音楽メディア・フリーマガジン

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第26回

このところ「マイクケーブルのおすすめは何ですか」という質問をプロ・アマ問わずいろいろな方からされるので、当スタジオで使用しているマイクケーブルの一部をご紹介します。

【Evidence Audio】

最低音から超高音まで、フラットなケーブル。

録音素材を選ばないリッチな質感を提供してくれる「最高レベルのマイクケーブルの1つ」と言っても過言ではない逸品です。

 

 

 

 

 

 

 

【Whirlwind】                          

 楽器用シールドの知名度もなかなかのメーカーで、このマイクケーブルも中音域が少々派手でアメリカンな質感が楽しめる。

意外にロープライスなのも魅力的です。

 

 

 

shinkou

 

今回の作業はVo.録りを3時間で。運よくNeumann U87AiとSE Electronic GeminiⅡの2本、TUBE TECH MP2A(2chマイクプリアンプ)といった高級機材を借りることが出来た。

 

マイクケーブルは KLOTZ M5とM2を使用。(写真はM2)

cable

 

まさに「セルフRECがプロREC水準に迫れそうな」機材を使い、残り3曲にチャレンジする。

【テンポチェンジ有レディオヘッド風オルタナロック】

AメロはBPM=126で淡々と→BメロはBPM=151にテンポチェンジ。音数も多く雰囲気もガラッと変わる。Aメロ①から録りはじめ、1stテイクを聴いてみると「ピッチ、リズム共に問題ないが面白味がない」と感じてしまう。ブース照明を落とし、Vo.が自分の世界観に入りこめる雰囲気を作り2テイク目へ。OKは3テイク目で出た。

続いてAメロ②へ。流れは良いのだがピッチ、リズムが甘い。テイクを重ね、3回目で自然に力を抜いたテイクが録れてAメロ録り終了。

休憩後、Bメロ録り。テンポも変わり、Aメロとは真逆の「エモっぽさ」が要求されるので、先程までのAメロの雰囲気からの切り替えに苦戦する。エモっぽさが出てきてもピッチとリズムが崩れ、テイクを重ねる。5テイク目でOK。

ピッチ修正をその場で行い、加えてダブリングも入れようということになりマイクから約1m離れて1曲通しで録った。

コーラスは後日にまわすことにして、次の曲【コールドプレイ風ミディアムテンポ】に移る。少しカオティックなこの曲、果たして録り切れるのだろうか。スタジオの残り時間は2時間弱である。


【今月のMV】 Omoinotake 「Hip It Up」

シティーポップの雄「Omoinotake」が放つ最強のキラーチューン。日本テレビ系金曜深夜の音楽番組「バズリズム」でも取り上げられた。


 

【今月のちょいレア】TUBE TECH MP2A

ハイエンド2chマイクプリアンプ。あらゆるマイクレベルの音素材を、高級感のあるラインレベルにまで引き上げる百戦錬磨な一台。

 

 

 

 

 

 

 

 


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

 

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。

エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

virgin crab bandVirgin Crab Band 「Fleming」

中華圏最大級野外フェス『Spring Scream2016』に出演、セミ・ヘッドライナーに大抜擢された最新型ロックンロールブルースバンドのフルアルバム。今作はグローリー・ヒルのキーボーディスト

mitch sugihara氏もゲスト参加し、R&Rを現代風に昇華させている。2017年3月全国発売。

 

57pictures 「portrait」

ポストロック、シューゲイザーを通過したギターロックバンドのフルアルバム。 全国流通、全国ツア-をこなしてきた彼らの、10年目の区切りとなる記念碑的な作品。キャッチ―さとマニアックさが程よいバランスで混在しているところがおもしろい。

 

 

Spicy Ground Floor 「Flood」

80’sネオアコ、アノラックが90‘sシューゲイザーやアブストラクトを纏い、2000年代ブルックリン勢やUKオルタナ色の加味された秀逸なミニアルバム。フランスのMusea Recordsレーベルから2017年1月ヨーロッパ中心に発売された。まさに「逆輸入盤」である。

 

 

The MashThe Mash 「あの子の為に揺れるベッド」

80’s~90’sのニューウエーブやポストパンク色が漂う、女性Vo.R&Rバンドのシングル。ローリングストーンズ、ランナウエイズ、パティ―スミス、少年ナイフ、ゼルダ、Hole、SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERあたりが好きな人にぜひ聴いていただきたい。

 

 

JASON國分& THE SOUL KITCHEN 「魂の宴」

ローリングストーンズ、ARBをベースに国内外のルーツミュージックを幅広く取り入れ、世代を問わない魅力的な一枚に仕上がったR&R、R&Bバンドのミニアルバム。ジェイソン國分氏のワン&オンリーなVo.が存在感やオリジナリティーを更にマッシュアップさせている。

 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj