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10-FEET 『METAL-IKKA ~ メタル一家』

今年7月に自主企画フェス“京都大作戦 2008”を大成功に納めたばかりの10-FEETが、今度は数多くのメタルキッズに影響を与えたMETALLICAのリスペクトカヴァーアルバムを企画した。今作はMETALLICAへの多大なるリスペクトが詰め込まれれているのはもちろん、集まった11バンドはシーンを代表する猛者ばかり。どの曲も一聴しただけで魂を揺さぶられる超刺激的カヴァーアルバムだ。
 
 


「もちろんプレッシャーはありましたけど、OUTRAGEとも対バンしていたし、INSOLENCEとも対バンしていてそういう縁があったことから、間違いないものが作れるなと思った」


 
 
 
●7月の“京都大作戦 2008”はすごく良かったです。全バンド観たんですけど、10-FEETがやりたかったことの一つが形になった気がする。なんか嬉しかった。
 
TAKUMA:うん、天候も含めてすごく良かったですね。観に来てくれた人たちも、出演者も、みんなが"自分たちのフェス”という感じで参加してくれて。それが本当に嬉しかった。というか、"京都大作戦2008”の話をじっくりしていいんですか? きっと止まらないですよ。あのイベントは、僕らが普段ツアーとかでライブハウスを…。
 
●そんなことより、METALLICAのカヴァーアルバムを企画したらしいですね。
 
TAKUMA:…はい。
 
●TAKUMAくんは常々METALLICAから影響を受けてきたと公言していましたが、なぜ企画しようと思ったんですか?
 
TAKUMA:いや、METALLICA好きやし。
 
●ここ最近は『デトロイト・メタル・シティ』のヒットがあったり、METALLICAが約5年ぶりにアルバム『Death Magnetic』をリリースしたりと、音楽シーンでメタルがクローズアップされることが多いですが、また時流に乗っかろうとしていませんか?
 
TAKUMA:「また」って何やねん! 前のやつどれやねん!
 
●前からこういうカヴァーアルバムを作りたかった?
 
TAKUMA:いや、好きすぎて、自分の中でMETALLICAは音楽を始めたきっかけでもあるし、神様だから、こういう発想はまったく無かったんです、もともとはレコード会社のA&Rの人に「こういうの面白いんじゃない?」と言われて始めて「ほんまや!」と。
 
●でも例えば自分が大好きな、それこそ"神様”と思っているようなアーティストの楽曲をいざカヴァーするとなった時、”イメージを崩すんじゃないか?”という不安は無かったんですか?
 
TAKUMA:もちろんプレッシャーはありましたけど、OUTRAGEとも対バンしていたし、INSOLENCEとも対バンしていてそういう縁があったことから、間違いないものが作れるなと思ったんです。やっぱりMETALLICAのトリビュートアルバムで、OUTRAGE先生が入った時点で僕の中ではOKだったんですよ。誰もが認める日本のメタルキングだし、そういう人が入るコンピレーションは本物だと。それに他の人達もジャンルはバラバラだけど、筋金入りのバンドばかりだと思うんですよ。こだわりを持っている人たちというか。だから”僕たちが1曲目でいいんかな?”とすごく悩みましたよ。
 
●でも言いだしっぺですからね。
 
TAKUMA:まあ、そう思って責任を持つ意味でも1曲目にさせてもらったんですけど。
 
●そのOUTRAGEによる「Fight Fire With Fire」の勢いはもの凄いですね。
 
TAKUMA:そうなんですよ。めちゃくちゃ熱量がこもっているし、愛も入っている。それにOUTRAGEは98年に一度脱退された橋本さんが戻ってきて最初のレコーディング音源が今作なんです。しかもこのためにわざわざアメリカまで行ってレコーディングされたんですよ。
 
●ええっ!?
 
TAKUMA:すごいでしょ? 素晴らしいクオリティだし、付け入るスキが無いんですよ。イントロなった瞬間に「うおおおっ!」って。
 
●良いものを作るために全力を注がれたんですね。
 
TAKUMA:改めてびっくりしたのが全バンド自分の曲になっているんですよね。それがすごいなと。OUTRAGEの「Fight Fire With Fire」だけは完コピで、これは逆なんですけど(笑)。でも自分の曲になっているんですよね。つまり”OUTRAGEのアレンジ”ってこれなんですよね(笑)。始めて聴いた時、もう嬉しくて嬉しくてニヤニヤし続けていました(笑)。
 
●今回の取材にあたり、METALLICAの原曲と今作のカヴァー音源を交互に聴き比べてみたんですよ。
 
TAKUMA:OUTRAGEすごかったでしょ(笑)。
 
●「ものすごく原曲に忠実だ!」とびっくりしました(笑)。
 
TAKUMA:リバーブ感とか途中に入っているSEとかも原曲のままだし。それに最後に入っている建物がぶっ壊れる音なんてMETALLICAの原曲よりも粉々にぶっ壊れていて。何壊したらこんな粉々な音になるんかな? とびっくりしましたよ(笑)。
 
●アハハハ(笑)。
 
TAKUMA:9mm Parabellum Bullet(以下、9mm)とかもうライブでやっているらしいですからね。きっとMETALLICAを知らない人が9mmの「Moterbreath」を聴いたら、9mmの新曲だと思うんじゃないかというくらいですもんね。あまり普段マイナーコードを使わないようなバンド…BEAT CRUSADERSの「One」とかは、何か不思議な輝きを放っていて。
 
●そうですよね。「One」は原曲から想像がつかなかったです。
 
TAKUMA:そうそう、暗くない。でもだからと言って明るいハッピーなチューンになっているわけでもない。あのバランス感覚はすごいですよね。
 
●うんうん。
 
TAKUMA:INSOLENCEのダブなアレンジとかもめっちゃ面白いし、あのバランス感覚もすごいと思う。原曲の良さを損なっていないし。さっき「みんなが神だと崇めているようなバンドのカヴァーだから”イメージを崩すんじゃないか?”という不安は無かったんですか?」とおっしゃっていたじゃないですか。そういう意味では全バンドがそういうプレッシャーを感じてやっているくらい、バリバリ気合いが入っているんですよね。本気じゃないですか。ちょいちょいと作った感じじゃなくて、自分のライブでも出来るくらいに気合が入っている。RAZORS EDGEもほんまにすごかったなぁ。”そんなメジャーチェンジ、アリなんや!”って。「Creeping Death」聴いてびっくりしませんでした?
 
●これはびっくりしましたね。でもこの曲を聴いて感じたのは、原曲が持っているドタバタ感をRAZORS EDGEなりに解釈したらこうなったのかな? と思ったんですよ。だから全バンドそうですけど、原曲をデフォルメしている感じがしたんです。
 
TAKUMA:ああ~そうですよね。パロっているわけじゃなくて、デフォルメしている。
 
●80~90年代のアメリカのヘヴィメタルやハードロックって、シンプルな感じの曲が多いじゃないですか。テンポもめちゃくちゃ速いわけでもないし。そういったMETALLICAの原曲を、このカヴァーではそれぞれのバンドがそれぞれのテイストで、今の時代に合うように楽曲をデフォルメしている気がするんです。
 
TAKUMA:まさにそう。原曲がなんなのかわからなくなるようなカヴァーアレンジというのはよくありますけど、今作にはそれが無いんですよね。全部原曲の旨味をちゃんと活かした上で、残りの部分で全面的に自分たちのカラーを出しているというか。OUTRAGE以外(笑)。
 
●OUTRAGE以外ね(笑)。ところで「St.Anger」をカヴァーしている沖縄の2side1BRAINは、この機会まで知らなかった。
 
TAKUMA:こないだ対バンしたところなんですけど、そこでめっちゃ仲良くなって。それ以来、沖縄に行くたびにべったり遊ぶんですよ。彼らはいつも米軍基地でライブをしたりしていて、アメリカ人にもめちゃくちゃリスペクトされているんです。とにかくライブがめちゃくちゃかっこいい。個人的にもすごく好きだし、バンドとしても尊敬しているから、"この人達がMETALLICAをカヴァーしたらどうなるんやろ?”と思っていたら、案の定METALLICAが大好きで。
 
●10-FEETの「Sad But True」を聴いてすごく思ったのが、METALLICAというバンドから感じるかっこよさとか、ストイックな感じ、ファンとの距離感…そういう”匂い”みたいなものは、実は10-FEETのライブから感じる硬派な部分と共通していると思ったんです。
 
TAKUMA:ああ~。
 
●10-FEETのライブや楽曲はメッセージ性があったり、ダメダメだったり、温かかったり、時にすごく硬派でかっこよかったりするバンドだと思うんですよ。その硬派なかっこよさはMETALLICAから感じるかっこよさとすごく通じるものがある。METALLICAを通して逆に10-FEETを理解出来たと言うか。
 
TAKUMA:アハハハ(笑)。それは絶対にそうでしょうね。それくらい影響を受けているし、1stの頃からたくさんの栄養を貰ってやってますよ。
 
●それに10-FEETのカヴァーを聴いて原曲の良さを痛感しました。ポップじゃないけど、ゴリゴリのキャッチーさが際立っているカヴァーだなと。
 
TAKUMA:METALLICAのシングル曲で世界で一番売れたのが「Enter Sandman」なんですけど、その次に売れたのが「Sad But True」なんですよ。でも日本では「Sad But True」はシングル化されていないし、当時は日本人がシングルとして受け入れられるほどヘヴィサウンドがそれほど市民権を得ていなかったんですよ。なぜなら当時の日本人にとっては重すぎたし、遅すぎたんですよね。
 
●はいはい。
 
TAKUMA:もちろん当時のメタル好き…メタリシャンは名曲だって気づいていましたけどね。
 
●メタリシャンって…。
 
TAKUMA:さっき「ゴリゴリのキャッチーさが際立っている」と言ってくれはりましたけど、僕らの「Sad But True」はそういう部分を抽出できた感はあります。だからそう言ってもらえると嬉しいですね(笑)。僕ら今回めっちゃ仲良くなって焦っていましたから。
 
●え? 焦っていた?
 
TAKUMA:みんなすごすぎるもん。本当にすごいから逆に焦りましたよ。FUCK YOU HEROSの「Metal Militia」とかは他のバンドほどいじっていないですけど、でも「うちらMETALLICA好きですけど何か?」みたいなものが思いっきり伝わってくるんですよ。POLYSICSも”METALLICAが好きなんだな”というのがすぐにわかりますからね。クレイジーですよね(笑)。
 
●POLYSICSにもびっくりしましたね。見事に自分たちの曲にしている。
 
TAKUMA:TOTALFATもMETALLICAへの愛情をめちゃくちゃ感じましたよね。彼らはMETALLICA世代のハードロック・カヴァーアルバムも出しているから、それを全部ぶつけて来ていますよね。
 
●うんうん。
 
TAKUMA:UZUMAKIの「Through The Never」もそうだし。ベースのTERRYがMETALLICAを好きすぎて、「ちょっとお願いだがらここだけ俺に弾かせて」と言って、イントロのギターはTERRYが弾いてますからね(笑)。
 
●アハハハ(笑)。そうだったんだ(笑)。
 
TAKUMA:「お願いだから! イントロだけ! な? な?」って(笑)。