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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第65回

このコラムを読んでくださる方々から、機材についての質問をいただくことが多くなりました。
中でも最近多いのが「ライブ用ハンドマイク」についてです。

敢えて「定番ではないもの」に絞り、今回ご紹介するのは「CAD D32とD38」です。
どちらも3本セットで7~8千円と、リーズナブルに購入できます。
【CAD D32(3本セット)】

D32はスイッチ付きのダイナミックマイクです。

【CAD D38(3本セット)】

D38はD32の上位モデルにあたり、音質も少しリッチな感じがします。
どちらもスタイリッシュなルックスで、ライブ映えすること間違いなしと言えそうです。



【大学生バンドのセルフREC】

今回は「MIXはどこからとりかかれば良いのか?」「EQはどこをどのようにかけると良いのか?」というテーマについて考えます。

もう一度REC時に立ち戻って、全体を鑑みてみましょう。
今までに何度も申し上げていますが「録り音が自分の中のイメージに限りなく近い素材になっているか?」ここが第一関門です。

これがクリアできている前提で、次の段階になります。
MIXとEQは相当密接なものであり「ここからやらねばならない」といった決まり事は特にありません。

無難なところで言えば、低音処理から手をつけて
低音→中低音→中音→中高音→高音
といった「下から固める」方法を試してみるとよいでしょう。

まず、キックとベースをコンプである程度整え、ダブついている成分をEQカット。
その後、必要・目的に応じてブーストします。

大学生バンドのセルフRECで現在題材になっている「四つ打ちダンスロック」はクラブテイストのロックチューンなので、このような曲には「生キックにトリガーでエレクトロ系キックをレイヤーして出す」のが一般的になっています。

【トリガーとは?】
生ドラムのキックに使用されるパターンが定番。
例えば画面のように
元々の生ドラムキックのトラックをコピー

コピートラックにトリガーソフトを挿入し、エレクトロ系キックに差し替え

生ドラムキックとエレクトロ系キックの分量を調整しながら出力

ダンスミュージックやUSAラウド系のような音色が自由に演出できるようになります。
(画面は代表的な一例です)

生ドラムキック+エレクトロ系キックをレイヤーすると、50Hz以下のローエンド成分のコントロールも必要になりますので、モニタースピーカーは最低でも中クラス以上(YAMAHA MSP7 STUDIOやFOSTEX NF-1Aなど)を使用したいところです。
【YAMAHA MSP7 STUDIO】

理想を言えば、プラス「サブウーファー」があればかなり良いと思います。ただし、きちんとしたモニタースピーカーのセッティングにはかなりの熟練技が必要です。


【今月のちょいレア】 YAMAHA QY700

1996年発売、ハードウエアシーケンサーの名機中の名機。編集力、互換性などは現在のDAWに及ばないが、ステップ入力の扱いやすさは今でも群を抜いている。


【今月のMV】 The Blue Scream 「 Fire And Fire 」

80年代LAメタル、ハードロックを極限まで追求した、Very Niceなロックチューン。音楽性に対して全くブレの無い彼らの姿勢には、最大限のエールを送りたい。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

SNEAKIN’ NUTS 「 夜明け前に / センチメンタル・ブルー 」

バンドの根底にR&Rがあるのは言うまでもないが、各メンバーの精神性もロックの一番奥深くまで掘り下げられている点に好感が持てる。形から入らない潔さ、を是非この音源で体感してほしい。

さよならグッピー 「 ネオンテトラ 」

王道ギターロックの中に、メロディーや歌詞、リフに細かい独自性を垣間見せるバンドの新作。各パートの音色、リズムのフィルインにも新たな発見が少しずつ伺える点も、聴きどころの一つであろう。

The echo dek 「 LOVE LIKE AN EMPTY ROOM 」

最新のトロピカルハウスと、現在のニューヨーカーが奏でるEDM複合混在サウンドの極致。メジャーとインディーズ、もしくはアンダーグラウンドとオーバーグラウンド、といった区分が意味を成さなくなるような魅力にあふれている。

美元智衣 「 SMILE 」

大手レーベルBeingから独立後2枚目のフルアルバム。歌声の音域やキャラクターを存分に引き出すハイソなアレンジにも注目。当スタジオではアルバム収録曲「LIFE」のリマスタリングを担当。

marbh 「 shame 」

ネオグランジのニューカマーバンドのデジタルシングル。例えるならば、90‘sグランジロック名門レーベルSUB POPに在籍していそうな雰囲気。2020年代ニューシューゲイザー的要素も散りばめられている点にも注目してほしい。

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第64回

イコライザー検証その②【EQの基本は引き算?】

エフェクターの中でもイコライザーは、特に楽器をやっていない人にも馴染み深いものではないでしょうか。例えばパソコンやスマホ、CDコンポ、スマートスピーカー、カーステレオなどで普段耳にする音楽を、イコライザーの設定を変えて自分好みの音にするなど。

好みの設定にする=各帯域をブーストして好みに近づける、と思っている人が多いかと思います。
レコーディングにおいては、その考え方は一変します。

レコーディングでは「録りにはなるべくイコライザーを使用せず」「MIXの時にカットして使う」のが基本だからです。

例えばMIX時に「ブーストしたいパートが全トラックの半分以上」あったとします。
それは録り音が不十分=フルレンジで録れていない、ということになります。

特に低音部(キック、ベース、ギターやスネアの低音部分など)がスカスカのままMIXに突入してしまい、プラグインをいくつも駆使して無理やり低音をブーストし太くしようとしている例を多く見かけます。

