CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 99回
<特集アーティスト>
「生きること、歌うことを続けて、自分の歌がどうなるのかを知りたい」髙岩 大輝
*プロフィール
髙岩 大輝(たかいわ ひろき)
1992年生まれ 栃木県小山市出身。
大学を機に引っ越した福島県郡山市で、2014年に弾き語りで音楽活動を開始。
その後、地元栃木県のメンバーと共に、アコースティックバンド silaph(しらふ)を結成。
弾き語りの活動と並行し、栃木や福島を中心にライブハウスやカフェ、路上などで演奏を行う。
2017年には、RADIO BERRYが主催するROCK BERRY AUDITION2017にバンドで出場し、グランプリを受賞。
その後も音源リリース、企画ワンマンライブなど活動を続け、2020年バンド解散後現在も弾き語りで活動中。
2023年2月には最新音源「台風前夜ep」をリリース。
・音楽を始めたきっかけ
高校時代に、地元の友達に誘われて始めたコピーバンドがきっかけです。
その友達を通じて知り合った地元の先輩からCDを貸してもらい、色々なジャンルの音楽を聴くようになり、作詞作曲をするようになりました。
・好きなアーティスト
ゆらゆら帝国、serph、スピッツなどなど。
・これまでの音楽活動の中で、一番印象深い出来事
…たくさんあります。笑
・これから世界の音楽シーンはどうなっていくと思いますか
自分自身あまり時代についていけていないのですが、今以上にデジタル配信、サブスク配信が主流になっていくんじゃないかと思います。
・今後の展望
弾き語りの活動を続けつつ、バンドやデュオ編成での演奏など、やってみたいことがいろいろあるので、少しずつ実現していけたらと考えています。
年明けには数年ぶりに音源を作ることができ、今はいろいろな場所に歌を歌いに行きたい気持ちがあります。
https://www.facebook.com/hiroki.takaiwa.1
・髙岩大輝YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@modokiox
・2023.2.17 release「台風前夜ep」
1.台風前夜/2.バイバイサマー/3.探検隊
3曲入り800円
ライブ会場で販売中
(sns、メール等からの購入も可能です)
・出演依頼やCD購入などお問い合わせはこちらまで
【今月のMV】
wrongvacation 「Change」
https://www.youtube.com/watch?v=WZfgBoAXhbU
単なる60’s、70’sリバイバルとは一線を画する、2020年代オールドスクール系ソウルミュージックの傑作。映像もOne&Only感がみなぎっており素晴らしい。
【今月のちょいレア】
Acoustic Revive GB-TripleC-FM
現存する楽器用シールドの中で、最もワイドレンジでスーパーフラットと言える、常識を覆す逸品である。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
The BLuE 「DECISION」
80年代から2000年代初頭のアメリカンロックが根幹にあり、その上にUKロック、Jロック的エッセンスがバランスよく降りかかっているミニアルバム。ソフトなハイトーンヴォーカルと、楽器群の相性の良さに着目してほしい。
my ass 「grunge böy」
グランジ、オルタナ、ハードロックのいいとこどりバンドmy assのフルアルバム。原型むきだし、小細工なし、色付けなしの潔さに好感が持てる。
美元智衣「Miracle」
長年の大手レーベル所属の経験値を生かした、2020年代ネオJ-POPと呼べそうな作品。独立後4枚目にあたる本作は、現時点での最高レベルと言って間違いないだろう。当スタジオではマスタリングを担当。
カカシカシカカ「サバンナ」
曲名からも想像できる、アフリカンビートがぐいぐい引っ張るダンス系サウンド。壮大なメロディーラインと、少しエスニックな音色、歌詞の絡み具合が好印象。当スタジオではレコーディングを担当。
髙岩大輝「台風前夜ep」
フォークとロックの中間に位置する、個性的な弾き語りサウンド。普遍的な内容の中、じわじわ浸透する彼の声音とギターリフが特徴的だ。聴き手を選ばない魅力がいたるところに存在している。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 98回
今回取り上げるのは、イギリスのスタジオ用スピーカーの超ハイエンドブランド「PMC」です。
元々は1991年にイギリス国営放送BBCから派生したブランドであり、BBCを始めイギリス最大手のレコーディングスタジオ「メトロポリタンスタジオ」にも導入されるなど、輝かしい実績を誇ります。
実績、実力ともに段違いで、他高級ブランドの追従を許さないPMCが、30年以上の歴史の中で初めてブランド名を冠したニューモデル「PMC6」をリリースしました。
私が今までいろいろな高級スピーカーを聴いてきた中で、一番リアルでワイドレンジ、スーパーフラットだと確信したスピーカーです。
それなりのランクのスピーカースタンド、インシュレーター、スピーカーケーブル、そして電源ケーブルで周辺を固めると、スウィートスポットが広くなり、10畳以上の部屋であれば、リスニングポジションをいろいろ変えても印象が変わりません。
その他にもデジタル入力があるだけでなく、縦置き/横置きの自動DSP補正機能、マルチチャンネル/イマーシブシステムでの吊り下げが可能なシーリングマウントヨークなど、魅力的な特徴を数々兼ね備えています。
好みの問題はあれど、将来本職でやっていきたいと思う方にはうってつけのスピーカーだと思います。
【大学生バンドのセルフREC】
