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10-FEET 『nil?』


「僕らも昔の曲は全然否定していなくて、忘れずにやっていこうと思っている」


 
 
●今回の『nil?』聴きましたよ。4曲しか入っていないですけど、現時点での10-FEETベスト盤と言える出来じゃないかなと。言い過ぎじゃなくて。
 
TAKUMA:なんかお礼して。モノでもお金でもいいから。
 
NAOKI:あ、でも1000円くらいしか無い…。
 
●(1000円札を財布にしまって)前作『RIVER』で客層がぐわっと広がったと思うんですけど、『RIVER』で10-FEETを知ったお客さんに「10-FEETはこんなバンドだよ」と聴かせるのにちょうどいい一枚だなと。
 
TAKUMA:そうかもしれませんね。元々作っていた曲と、レコーディング直前に作った曲と両方入っているんですけどね。
 
●この“nil?”は「ゼロ」とか「無」という意味らしいですけど、このマキシに込めたメッセージというのはあるんですか?
 
TAKUMA:生活の節々で絶望感を感じた時に人は“俺はもう終わりだ”と簡単に思いがちなんですけど、改めて五体満足であるとか、健康であるとか、家族を持っているとか、そういうことを省みた時に、“終わりだと言っても、大抵のことではなんにもならないよ”と。
 
●なんかどんどん哲学的になってきましたね。歳の所為かな?
 
TAKUMA:そうですかね。でもまだ28歳だし。
 
●もう28歳だしね(笑)。
 
TAKUMA:今日はえらいつっこんできますね(笑)。会ってすぐに「太った」とか言うし(笑)。でもカッコいいの苦手だから嬉しいわ(笑)。
 
●(笑)。でも今回のマキシは全体的にカッコいいじゃないですか。
 
TAKUMA:そう! そんな感じですよね。そこがマイナス。
 
●「RIVER」はもうちょっとベタというか。なんか“おかんが泣いた~”とか言ってるでしょ? ジーンとする系だったというか。
 
一同:(笑)。
 
TAKUMA:「RIVER」はシリアスだけど、くだけたところがあるからね。「nil?」はそんなことないですよね。10-FEETはあんまりかっこよくしないから。そういう意味では「nil?」は10-FEETの曲の中でカッコいい系の頂点に達しているのかもしれない(笑)。あと、海外の音楽ばかり聴いている僕の引き出しから出たものが多いというか。
 
●ジャンルで言うと、「何やねん?」と言う感じですよね。
 
TAKUMA:ある意味トランス系でね(笑)。ロックな感じで、今までの要素を凝縮したいなと思って。あと、日本語と英語が半々のイメージがあった。例えば、Aメロ、Bメロ、サビとあった時に、AメロとBメロが日本語でサビが英語の場合は、僕の中ではその曲って既に英語の曲じゃないんですよね。日本のポップや歌謡曲ではサビが英語って普通にあるし、一箇所英語というのはいっぱいある。
 
●はい。
 
TAKUMA:なので半々のイメージにしたい時には、圧倒的に英語が多くないと絶対にそういう関係にならないと思ったんです。それでサビとエンディングだけ日本語にしたら、考えていたイメージになった。
 
●うん、カッコいいですね。KOUICHIさんも一番好きなリズムとおっしゃっていますが。
 
KOUICHI:好きですね。気持ち良い。
 
●「nil?」はもうライブでやっているんですよね? 他の曲は?
 
TAKUMA:やっていないですね。敢えて雑誌のインタビューなんで「やっていない」と言いますけどね。
 
●ほんまは?
 
TAKUMA:出来ない…ごめんなさい…。
 
一同:(爆笑)
 
●(笑)。「recollection」とかは苦労しそうですよね。特にリズム隊が。
 
NAOKI:もうこの曲はレコーディング最低でしたよ。テンションが全然あがらない。原曲を聴いてそれをアレンジするわけじゃないですか。こうやったらカッコいいというのは分かるんですけど、それを僕がやろうとすると現時点の技術ではしんどい…まだベースにそんなに慣れていないから。
 
TAKUMA:これ最近ネタにしてます(笑)。
 
NAOKI:いざレコーディングとなったときにね。今までこういう曲やったことないんですよ。「なんちゃってボサノヴァ」というか。
 
KOUICHI:ノリとか雰囲気が大事じゃないですか。それを出すのが…。
 
TAKUMA:グルーヴ感が大事ですからね。
 
●でも頭の2曲は素晴らしい力を持った曲ですね。両方とも息が長い曲になるんじゃないかと思います。まあ、演奏出来ればの話ですけど(笑)。
 
一同:(爆笑)
 
TAKUMA:指導されてる(笑)。でも後半の2曲はコテコテの10-FEETらしい曲でしょ?
 
●うん、また今回やっちゃいましたね。この2曲は動機が不純っぽい。「MOB ~45 BOMBSTYLES~」はMOBSTYLES(10-FEETがお世話になっているファッションブランド)に捧げる歌なんですか?
 
TAKUMA:捧げると言うか…なんかね、僕らずっと東京にいたじゃないですか。東京に来るキッカケになったのがMOBSTYLEの田原さんに「東京で一緒になんかおもしろいことやろうや!」と言われていたからなんです。そして上京して挨拶に行ったら「え!? ホンマにきたん??」と言われて(笑)。結局今まで一緒に面白いことやっていなかったから、田原さんはそんなことも忘れているかもしれないけど、10-FEETはひたすら勘違いして曲にしてみたと。
 
●もう聴いていただいたんですか?
 
TAKUMA:「いいね」って。最初の2曲がずるい(くらいかっこいい)から、「MOB ~45 BOMBSTYLES~」はバランスを取って支え役になっているのかもしれないけど、その位置づけがシブいと言ってくれています。ほっとした(笑)。
 
●そして最後の「springlady」なんですけど、アルバム『springman』を1曲にしてしまったという…無茶しましたね(笑)。
 
TAKUMA:実は僕、80'sのヘヴィメタルばっかり聴いていたんですけど、あの人達はたまに曲の中で昔の曲のタイトルがいっぱい出てくることがあるんです。過去の自分の曲を否定するバンドマンはいっぱいいるけど、全然そういうところが見られないのがかっこいいなと思っていて。僕らも昔の曲は全然否定していなくて、忘れずにやっていこうと思っているから。
 
●でも無理矢理詰め込んだわけではなく、きっちり整っている。
 
TAKUMA:そうそう。思いつき的なところではあるんですけど、舞い降りてきたかのようにバンバン当てはまりましたね。
 
●4曲が短く感じないというか、4曲だけしか入っていないのにアルバムを聴いた時のように満足できるというか。
 
TAKUMA:それは…褒め言葉ですね。
 
●…いや、褒めてますよ。
 
TAKUMA:アメとムチを使い分けているインタビューですね(笑)。
 
●(笑)。でもある意味、“次はどんなもんを出してくるんだろう?”と楽しみになる一枚ですね。そうそう、それと6/21のAXワンマンはどうします?
 
TAKUMA:そうですね。1時間漫談で、1時間コントで。
 
●漫談と言えば、MCのバリエーションは広がりましたか?
 
一同:…。
 
●いや、ダメっていうわけじゃないですよ。よしもと新喜劇は全部わかっているけど面白いじゃないですか。あれと10-FEETのMCは一緒かなって。
 
一同:(笑)。
 
TAKUMA:そ、それは僕らも曲とは別に創作活動が必要なんで…。