ひと昔前よりはプラグインの種類やクオリティーが上がっていますから、何とか理想形に近づける場合もありますが、出来ればレコーディング時に「最終形のイメージの音」をフルレンジで録っておきたいところです。

今まで文中に登場している「大学生バンドのセルフREC」では、素材が実際のイメージより10%ほど情報量多めで収録されているので、MIX時は2~3割ブースト、7~8割カットでいけそうです。


カットすると音の分離は良くなりますがパンチがなくなることもあるので、不必要な成分のみをカットすることが近道と言えそうです。
低音部分のキックとベースのカットは、素材が良く録れていればベース:EQを使用せずボリュームで調整→コンプ・EQを使用また、キック、ベース両者の低音部のダブつくポイントをカットしてから、アタック音を出すためにブーストします。


【今月のMV】Bonnet Monkey「ボンネットに乗って」

楽曲だけでなく、映像からも軽快な疾走感が楽しめる作品。


【今月のちょいレア】Forcusrite TRACK MASTER Pro
アウトボードブランドの雄Forcusriteが約20年前に放ったチャンネルストリップ。
プリアンプ、EQ、コンプ、どれをとっても上位機種に引けをとらない実力機。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

例えばあなたと私の関係について 「 City Funk 」

90年代R&Bをベースに、現在進行形ブラックミュージックが華麗にクロスオーバーしているバンドのシングル。
洋楽好きにもおススメの作品。

COLLAPSE 「 DROWN 」

4AD色を随所から感じ取れるシューゲイザーバンドのデジタルシングル。不思議な透明感が心地よい。
Cruiff in the bedroomが主催するレーベル、Only Feedbackからリリース。

ASUCA 「 SuperStar 」

ブライトな歌声と、ストロングポイントをやんわり伝えるリリック、定番の中にも偶発的なアイデアがまん延する楽曲。どこから聴いてもブリリアントなポップミュージックだ。

各自の宿題 「 PINK 」

80‘sハードロックを基調に、メロディアスな展開が響くロックバンドのシングル。欧米、特にアメリカ色が強く、聴き手を選ばない守備範囲の広さが魅力だ。

Opus.0 「 PRIMA 」

クラシックと定番ポップスがすんなり融合したニューエイジミュージック、とも呼べそうな作風が連なる、ボーカルとピアノの女性デュオの作品。音楽大学出身という技術の確かさもあり、表現力が最大限に発揮されている。

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第63回

今回取り上げるのは「イコライザー」です。数あるエフェクターの中でも一番身近で奥の深いものではないでしょうか。

ベーシックのルーティングは「コンプ→EQ」の順番につなぐのが定番です。コンプで音の粒を揃えてからEQをかけるパターンが、狙っている質感に一番近づけることが多いのです。
(もちろん場合により、逆パターンもあり)

イコライザーと言ってもかなり幅広く、大きく分けると
①パラメトリック・イコライザー
②グラフィック・イコライザー
の二つに分けられます。
レコーディングで多く使用されるのは、圧倒的に①のパラメトリック・イコライザー(通称パライコ)です。

<パラメトリック・イコライザー>

各バンド周波数が3~10バンドあるのが一般的で、周波数をいろいろいじる事が出来るのが特徴です。

*GAIN…各周波数ごとに、どれくらいブースト(加える)か、カット(抑える)かを調整する

イコライザーは音色をいろいろといじる事が出来ますが、本来はブーストよりもカットを中心に使用した方が、ナチュラルになる傾向があります。
次回からは実例を元に検証していきたいと思います。


<今月のちょいレア> CAD E100・2

ビンテージ感が漂いながらも、音のディテールをはっきりと捉える秀逸な機材。ハイエンドブランドのコンデンサーマイクとも良い勝負をする名マイク。現在はディスコンだが、後継機種としてE100・Sが発売されている。


<今月のMV> twopack milk 「沈黙」

DUTCHDADDYのG.ネイ氏が率いる、ポストエモ・ロックバンドの自信作。鮮やかな静と動の対比が魅力であり、リスナーを独自の世界観に引きずり込む。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

Bonnet Monkey 「ボンネットに乗って」

陽気でハイテンションなギターロックバンドのシングル。海辺のハイウエイをオープンカーで疾走する情景がありありと浮かぶ、ハッピー感あふれる作品。

ASUCA 「WOMAN」

存在感の強い女性をテーマにした、アコースティックロックのシングル。アジア人離れしたASUCAの、耳に残るハイトーンボイスが特徴的だ。

Lily’s Lyric 「Who’s Lily」

洋楽ヘビーリスナーの高校生で結成されたロックバンドの1stフルアルバム。王道の中にも、少しひねくれたエッセンスがさりげなく飛び交うアレンジ力に注目したい。日本語詞でありながらも、洋楽の質感が感じられる点も高評価。

smily 「SMILY」

バンドのネーミングと実際のサウンドに多少のギャップが感じられる、エモ・ロックバンドのアルバム。楽曲バリエーションの豊富さと、ディテールへのこだわりを堪能してほしい。

Nervous Cat Flow 「Day Break」

女性Vo.でありながらポップではなくロックフィールドに長く滞在している、エモ・ロックバンドの新譜。メンバーの年齢構成が広いおかげで、様々な時代のロック要素が自然に溶け合い相乗効果を生み出している。

<お知らせ>
*ジャングルライフ本誌268号に連載を掲載していただきました。
*サウンドデザイナー2020年4月号の特集「コンプ&EQが上達する26の格言」コーナーを執筆させていただきました。(P31・32)

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 62回

【ペンシル型コンデンサーマイク考:TASCAM TM-50C】
このマイクは単体での販売はなく、Kick用TM50 DB、Snare用TM-50 DSと4本セットで価格は一万円台後半、現行商品として販売されています。

TM50 DB(Kick用)

TM-50 DS(Snare用)

TM-50C(クラッシュシンバルにおすすめ)

TM-50Cは、この価格帯にありがちな「高音がシャリシャリして低音が薄い」といった印象はほとんどなく、フラットでタイトな感じがします。
特に、クラッシュシンバルを録るにはうってつけのマイクと言えるでしょう。
クラッシュシンバルの録りにありがちな「きらびやか過ぎ、エッジが立ち過ぎ」てしまうこともなく、本当に必要な成分だけをチョイスしてくれる音楽的な名マイクです。


【大学生バンドのセルフREC:コンプ編】
<ボーカル・コーラス>
ほとんどのジャンルでボーカルは主役であり、コンプのかけ方のバリエーションも多種多様です。

まず「男性ボーカル・女性ボーカル」と大きく区別するだけではなく、声質も多々あるので、1つのコンプで一気にかけるのではなく「2段3段といった多段がけ」から様子をみて「スレッショルド、レシオ、アウトプットゲインを少しずついじる」のがコツです。
音量の落差がありずぎるときには、ボリュームカーブを細かく書くと良いでしょう。

コーラスも、注意すべき点はボーカル同様ですが、メインボーカルよりは前に出さないことが多いので、音量が決まれば後は「パンをどのくらい振るか」が重要になってきます。

コーラスにリバーブをかける時は、ボーカルと同じ種類のリバーブを使い、リバーブをかける量を調整していきたいところです。

<キーボード・同期系>
キーボードや同期はライン系の音なので、他のパートより音量が既に決まっていることが多いと思います。まずは無難なコンプを選んで程々にかけ、必要に応じてかける量を増やしましょう。

<トラック全体のトータルコンプ>
最後に、トラック全体にかけるトータルコンプですが、マキシマイザー系ではなく本当にフラットなコンプを、ゆるくかけるのがポイントです。


【今月のちょいレア】 STUDIO PROJECTS B1

フラットかつ線も太いコンデンサーマイク。ボーカル録りならどんなジャンルでも対応できるであろう、守備範囲の広い名マイクです。現在はメーカーごとディスコンとなってしまい、手に入れるには中古を探すのみとなっています。


【今月のMV】日々かりめろ「あなたのうた」Short Version

フォークソングとパワーポップに蜜月的コンビネーションが、彩りと力強さを与えてくれる曲。圧倒的な存在感が全方向から感じられる。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

magenta「 precious 」

ギターレス3ピースポストロックバンドの最新シングル。日本語詞でありながら、サウンドは回を重ねるごとに洋楽テイストが占有してきている。少しずつ変化を続けているオルタナティブさが心地よい。

CHIERI SUZUKI 「 -TONE 003- 」

SAX、ピアノの講師として活動しながら作編曲もマルチにこなす鈴木 千絵里の新作。今回はジブリ系だけでなく、アシッドジャズ風インストも取り入れ、楽曲のバリエーションが一気に広がった。

カカシカシカカ 「 ひとりぼっちのスノーマン 」

一聴すると今風のクリスマスソングと思われがちだが、じっくり分析するとセミスタンダードなポップスであることに気づく。常にタイプの違う、良質なポップスを着実に制作している点に才能を感じる。

美元 智衣 「 7th Avenue 」

ソニーミュージックエンタテインメント、ビーイングといった大手に長年所属してきた美元 智衣の最新作。当スタジオではマスタリングを担当。アルバムバージョンとは一味違った仕上がりとなった。

脳ジャズ 「 LOVELY LADY FEAT. NICK KUROSAWA 」

1977年に『SPI』というマイナーレーベルからリリースされたRobert Johnson「Lovely Lady」をカバー、ボーカルにハワイ出身のNick Kurosawa(Aloha Got Soul)を迎えた7インチアナログ盤。トランス的なドーパミンが全身から発動しそうなインパクト大、の秀作。

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第61回

【ペンシル型コンデンサーマイク考】
Joemeek JM27

ボディーカラーはシルバーとグリーンの二色展開、色は違っても中身の音質は全く同じです。
10年くらい前に発売されており、当時は15,000円くらいだったでしょうか。

Joemeekはアウトボードメーカーとしてのイメージが強く、マイクのキャラクターはどうなのか?と疑問はありました。Joemeek JM27をペンシル型コンデンサーマイク定番のAKG451と比較すると、サスティンはやや短く少し荒い音といった印象。AKG451があればあまり必要ないのかな?とも思いましたが、JoemeekのアウトボードTWIN Q2’などとセットで使用すると、音がリッチになり高級感が出ました。

現在は生産完了となったJM27ですが、中古品でごくたまに見かけることもあります。(5~6千円台)
このマイクとの組み合わせとして、Joemeekのハーフラックチャンネルストリップ Three Qや、VC3Qとセットで使用することをおすすめします。(一万円台後半~)

