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変わっていくということの巻

震災から4ヶ月が過ぎ、半年がもうすぐ。日本の偉い人って実はたいしたこと無い人でいっぱいなんだなあ、とつくづく思わせてくれる数ヶ月。エエ加減腹立つのも度々過ぎて呆れかえるよなあ。それが作戦なのかもしれないね。ようやく復興への足がかり、みたいなものが見え始めております。明らかに遅い、かつ中途半端なもの、承服できないものも多いけど。いつまでも震災をひきずっているわけにもいかない。新しい何かを始めなくてはいけない。でもけして震災を忘れてはいけない、そんな気持ちの昨今でございます。半年の日、9/11には皆さん、被災地で亡くなった方々や無くなった建物のことを考えてほしいな。僕ももちろん考えるので。

さて。昨今の政治家や財界やその他様々なものの言説や意見、ニュースに接していて思うことは、いよいよこれまでの価値観で物事を続けていこうとすることが限界なんだろうなあ、と。何とか己を守ろうと必死な御仁はこれまでのように様々な方法で承服させようと躍起になっているものの、なんだか上手くいってない。嘘やごまかしはボロボロとバレてる。どうもこの震災以降特に顕著ですよねえ。それでもまだまだ足掻くみたい。ポンコツ。滑稽ですなあ。
別に滑稽では無いニュースでいえば、39年続いた情報誌「ぴあ」の休刊。なんだか寂しくも紙という媒体ではもはや限界で仕方ないのかな、とも思った。雑誌は休刊が増え、新聞も発行部数が減り、TVはこれまでのゴールデンタイムの概念が崩れつつあり、ラジオは地方局の自社制作番組が減り、とこれまであったメディアには次々と逆風が襲い掛かっている。そして僕の仕事である音楽というものもそういったものと同様、CDという既存のものがどんどん売れなくなっている。音楽配信へ徐々に移行しつつあるとはいえ、売れなくなってきた理由は他にもあるだろう。よく言われている「不法ダウンロード」問題もそりゃ確実にあるだろうけど、それのみを理由にするのはどうかと思う。仮に不法ダウンロードが全て撤廃されたとして(無理だけど)、じゃあその損益が全てまた音楽に戻ってくるのか? といえば、僕がそうは思わない。単に手に入れないだけではないのかな。タダだから入手するけど、お金がかかるなら要らないよ。悲しい話だけどそんなことになるような気がする。
ただ、今の音楽がつまらないからみんな買わないんだ、というネット上で見かける言説には真っ向反論する。今リリースされている音楽にも素晴らしいものはたくさんあるんだよね。配信にしろCDにしろインディにしろメジャーにしろ、世界中のあちこちから今も音楽は発売、もしくは配布され、溢れている。僕だけがそう思っているわけではなく、きっと皆さんも聴いたら「いい!」と思うものがあると思うんだな。ただそこに出会えていない、たどり着くことができていないんじゃないか、と思う。そしてきっとそんな自分好みの音楽があったのならお金を払うことはいとわないだろうと僕は信じている。
先日僕より年上の方(50代あたまくらいの方です)と音楽談義をしていた中で、「この音源は配信のみです、といわれたらもうそこで『じゃあ無理』と思ってしまう」的な発言をされていた。やってみたらこんなに呆気なくできるもんなの?と思えるくらいに簡単な配信も、年配の方にとって大きなハードルとなっているようで。それはかつてCD時代到来からかなり過ぎた90年代初頭、滋賀のレコード店で僕が働いていた時に妙齢のお客さんから「CDはボタンがいろいろあってよくわからん。これはカセットないの?」と言われていたことを思い出すような話。そういえばLD(レーザーディスク)をレコード盤と間違って買って行き、レコードプレーヤーに乗せたけど音が出なかった、というクレームを受けたこともあったなあ。もはやLDというメディアも若い人には通じなくなってしまったけど。
話が横道にそれました。レコード会社は「これからは配信ですよ!」とよくいうけど、配信音源のダウンロード方法であるとか、配信の利点といった基本事項についてもっと壮年層以上にアプローチしていく必要があるんじゃないのかな、と思う。じゃないと時間は相当かかるよ。なんとなく配信だから、と諦めて出会いが減るのはなんとももったいない。同時にこれだけ既存のメディアの影響力が減っている中で、新しい出会いが生まれるような施策をもっともっとお金をかけてやるべきか、と。前から何度も書いていることだけど、ネット試聴の充実もひとつ。旧譜のアーカイヴページの充実もひとつ。ネット上の映像サイトへ不法にアップロードされた音源が試聴用として多くの人に機能している事実があるというのはちょっとどうなのかなあ、と。
新しい出会いといえば、メジャーももちろんだけど、インディのレーベルの人ももっと考えていくべき。Amazonのページを見てもバンドのインフォは2行ほどしか載っていない。で、バンドのホームページを見てもメンバー名しかプロフィールに掲載されていない。検索してもバンド自体の詳細が掲載されているページがほぼない、そんなことなんてざら。僕らは音で勝負するからいいんです! なんてかっこいいことを思って敢えて明らかにしてないの? そういうバンドもいるかもしれないけど、ほとんどは単純にスルーしてるだけでしょ? 知ってる人はもう知ってるから、っていう理由で。それじゃあせっかく作って売ってるCDも全国展開では売れにくいんだよね。もったいないなあ、と思う。
既存メディアの話をもうひとつ。この文章を打ち込んでいるのが、実は7/22。つまり明日、24日でTVのアナログ放送が終了するのです。この文章が皆さんに読まれる頃にはすっかり地上デジタル放送1本になっていると思います。皆さんのご自宅のTVはもう地上デジタル対応、ですよね? 実は現時点、僕の家にあるTVはアナログのみ。国が発表した話によるともはや1%以下らしいですよ、アナログ放送のみの家庭っていうのは。いや、買い換えようと思って何度も電気店やネットでTVのあれこれをチェックしたんですよ。買う直前まで行ってたこともあった。でもねえ、なんか毎回「ま、今度でいいかあ」だった。そしてこれだけ24日が迫ると今度は「アナログ終了の瞬間を見させていただこうかな」なんていう考えに変わったのでございます。さようなら、ありがとうアナログ放送という気分で。じゃあアナログ放送が終わったら即新しい地デジ対応TV買うのか、といえばこれがどうもテンションあがっていない。いや、TVを全く見ないってこともないんですよ。いくつかの番組は毎週楽しみにして見ています。映画のDVDとかも見ますしね、新しいTVに買い換えたらきっと今よりも大きな画面できれいな映像で楽しめるわけで。でもなんか引っ掛かりがあるのも事実。なんだろう、この気持ちは。
子供の頃の自分は本当にTVっ子で、一日中TVをつけっぱなしにしてチャンネルを変えて様々な番組を見て。そんな頃が嘘のようにもうTVは決められた番組の時間につけるだけ、ということになってしまった。夜、家に帰ってもTVはつけない。震災直後の数日はさすがにTVをつけていたけど、数日後には自然にネットとラジオを聴く生活へと変化し、4ヶ月以上経った今も極力無駄にTVをつけない生活が続いている。だからこそ、買い替えがなんかもったいない気分になっているのかもしれない。ちなみに節電にも役立つらしいね。なんたって冷房よりTVのほうが節電になるらしいので(これ、TVでは絶対やらない、できないネタですね)。もうTVも「ながら視聴」するメディアではなくなった、ということでしょう。細やかな情報やスピード感はネットのほうが数段上なわけだし。なくなったらなくなったで全然生きていけるという気がします。震災後の総括も未だ出来ていない、なんならそのままスルーしそうな状況にも正直不信感を持ってるしね。TVは素晴らしい、TVは必要、なんてたまにTVの情報番組で言ってるけど、原発の爆発映像をリアルタイムで報道しなかった、できなかった段階でもう報道として成り立っていってない気がしますねえ。いくらネットはデマが多いとか言われてもねえ。
今回はメディアのお話をしてきましたが、既存も新しいものも含めメディアではけして味わえないものも世の中にはいっぱいありますよね。前回も岩手盛岡と青森弘前の桜を見に行った話を書きましたが、この2ヶ月間で今度は群馬、そして仙台と秋田に行ってまいりました。群馬県は震災とはあまり関係ないようなイメージで捉えられているけれど、放射性物質の溜まるホットスポットや野菜への風評被害などの問題でやっぱり不安を抱えていることが行ってみてあらためて感じられた。仙台は仕事で日帰り出張したのですが、そこに住む人たちの「それでもここにいる」という想いがお話の中で強く伝わった。秋田は日本海側で停電以外ほとんど震災の影響を受けていない土地ではあるけれど、やはり風評被害はあるそうで、観光客も例年より減ってしまったそう。そんな現地でお知り合いになった方々を訪ねて実際会い、土地の物を食べたりお酒を飲んだりしながら飛び出す話を聞いていると、これはやっぱりメディアでは味わえないものだなあ、と思う。秋田の帰りに実家のある青森にまた寄ってみたんだけど、移動に普通電車を使ってのんびり秋田の風景を見ていると、こういうものは間違いなく今も未来も関係なく素晴らしいものであるし、残すべきは己の価値観とかじゃなくてこの風景なんだろうなあとしみじみ考えましたね。日本っていい国だなあ、というのはネット上ではなかなか感じられないものではあるけれど、行ってみたら確実に思えるものなのです。大切にしていきたいものです。

フカミマドカ Profile

東京都内在住。音楽にまつわるあれこれでなんとか生きたい音楽自由業。レコード会社で働きながらラジオでパーソナリティや選曲をしてみたり、Ustreamに出てみたり、いろいろ。毎週日曜22時から仙台のDate FMで「ニポノフォン」、北海道NORTH WAVEで岡村詩野さんと毎週水曜22時から「NISHIAZABU RECORDS STORE」っていう番組やってます。月一回FM大阪の「MIDNIGHT☆JUNGLE」にも出演してます。あと月一回Ustreamで番組やってます。mona records行達也店長、寺岡歩美さんといっしょに「全日本モナレコ連盟」を、ondo records中川さんといっしょに「ondo records放送部」など。いろいろやってるね。twitter ID:madonco 男。一応書いておく(笑)。

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