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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第27回

国内シューゲイザーバンドの大御所「cruyff in the bedroom」4年半ぶり6枚目のアルバムが、来たる5月発売になります。今作は私が全曲Mix、マスタリングを担当しました。

1998年結成、国内のみならず海外のシューゲイザーフェスにも出演が予定されており、彼らのトリビュートアルバムにはリンゴ・デススターやGoing Undergroundなどの有名アーティストも参加するなど、話題には事欠かないバンドです。洋楽マニアだけでなく、邦楽ロック好きの方も是非彼らの世界観に触れてみてください。

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cruyff in the bedroom ホームページ

http://www.onlyfeedback.net/cruyff/index.html


【架空大学生バンドのセルフREC】

ついにメインVo.録音も残り2曲。【BPM=103:コールドプレイ風ミディアムテンポ】の曲にとりかかる。まだバッキングG.は入っていないが、アンプシミュレーターでリズム隊と一緒にとった仮G.があるので、そちらをモニターしながらVo.録り。

とりあえず全部通して一回目のVo.録り。先程までのテンポチェンジの多い曲に慣れてしまったせいか、リズムが走る。ピッチ以前の問題である。数テイク録り続けるが、マニアックなメロディーラインのせいもあってか、ピッチもリズムも安定しない。なかなか合格ラインまで達しないので、「Aメロだけ」「Bメロだけ」と部分に分けて録ろうということになった。まず1サビを数回録り、気になる箇所をAutoTuneで直し、2サビに。スタジオを借りている残り時間が1時間を切る中、2サビを数テイク録り、ピッチ、リズムともに悪くない感じのテイクが録れたところで2Bへ。

1テイク目からかなり良い感じ。1か所だけピッチを直して2Aへ。歌詞を間違えてしまい、その箇所のみパンチインで修正してOK。いよいよ最難関の1A。ギター、キーボードといったコード楽器が一切入っておらず、ドラム、ベース、歌のみである。そこで、2A部分の仮ギター(トレモロのかかった白玉)を暫定的に1Aにコピーし、歌の手助けとすることにした。たったそれだけの工夫で、歌いにくかった1Aが雰囲気のある良いテイクになった。

ようやくすべての部分のVo.が録れたので、全体を通してチェック。ピッチ修正したいところは10数か所あるが、自宅作業で直せるレベルのものばかりなので問題なしとの結論に。

今回は、楽曲の構成通りではなく部分部分で録っていったにもかかわらず、結果通して歌っているように聴こえる出来になりメンバー全員テンションが上がった。

今回のRECはここまで。次回はバッキングギター録りである。

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【今月のPV】 砂漠、爆発 sabaku∞bakuhatsu 「 purnima 」

1990年代と2010年代のトランス、サイケロックを融合させた必殺の1曲。海外のバンドとの交流も多いトランスロックバンドである。


【今月のちょいレア】 Terry’s Optical Comp2

ガレージブランドTOC-02/A.K.I brothers が放つ極上のナチュラルコンプ。無理やりなコンプ感や音やせが一切ない。ベース、ギターだけでなくキーボードやアコギ、エレクトリックシタールなどにも幅広く使える優れモノだ。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

 

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。

エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

Coo 「 TOY BOX YOUTH 」

ぞくぞくとするタイム感、キメの歯切れよさ、バンドサウンドとベストマッチする声質と歌詞。
どこをどうとっても、現メンバーでの最高傑作といえるミニアルバムに仕上がったのではないだろうか。
ギターロック好きにはマストな1枚。2017年3月発売。

 

 

AKI 「 ただ、海を眺めて 」
自らのバンド「ヒヨリノアメ」と並行してリリースされた、シンガーソングライターAKIの2ndアルバム。
アコギのフレーズに独特の工夫が見受けられ、そこに彼の世界観がたっぷりと入った歌が乗り、ワン&オンリーな音楽空間が出来上がる。
今後の活躍に注目しよう。

 

 

monopolli 「 滄溟(そうめい)、君に有れ 」
トレンディーなギターロックを限りなく追及している平均年齢17歳のロックバンドのマキシシングル。
とにかく目の付け所が良く、アンダーグラウンドをオーバーグラウンドにも変換させてしまう才能に脱帽。
サーキットイベントへの出演も決定、波に乗っていきそうなバンド。

 

 

ゴッサム団長 「 How To Make Love 」
ロカビリーと80‘sJ-POPが結合した、ニュータイプR&Rバンドのマキシシングル。
少々いかついキャラ、甘い声質、ソリッドなスラップ音は相変わらず健在で、世代を問わず安定した人気を博している。
団長の、ウッドベースを演奏している時と、鍵盤を演奏している時のひの雰囲気が表裏一体といった感じで非常にナイス。

 

 

tokagetokage 「 BEAT! BEAT! BEAT! 」
メンバーのほとんどがメジャー経験者からなる、ギターポップバンドのミニアルバム。
豊かな経験値を縦横無尽に繰り広げる楽曲バリエーションには敬服する。
ボーカルSAKIの存在感も秀逸。全国発売中。

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