おまけ情報:以前ご紹介したこともあるJM47(Vo.Pf.Ag録りにおすすめ)と、JM37(日本未発売品、オールマイティー)も、ごくたまにですが中古市場に出回っているようです。(一万円前後)興味のある方は是非チェックしてみてください。


【大学生バンドのセルフREC:コンプ編】
今回はベースとギターのコンプについて。

ベースは、コンプをREC時に「ライントラックとマイクトラックの両方に弱く2段がけ」してあるので、ある程度音量が揃っている。
MIX時にダメ押しで、さらにコンプをうっすらとかけて「勢いを残したまま平均化」したかったのだが、ベースの4弦部分の演奏だけ低音がダブついてしまう。
コンプをがっつりかけるとノリがなくなるので、ボリュームカーブで4弦を演奏している部分の大きな波形部分だけ抑えてみた結果、グルーヴを残しつつボリュームが平均化され、かなり良い感じになった。

クリーンギターはフレーズのバリエーションが豊富なので、
*スレッショルド → -2bから-3bぐらい
*レシオ → 2:1もしくは2.5:1ぐらい
*Knee → 中間
*アタック → 35msecから55msecぐらい
*リリース → 80msecから150msecぐらい
と、オーソドックスにかけておく。

歪みギターは、歪ませることにより原理的に音粒がそろうので、コンプはごくうっすらとかけるか、場合によってはかけなくて良いこともある。


【今月のMV】THE FREE MAN 「ピアニッシモのサラリーマン」

R&B、ロックンロールを土台に、サイケフォーク、ブルーアイドソウル、NewYorkパンクなどの世界観が縦横無尽に交差するハイテンションロックバンドの代表作。


【今月のちょいレア】MindPrint EN-VOICE

前回で紹介したEN-VOICE MKⅡの弟分にあたるチャンネルストリップ。この機種も、NEVE、DRAWMERといった上位機種と比較しても全く遜色のない逸品だ。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

THE FREE MAN 「ピアニッシモのサラリーマン」

ローリングストーンズ、レイナード・スキナード、グレイトフルデッドあたりにルーツを感じるロックバンドの新作。Vo.のLITTLE KING TAKUYAが発するリアルなロック感はOne&Onlyで、聴くものをいつの間にか引き込んでしまう。


THE JIVES 「Audrey」


R&Rを奥深くまで掘り下げ、本質を追求したフルアルバム。オールドスクールのロックが好きな人、欧米の若手が奏でるネオヴィンテージロックに興味のある人におすすめの一枚。


OVER RAZE 「Reach The Sky」


90年代から現在に至るまでのメロディックパンクのエッセンスをいいとこどりしたような、ロックバンドの最新作。パワーポップ、グランジ、ヘビーオルタナ好きにも聴いてほしい力作。

maruiro 「バッドエンドは手をつないで」

SILENT SIREN主催「サイサイフェス」でオープニングアクトを務めたバンドHelloMusicが、バンド名を「maruiro」と改名し記念すべき最初の作品をリリース。Vo.ちい太のスウィートボイスがさらに冴えわたる。


GENSEKI 「Polish up change」


様々な要素が音楽的にクロスオーバーし、確立されたComplicated Rockの立役者、GENSEKI。彼らの新作は、複雑とシンプルが心地よく同居し、2020年代ロックの新たな方向性を導きそうだ。

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第60回

前回から取り上げている「ペンシル型コンデンサーマイク」について、今回は実践的な事例に触れてみます。

【AKG C480】

ペンシル型マイクの定番、AKG C451の上位モデルに位置する製品です。
C451と比較するとワイドレンジで、シンバルなどのサスティンも余すことなく収録することが出来る高品位なマイクです。

ギラギラしたシンバルを録音しようとすると倍音が録れすぎてしまうこともありますが、ビンテージなシンバルを録音するには打ってつけです。
同価格帯のマイクに比べて、マイクケーブルやプリアンプとの組み合わせで音質の変化も楽しめるのもポイントです。

【CAD GLX1200】

CADといえば「リーズナブルな価格帯でありながら、1ランク2ランク上のクオリティーを提供してくれるブランド」だと思います。このGLX1200は「等身大」という言葉がぴったりのマイクです。マイクケーブルはKLOTZまたはWhirlwindあたりが良く、プリアンプはTUBE式のものがベストでしょう。価格もお手頃なので是非ペアでの購入をおすすめします。


【大学生バンドのセルフREC:コンプ実践編】
前回ではキック、スネアのコンプ設定を検証しました。
今回はタム、シンバル系です。

【タム、フロアタム】
「4つ打ちダンスロック」はワンタム、ワンフロアなので、タイト&ファットなキャラクターを狙っていきます。
『スレッショルド』
-2dBから-4dBくらいをさまようくらいにしておく
『レシオ』
2:1から3:1でとりあえずステイ
『Knee』
最小と最大の中間に設定
『アタック』
ある程度アタックを残しておきたいので、35m sec~55m secで様子を見る
『リリース』
アタックタイムより30m sec~50m sec分多めにかける

【シンバル:オーバートップL 、オーバートップR】
『スレッショルド』
-2dB~-3dBくらいで軽く揺れる程度
『レシオ』
2:1から2.5:1くらいで様子を見る
『Knee』
中間~最大値の間からスタート、状況に応じて少しずつ変える
『アタック』
比較的遅め~だんだん早くしていき、イメージに近いところで止めておく
『リリース』
比較的長め~少しずつ短くする

