音楽メディア・フリーマガジン

“雪にまつわるお話と2012年のリスナーとしての音楽まとめ”の巻

 もう2月ですけど、みなさんあけましておめでとうございます。本年もよろしくです。いきなりですけど、いやー寒い! 今日は寒い(丁度東京に大雪が降った日に原稿をやっております)! 今日は西麻布でラジオ収録があったんだけど、ご一緒してる岡村詩野さんは電車が動かなかったためにスタジオに来ることが出来ませんでした。僕は地下鉄で六本木まで行ける場所に住んでいるので、なんとかたどり着きましたが、六本木から西麻布までの道のりはハードでしたなあ。道は雪で滑るし、風は強くて傘が大破しちゃったし。しかし、そんなこんなも豪雪地帯に比べたら大変なんて言っていられませんよね。僕の実家がある青森の津軽地方も豪雪地帯で、一晩で雪が膝くらい積もるんですよ。正月に帰省して雪かきしましたが、ほんの数時間で元の木阿弥。毎朝、今日東京のあちこちで見られたような雪かきをしないと車が出せない。都会は甘っちょろいぜ! とか言われそうですなあ。ただ、逆に田舎では体験できない雪の危険もありますわ。それは今日まさに六本木で体験しましたが、ビルから落ちてくる雪、ね。これが危険だわ。豪雪地帯のビルのような落雪対策をあまりやっていないが故、高いところから雪がバシバシすごい勢いで落ちてくる。ニュースによりますと、東京スカイツリーも落雪対策がいろいろ大変なようですな。今日の六本木も歩道に高いビルから雪が落ちてきまして、そのドシャッっていう音からして当たったら確実にお子さんやご老人は怪我をするんじゃないかなあ。こうまとまって昼に雪が降るのって僕が東京に来て8年にして初めて。だからこそいろいろ都会の弱点が明らかになりましたよ。

 

