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Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松 拓 たっきゅんの受け身の美学 Vol.1

Print優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、1/14にシングル『Gravity』とLive DVD&Blue-ray『No Longer Strangers』をリリースし、5/14@渋谷CLUB QUATTROのMonthly Live at QUATTRO Vol.3 "3×6=構築"を控えているNothing's Carved In Stone。当連載は同バンドのフロントマン村松が、様々な“表現者”とガチのぶつかり合いを行い、その際に起こる化学反応を赤裸々にレポートしていく村松拓強化プロジェクトである。

 

 

Vol.1 たっきゅんは僕らのキラーコンテンツの巻

いつの頃からか「日本一なるぞ!」という言葉が連載「たっきゅんのキングコングニー」のテーマとなり、飽くなき向上心だけを燃料に様々なことにチャレンジしたたっきゅんだったが、結局日本一の漢になれず、先月4月号にて連載が終了したのは記憶に新しいところ。しかし! あの連載及び動画が公開された直後、村松拓から「ちょっと話があるので来て欲しい」という連絡が編集部に入る。2015年4月某日、指定された場所を訪れると、筆者に対してたっきゅんは新しい扉を開く決意を告白した。

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山中210アコースティックライブも、Monthly Live at QUATTRO Vol.2のときも思ったんですけど、最近の拓さんはステージでのびのびとしていて、それがライブにすごくいい作用をしていますよね。

 

村松210やっぱり「たっきゅんのブレンバスター」をやって「たっきゅんのキングコングニー」をやったことが、ものすごい楔(くさび)になってるんですよ。

 

山中210あら。

 

村松210最初は迷ってたじゃないですか。この連載で俺がどうなるんだろう? って。でも「とりあえずいろんなおもしろいことがしたい」と言い出して、やっていくうちに“これでいいんだ”と思えて、それがバンドにもちゃんと還元できていて。だからよく最初に楔を打ったよね(笑)。自分でもよく打ったと思うし、よく打たせてもらえたと思うし、よく付き合ってくれたと思いますよ、本当に。

 

山中210おもしろかったから全然いいんですけどね。

 

村松210そのお陰で、緊張感というか、プラスとマイナスの真ん中の部分が見えやすくなったというか。緊張感が生み出しやすくなったお陰で、ライブにもいい効果が出ていると思うし、曲づくりも思いの外スムーズだし。

 

山中210曲作りも変わったんですか?

 

村松210うん、みんなリラックスしてやってる。俺がこうなったのが関係しているのかどうかはわかんないですけど。

 

山中210いや、それは絶対に関係していると思いますよ。ここ最近のNothing’s Carved In Stoneで何が変わったかと言うと、拓さんが変わったことがいちばん大きいと思う。バンドの中心点がはっきりしたと僕は感じているんですが。

 

村松210でもウチのバンド、今年はもっと変わっていきますよ。去年1年間変わったことがあったけど、それがやがてベーシックになっていくでしょ? そうすると、各メンバーが変わっていくと思うんですよ。だから更にメンバーがおもしろくなるだろうし、そうなると俺ももっとおもしろくならないとこのバランスは継続しないと思うんです。

 

山中210貪欲ですね〜。

 

村松210俺は常に貪欲だよ!

 

山中210ハハハ(笑)。

 

村松210だからキングコングニーありがとうございました! なんだけど、今日来てもらった理由というのは…。

 

山中210ん?

 

村松210キングコングニーが終わってみて初めて、キングコングニーを超える何かをやらなきゃいけないなって気づいたんですよ。毎月たくさんのメールももらってるし。

 

山中210は?

 

村松210当初は、漢らしく終わろうと思っていたんですけど、なんかやっぱりおもしろいことがしたいなと思っていて。ちょっと目線を変えたもので。もう少し、自分のフィールドでその人にしか作れないものを作っている人たちと関わってみて、そこで“たっきゅんは何を感じるのか?”ということを俺は知りたいんです。

 

山中210ほう。たっきゅんを掘り下げるというよりは、独自のフィールドで何かを生み出している人と触れ合うことで、どう反応するのかを見たいと。

 

村松210そう。きっとそれは“対談”みたいな形になるんだろうけど、そこでしゃべって自分自身が何を感じて、相手には何を感じてもらえるのだろうかっていうことが気になっていて。

 

山中210でもそれは、ちょっと勇気が要ることですよね?

 

村松210そうなんですよ。俺のウィークポイントです。

 

山中210弱点?

 

村松210うん。1対1でしゃべることって、やっぱりエネルギーも必要だし。

 

山中210前にJUNGLE☆LIFEで藍坊主のhozzyと対談したことがあったじゃないですか。ああいう感じで、1対1で対談することはよくあるんですか?

 

村松210ないんですよ。hozzyとの対談、あれよかったですよね。俺がしゃべろうと思っていなかったことを引き出してもらえたっていうか。逆に、hozzyも俺に対しての固定観念があっただろうから、そんな話になると思ってなかっただろうなっていうところもあったりして。そういうことがしたい。

 

山中2101対1で話すことに対して、抵抗というか恐怖感を抱いていたんですか?

 

村松210怖いですね。ぶっちゃけ、今でも対談して何を訊けばいいかわかってないんだけど。フハハハ(笑)。

 

山中210自分で言い出したくせに?

