CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の
セルフRECはプロRECを越えられるか? 第85回
今回取り上げるのは、国内を代表するハイエンドオーディオアクセサリーメーカー「aet」です。
ハイエンド電源ケーブルを中心に、マイクケーブル、インシュレーターなど各種リリースしています。
<マイクケーブルEVO-0605SHRF>
<インシュレーター SH-2007A(BL)>
aetの電源ケーブルの中で特にご紹介したい製品は、HHS AC/SP EVD1.8です。
スピード感と、ややソリッドな印象が特徴で、アタック感を要するキック、タムやギターソロなどにハマることが多いと思います。生産完了品ですが、中古市場で1万円前後で見かけることもあります。興味のある方、ぜひチェックしてみてください。
【大学生バンドのセルフREC】
今回は、予定外の曲を追加RECすることに決まった。(通算7曲目)
弾き語り(アコギと歌)を、被りまくり一発録音する計画だ。
通常、レコーディングは人数に関係なく、被りなしで録ることがスタンダードとなっている。
今回挑戦する「被りまくりの一発録り」は、ミスがあるたびに曲の頭、またはブレイクまで戻って演奏をやり直さなければならないので、高い演奏力が要求される。(一人の弾き語りはもちろん、バンド編成ではメンバーの誰かが失敗する度やり直すことになり、条件はますます厳しくなる)
録音の方も、被りが多いと個別パートの上げ下げがしにくくなる。
このように、録る側も録られる側もハードルが非常に上がってしまうのだが、上手くいくと「上質なライブ録音のような質感」が出て、通常RECでは体験できないような臨場感が堪能できることが多い。
<マイクセッティング>
マイクセッティングが出来たので、試しに録ってみることにした。
【今月のちょいレア】 PMC 6
英国が誇る世界最強スピーカーブランドPMCの新製品。イギリスBBCやメトロポリススタジオといった、超メジャーな放送局、レコーディングスタジオへの導入実績もある。
【今月のMV】 ホロトニア 「雷乃発声」
https://www.youtube.com/watch?v=mpieV8neQnQ
新潟発ギターロックバンドのMV。付点8分音符のディレイがかかるギターリフに、大きなインパクトを感じる。2021年11月メジャーデビュー。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!
DARYL HANNAH feat. RIVER BABY 「FLY HIGH」
Hip Hop、Trap、R&Bのフレーバーがディープに浸透するクラブミュージック。声質と歌詞のマッチング、特にネイティブな女性Vo.と邦人男性とのコラボがハイライト。
THE REST 「コドク無ヒカリ」
2000年代初期の米国ポストパンク、パワーポップ、エモロック、そしてネオグランジのエッセンスがバランスよく融合するデジタルシングル。邦楽中心に聴いているリスナーにもおすすめ。
yeahs 「help me」
アメリカのインディーパンク、イギリスのネオオルタナ、フランスのディスコパンクなどの要素が縦横無尽に錯綜する、ニューロックバンドのシングル。Vo.NANA氏の浮遊感たっぷりな歌声も魅惑的。
The Sticamor 「MOON BREATHING」
キーボード、ベース、ドラムからなるインストトリオバンドのデジタルシングル。ハイソな楽曲とエモい演奏力が聴きどころの一曲だ。
経血 「kankai」
80年代ハードコアパンク、ニューウエーブをこよなく愛する「経血」の2ndアルバム。80’sアンダーグラウンドロックの美味しいところを結集させた、濃密な内容に圧倒される。海外からの評価も高まっており、今後の活躍にますます期待。