95回で少し触れたマスタリングについて、いよいよ具体化していきます。
この20年で、プラグインを中心にアウトボードなども、マスタリング専用ツールが発展、進化してきました。
ただ、パソコンにデータを出し入れしただけで音質が変型するのは相変わらずで、変形を防ぐためにも出来れば信頼できるハードウエアで作業したいところです。
また、マスタリングの全工程については「真にフラット、かつワイドレンジ」なスピーカーで作業するのが本来の在り方です。ヘッドフォンだけでは限界があります。
下に示したのは、一つの理想形です。
この図を見ると、一般的なミュージシャンからするとかなり圧倒されてしまうのではと思います。
ただし(95回でも取り上げているように)マスタリングという行為は、昔も今も相当な職人技が要求されるので、これがいわゆる出発点であると考えています。
【今月のMV】Porcho 「Something Strange」
https://www.youtube.com/watch?v=WPG4BRVALWw
全世代のブラックミュージック、90年代のミクスチャー、2000年代のオルタナティブロックがセンシティブに融合した、2020年代における真のフューチャーロック決定版。
【今月のちょいレア】Audix CX112B
隠れた名品CX111の後継モデル。自然に半歩前になる音像の在り方が、他にありそうでない個性派マイクだ。下手なEQやコンプは不要かも。(生産完了品)
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
THE Rick'n'roller 「Your dreams make me happy」
80年代青春パンクやR&Rがベースにありそうな、宮城在住ロックバンドのミニアルバム。ボーカルの倍音が豊かな声質が、一聴して脳裏に焼き付く。楽曲のバリエーションの豊かさも魅力の一つ。当スタジオではマスタリングを担当。
TRIPLETOPS「The Sounds」
茨城出身のガールズ・ユニットTRIPLETOPSの、約5年半にわたる活動の総集編となるフルアルバム。ブリットポップ、フューチャーEDM、ネオエレクトロニカ、ポストシューゲイザーといったオリジナリティーあふれる楽曲が満載の一枚。
ZERo「Beat Boutique」
ネオR&Bの定番を少し外した、大人のポップチューン。従来のZERo氏の楽曲とは一線を画する、新機軸となりそうな一曲。当スタジオでは楽曲提供、レコーディング全般を担当。
of Tropioque 「Buster Goes West」
ニューオーリンズ系バレルハウスサウンドが根幹にある、ルーツミュージックバンドのアナログ盤。年齢年代を問わず、USAエッセンスを楽しむことができる。今作は米国ワシントンD.C.にあるインディーレーベルElectric Cowbell Records からのリリース。
とりいそぎ「彼方の海にあなたを見たわ」
従来のポップスサウンドに、大胆なオーケストレーションをミックスアップさせた超意欲作。メンバー全員が音大出身というキャリアを、今までの彼らのどの楽曲よりもよく感じ取ることができる。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 97回
<特集アーティスト>
「ハイブリッド」なスタイルを強みに突き進むYU-DAIの音楽観
YU-DAI
Human Beat Boxer・MCとしてキャリアを重ね、これまで4枚のアルバム、2枚のEP、12インチシングルをリリース。
昨今はトラックメイカー・エンジニアとしても頭角を表し、年間400曲以上の楽曲提供・スタジオセッションをこなす。
特にヴォーカル、ラップ、ヒューマンビートボックス、外画吹替、ナレーション、家電音声等、声に関するレコーディング・整音技術には定評がある。
「作る」「歌う」「整える」全てを一貫して自ら行うからこそ生まれる感情的でも計算されたサウンドメイクは、類い稀なスタイルを確立している。
1. 音楽活動を始めたきっかけ
両親の影響もあり、幼少期から音楽が好きで沢山の音楽を聴いていましたが、The RootsのRahzelやAFRAさん、The Gospellersの酒井雄二さんの影響もあり12歳の時にヒューマンビートボックスを本格的に始め、
同時にMTRやMICも買い始めたので、アーティストとしてもエンジニアとしてもその時点から音楽活動にのめりこむようになっていきました。
2. 国内外の音楽シーンは、今後どうなっていくと思いますか
日本の音楽シーンに限定すれば、今までにあったムーブメントがアップデートされながら繰り返していくと思います。
具体例で言えば、80年代には沢山のアイドルが誕生。
90年代になるとR&Bやパワーポップス等音楽自体が進化した楽曲が流行り、2000年代もまた沢山のアイドルが生まれ、2010年前後はケロケロボイスにEDM、ポップスもコードがより複雑になり音楽自体が変化していきました。
今後も「アイドル時代」→「音楽自体の革命時代」という流れを音響技術の進化と共に10年周期で繰り返すと思います。
今までと大きく異なる点があるとすれば、影響を受ける「国」ではないでしょうか。
今までは曲調もサウンド面もUS(特に西海岸)やUKで起きているムーブメントを輸入してきたように見受けられますが、これからは韓国をはじめ、アジア圏の音楽からも影響を受けていきそうですね。
また、競争も激化すると思います。
昔はアーティストが作品を発信する方法は、レコード会社を介して作品をリリースするか、個人で何枚もカセットテープやCD-Rをコピーして手売りするかしかありませんでしたが、今は誰もが全世界に配信各社からいつでも手軽にリリースすることができるようになりました。
しかも買うだけでなく、"サブスクリプション"とか"リース"とかそんな方法でも。
いわゆる”有名"と言われている人達以外にも、国内外問わず優れた才能を持ち、最高峰の音楽を演奏・制作するアーティストは沢山いるはずなので、個人の才能を自由に発信できる昨今は、世界中のアーティストにとってチャンスであり、新たなジャンルや、未体験の感動的な音楽がどんどん生まれる可能性を秘めた音楽シーンになっていくと思います。
ただ、その分間口が広がった事で絶対数が増え、競争率は激化しますので、注目される存在になる為には、
より秀でたアプローチや技術がアーティスト本人だけでなく、プロデューサーやエンジニア等の製作チームにも求められていくのではないでしょうか。
3. 今後の展望
"ハイブリッドな音楽家”になる事です。
昔は1曲を作る毎に、作曲家、作詞家、アレンジャー、エンジニアもレコーディングエンジニア、ミキサー、マスタリングエンジニア、と沢山の人が関わる必要があり、制作に際しかなりの人件費やスケジューリングが必要でした。
でも昨今、制作予算が10年前、20年前に比べ大幅に減少している為、様々な技術を身につけているマルチプレイヤーが勝ち上がると思います。
例えば、REC, MIX, MASTER, 3人のエンジニアに5万円ずつ払うのであれば、8万円で全行程をFIXしてくれるエンジニアが1人いればクライアントの予算とエンジニア側の売上はWIN WINですし、スケジューリングも円滑になり、データの移動が不要な為、時間的なロスや送信時のヒューマンエラーも防げます。
また、機材の進化により作家自身がある程度のレベルまで家で仕上げることができるので、「この曲はMIXからお願い」とか、「この曲はマスタリングだけ」のように、あらゆる角度からの注文に対しマルチに対応できれば、クライアントから間違いなく重宝されます。
僕の例はレコーディングからマスタリングまで全てを行うことができますし、トラックメイクもしますし、スクラッチもコーラスも依頼があれば対応します。
このような話をすると必ず抱かれる懸念が「一つ一つのクオリティは大丈夫?」というお話ですが、それはもう努力するしかないですよね(笑)。僕も自信はあります。
また、僕は音楽制作に「Logic」は必要だけど「How to」は不要だと思ってます。
コード理論や音声に対する数学的な理論はしっかりおさえつつも、理屈にとらわれず直感や衝動、芸術観を大切に音楽と向き合っていきたいので、そういった考え方の面でも「エンジニア的思考」と「アーティスト的思考」を持つ、”ハイブリッドな音楽家”でいたいです。
T.H.P Official Web:http://thp.main.jp
Instagram:https://www.instagram.com/yudaibeat/
Twitter:https://twitter.com/YUDAI_Beatbox
MV : https://youtu.be/MhtrQNrD7FY
【最新作】
2022.12.28 発売
Not A Hustler
発売元:ULTRA-VYBE, INC.
レーベル:T.H.P
配信:iTunes, AppleMusic, Spotify, LINE MUSIC, AWA, レコチョク etc...配信各社より絶賛発売中
【今月のMV】307.(temporary named)「You Are Not Mine」
https://www.youtube.com/watch?v=3jmJdOtcQqY
“THE 1975 meets Autotune”といったキーワードがピッタリな、International感覚あふれるMV。
もろ洋楽チックな楽曲と、映像とのマッチングが素晴らしい。
【今月のちょいレア】TASCAM TM-180
プロ音響ブランドTASCAMが放つコンデンサーマイクの雄。
上位機種TM-280よりダイナミックマイク寄りで、「ガッツのあるコンデンサーマイク」とでも言うべきだろうか。現在は生産終了だが、状態の良い中古なら1万円ちょいで手に入ることも。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
Cusper「The View From Above」
Red House Painter のようなスローコア、サッドコアを軸に、オルタナティブロックまで幅広く表現された精神性の深いアルバム。帰国子女であるVo.Hamamoto氏の英詞と声音の絡みが絶妙。
307.(temporary named)「Prologue」
メロコア、オルタナ、パワーポップ、ギターポップなどがバランスよく組み込まれたミニアルバム。Blink182やTHE 1975あたりが好きな人に特に聴いてほしい。
Porco「HONEY MUSTARD HOT DOG」
ネオファンク、フューチャーオルタナといった2020年代洋楽サウンドを独自の世界観で表現するバンドのフルアルバム。国内外問わず、カルチャームーブメントが波及する可能性大。特にUS好きにおすすめしたい。
YU-DAI 「Not A Hustler」
NYに渡米経験のあるYU-DAI氏のシングル。Hip Hop、トラップ、R&Bをベースに、多岐にわたるクラブミュージックの神髄を追求、表現するのみならず、常にOne & Only的存在を目指す姿勢に好感が持てる。
A’ monster「真理」
80~90年代国内ポップロックの系譜を推進しているシングル。以前のバンド形態からの流れも汲みつつ、現在進行形のサウンドが体感できる。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 96回
今回ご紹介するのは、究極の自宅プライベートスタジオです。
私の知人で、北関東にお住まいN氏のご自宅プライベートスタジオの写真をお借りしました。
お仕事のかたわらアマチュアでライブ活動、音楽制作を楽しまれています。
本業顔負けのプロフェッショナル感覚をお持ちのN氏、常に音楽機材のブラッシュアップに心を砕いており