もちろんこれらの設定はあくまでも目安の一例に過ぎませんのでご了承ください。


【今月のちょいレア】MindPrint EN-Voice MKⅡ

2000年初頭から5~6年販売されていた、ドイツ製のチューブ式チャンネルストリップ。MANLEYやTUBE-TECHクラスのハイエンドアウトボードともいい勝負の、隠れた名機だ。


【今月のMV】WORSTRASH 「Draw up my emotions」

90年代ウエストコーストラウド系を彷彿とさせる意欲作。トリプルギターサウンドを前面に出していて、頼もしさ全開である。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
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日々かりめろ 「バラエティ大作戦」


年間平均300本ものライブをこなす、ロッキンフォークデュオの最新作。バックトラックの精度もこれまで以上に上がり、楽曲のストーリー性も充実している。東京国際フォーラムでのワンマンライブも、短期間のうちにソールドアウトするなど話題に事欠かない。


DEAD STOCK 「Workout,Hangout」


青森から東京に活動拠点を移し数年の彼ら。前作で築き上げた「レトロフューチャーパンク」ともいうべき独自のジャンルを掘り下げて、濃密な世界観が形成されつつある。

セブンマイルズ「幽霊船」

洋楽に影響を受けながらも、あえてダイレクトに反映しないところに彼らの音楽性の原点が垣間見える。初期の細野晴臣にも通じる精神性が、玄人受けしそうだ。


毒島小百合「HA・DA・KAの大将」 (悲観レーベルオムニバスVol.2.収録)


掟ポルシェ氏(ロマンポルシェ。)が曲を提供した、NewWave80年代オルタナポップの再構築曲。なつかしさの中にもヒリヒリした緊張感がまん延している。


カカシカシカカ 「マイロード」


かのジョン・デンバーの名曲を、ななめ45度からオマージュしたような作品。スタンダードな性質をスタンダードに感じさせない、ハイソなセンスを十二分に評価したい。

ジャングルライフ本誌にて、隔月で半ページの連載をさせていただくことになりました。「PAST & POST MASTERS」
今月号(265号)からスタートです。

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第59回

前回まで「低音を中心としたマイクの実用例」を挙げてきました。今回からは「ペンシル型コンデンサーマイク」を取り上げます。

ペンシル型コンデンサーマイクは、ドラムのオーバートップにペアで使用することが一般的ですが、アコギやピアノ、ブラス、ストリングス系にも使えます。

【AKG C480】
スタンダードモデルAKG C451の上位機種に当たります。

【CAD GLX1200】

【Joemeek JM27】

【TASCAM TH-50M】

次回から以上の4機種の比較をしていきたいと思います。


【大学生バンドのセルフREC】

セルフRECのMIXについて、前回はコンプの基礎をご紹介しました。
今回はコンプの実践的な使い方です。

キックは、ベースとの絡みを考慮しつつ作業を進めます。
【スレッショルド】最初は深めに設定。様子を見ながら浅くしていく。

【レシオ】レシオは割合なので、まず2:1でかけてその後3:1、4:1を試す。

【knee(ニー)】最小と最大の中間に設定。他のパラメーターとの兼ね合いを考えて上下させる。

【アタック】まずは最速に設定、少しずつ数値を上げていく。イメージの音が出てきたら一旦ホールド。

【リリース】タイトにしたい時は、アタックより少し大きい値に設定。

スネアの設定は以下の通りです。
【スレッショルド】キックと同じ。

【レシオ】キックと同じ。

【Knee(ニー)】硬くしたいときは値を最小に。それ以外は少しずつ値を上げ様子を見る。

【アタック】ある程度数値を上げておき、アタックがつぶれないようにする。

【リリース】サスティンが欲しい時はタイムをやや長めに設定。


【今月のちょいレア】CAD E300S
比較的ロープライスでありながら、ハイエンド機種ブランドともいい勝負をする。CADのコンデンサーマイクの中では上位に位置する、万能型の名マイクだ。


【今月のMV】川嶋志乃舞「Jump up!!!」

日本テレビの音楽番組「バズリズム02」でもオンエアーされた、瞬発力全開のMV。軽やかで弾けたダンスビートと三味線の真髄が絶妙にリンクする。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

WORSTRASH 「Draw up my emotions」

パンク、メロコアの期待のニューカマーバンドの新作。ボーカルSweeney Lenの放つエネルギッシュなパワーボイスと、さわやかでアグレッシブな楽器隊が織りなす強烈なステージングも圧巻だ。


MILF 「DESERT OF CLOUD」


ロカビリー、リズム&ブルース、R&R、初期パンクのいいとこどりのロックアルバム。古きを温めてから、あえて再度冷ましたようなインパクトのある存在感が存分に味わえる作品。


川嶋志乃舞 「光櫻」


ハイパーシャミセニスト川嶋志乃舞の本質をすべて詰め込んだ「伝統芸能盤」が、満を持しての全国リリース。ポップな面だけではない、彼女のこれまでの三味線キャリアが思う存分に堪能できる。

Cuicks 「neo teenagers」

フューチャーEDMの決定盤。渋谷系の流れが現代風にマッシュアップされており、メロウなメロディーと浮遊感のあるサウンドスケープの融合が好印象だ。ネクストフェーズを感じさせるインテリジェンスなポップネスが満載。

