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10-FEET “Life is sweet” TOUR 2009-2010

10-FEETが史上最高傑作にして最強(最凶)のアルバム『Life is sweet』をリリースした。ライブという現場に照準を置いた同作は、自主企画フェス“京都大作戦”など彼らのライブから我々が感じた興奮や熱狂をそのまま封じ込めた熱量と生命力に満ち溢れた傑作。そのアルバムを引っさげてのツアー“Life is sweet”TOUR 2009-2010が始まった。今回は福岡に飛び、ツアーの折り返し地点を迎えた3人に直撃。ツアーの手応えや新曲の感触、ライブに対する考え方の変化についてじっくりと訊いた。
 
 
 


「全部共通してどんな時も持っていないとあかんのはやっぱり“強さ”というか。“強さ”は絶対に必要だと思うんです」


 
 
 
●ちょうど今日がこのツアーの半分、折り返し地点の28本目です。どうですか? 新曲には慣れてきた?
 
TAKUMA:そりゃ最初に比べたら少しは。でも、もっともっといかなくてはと思っています。今はそんなに疲れは感じないですね。1日置きでツアーを回っているというのもあるし、いい感じだと思う。それとやっぱりライブの良さとか熱量とか、そういうもののアベレージを上げるには、やることとか覚悟することが多すぎて…難しいことがわかりました。
 
●今さら? 結構キャリアあるのに? ねぇ、今さら?
 
KOUICHI:うるさい!
 
TAKUMA:でもそれをやっていて面白い。そういうことに立ち向かっていくことが。年々難しくなっていきますわ。クオリティが上がっているとか下がっているとか関係なしに。
 
●今回、ツアーに出る前はどういうことを考えていたんですか?
 
TAKUMA:良いライブかどうかはさておき、自分たち的に納得がいかないとか、悔いが残るライブというのは大なり小なり毎回絶対にあるんですね。もちろん僕らはそうするつもりはないんですけど。
 
●もちろん。
 
TAKUMA:今回も“絶対にそういうことがないように”と思って出たけれども、やっぱりよかったら欲が出るし、あかんかったら悔やむ。お客さん目線と自分たち目線、その両方があると思うんですけどね。
 
●TAKUMAくんが言う”自分たちが納得できるライブ”というのは、具体的にどういうことなんですか?
 
TAKUMA:10-FEETのライブは要素が多いじゃないですか。その中でどれを最優先に活かしたらいいライブになるのか…それは日によって違うかもしれないと思うことがあったり。
 
●なるほど。
 
TAKUMA:熱い部分なのか、面白い部分なのか…そもそも自分たちで作るものなのか、自然発生するものなのかもよくわからないし。頭で考えるべきところとそうでないところもあるし。そういうものの何通りもの組み合わせがある中で、一番持っていないとあかん、全部共通してどんな時も持っていないとあかんのはやっぱり“強さ”というか。“強さ”は絶対に必要だと思うんですけど…でも最近わからなくなってきたんですよね(笑)。
 
●今日のリハを観ていてもそう思ったし、今までのライブを振り返ってもそう思うんですけど、10-FEETのライブは不確定要素というか、アドリブ性みたいなところが占める割合がかなり多いと思うんですよ。しっかりと話し合って意思統一をしてやっているというより、その場の流れから生まれてくるものに対して3人がその瞬間にどう作り上げるか、みたいな。そういう感覚は年々大きくなっている気がする。だから「わからなくなってきた」というのはすごくわかる。
 
TAKUMA:別に迷走しているわけじゃないんです。
 
●「これや!」とはっきり言えるものではない、ということが見えてきたということですね。
 
TAKUMA:そうですね。ただ、やっぱり熱さというか、本気じゃないとあかんというのはある。
 
NAOKI:ツアーに出る前はいろいろな面で不安要素がすごく多かったんです。技術的な面もそうだし、新曲を演ることもそうだし、久々のツアーということもあって。イベントとは時間とかも全然違うし。でもツアーに出てからはライブ前に準備が出来ることに加えて、蓋を開けてみないとわからないことが今回のツアーでは特に多いと思うんです。事前に“こうしよう”と考えていても、実際にステージに立ったらそういう雰囲気じゃなかったということもいっぱいあって。
 
●ふむふむ。
 
NAOKI:だから事前に必要なことは考えておくけど、いざステージに立つ時はもうまっさらにして考えずに、蓋を開けてみて客席の空気を見て対応していくというか。そのためには本気でやっているんだけど、冷静な部分も持っていないといけない。だからそこで心が折れないように自分を持っていく、みたいな。
 
●なるほど。ヒゲドラマーはどうですか?
 
ヒゲドラマー(KOUICHI):今回は、不安とかは始まってから考えようと思って。もちろん事前にみんなで曲の練習をしましたけど、それ以外はツアーに出てから考えようと思っていたんです。そういうわけで、ツアー中に3人で話し合ったりしていますね。その都度そういう風にやっていけばいいんじゃないかな。
 
●TAKUMAくんが言っていた「最近よくわからへん」という感覚がすごくわかるんですよね。モチベーションも当然あるだろうし、タイミングというか、お客さんとの掛け合い的なところもあるだろうし。
 
TAKUMA:うん。“きょうのこのライブの感じだと、ここは大事にちゃんとせなあかん”というのは日によって違うと思う。そういうことがあると思ったのは、多分今回のツアーが一番明確という意味では大きく感じていますね。
 
●生モノというか、場所によって当然違う。
 
TAKUMA:最初2~3曲演った時にそこにある雰囲気…自分たちが作り出しているものもあれば、そこに元からあるものもあると思うんですけど…それを感じ取って飲み込んで、いいライブにしていくということを学んでいる気がします。だから前はそういうことがあるというのもイマイチよくわからなかったけど、今はそこに自分を溶け込ませるというか、溶け込ませて演る、みたいな。
 
●肌で感じるというか。
 
TAKUMA:うん。そこはちょっと増えた。
 
●そういうことを実感として得ているツアー、感じているツアーということですね。
 
TAKUMA:そうですね。
 
●新曲をライブで演ってみて、“化けたな”とか“変わったな”という曲はありますか?
 