その審美眼にはいつも感心させられます。
まさにこれが「至高のセルフRECスタジオ」と言えるのではないか、と思います。
【今月のMV】ひっとみぃ「暗森な夜」
https://www.youtube.com/watch?v=vGANm2Br4hU
オリエンタルな雰囲気の導入部に「エスニック・パッチワークポップ」と命名したくなる、
オリジナリティー全開の意欲作。
シタール風のフレーズとパラドクス的な映像とのコントラストが好印象。
【今月のちょいレア】AUDIO FLY AF240
低音が少々あっさりしているが、プレーンという印象がぴったりのヘッドホン。
エイジング前と後では、音の変化率がありえないくらい大きいのが特徴。
ケーブルにマイクが装着されている点に着目したい。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
PEI「深海 20Hz」
福島を代表するギターロックバンドになりつつある、PEIのシングル。
前作より演奏力、作編曲力、音作り、ライブパフォーマンスなどマルチで向上している。
今後も活躍に期待したい。
小室壱成「city」
80’sリバイバルなシティーポップと、リアルタイムAORが首尾よくドッキングした、洗練されたポップミュージック。渋谷系が好きな人にもおすすめしたい。当スタジオではマスタリングを担当。
ハルノアリカ「ヘルスフードサック」
定番ギターロックを、彼らなりのアレンジで少しずつ個性を出している作品。
卓越した演奏力の中に、遊び心あるフレージングが楽しめる。当スタジオではドラムレコーディングを担当。
THE+BETH「バイキルト」
ポップパンク、パワーポップを軸としたガールズグループの新作。
前作より、楽曲と歌の質感がより一体化している。当スタジオではマスタリングを担当。
TOY「Too Proud」
従来のややメロウなトラップ要素を包括したHipHopチューン。
ほんの少し匂いだす「いかつい感じ」が、トラック全体にさりげなくスパイスを与えている。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 95回
今回ご紹介する電源ケーブルはACROLINK 6N-P4030 です。
見た目は前々回でご紹介したOKTSU DENKO AIR3シリーズのDestinyに似ていますが、音の傾向はかなり異なります。
Destinyは「タイトでコンプ感が強い」印象、対してこの6N-P4030は「ナチュラルかつワイドレンジ」で、オールマイティーに使えそうです。
中古品であれば、1万円台後半くらいで見かけることもあります。
最初の1本として購入する電源ケーブルとしてはもちろん、2本3本目にもおすすめです。
【大学生バンドのセルフREC】
ミックス作業は全曲終わっていないが、試しに1曲のみマスタリング作業をしてみることに。
マスタリングを自分たちだけで出来るか、もしくは業者に発注した方が良いかを見極めるためだ。
ミックスとマスタリングの違いを、ごく簡単に説明してみると
*料理の味付けをする→ミックス
*出来上がった料理を皿に盛り付け、見栄え良く仕上げる→マスタリング
といったところだろうか。
マスタリングという工程は、時代と共に解釈が変化してきている。
しかし、音楽制作全工程の中で「一番の職人技が要求される」という事実は、変わらないと思う。
ここ20余年で、高性能プラグインやアウトボードが数多くリリースされ、マスタリングに対しての敷居が低くなった雰囲気がある。
だが、あくまでも「便利になった」だけ、という点も否定は出来ないのではないか。
なぜなら、マスタリングに一番重要なツールは「フルレンジ、大音量で鳴らしてもフラットなジャッジが出来る、優秀なモニタースピーカー」「それらをサポートするハイエンドな電源周り」そして「鍛錬された耳」だからだ。
以前から何度となく触れている話題であるが「PC、DAW、オーディオインターフェースだけ」の内部MIX、マスタリングでのバウンスなどは、クオリティーがキープしにくい。
この連載では、PCベースではない「優秀なアウトボードやマスターレコーダー」を使用したマスタリング、その他工程の説明に、今後も特化していきたい。
【今月のMV】woe be gone「Teasin’」
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&Tv=Y_AATXMqjh0
流行りのシティーポップやギターロックとは一味違う、現在進行形アブストラクトミュージックと呼べそうな作品。良い意味でルーツがわかりにくく、玄人受けしそうな一曲。
【今月のちょいレア】Better maker MASTERING LIMITER
フルデジタルのアウトボードに見えるが、実はアナログのマスタリング用リミッター。
PCからの設定などはデジタルで行えるが、音声信号はフルアナログ。
このアウトボードに通すだけで、リッチな奥行き感が簡単に演出できる優れものだ。
数々の最新型プラグインを用意し、複数のマスターフェーダーに多段がけしたとしても、この機器の領域にはたどり着けないであろう。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
STAY FOR WELL 「SHE’S LEAVING HOME」
パワーポップ、メロコアを軸に、様々な要素が自然に組み込まれている作品。
90年代のオールドスクールから2020年代最新洋楽のエッセンスまで、随所から感じることができる。
プルスタンス「夢追いフール」
叙情的ギターロック、というキーワードがドンピシャで当てはまるバンドのシングル。
豊かな倍音成分が含まれるリッチな声質と、バックのサウンドの相性が心地よい。今後の活躍に期待大。
YAPOOL 「BOY」