 

村松210はい(笑)。俺は他人に興味が無いっていうところが一貫してあるんですよ。だけど生き方としては、関わったらおもしろいっていう部分というか、たまたま同じ舟に乗ったんだから楽しくやっていきましょうよっていう。

 

山中210うんうん。

 

村松210“わかんないからおもしろい”というところにはあまり触れたくないっていう想いがあって。自分が持っている言葉の羅列に、他人をあまり当てはめたくないんですよね。根掘り葉掘り訊いて「やっぱそうなんでしょ?」って言うのはごく限られた仲の良い人間だけでいいんですよ。でも、そういうことに自分からチャレンジして、どこでどういう風に自分が受け身を取るかを見てみたいっていうか。本当に自分目線なんだけど。

 

山中210ほう。

 

村松210だから「たっきゅんの…」と銘打って、山中さんの力を借りて…。

 

山中210え? また?

 

村松210そう、また(笑)。連載やらせてください!

 

山中210やりましょう! …というかこの茶番、昔どこかで見たことあるな。

 

村松210アハハハ(笑)。

 

山中210どういう人と対談したいと思っているんですか?

 

村松210今、俺が気になっているのはバンドマン。同業者からどういう風に思われるのかを知りたい。きっと俺はその人に対して“おもしろいな”って思っちゃうんだろうけど、そこで自分がどう思うかも知りたいんです。

 

山中210打ち上げとかで、バンドマンと1対1で深い話をしたりとかはなかったんですか?

 

村松210THE BACK HORNの山田将司さんくらいですね。俺は山田さんが好きでしょうがないから、そこに俺のプライドは介在してないの。「山田さん、こういうことあるじゃないですか。こういうことがあると、こうするじゃないですか。山田さんもそうなんですか?」って訊いたら山田さんが「俺もそうだよ」って言ってくれて、「やっぱそうだったのか(笑)。よかった〜」って安心する。

 

山中210単に話を聞いてもらってるだけという(笑)。

 

村松210でも1対1で話してみたいと思う人がいるんですよね。この新しい連載では、そういう人としゃべってみたいんです。俺ね、先輩とウワーッ! とはっちゃけるのがいつの間にか苦手になっているんです。

 

山中210え? どういうことですか?

 

村松210それはたぶん、Nothing’s Carved In Stoneをやり始めたからなんですよ。わかんなくなっちゃって。だって3人のメンバーは、俺にとっての先輩たちとタメな感じの関係性なんですよ。だから関わり方がよくわからなかったんです。「村松ですよろしくお願いします」って挨拶するけど、既に関係性があるから、そこに俺が割って入る必要があるのかなって。

 

山中210なるほどな〜。要するに寂しかったのか。

 

村松210ぶっちゃけて言うと寂しかったんだけど(笑)、それを新しくちゃんと自分の土壌として作っていきたいんです。

 

山中210おもしろそうですね。

 

村松210あとね、俺は最近風邪で1週間寝込んで、なおかつ3日くらいお腹を壊して寝込んだんですよ。“理由は何かな?”と考えてたんですけど、俺、朝飯をあまり食わなくて。

 

山中210はい。

 

村松210でも家にはいろんな人からもらったお土産とかがあるから、朝出るときにそれを持って出て食うんです。うまい棒とか。そういう生活をずっとしていたんですけど、それがいけなかったのかなと思って反省したんです。

 

山中210ほう。

 

村松210だから、お菓子メーカーの人と対談してみたい。

 

山中210は?

 

村松210アハハハ(笑)。お菓子メーカーの人としゃべってみたい。何をしゃべったらいいかわかんないけど。俺が大好きな「岩下の新生姜」の会社の人とも話してみたいし。

 

山中210そういう人と対談が実現したとして、ちゃんとしゃべれます?

 

村松210いや〜、どうなんだろう。礼儀とかあるんですか?

 

山中210いや礼儀というより、話がどういう風に展開していくのかなと。

 

村松210そこは山中さんに進行してもらって(笑)。だからまたここで連載をやりたいんですよ。

 

山中210そういうことか(笑)。音楽業界以外の人とも話してみたいと。

 

村松210そう。それと日本のバンドって、サブカルチャーとすごく深い繋がりがあるじゃないですか。ヴィレッヂヴァンガードとか下北沢とか…いわゆるアンダーグラウンドの世界とすごく繋がりが深いでしょ? だからこそ繋がりとかグルーヴとかムーブメントが起きていると思ってて。

 

山中210うんうん。

 

村松210売れてる人たちは全然別の話だけど「流行りとか関係ないよね、だけどムーブメントってあるよね」っていうところをバンドが作っていることが多いっていう結論なんです。そういうところで飄々とかっこいい生き方をしている人に惹かれるんですよね。

 

山中210へぇ〜。おもしろそう。

 

村松210というか編集長! いまや「たっきゅんの…」っていう名前が付くコンテンツを手放すのは愚の骨頂ですよ。

 

山中210あっ、プレゼンきた! 茶番だ!

 

村松210ここでたっきゅんを手放すなんて編集長としてどうなの? って思っちゃいますよ。

 

山中210こんなキラーコンテンツを手放すのか? と(笑)。他の雑誌で連載するぞ! と。

 

村松210アハハハハ(笑)、そう。俺もね、正直言うとこのグルーヴを手放す気はさらさらない。だからまた1年よろしくお願いします!

 

山中210こちらこそよろしくお願いいたします!
 
 
 
 
 
 

次号に向けて受け身の練習をする2人。

次号に向けて受け身の練習をする2人。

 
 

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