雪、といえば去年の12月実家用に除雪機を買いました。一昨年、親父が初めて除雪で弱音を吐きまして、「じゃあこの際除雪機買おう。」と話し合い、いつ買おうかと話しつつ、なんとか除雪機無しでしのいでたら季節が春になってしまい、結局昨年雪が降るまで親父も僕もそんなこと忘れてたんですけど。あのー、除雪機って雪が降るまでに買わないと在庫がなくなっちゃうんですね。だから気づいた時には売り切れてて、さあどうしよう大変だ、ということに。豪雪地帯の除雪機って電動式とかそういう小型のじゃ話にならんのですよ。最低5馬力、それ以上のガソリン使用の中型機以上じゃないと使い物にならない。だから在庫数が限られているんですよね。しかしまあ、この東京で、まさか除雪機についてこんなに調べて詳しくなるとは思わなかった(笑)。いろいろ調べましたよ。オーガの撥水対策は、とかさあ、絶対東京じゃ知ってても使い道がないよなあ。結局除雪機はオークションで購入しました。根気よく探してたら丁度青森の方が、もう使わない8馬力の除雪機を出品されてまして、相場より幾分高かったけど、まあ新品で買う半額くらいの価格だし、他の地方からの運搬費などを考えると、なんてあれこれ考えて思い切ってえいやっと入札。オークションでこんな10ン万のものを入札したことがなかったのでちょっと緊張したなあ。
オークションは無事落札でき、相手の方も親切でスムーズに除雪機は年末までに到着したわけです。若干バッテリーに不具合があったようだけど、それも交換で解消され、僕が年末に帰省してから初の本格的起動、と相成ったわけですが、除雪機なんて運転したことないじゃないスか。僕、今の実家は青森だけど、実は生まれも福岡だし、育ちも雪がほとんど積もらないような場所で。数年前に亡くなった母親の生家が青森で、母親の希望で青森に家を建てちゃったから実家がここになってしまったので。そんな僕が除雪機を買って運転することになるとは。で、運転してみた感想ですけど、まー慣れが必要ですな、アレは。車体を前に後ろに移動させながらオーガ(雪を巻き込んでいく部分のこと)を上下させて、さらに雪の飛ばす方向を調節して、と運転しながら何かと忙しい。底抜け脱線ゲームか、これは!! ドーっと突進させたら雪がドドーっと飲み込まれて、ブワーと雪が飛んで行って(なんか知恵ない文章ですなあ・笑)、と想像したようにはいかないもんですなあ。普段は親父が使う物なので、まずは親父が慣れないといけないけど、70超えたこれまた出身が僕同様雪にあまり縁のない場所の親父に使いこなすことができるのかなー。そんなことを運転しつつ思っていたのでございます。
で、正月が明けて実家から帰って来てしばらく後に親父に電話して、その後除雪機はどうよ? なんて聞いてみたところ、結局ね、雪が積もっている場所に除雪機が入って行かず、雪を広い場所に移動させて来てから除雪機で飛ばしている、という話。んー、それじゃああまり、意味ないんじゃない、かなー(笑)? まあ除雪機って本当は雪が積もって硬くならないうちにどんどん飛ばして行くためのものなので、積もって時間が経って雪が硬くなっている状況じゃ仕方ないらしいけど、うーむ、何か納得できんなあ。とはいえ親父は買って満足げではあるので、買ってよかったですよ、ええ。僕も納得している!
今回の話、雪害に縁のない地方でこれを読んでいる人にとっては、「ナンの話を延々書いてるんじゃい!」と思われてるかもしれないし、逆に生まれから雪害に悩まされている地方の人からは「当たり前じゃん。甘い甘い。」なんて思われているかもしれませんが、そんな除雪機購入のあれこれを経験している間にいろいろ考えちゃったんですよね。親父もいい歳だし、何か無い限り自分より早く亡くなるわけだけど、父亡き後、果たしてこの青森に将来僕が住んで雪かきをするんだろうか、と。僕は免許も無い、青森に親戚がいるとはいえこの場所に馴染みが有る訳ではない、住むのはとってもハード。そして母親が亡くなった時にも悩んだ話だけど、何より就職口がない。今の自分の仕事とリンクするような仕事は青森には到底無い訳です。でもね、行くごとにこの実家に愛着は湧いて来て、手放すのはなんだかもったいない。とはいえ、最初の方に行った通り、日に下手すりゃ膝くらいまでくらい雪が積もったりするんですよ。だから雪かきのためにも住まないわけにはいかないんですよね。別荘みたいに休みが出来た時に泊まる家として使ったら、なんてことは現実では不可能なのね。
実際青森や近県の田舎の方の話を聞くと、家族は都会に住んで、実家には老齢の方だけが住んでおり、結局その方が亡くなると誰も住む人がいなくなり、家は風雪ですぐぼろぼろになっていって、結局廃屋になって放置されてしまっている家がたくさんある、と。うちの実家の近所にもそんな廃屋がいくつもあるんだよなあ。この状況がかなり深刻な問題なのね。いわゆる「限界集落(意味は検索してくれ)問題」ほどではないにせよ、田舎を取り巻く状況はかなりハード。最近でも除雪の予算が全然足りなくて、というニュースがありましたが、あれもそのひとつ。人が少ない場所にはお金はかけられない。でも住んでいる人にとっては生死に関わる問題なのですよ、雪害って、ねえ。都会の雪問題と大きく違うのは雪をかく人がいない、かく人は高齢者で事故も多い、さらにそんな雪が春まで溶けない、ということ。溶かすにも川や海まで運ばなくてはいけない。その運搬費にもお金がかかる訳で。
最近では雪で発電するという「スターリングエンジン」というものが実用化に向けて研究だそうですが、まだまだ実用化には時間がかかりそう。北海道美唄市で行われているコンピューターのサーバーを雪で冷やす、といった試みが実験検証中ということですが、日本の各地で行うためにはやはり運搬費とか場所の確保、雪がいつも安定供給できるか、など様々な問題はあるみたい。でもね、こういった利雪というものの運営の目処が立ったらもっと予算を国から下ろしてもらってどんどん進んで行ったらいいなあ、と思う。単純に都会から遠く離れた場所で生きて行くための現地事業がどんどん増えることはいいことだと思うんですよ。事業が生まれたら、人口の流出は食い止められ、またそこに違う産業が生まれて、ということになるので、ね。未来を感じるということはとてもいいこと。
とまあ今回は雪にまつわる話でほとんど終わってしまいましたなあ。音楽の話とか全然書いてない。んー、2012年も終わったので昨年の自分のまとめくらいざっくりだけど書いておきますね。
昨年、リスナーとしては圧倒的に洋楽を聴いてましたよ。もちろん日本のアルバムもいいものがあったけど、海外の作品でよすぎる物が多かった。特に前半。ジャズではEsperanza SpaldingとRobert Glasper Experimentがほぼ同時期にリリースされて、この二枚は特によく聴いた。ヒップホップ、R&Bも良い作品が多かったね。一昨年末にリリースされ、僕が購入したのが2012年初頭だったSam OckとかKero Oneといった在米韓国人の作品が暖かくてよかった。あと元々Slakah The Beatchildという名前でヒップホップを作っていたトロントのクリエーター、ブライアン”スラッカー”ジョセフが60,70年代のロックやポップに影響を受けて作った作品The SlakadeliqsやQuantic Feat. Alice Russell、Monophonicsといったサイケ・ソウル、サイケ・ポップのエッセンスが入ったクラブミュージックも気分だったなあ。ロックでもDr.Johnのアルバムとかよく聴いたけど、やっぱりサイケぽかったしね。あとは…The Beach Boysの新作、これはもうねえ、ライヴも見に行ったし、今でも聴いて胸がきゅんとなってます(笑)。
邦楽ではアイドルもロックもポップスもクラブミュージックも、とにかくジャンルレスでバラバラに聴いてたけど、いわゆるアイドル、東京女子流やTomato n Pineのアルバムにはやられたなー。トマパイ、まさか年末に活動を散開しちゃうとは。Apogeeの永野亮君、一十三十一、かせきさいだぁのアルバムがよかったよね。
駆け足で書きましたが、今年も引き続きジャンルレスで新譜をとにかく聴き続けて行くつもりでございます。新譜買うのって楽しいス。今の作品あまり聴いてないんですよー、なんて人もよくいらっしゃいますが、もったいないですよー。
というわけで、2013年の音楽に関わるあれこれは一体どうなるんですかねえ。今年も引き続き、皆さんよろしくお願いいたしますね。それではまた次回!

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