R&R、パンク、ガレージロック、そして近年のUKロックサウンドを、独自の解釈で組み上げるYAPOOLの新作。前作の延長線上にありながらも、今作にも彼らの細かいこだわりが施されている。
woe be gone 「OOPS!」
宮城在住オルタナティブシティーポップバンドのEP。今作ではシティーポップ路線だけでなく、オルタナ・アブストラクト系の英語詞の楽曲、邦ロック的日本語詞の楽曲がバランスよく混在している。当スタジオではマスタリングを担当。
COLLAPSE 「BLACK SHEEP IS STILL DREAMING」(US盤)
国内を代表するシューゲイザーバンドCOLLAPSEのUS盤がドロップ。アメリカのみの通販限定リリースではあるが、今作で欧米圏にも少しずつ浸透していく予感がある。当スタジオではMixとマスタリングを担当。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 94回
今回ご紹介する電源ケーブルは、関西屈指の楽器店 ワタナベ楽器店が放つ
「W&S CRYO (ダブルアンドエス クライオ) HG-125CT クライオ処理ホスピタルグレード電源ケーブル 1.5m」です。
名前の通りクライオ処理された強力な電源ケーブルで、傾向としては「高音がしなやかに伸び非常にさわやか、かつ力強い」感じです。
いわゆるマルチパーパス的パワーケーブルですが、ギターアンプ、ミキサー全般、オーディオインターフェースなどに実力を発揮します。
1万円ほどで手に入るので、ぜひチェックしてみてください。
【大学生バンドのセルフREC】
エキスパンダー / ノイズゲートは「小さな音をさらに小さくする」エフェクターで、コンプ / リミッターとは逆の働きをします。
一般的な使い方は「ノイズが混入したトラックに刺して、ノイズ音量を少しでも目立たなくする」「ドラムのタム系に刺して被りを減らし、分離を良くする」など。
今回は、ややイレギュラーかつ別の効果を期待した使い方を紹介します。
まず、以下のパラメーターのあるExpanderをチョイスします。特にゲインは必須です。
とりあえず、主要トラックにエキスパンダーを刺して様子を見ましょう。
ただし、マスタートラックには刺さないように。
全体に大きな影響を及ぼすこともあるからです。
<特集アーティスト>
轟音と静寂との対比が特徴のオルタナティブ・ロックバンド twopack milk、新作をリリース
twopack milk
写真左よりyuno(Ba.)、瞳(Gt/Vo)
2019年12月、東京にて結成。
下北沢を中心に活動中。
シューゲイザーのような轟音ギター、ポストロックのような繊細なフレーズを多用したオルタナティブなロックサウンドを特徴とする。
バンド名は、映画『LEON』の劇中で「ヒロインが牛乳2本を買いに行ったことで命が助かった場面」からインスピレーションを得たもの。
“日々を掬いたい”と願うバンドの音楽性にリンクしたため、命名に至る。
2021年9月 1stシングル『沈黙/わかりやすい癖』デジタルリリース
2021年12月 初のMVとなる『沈黙』公開
2022年6月 MV『わかりやすい癖』公開
2022年9月 2ndシングル『君のいない部屋』デジタルリリース
①バンド結成のいきさつ
Gt/Vo.瞳:もともとは、現在twopack milkのサポートギターであるneiが組んでいた既存のバンドに、ギターボーカルとして私が加入したのが最初でした。
その後メンバー変遷を経て現ベースのyunoとドラマーが加入し、twopack milkの結成に至りました。
② twopack milkが音楽的に一番こだわりたいポイント
Gt/Vo.瞳:美しくも感情的であるということ。曲を作るときは、芸術のような美しさがありながら感情的である、という部分を意識しているように思います。
そのためにというわけではないですが、シューゲイザーやポストロックの要素を取り入れた曲が多くなっています。大衆にひらけたジャンルではない音楽を取り入れながらも、歌もののようなメロディ・日本語詞を乗せることにもこだわって作っています。
③今回リリース音源の一番の聴きどころは
Gt/Vo.瞳:最後のサビ。「どうやって生きていたっけな 忘れてしまう距離にいた どうやって眠っていたっけな 忘れてしまう距離にいた」の歌詞を繰り返す最後のサビです。
だんだん盛り上がっていって、最後にはギターもドラムも激しくなって、歌とともに感情が張り裂ける様子を表現できたかと思います。
④国内外の音楽シーンは、今後どうなっていくと思いますか
Gt/Vo.瞳:近年はコロナ禍でアーティストは思うようにライブができない期間があり、自分たちでSNSなどを使ってセルフプロデュースを巧みに行うアーティストが増えました。
今はライブも行われていますが、SNSを使ったセルフプロデュースの流れは今後も続いていくと思われます。
”格好良さ”も多様化してきているので、今後はアメリカの音楽シーンを追従するようなかたちで日本の音楽シーンが形作られるのではなく、海外各国でも日本でも、よりおもしろいことをしようとオリジナリティのある音楽が生まれてくるのではないでしょうか。
⑤今後の展望は
Gt/Vo.瞳:「twopack milkの曲を聴くと心が楽になる」という人を一人でも多く増やしたいです。
私は、物心ついた時から音楽に救われて生きてきた人間なので、twopack milkの曲も誰かのそんな存在であればいいなと思っています。私たちの曲を日々の中に溶け込ませてくれたら、こんな幸せなことはないですね。
Ba.yuno:つらいときに自然と聴きたくなるようなバンドでありたいと思っています。
無理に頑張ろうとしなくてもいい、逃げてもいいのだと、そんな風にtwopack milkの曲が心の逃げ場になってくれればうれしいです。
音楽以外の部分であるCDジャケットやMVなどのクリエイティブにおいても、映画や本を楽しむような感覚で芸術として多方面から楽しめるようなものを作っていき、たくさんの人の目に触れる機会を作っていきたいと思います。
*最新作タイトル「 君のいない部屋」
配信のみ。
配信先はApple Music, Spotify, LINE MUSIC, AWA, YouTube Music, Amazon Music Unlimited など
【今月のちょいレア】AKAI MPC X
30年以上の長きにわたり、クラブ系トラックメイカーの心を掴んできたAKAI MPCシリーズ。
初期(1980年代後半)のMPC60から始まり、2008年リリースされたMPC5000を最後に、ハードウエアのスタンドアローンから一旦離れた。
その後2017年に満を持して発売されたモンスターマシンが、このMPC Xだ。
多くの予想をはるかに超えたスペックで構築されたこのマシンは、歴代MPCシリーズの最高峰として現在でも君臨している。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
twopackmilk 「君のいない部屋」
少量の「オルタナティブ」と「ポップ」が漂う、ギターロックバンドのシングル。Vo.瞳氏の高音域の個性的な倍音と、楽器陣の良質なコラボが魅力的。現時点での彼らの最高傑作と言える作品。
wrongvacation 「wrongvacation」
東北を代表する洋楽系バンド渾身のフルアルバム。オールドスクールなソウルから、ネオソウルまで幅広く表現されており、西洋人が奏でるブラックミュージックより濃密な内容と言えるだろう。当スタジオではマスタリングを担当。
脳ジャズfeaturing Maki Zeniya「Night and Day / Blue Sky」
玄人受けを飛び越え、リスナーに高品位なサウンドを常に届けてくれる「脳ジャズ」シリーズ最新作。今回は2曲入りで内容もさらに充実。旬なブルース、ファンク、クールジャズなどを求める人に是非おすすめしたい。
勇助「開歌」
シンガーソングライター勇助氏の初リリースとなるシングル。楽曲、歌詞、メロディー、歌いまわし、どれを取っても「ストレート」で「着色なし」のピュアな感性がさく裂した作品だ。
カカシカシカカ「たんこぶアドベンチャー」
カカシカシカカの作品には、バックグラウンドにうっすらとブラックミュージックが見え隠れする。毎回絶妙に、タイプの違う楽曲を発表する彼らだが、洋楽と邦楽の中間を狙い撃ちしたセンシティブさに好感を抱く。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第93回
今回ご紹介するパワーケーブルはOKUTSU DENKO Destiny AIR-3-DS-1.5です。
81回でご紹介したエアケーブルシリーズstrike AIR-3-ST-1.5と、82回のUniverse AIR4-UV-1.5との間に位置するケーブルです。
Destiny AIR-3-DS-1.5の特徴を一言で表すなら「タイト」。
レンジの広さはなかなかのもので、やや天然コンプ的質感と言えそうです。
ベースアンプ、ギターアンプ、アウトボードのマイクプリ、チャンネルストリップ、そしてワークステーション系シンセなどとの相性は抜群です。
新品定価で6万円弱、中古で3万円弱ほどで手に入るので、興味のある方は是非チェックしてください。
【大学生バンドのセルフREC】
全体の空間の在り方をリバーブ中心で構築し終えたので、次は歌の立ち位置をどこにするか、を考える。
この曲は、コンプやボリュームカーブで歌の立ち位置を前に出すと、なぜか楽器隊との距離が出やすく、ボーカルだけが浮いてしまいがちになる。
そこで、プリディレイとリバーブタイムを細かく調整し、リバーブ(ホールまたはプレート)をやや深めにかけてみると、なじみすぎてしまった。
EQをいろいろ試してみるという案も出る中、「エキスパンダー」を使用してはどうかという意見が出た。
エキスパンダーやノイズゲートなどのエフェクターは、コンプと真逆で「小さい音をより小さくする」効果が一般的に知られている。
つまり、ホワイトノイズやピンクノイズなどが入ってしまったトラックにエキスパンダーをかまして、ノイズの音量を少しでも目立たなくしたり、ドラムのタム系トラックにさして被りを減らし、分離をよくするなどといった使用法が定番である。
なぜ今回、その「エキスパンダー」を使おうとするのか。
詳しい検証は次回で。
【今月のMV】
例えばあなたと私の関係について「reject」
https://www.youtube.com/watch?v=tK60W5UMVJM&t=1s
クールでグルーヴィーな楽曲に、セピア色の映像をまとわせたアーバンな作品。シティーポップやファンクといった一言では片づけたくない、有機的な魅力が細部にまで浸透している。
【今月のちょいレア】
Vintech Audio 609CA
Neveの名機であるコンプレッサー33609のレプリカ的な製品。
本家と比べると、ややワイドレンジで圧縮された感じがする。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
ひっとみぃ「何者にもなれない。だから何者にもなれる。」
幾何学的エレクトロニカとでも呼べそうな独自のジャンルを確立、音数を最小限に抑えて隙間を楽しむサウンド。パズルワークポップとも解釈できる、アート性あふれる作品。
D-Va「Trigger」
ソウル、ファンク、クロスオーバーをベースに、現在進行形のポップミュージックをセンシティブに付加して、玄人にも受けそうな本物のサウンドが楽しめる作品。ポップス製造職人のさりげないこだわりが堪能できる。
日々かりめろ「紀行録」
今年も東京ビッグサイトでのワンマンライブを決行する、日々かりめろの6thフルアルバム。従来の王道弾き語り路線に加えて、バンドアレンジやデジタル系トラックとの融合が素晴らしい。2022年10月全国発売。
wrongvacation「How Your Love Makes Me Feel」
東北を拠点として活動する、ブラックミュージックを核とした洋楽系バンドのシングル。とにかく歌がうまいだけでなく、英語の発音や雰囲気も素晴らしい。楽器隊の演奏スキル、アレンジなど、どこをとってもお見事としかいいようがない。
ZERo「MESSY SHOOTING STAR」
ボトムは、90年代から2010年くらいのオルタナティブロックとクラブミュージックの融合から始まり、上モノは、古典的な楽器を彩り多く奏でているようだ。その上にZERo氏のMid-Lowボイスが乗るとき、新しい何かが生み出されるような感じを抱く作品。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 92回
今回ご紹介する電源ケーブルは OYAIDE BLACK MAMBA-α V2です。
前回紹介したBLACK MAMBA-Σ V2の廉価版にあたりますが、実力はなかなかのものです。
特に押し出し感が強いので、ギターアンプ、ベースアンプ、キーボードなどにも向いています。
価格も比較的リーズナブルなので、最初に持つ電源ケーブルにおすすめします。
【大学生バンドのセルフREC】
前回は、テンポチェンジ用に「2種類のプレートリバーブをAux2回線使用してかける」ところまで作業を進めた。
次に考えるべき点は「リバーブのRETURN(合流点)をステレオ、モノラルのどちらにするか」である。
キックとベース以外のほとんどのパートに、ステレオで2種類のプレートリバーブを別々にかけることにした。注意する点は、そのままある程度の量をかけると「いかにも」な感じになるので、EQで500Hz以上と2KHz以上をシェルビングでゆったりカットして生音と混ぜつつも、よりリバーブ感が自然に感じられる質感に追い込むことである。
【今月のMV】YAPOOL 「90.5」
https://www.youtube.com/watch?v=SD7BjH2wNwQ
R&R全開のアッパーチューン。全メンバーの振り切り感が潔すぎて好印象だ。YAPOOLというバンドの本音が伝わる本気のMV。
【今月のちょいレア】WAVES MAXX BCL
ダイナミクス系プラグインが有名なWAVESが、20年以上前にL2(マキシマイザー)のアウトボードをリリースした当時「かかりかたがプラグインとあまりにも違いすぎる」ことが話題を呼びました。
このMAXX BCLは、そのL2アウトボードにMAXX BASEとルネッサンスコンプを搭載し、ADコンバーター部分も強化された、真の「スーパーアウトボード」な逸品です。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
wrongvacation 「Change」
ソウル、ファンクにリスペクトを感じる、宮城在住チル系バンドの作品。60年代後半から70年代中期のアメリカンルーツミュージックが身体に染み込んでいる印象を受ける。当スタジオではマスタリングを担当。
カカシカシカカ「はじまる」
リードギターのエスニック風リフが特徴的な、カカシカシカカ満を持しての新曲。メンバーそれぞれが多種多様な活動をしているためか、アレンジのみならず演奏スキルも格段にアップしている。
ZERo「胡蝶の森」
古典風ダンスビートにLOW VOICEが刹那的に絡む、レトロフューチャーポップとでも呼べそうなトラック。古いとか新しいとかではない、不思議な魅力がある。
CHiARiN 「玉響、恋情乱落す」
CHiARiNのきらびやかな声質に深いリバーブがかかると、妖艶さが増しながらバックトラックにも自然に溶け込み、不思議な魅力を放つ。クラシカルニューウエーブ風ポップ、とでも名付けるべきか。
NØlla 「 HELLO」
ギターロックを軸に、エモ、オルタナ、ミクスチャー的エッセンスが微量感じられるNØllaのシングル。普遍的なアレンジや音作りが、逆に個性的とも言えそう。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 91回
前回に引き続きOYAIDEの電源ケーブルを取り上げます。
(写真)OYAIDE BLACK MAMBA-Σ V2
BLACK MAMBA-Σ V2は、OYAIDEの電源ケーブルの中でもクオリティー、プライス共に上位に値し、オールマイティーに使用できる実力のある逸品です。先月ご紹介した同社製TSUNAMIより多少レンジは狭いのですが、スピード感はピカイチ。アウトボード、ギターアンプ、ベースアンプ、キーボードなどに使用するのがおすすめです。
【大学生バンドのセルフREC】
以前からレコーディングしている「テンポチェンジありオルタナロック」のミックス作業。
この曲は全体的にドライに録られている。しかしメンバーからは、仕上がりをウエットにしたい、という意見が出た。
ウエットな仕上がりを目指すべく、今回はホールリバーブではなくプレートリバーブを使用する。
この曲は曲中でテンポチェンジがある( BPM126 – 151 – 126 )ので、プリディレイとリバーブタイム(Decay)を変えたプレートリバーブを、「BPM126用」「BPM151用」と2種類用意した。
それに伴いAuxiliary Track(オグジュアリ トラック)も2つ作る。
Auxiliary Trackは簡単に言うと「補助トラック」。
河川の流れに例えるなら、通常のオーディオトラックが本流、Auxiliary Trackは支流というイメージ。
本流から一旦分岐した(SEND)支流が、リバーブを付加して再び合流(RETURN)する。
Auxiliary はAuxと略され、こちらの表記を目にする機会が多くなっている。