Amtika 「Remenbrance」

フュージョン、ジャズをベースに、リアルタイムのルーツミュージックを貪欲に取り込んだ、インストの黄金律的アルバム。フレージングの組み合わせの妙が素晴らしく、一気に最後まで聴けてしまう。

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第58回

【超低音収録マイク&低音系デュアルマイク対決】
組み合わせその① YAMAHA SUBKICK & LEWITT DTP640REX

組み合わせその② SOLOMON MICS LFRQBLK & audio technical AE2500

Super LOW(50Hz以下を目安)は、①YAMAHA SUBKICKより②SOLOMON MICSの方が
伸びていますが、上の音域はSUBKICKの方が少し伸びている気がします。

又、①LEWITTと②audio technicaを比べてみると、LEWITTの方が低域が伸びています。
なので、あえてaudio techinicaはSOLOMON MICSと組み合わせてみました。
(ただし、あくまでも一つの目安と思ってください。)


【大学生バンドのセルフREC】
「4つ打ちダンスロック」は、リバーブのかけ方を細かく工夫してドライながらもリッチな音像が出来てきました。次はダイナミックス系(コンプ、リミッター、エキスパンダーなど)について考えてみます。

「EQとコンプ、どちらから手をつけたら良いのか?」と聞かれることがあります。
曲調やコンセプトで、リバーブ含め臨機応変に変えていくのが一般的ではないか?と思います。

とりあえずこの曲は、「キックの4つ打ちが揃っている存在感」がキモなので、コンプを使っていきます。

RECの際にもコンプを2段がけで使用して、ある程度音量を揃えていますが、より「人間が演奏している感じ」を残しつつ音粒を揃えていきたいところです。

ここでコンプの基礎知識に触れてみましょう。

コンプレッサー、通称コンプは「音量を揃えるエフェクター」です。

スレッショルド(ある一線)を超えた音量を、どれくらいの割合で抑えるか調整するのがレシオです。図の右側ではレシオが2:1になっているので、スレッショルドを超えた音量が半分に圧縮されているということです。

レシオはパラメーター値が1:1から1:∞(無限大)まで存在することが多いのですが、レシオが1:1の場合は、スレッショルドをいくら低く設定しても全く圧縮はされません。


【今月のちょいレア】CAD EQUITEK E350

今やレジェンドになりつつある、ビンテージコンデンサーマイクの雄、E350。当時は欧米エリアのみで販売されていた。定番のビンテージマイクよりも密度が濃く、ワイドレンジな優れものだ。


【今月のMV】みるきーはぼくの味「夜が明けるまで」

ゲスの極み乙女。やindigo la Endの影響を多大に受けつつも、少し違った切り口でアウトプットしている。上モノのリフとリズム隊の絡み具合が良い。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

De怪!「Burn out」

アメリカでの活動経験もあるBOSS率いる、ボンテージメタルバンドのミニアルバム。専門学校講師でもあるTOMO氏のハイトーンボイスが冴えわたる。ハードロックのニュームーブメントを起こしそうな予感。

The Echo Dek 「アイ ブレイク ユア ハート」

2020年代のブルーアイドソウルとオルタナティブが、蜜月のように融合した作品。The futureOf Motownとも呼べそうだ。日本語バージョン、英語バージョンの分け方にもきめ細かなセンスを感じる。

sunday melanchory afternoon 「春の知らせ」

全曲サビ頭、というインパクト全開のマキシシングル。一聴すると定番のようだが、聴きこむうちに軽やかなオリジナリティーがまん延した世界観に気づく。


経血(EYESCREAM、NO NO NO とのスプリット盤)/ Croon A Lullaby


80年代ニューウエーブと初期パンクが融合したロックバンドのスプリット作品。伝説の雑誌「DOLL MAGAZINE」の雰囲気を思い出す。全国発売中。

ザ・ビートモーターズ「土手」

イオンCMソングVo.にも起用経験のある秋葉正志氏の歌声が、いつまでも耳に残るデジタルシングル。エレファントカシマシや奥田民生などが好きな人はドはまり間違いない。
             
【お詫び】先回掲載したザ・ビートモーターズ「FGTSL」の画像が間違っておりました。お詫びいたしますとともに、正しい画像を再掲載させていただきます。

ザ・ビートモーターズ 「FGTSL」

ROCK IN JAPANやCOUNTDOWN JAPANにも出演経験のあるロックバンドのデジタルシングル。フォーキーでメロウなメロディーラインと歌声、そして定番を少し外した楽曲の三位一体のバランスがとても良い。

 

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第57回

【超低音収録マイク対決】
前回ご紹介した「低音系デュアルマイク」と今回取り上げる「超低音マイク」を組み合わせて、ドラムのキックを録りくらべてみようという企画です。

超低音マイクその1 【YAMAHA SUBKICK】*生産完了品

読んで字の如し、スーパーLOWからLOWまでの収録に特化したマイク。中音以上のレンジは、ほとんど録れないので、他の低音マイクと組み合わせて使用するのが前提です。

超低音マイクその2 【SOLOMON MICS LFRQBLK】

前述のSubkickと役割は似ていますが、違う点は「本体の形状がそこまで大きくないので、大抵のマイクスタンドにセッティング可能」なこと。SubkickよりスーパーLOWが伸びてしまう気がします。

次回、これらの低音マイクと低音デュアルマイクを組み合わせ、実際にドラムキックを収録し検証します。

組み合わせその① audio technical AE2500 + SOLOMON MICS LFRQBLK


組み合わせその② LEWITT DTP640REX + YAMAHA SUBKICK


【大学生バンドのセルフREC:MIX編】
4つ打ちダンスロック(仮称)のMIXに取り組んでいる彼ら、セミドライな音像を作り出し「タイト」と「リッチ」の両方を演出するため、前回触れた「ドライな感じのリバーブ」を試みようとしている。

ミックスの定位はRide→L、Hi-Hat→R1、Floor Tom→L、Mid Tom→L、Hi Tom→ややR。
(注:サウスポーのドラマーの場合はこの逆になる)

リバーブをかける対象となるパートは
① Snare Top1(アタック用)
ゲートリバーブをモノラルで少なめにかけ、その後リバーブタイムを短くしたホールリバーブ
をステレオでかける。
② Snare Top2(胴鳴り用)
Top1と同じ。様子を見ながらタイム、量を少し調節。
③ Snare Bottom(スナッピー)
ゲートリバーブはTop2と同じくらいだが、タイムの短いホールリバーブを少し多めにかける。
④ Floor Tom
PANがL寄りなら、Lだけにリバーブタイムの短いホールリバーブをかける。R寄りならRだけに。
⑤ Mid Tom
Floor Tomと同じ。
⑥ Hi Tom
Floor Tomと同じ。
⑦ Over Top L
ホールリバーブをLだけにかける。Tomより少し多めの量で。
⑧ Over Top R
Over Top Lと同じく、Rだけにかける。
⑨ Hi Hat
ホールリバーブを、Rにかなり少量でかける。
⑩ Ride
ホールリバーブを、Lに平均より少なめ程度に。
⑪ Ambient
ドラム全体に、リバーブはかけずコンプをやや深くかけてサスティンを伸ばして入れ、様子を見る。
⑫ ギターバッキング
ステージでいうと下手(客から見て左)側になるので、L側のホールリバーブをほんのりかける。さらにアーリーリフレクションを別のAuxでステレオでかける。
⑬ ギターリード
ステージ上手(客から見て右)側になるので、R側のホールリバーブをかける。バッキングにかけた分より少し多めに。L側のホールリバーブもほんのりとかけて、更にアーリーリフレクションを別のAuxで、ステレオである程度かける。
⑭ キーボード
キーボードはステレオファイルなので、PANを3時、9時に振って、Lだけ、Rだけのホールリバーブを少しかける。
⑮ ボーカル
リバーブタイムの短いホールリバーブを、ステレオで少しかける。歌とバックのなじみ具合を確認しながら、プリディレイタイムを調整する。
⑯ 同期(ストリングス)
ストリングスはあえてモノラルファイルにしてセンターより少し左、または右に配置する。タイムの短いホールリバーブをL、Rプリフェーダーにしてかけて立体感を出す。この時リバーブタイムもしくはプリディレイの値を少しずらし、ステレオ感を斜め奥で出す。
⑰ コーラス
元々のPANがLであれば、Lだけのホールリバーブを控えめにかけていく。

リバーブはそのままだとダブつくポイントが出てくるので、低音と高音をEQで削り、リバーブのリリース音が次の音にかぶらないようエキスパンダーやノイズゲートで調整する。ポイントは、安易にステレオリバーブをかけない、ということだ。

又、ベースやキックのような低音パートにリバーブをかけると曲の低音域がぼやけるので、基本はかけない。
(シューゲイザーやブルックリン勢などのジャンルでは、リバーブのプリディレイを遅くして原音が沈まないようにするかけ方もある。)


【今月のちょいレア】SHINANO GP1500(modify品)

ピュア電源整合器のパイオニア、SHINANOが放つディストリビューター。アースを除去し、プレーンな電源を供給する。現在はVoltAmpere社がその流れを引き継いでいる。



【今月のMV】クラウディールーム「walk home (27km)」


リラックスした雰囲気の中にも心地よい緊張感が点在する、ギターロックの佳曲。音楽性の幅がナチュラルに広がり、バンドとしての伸びしろに期待が高まる。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

スーパーアイラブユー 「WE ARE BEAUTIFUL DREAMERS」

ローリングストーンズ、エルビス・コステロといった洋楽ロックを根底にもち、それらに影響を受けた邦楽ロックのレジェンドたちの系譜とも言える、エッセンス満載のサウンド。2019年9月9日全国発売。

川嶋志乃舞 「SUKEROKU GIRL」

日本を代表する三味線マエストロが放つ、ハイパーポップアラカルトアルバム。ポップス・フィールドの隅から隅までのエクセレントなアイデアを昇華させた力作。2019年10月全国発売。

THE JIVES 「She Heard Out Usual Troubles」

国内外のロックンロールをベースに、現在のロックエッセンスをさりげなく斜めから取り入れた、セミ・現在進行形なロックアルバム。様々なアイデアがオルタナティブ的に交差し、有機的に化学反応を起こしている。

ザ・ビートモーターズ 「FGTSL」

ROCK IN JAPANやCOUNTDOWN JAPANにも出演経験のあるロックバンドのデジタルシングル。フォーキーでメロウなメロディーラインと歌声、そして定番を少し外した楽曲の三位一体のバランスがとても良い。

3tsuaru 「LAUGH BUG」

普遍的ミニマルミュージックと、先鋭的ポストロック、そしてポップなオルタナティブ・ロックが絶妙なバランスで絡む、フューチャーミュージックの決定盤。邦楽中心のリスナーでも自然に入り込むであろう、不思議な魅力にあふれている。