TAKUMA:「under the umber shine」はライブで演ってほしいと言われるし、実際に演っているんですけど、正直なところ、最初はみんなが喜ぶと思っていなくて。
 
●思っていたよりも反応が良かったということ?
 
TAKUMA:うん。
 
●ライブ向きじゃないと思っていたんですか?
 
TAKUMA:うん。このアルバムを出して、その中からこれが求められているというのが意外だった。
 
●『Life is sweet』はゴリゴリでライブ仕様の曲が多いけど、その中からポップで歌モノっぽい「under the umber shine」が選ばれるというのが意外だったと。
 
TAKUMA:そうですね。いいことだと思っていますけど。
 
NAOKI:ほんまにみんな結構歌っているし。
 
●というか、もともと持っている“10-FEETっぽさ”がある曲だから、みんな聴きたいと思うんじゃないですかね。
 
TAKUMA:あぁ~、確かに。ああいう雰囲気は『REALIFE』くらいからありそうな感じがする。
 
●でしょ?
 
TAKUMA:それはすっごいわかります。
 
●実際にライブを観て思ったんですけど、新曲は肝になりますね。それぞれライブの中でポイントになっている気がする。
 
TAKUMA:そうですね。『VANDALIZE』の時とは違う感覚かも。あの時はライブでハマっていたけど、結構そのブロックの引き立て役になる曲もあれば、ネックになる曲もあったりして。でも今作の新曲はほとんど目立ちますもんね。
 
●Zepp Tokyoのライブを観て思ったのは、セットリストを決めるのがすごく悩むアルバムなのかなと。ライブを考えた時、捨てられない曲ばかりというか。
 
TAKUMA:一番最初にセットリストを決める時、新曲の曲数をどうするかというところがやっぱり大変でしたね。でも正直ね、何枚もアルバムを出してきて毎回ツアーでアルバムの曲を演っていますけど、残るのは数曲だなとだんだん思うようになってきて。
 
●ああ~。
 
TAKUMA:現実そうなんですよ。何枚も出せば出すほど、結局パイロットソングが増えるということじゃないですか。だからどうしても新曲というのは、セットリストに入っていてもなんか薄く見えたりすることがあったんですね、なんとなく。でもそれが今作はそれも同じくらいの濃さで入っている気が少しする。
 
●なるほど。バンド活動というのはある意味繰り返しじゃないですか。そこに対する悪い意味での“慣れ”というのは当然出てくると思うんですよ。何回もライブをやっていたりとか、制作してリリースしてツアーをして、という細サイクルがあるわけだし。そういう部分はどう消化しているんですか?
 
TAKUMA:NAOKIはそういう質問得意ですよ。
 
●マジですか? どう?
 
NAOKI:何が?
 
●聞いてへんやんけ!
 
TAKUMA:要はマンネリになってしまう部分をどうしているかという。
 
NAOKI:ああ~、マンネリになることもあると思います。でもそれをライブでどう振り切るか。そういう意味ではやっぱり対バンの力は大きいと思う。一緒に回っていて、「明日はこういうことをしよう」とか、常に新鮮で面白いことがある。やっぱりライブの内容も昨日をなぞるんじゃなくて、さっきTAKUMAが「溶け込む」と言っていましたけど、僕の場合は溶け込もうとしても溶け込めない時もあったりして。
 
●そうなんですね。
 
NAOKI:そういう時って自分的にやっぱり甘いなと思ったり、意識していなくても自然に溶け込めていくと“今日はすごく良かったな”となる。溶け込めた時ってそういうマンネリ云々が気にならない。それも自分たちの意識で溶け込める時と、対バンの仲間からもらった刺激とかから“お前らには負けないぞ”という気持ちで溶け込める時もある。だから、やっぱり対バンの力というのは大きいです。
 
●今まで何度も訊いてきた質問なんですけど、10-FEETにとってライブとは何なんですか?
 
TAKUMA:その時その時活動している上での“今の僕たちはこうです”というのが一番見える場所。CDとかも出しているけど、全てはライブのために活動している感じ。今までもそう言ってきているんですけど、マジでそうなんかなというのは本当に今回のツアーで実感している。
 
●ああ、なるほど。
 
TAKUMA:「やっぱりこれか!」みたいな実感はありますよね。だからそこがダメになったら全てがダメになるような気がしています。CDも何もかも。
 
●では最後に、ヒゲドラマーから読者に新年の挨拶をお願いします。
 
ヒゲドラマー(KOUICHI):あけましておめでとうございます! これからもよろしくお願いします! ……ライブに遊びに来てください。CD、8枚くらい出しています。シングルもまあまあ出しているので、よかったら聴いてください。