんですけど、「もう1曲作ろうぜ」と。
 
●その「hammer ska」ですが、歌詞の内容と曲調、メロディと言葉の乗り具合、メッセージ…そういったものが全部バチッと合っているような印象だったんです。言葉も取り繕っている感じが一切無くて、むしろ普段使っている口調に近い感じで、どんどん自然になってきている。
 
TAKUMA:そうですね。この曲に関しては歌詞はほとんど悩んでいないです。
 
●それにこの曲はめちゃくちゃベースがかっこいい。”この曲はなんでこんなにかっこいいのかな?”と思って聴いていたら、ベースがすごくいい味を出しているなということに気づいたんです。
 
TAKUMA:この間ROTTENGRAFFTYのライブを観に行ったら、対バンのGNz-WORDのギターの音罪くんがこの曲をラジオで聴いたらしくて「あのベースどうやって作ったんですか?」と訊かれましたよ。「曲の中でベースがめっちゃ場所をとっているけど、そんなにガンガン出てくるわけじゃない。あのダイナミクスは何なんですか? あれどうやったんですか?」って。「いや、僕は担当じゃないからわからない」と答えたけど(笑)。
 
●アハハハ(笑)。
 
NAOKI:あの音はうちのエンジニアの赤波江さんの力です。この曲が出来た時、使うベースとアンプは絶対決めていたんですよ。イメージが明確にあったんです。で、後は赤波江さんに任せたらああいう音にしてくれるだろうなと。
 
TAKUMA:元のセッティングでNAOKIがキラッとしたり、フレーズが聴こえるところを作って、アンプと録音の仕方で録りきれないLOWとかを赤波江さんがちゃんと拾って骨太な音を作ってくれたんですよね。
 
NAOKI:僕は曲によって違うベースとか使ったりするんですけど、「hammer ska」で使ったアンプとベースの組み合わせは赤波江さんが一番好きな組み合わせらしいんですよ。ベースはスティングレイでアンプはアンペグなんですけど。
 
TAKUMA:フレーズがそこまで目立っているわけじゃないけどブンブン鳴っているもんな。「スチャッスチャ」とやっている時、バッキングギターがいるくらいの存在感だし。
 
●シングル『RIVER』から以来、リリース毎にインタビューさせてもらっていますけど音楽雑誌っぽいこと聞いたのこれが初めてだ。
 
KOUICHI:俺らじゃなくて赤波江さんにインタビューしてもらったほうがええんちゃう?
 
TAKUMA:そうやな。まあでもこんなに失礼なヤツ会わせられへんけどな。
 
●ん? 失礼なヤツ?
 
KOUICHI:それは確かにそうやな。
 
●それと「hammer ska」に対して、M-2「rainy morning」とM-3「求め合う日々」はモードがガラッと違いますよね。歌詞の内容も明確に終わっていないというか。
 
TAKUMA:結び終わってないですよね。本来、歌というのはそういう形が多いような気がするんです。ブルースとかに多いのかな。”一日の終わりにちょっと1曲作ってみました”という感じ。別にそういう曲を作ろうと思って作ったわけじゃなくて、さっき言ったように最近色々なことを考えているんです。別にネガティブな話じゃないんですよ。なんとなく思ったことや人に起こった話を聞いて、それで思ったことを弾き語りで作った感じですね。「なんとなく即興で歌作ってみてよ」と言われて作ったような感覚。実際にはそこまで早く出来たわけじゃないけど、でもそういう感じを大事にしたかったかな。ガッチガチに決めないというか、遊びがある状態というか。そういう状態を作ろうともしなかったけど、結果的にそういうところがちょっと残っているかな。
 
●うん。その遊びというか余白がいい雰囲気に繋がっていますよね。今回もいい作品になりましたが、これがシングルとしては13枚目ですよね。今までたくさんの作品を作ってきましたが、最近の曲作りのモチベーションはどんな感じなんですか?
 
TAKUMA:デモテープしか出してなかった頃の感覚と近いかもしれないです。"こういうことをやりたいけど、まだまだ全然出来ていない”という。ライブに関しても楽曲に関しても、みんなよく「満足してしまったら終わりや」とか言うじゃないですか。今回自分でもすごくいい作品が出来たと思っていて、レコーディングが終わった後もめっちゃ聴いているんですよ。”ガツンとノリのええ曲が聴きたいな”と思った時も聴いているし、何気ない普段の日常の中でも聴いているんです。ある意味、満足している。
 
●はいはい。
 
TAKUMA:でも一方で、”全然足らん”というところもずっとある。僕らは色々な人のおかげで、その時に達成すべきポイントをちょっとずつ超えたものを結果的に出せてきていると思うんです。でも「もっとえげつないところがあるやろ」という感じで、いつもドキドキしている。
 
●終わりがないと。それが音楽の魅力でもあるんでしょうけど。
 
TAKUMA:そうですね。どうやったらそこに行けるか、どんな練習をしたらいいのか、何を考えて生きていたらいいか、どういう環境に自分を置いていたらそういうものを引き寄せられるかとか…最近はそういうことばっかり考えていますね。