*ジャングルライフ262号28ページに、川嶋志乃舞さんと樫村の対談記事を掲載していただきました。是非お読みください*

WEB対談ページ
https://www.jungle.ne.jp/sp_post/kawashima-x-kasimura/

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 56回

【低音用デュアルマイク対決②】
前回は、低音用デュアルマイク「audio-technica AE2500」と「LEWITT DTP640REX」を用いてバスドラを録音し、比較してみました。
今回も同じ2本のマイクを使用して、エレキギターの録音をしてみましょう。

一般的にエレキギターREC用の定番とされているSHURE SM57で中音~高音を録り、低音補強用として上記のデュアルマイクを加えます。
ギターアンプは定番中の定番であるMarshall JCM2000と1960のキャビのセット。
スピーカーのど真ん中を少し外したポイントを狙い、収録します。
シールド、マイクケーブル、電源ケーブルは全てオヤイデ。ストラットのギターを使用して、エフェクター系は一切使わず、アンプ直でオーソドックスな歪みのバッキングを録音します。

【audio-technica AE2500 + SHURE SM57】


中音~高音用のSM57は、予想通りソリッドでやや粘っこい音を拾いました。
AE2500の「ダイナミックマイク」チャンネルは中低音域のふくよかさがしっかりと、「コンデンサーマイク」チャンネルはクリアな低音からブライトな中高音までまんべんなく録音されており、SM57を含めた3つのチャンネルを普通に混ぜるだけで、目の前でギターアンプが鳴っているような音で録音できました。

【LEWITT DTP640REX + SHURE SM57】


SM57は前述の通り。DTP640REXの「ダイナミックマイク」チャンネルは、低音から中低音にかけてタイトでファットな音が、「コンデンサーマイク」チャンネルは締まりのある低音とリッチな中低音域が好印象を残しました。

AE2500、DTP640REXのどちらの組み合わせでも、アンプシミュレーターでは再現しにくい濃密な音像が実現できました。


【大学生バンドのセルフREC~MIX編】
今回はリバーブの実践的な使用例を挙げてみましょう。

大学生バンドの曲「4つ打ちダンスロック」は、一部のパートを除き全体的にタイトでドライな質感。それだけにメンバー全員が「リバーブはほとんど必要ないのでは?」と思っているようです。しかし、ノンリバーブにしてしまうと各パートの混じりがイマイチになったり、リッチな広がりや奥行き感が演出しにくくなりがちです。著名アーティストの音源でも、全体的にドライであっても1つ1つのパートには少しずつ緻密なリバーブがかけられている事が多いのです。

ドライでありながらリッチな音像を創り出すには?
① ステレオとモノラルが混在しているトラックで、モノラルでも良いものは極力モノラルにして→モノラルのリバーブをかける。不必要なにごりや残響をある程度カットできる。
② 初期反射(アーリーリフレクション *前月分を参照)のタイム、Difusion、密度(dense)の数値をある程度減らし、パンを意識しながら細かくリバーブをかける。
③ 一曲の中に数多くのリバーブを使わない。出来ればプレート系とルーム系といった2種類くらいに留め、リバーブの次にエキスパンダーやノイズゲートを緻密にかけて、減衰が自然になるよう細かくコントロールする。
④ リバーブの種類を意識しないかけ方を試みる。例えばホールリバーブのプリセットは2.5m secぐらいが一般的だが、極端に短くし(例:0.5~0.8m secぐらい)イコライザーで低音部と高音部をある程度削って、モノラルで控えめにリバーブをかける。


【今月のちょいレア】 TASCAM X48MKⅡ

96kHzで同時に48トラック録音可能な業務用ハードディスクレコーダー。音質もProtools HDXと同等か、それ以上のクオリティーだ。2015年ごろ生産完了。


【今月のMV】スーパーアイラブユー「FORGET ME NOT」

エレカシ、真心ブラザーズ、サニーデイサービスに通じる、フォーキーでメロウなナンバー。良質なポップスと呼べる佳曲だ。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

クラウディールーム 「 LOSS 3.5 」

ギターロックの本質を少し斜めから解釈した、エモーショナルなロックバンドのミニアルバム。普遍性のある各パートのフレーズだが、バンド全体に混ざると化学反応をおこし、個性を発揮する。

迷い羊とノクチルカ 「 ロマンチカループ 」

インターナショナルな匂いのする、ポップな女性デュオのシングル。今作はクラウディールームのリズム隊をサポートに迎え、ポップワークスの枠を超えた、存在感のある熱い楽曲に仕上がっている。すばらしいコーラスワークも必聴だ。

海月ひかり 「 アーティスト 」

邦楽女性Vo.というカテゴライズでは括れない、実力派シンガーの渾身のマキシシングル。大人の女性をテーマとしつつも、メルヘンチックな雰囲気も漂う注目作だ。

カカシカシカカ 「 Jack Song 」

ポップマエストロ星野源を彷彿とさせる、セレブなセンスが光るポップチューン。随所に洋楽の黄金律が見え隠れし、聴き手を選ばない幅広い魅力がある。

Porcho

プリンスmeets レッドツェッペリン、VSレッチリといったような、欧米のオールドロックとブラックミュージック、オルタナが合体したような、とにかく濃いシングル。肩肘張らず聴ける英語詞の内容と発音がグッド。
配信も決定。https://linkco.re/6SBT97fB

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