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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第57回

【超低音収録マイク対決】
前回ご紹介した「低音系デュアルマイク」と今回取り上げる「超低音マイク」を組み合わせて、ドラムのキックを録りくらべてみようという企画です。

超低音マイクその1 【YAMAHA SUBKICK】*生産完了品

読んで字の如し、スーパーLOWからLOWまでの収録に特化したマイク。中音以上のレンジは、ほとんど録れないので、他の低音マイクと組み合わせて使用するのが前提です。

超低音マイクその2 【SOLOMON MICS LFRQBLK】

前述のSubkickと役割は似ていますが、違う点は「本体の形状がそこまで大きくないので、大抵のマイクスタンドにセッティング可能」なこと。SubkickよりスーパーLOWが伸びてしまう気がします。

次回、これらの低音マイクと低音デュアルマイクを組み合わせ、実際にドラムキックを収録し検証します。

組み合わせその① audio technical AE2500 + SOLOMON MICS LFRQBLK


組み合わせその② LEWITT DTP640REX + YAMAHA SUBKICK


【大学生バンドのセルフREC:MIX編】
4つ打ちダンスロック(仮称)のMIXに取り組んでいる彼ら、セミドライな音像を作り出し「タイト」と「リッチ」の両方を演出するため、前回触れた「ドライな感じのリバーブ」を試みようとしている。

ミックスの定位はRide→L、Hi-Hat→R1、Floor Tom→L、Mid Tom→L、Hi Tom→ややR。
(注:サウスポーのドラマーの場合はこの逆になる)

リバーブをかける対象となるパートは
① Snare Top1(アタック用)
ゲートリバーブをモノラルで少なめにかけ、その後リバーブタイムを短くしたホールリバーブ
をステレオでかける。
② Snare Top2(胴鳴り用)
Top1と同じ。様子を見ながらタイム、量を少し調節。
③ Snare Bottom(スナッピー)
ゲートリバーブはTop2と同じくらいだが、タイムの短いホールリバーブを少し多めにかける。
④ Floor Tom
PANがL寄りなら、Lだけにリバーブタイムの短いホールリバーブをかける。R寄りならRだけに。
⑤ Mid Tom
Floor Tomと同じ。
⑥ Hi Tom
Floor Tomと同じ。
⑦ Over Top L
ホールリバーブをLだけにかける。Tomより少し多めの量で。
⑧ Over Top R
Over Top Lと同じく、Rだけにかける。
⑨ Hi Hat
ホールリバーブを、Rにかなり少量でかける。
⑩ Ride
ホールリバーブを、Lに平均より少なめ程度に。
⑪ Ambient
ドラム全体に、リバーブはかけずコンプをやや深くかけてサスティンを伸ばして入れ、様子を見る。
⑫ ギターバッキング
ステージでいうと下手(客から見て左)側になるので、L側のホールリバーブをほんのりかける。さらにアーリーリフレクションを別のAuxでステレオでかける。
⑬ ギターリード
ステージ上手(客から見て右)側になるので、R側のホールリバーブをかける。バッキングにかけた分より少し多めに。L側のホールリバーブもほんのりとかけて、更にアーリーリフレクションを別のAuxで、ステレオである程度かける。
⑭ キーボード
キーボードはステレオファイルなので、PANを3時、9時に振って、Lだけ、Rだけのホールリバーブを少しかける。
⑮ ボーカル
リバーブタイムの短いホールリバーブを、ステレオで少しかける。歌とバックのなじみ具合を確認しながら、プリディレイタイムを調整する。
⑯ 同期(ストリングス)
ストリングスはあえてモノラルファイルにしてセンターより少し左、または右に配置する。タイムの短いホールリバーブをL、Rプリフェーダーにしてかけて立体感を出す。この時リバーブタイムもしくはプリディレイの値を少しずらし、ステレオ感を斜め奥で出す。
⑰ コーラス
元々のPANがLであれば、Lだけのホールリバーブを控えめにかけていく。

リバーブはそのままだとダブつくポイントが出てくるので、低音と高音をEQで削り、リバーブのリリース音が次の音にかぶらないようエキスパンダーやノイズゲートで調整する。ポイントは、安易にステレオリバーブをかけない、ということだ。

又、ベースやキックのような低音パートにリバーブをかけると曲の低音域がぼやけるので、基本はかけない。
(シューゲイザーやブルックリン勢などのジャンルでは、リバーブのプリディレイを遅くして原音が沈まないようにするかけ方もある。)


【今月のちょいレア】SHINANO GP1500(modify品)

ピュア電源整合器のパイオニア、SHINANOが放つディストリビューター。アースを除去し、プレーンな電源を供給する。現在はVoltAmpere社がその流れを引き継いでいる。



【今月のMV】クラウディールーム「walk home (27km)」


リラックスした雰囲気の中にも心地よい緊張感が点在する、ギターロックの佳曲。音楽性の幅がナチュラルに広がり、バンドとしての伸びしろに期待が高まる。


 
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

スーパーアイラブユー 「WE ARE BEAUTIFUL DREAMERS」

ローリングストーンズ、エルビス・コステロといった洋楽ロックを根底にもち、それらに影響を受けた邦楽ロックのレジェンドたちの系譜とも言える、エッセンス満載のサウンド。2019年9月9日全国発売。

川嶋志乃舞 「SUKEROKU GIRL」

日本を代表する三味線マエストロが放つ、ハイパーポップアラカルトアルバム。ポップス・フィールドの隅から隅までのエクセレントなアイデアを昇華させた力作。2019年10月全国発売。

THE JIVES 「She Heard Out Usual Troubles」

国内外のロックンロールをベースに、現在のロックエッセンスをさりげなく斜めから取り入れた、セミ・現在進行形なロックアルバム。様々なアイデアがオルタナティブ的に交差し、有機的に化学反応を起こしている。

ザ・ビートモーターズ 「FGTSL」

ROCK IN JAPANやCOUNTDOWN JAPANにも出演経験のあるロックバンドのデジタルシングル。フォーキーでメロウなメロディーラインと歌声、そして定番を少し外した楽曲の三位一体のバランスがとても良い。

3tsuaru 「LAUGH BUG」

普遍的ミニマルミュージックと、先鋭的ポストロック、そしてポップなオルタナティブ・ロックが絶妙なバランスで絡む、フューチャーミュージックの決定盤。邦楽中心のリスナーでも自然に入り込むであろう、不思議な魅力にあふれている。

*ジャングルライフ262号28ページに、川嶋志乃舞さんと樫村の対談記事を掲載していただきました。是非お読みください*

WEB対談ページ
https://www.jungle.ne.jp/sp_post/kawashima-x-kasimura/

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