【今月のMV】星野由美子「ソレイユ」
https://www.youtube.com/watch?v=lOhrHsH0Hho
J-WAVE系ボサノバ、カリプソ、ソンゴ、サンバ、そしてネオ渋谷系がほどよくブレンドされた、ハイソなポップチューン。当スタジオが、作編曲、REC、MIX、マスタリングの全工程に関わっています。
【今月のちょいレア】UNIVERSAL AUDIO 2-1176
レコーディングに関わる人なら間違いなく耳にする高級ブランド「UNIVERSAL AUDIO」のコンプの、2chバージョン。洋楽のロックサウンドで聴けるスネア、キックの音が他機より容易に作れる名機。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
YOU「HIKARU-TOBERU」
ロックバンド LITTLE RED PUZZLEリーダー、Vo.&G.のYOU氏のソロアルバム。70’s欧米のR&Rやアシッドフォークに影響を受けたであろう楽曲群に、YOU氏独特のハスキーボイスが結合し、独自の空気感を作り上げている。オールドロック好き必聴。
栁かおりと酒呑み野郎共「酒呑みブルース」
1940~70年代あたりの昭和歌謡をデフォルメし、独自のフィルターを通して練り上げた「もう一つの昭和歌謡」。One&Onlyの楽曲とアレンジに乗って、ニッチでエグい歌詞を歌い上げる栁かおり氏の歌声が、ハイカラでディープな化学反応を起こしている。
ZERo「AMETHYST DISSONANCE」
日本の古典文化とロック、ポップスを融合させた新世代ポピュラーミュージック。ZERo氏の低音ヴォイスとクラシカルな歌詞、西洋サウンドに首尾よく絡む和楽器群など、どこをとってもオリジナリティーに溢れている。
YAPOOL「JUMBLE」
今、「ロックとは何ぞや」と問われたら「YAPOOL」と答えてしまう。今回のアルバムはそのくらい、高純度の精神論を超越した何かを感じる。一度ルーツに帰化し、その周辺に潜むロックの栄養素と共に根こそぎ掘り起こして、自分たちのセンスにフィードバックしているのだろう。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第90回
今回ご紹介するのはOYAIDEの電源ケーブルTSUNAMI GPX-RV2 です。
オヤイデ電機のオーディオケーブル・コネクター・オーディオアクセサリーブランドであるOYAIDEは、ピュアオーディオとプロオーディオのクライアントをバランスよく取り込んでいる印象を、個人的に持っています。
最近までフラッグシップケーブルとして君臨していたTSUNAMI GPX-RV2は、見た目の通りフラットで、ややファットなサウンドキャラクター。基本的には機材を選ばない優秀なケーブルです。
当スタジオでは、主にギターアンプ、ベースアンプに使用することが多いのですが、ソリッドステイト系マイクプリや、チャンネルストリップなどのアウトボードとの相性も抜群です。
現行品として販売されています。
【大学生バンドのセルフREC】
「アコギ&Vo.弾き語り」と「ハードコア・ポストロックインストバンドの被りまくり一発録り」の2曲は、とりあえずミックスが片付いた。
今回からは、以前からレコーディングしている6曲中の「テンポチェンジありオルタナロック」のミックスに取り掛かる。
ミックス完成予想図↓
テンポチェンジ(BPM126→151→126)と、コード進行(Gm-C-F-E♭-F#-F)が個性的な楽曲であるため、パソコン内部のミックスは行わず、インターフェースからパラアウトでアナログミキサーに入れ(サミングミキサー)、マスタリング系アウトボード→マスターレコーダーというルーティングで作業することにした。
【今月のちょいレア】
【今月のMV】COLLAPSE 「MORPHEUS」
https://www.youtube.com/watch?v=OIR_1fZ8EGY
ニューヨークパンクを多少想起させる、シューゲイザーサウンド。各パートのディテールのにじみ具合が、確信犯っぽさを強調している。
【今月のちょいレア】JOEMEEK ONE-Q2
今は無きJOEMEEKの、フラッグシップチャンネルストリップ。
サウンドキャラクターは、まさにブリティッシュサウンドなので、90年代ブリットポップ系を狙うのであればNeveより向いているかも。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
yuki「追憶 / 作り話」
パワーポップやJメロコアのエッセンスがほんのわずかに感じられる、女性シンガーソングライターのシングル。単なる弾き語りとは少々違う、静かなアグレッシブさが脳裏に焼き付く。
COLLAPSE「BLACK SHEEP IS STILL DREAMING」
今や国内を代表するシューゲイザーバンドに成長しつつある、 COLLAPSEのフルアルバム。
国内のみならず海外遠征も精力的にこなしており、これからの活躍が楽しみだ。
Total Feedback2022
アジアで一番ステイタスのあるシューゲイザーイベント、と言っても過言ではないTotal FeedbackのコンピレーションVol.4がリリース。日本、台湾の勢いあるシューゲイザーバンドが参加しており、今までとは違ったテイストも感じられる。
TOY 「YUI」
HipHop、Trap、R&Bといった枠を超え始めたTOYのデジタルシングル。よりメロディアスで、歌詞のインパクトも増長している点が好印象。
GREEN EYED MONSTER「Xtreme / Authority」
スペインをはじめ海外展開もしている、神奈川在住メロコアバンドのシングル。曲の長さは従来の5割増しになったが、全く無駄のないアレンジに仕上がった点に着目したい。