音楽メディア・フリーマガジン

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延のセルフRECはプロRECを越えられるか? -第10回-

 

月日の経つのは早いもので、この連載も10回目を迎えることが出来ました。そこで今回・次回とゲストをお迎えして、特別対談形式でお送りします。

萩谷 真紀夫

対談をお願いしたのは『神聖かまってちゃん』のエンジニアリングを中心に、最近では『オワリカラ』の音源制作にも関わっているエンジニア / DJ / サウンドクリエーターの萩谷 真紀夫(はぎや まきお)氏です。

樫村(以下:樫)お久しぶりだね。

真紀夫(以下:真)こちらこそ。

樫:最近はレコーディング雑誌を中心にメディア露出が増えてますます勢いづいてるけど、寝る暇ある?

真:一応ありますよ。

樫:最近の仕事の話を聞いてると、REC、MIX、マスタリングは当たり前で、楽曲提供やPAまでやったり、ギターもサポートで弾いたり本当に大活躍で。

真:いやいや、仕事の種類と時期がいい感じでバラケてますから。たまにパンクしそうになりますけど。

樫:真紀夫くんの場合はスキル、センスだけじゃなくて、人間として柔軟性があるからクライアントが増えるんだと思う。とにかく頼みやすいオーラが全身からにじみ出てる(笑)。

真:そうですかぁ?(笑)。

樫:ところで今、セルフRECをやってる人がプロ・アマ問わず本当に多いよね。

真:年々すそ野が広がっていますよね。アプリでもそれなりのセルフRECが出来る時代ですから。

樫:環境によっては、プリプロと本チャンの差がなくなってきているのは確かだし、演奏のテイクもプリプロの方が良くて採用される場合も、昔より増えてきてる気がする。

真:僕が関わってる仕事も、そのパターンが増えています。

樫:プロのミュージシャンが本気でプライベートスタジオを作ったら、レコスタで録るよりも味のある音や演奏がゲットできる可能性が確実に増えてきてる。

真:そうですね、電源やハイグレードなマイクプリ、モニタースピーカーの環境整備や、部屋鳴り、メインDAWの充実、というポイントを押さえるスキルと予算があれば。あとはマニアックな機材やアマチュア用の機材を好きにモディファイして使う人も結構いますよね。

樫:プロだとそういったポイントをしっかり押さえて、好き勝手やる人は多いね。

真:僕も意外と高価じゃない機材で作業することも多いですよ。

樫:だけど結果として、プロの音になる。いろんな経験を積んで来てる点と、周りにプロフェッショナルな人材が豊富にいるから出来る部分もあるよね。もちろん例外もたくさんあると思うけど。

真:とりあえず僕の周りには、チープな環境でもここをこうすれば悪くならない、といったポイントをたくさんつかんでいる人が多い気がします。

樫:まさに、この連載を読んでる人たちが一番知りたい部分(笑)。

真:でも樫村さんもよく言ってるように、RECはマイクの種類や立て方なんかも重要だけど、その“前”の部分。例えば当たり前ですけど、演奏力、作曲・アレンジ力、楽器の状態やチョイス、配置、チューニング、音作り、部屋鳴り、電源なんかの環境を、あるレベル以上にクリアしていないと。後処理ではどうにもならないことが、まだまだ存在するということですね。

樫:そうなんだよ、今は機材が発達しすぎているから、MIXやマスタリングといった後処理でどうにでもなると思ってる人が限りなく多い。

真:昔よりは確実にツブシが効く部分が増えていて、後処理でやれる幅も格段に向上している部分もありますが。

樫:特にドラムと歌なんかは顕著だよね。

真:数あるプラグインでピッチを直したり、トリガー系ソフトでドラムの音を差し替えたり、波形もずらすテクニックが年々充実してきてますよね。

樫:ただ、個人的にRECにおけるプロとアマの差は、まだまだあるなあと気づく部分が何点かある。

真:それは何ですかね?

 

――――続きは次号で!

 

コラム第一回でもご紹介したバンド「marigold」只今、最強のメンバーで新音源を制作中。

 

【今月の逸品】コンデンサーマイク SE Electronics SE2200aⅡ

名称未設定

予算5万円以下で一押しのコンデンサーマイクは?と聞かれたら、迷わずこのマイ

クをお薦めします!プリアンプ、マイクケーブル、電源環境次第では、20万円以上

の高級マイクと比べても音質的には何ら遜色ありません。コストパフォーマンスが

高い逸品です。実勢価格3万円台でありながら単一指向性だけではなく、無指向性、

双指向性に対応しているマルチパターンの優れモノ。ボーカル録りはもとより、ピア

ノ、アコギ、ドラムのアンビエントなど幅広く対応します。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------

【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオ チャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター。
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
2015年10月25日(日)13:00~ サウンドプロデュース&プロモーションセミナー開催!
今回はperfume、capsule、きゃりーぱみゅぱみゅ、三戸なつめなどを世に送り出した音楽プロデューサー中脇雅裕氏をゲストにお迎えします!参加は無料ですが、参加人数把握のため予約をお願いしています。
予約は、会場の茨城音楽専門学校(茨城県水戸市)まで。
予約電話番号 TEL 029-248-0521(茨城音楽専門学校)  受付時間 9:00 - 19:00 【土・日・祝日を除く】

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

tokage「LOVE THE LIFE」

 

 

tokage『LOVE THE LIFE
メジャー出身のSAKI、Eiriを中心に結成された、MTV的洋楽っぽさもあるJ-POPROCKバンドのミニアルバム。透き通る声質に力強さが加味された歌と、楽器の音域の棲み分けが好印象。TV神奈川を始めとするラジオ、雑誌などメディアへの露出も多数あり。全国発売中。

Firmament「空色」

Firmament『空色
直球爽やか系ギターロックバンドのミニアルバム。ギターのリフをはじめ各パートの音色やフレーズの凝り方が、さりげなく核心をついているのが面白い。リズムパターンや声質と、歌詞との絡み方が絶妙です。

 

Hello Music「hello hello hello」

Hello Music『hello hello hello
 天然のボカロとアニソン声が真っ先に耳に飛び込んでくる、女性ボーカルのギターロックバンド。ボーカルエフェクトいらずの独自の質感と、ファンタジーな曲調の絶妙な組み合わせがいい感じ。声優好きの人も要チェックの音源。

 

BLACK MINDS GROW「DIVE!」

BLACK MINDS GROW『DIVE!
エモロック、パワーポップをベースにしたギターロックバンドのシングル。爽やかさの中に、力強さや頼もしさを感じるストレートなロックを前面に展開。倍音が豊かな歌声と、歌詞の奥深い世界観が売り。はじけるライブも魅力的。

新村けんぞう「シルクハット リアリティー」

新村けんぞう『シルクハット リアリティー
ジェリーフィッシュ、チープ・トリック、ポール・マッカートニー&ウイングス、クイーン、ラーズ等ポップスの巨頭に多くの影響を受けているシンガー、新村けんぞうが放つ最新アルバム。洋の東西を問わないポップスの黄金律がぎっしり詰まった自信作は、良い意味で聴き手を選ばない。

S.H.E「ScHrödingEr」

S.H.E『ScHrödingEr
千葉テレビ『応援美女子』エンディングテーマであるリード曲を含む、渾身の4thアルバム。東北屈指の音楽フェス“いしがきMUSIC FESTIVAL2015”にも出演など話題に事欠かない。Tasting heads productionとbrittfordのダブルネームで2015年10月全国発売。

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj