繊細な鍵盤ハーモニカのメロディを、身体を突き上げるほどの轟音の中で響かせる叙情派エレクトロ・ダブ・ユニット“あら恋”。彼らの新作『キオク』は、昨年のレコ発ツアーをロードムービー・テイストで封じ込めた約2時間のDVDと、高揚感溢れるダンス・チューン「Going」を含む4曲入りCDによる二枚組だ。どちらかを特典扱いするのではなく、両メディアを合わせて『キオク』としているのが、ライブ / 音源双方でコンセプチュアルな要素を重視するあら恋らしさと言える。
DVDには、メディアからも評価の高いバンド形態でのステージが克明に収められている。専属のPA、照明と共に構築したシネマティックな演出と、バンマス・池永の感情迸るスクリームは特に見所だ。一方のCDには、きのこ帝国・佐藤や、eastern youth吉野寿をゲストに迎えた珠玉のボーカル曲を収録。活動歴が17年を超えたあら恋の変遷と進化を、映像と音で体感できる作品である。