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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第46回

今回はまず、私がレコーディングで関わっているバンド・アーティストの中でも、特に活動レベルが高く個性的な3組をご紹介します。

★Andare(アンデア)

「国吉亜耶子and西川真吾Duo」名義で活動、年間100本以上のライブやフェス、サーキットイベントに出演。フジテレビ系ドキュメンタリー「Nonfix」エンディング曲を担当。
2016年「Andare」に改名し、サポートメンバーに下上 貴弘(アルカラ)星 直旗(僕とモンスター)佐藤 学(おいおい教バンド、ロックンロールサービス)を迎え、Andare名義での1stアルバムを発売する。
*JUNGLE LIFE 251号WEB及び誌面P26・27にインタビューが掲載

★S.H.E(Struggle-Head,Emergence)


世界最大のインディーズバンドコンテスト「EMERGENZA MUSIC FESTIVAL 2011」で優勝、並びにベストベーシスト賞を受賞。日本代表としてドイツで開催されたEMERGENZA INTERNATIONAL FINALに出場し4位入賞。渋谷O-WEST、新宿ロフトでワンマンライブ、岩手県の音楽イベント「いしがきMUSIC FESTIVAL」にゲスト出演。その他にもチバテレビ「応援美女子」エンディング曲担当、月刊サウンドデザイナー2015年3月号に企画素材曲を提供。
この度6枚目となるフルアルバムを全国発売する。
*JUNGLE LIFE 251号WEB版及び誌面P24・25にインタビュー掲載。

★川嶋志乃舞(かわしましのぶ)


東京藝術大学卒、三味線日本一に四度輝くなどの経歴を持ち、自ら作詞作曲もする才能あふれる彼女。数か月前にフルアルバムを発表、間髪を入れずに今回4曲入りE.Pをリリースする。氷川きよし「見えんけれどもおるんだよ」(アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』新章「西洋妖怪編」新EDテーマ)に津軽三味線と長唄三味線で参加、西日本最大のフェス「MINAMI WHEEL 2018」に出演。年末には台湾、来年春にはロシア公演も予定されており、音楽ジャンルや世界を越えた活躍が期待されている。


【大学生バンドのセルフREC】
セルフRECもいよいよMIXにとりかかったが「どこから手をつけたら良いのか」に迷うメンバーたち。

↓【MIX完成予想図】

どのパートから手をつけるのかは、プロのエンジニアでも様々であり、曲調によっても変わることがあるのだが、大きく分けると
① ドラム、ベースから
② (歌ものなら)歌から
③ 全体を少しずつ
のいずれかが多いようだ。

MIXを行う上で一番大切なことは「モニタースピーカーのフラットな環境」だ。

「モニタースピーカーから出る音がすべてフラットで正しい」ということを大前提に音をいじっていくので、この基準にかたよりがあると仕上がりが微妙になる。
例えば海外製のパワードモニターは国産のものより低音が強く出る傾向があるので、これをそのままMIXに使ってしまうと他のモニターで聞き比べた時「低音が少なめ」になっている、ということにもなりかねない。

また「良いヘッドフォンがあるからモニタースピーカーは必要ない」という考えもあるようだが、基本は「モニターから出てくる音が空気を伝って耳に入り、バランスをチェックする」のが一番自然である。

細かいノイズチェック、エフェクトのかかり具合のチェックにはヘッドフォンは最適だが、全体のバランスを聴くには向いていない。

理想はかたよりのない良いモニタースピーカーと、細かい部分もしっかりチェックできる良いヘッドフォンの両方を持っておくことだ。



【今月のMV】 極悪いちご団 「 追え!御江戸町娘 」

千葉県ニューマッドシティ(新松戸)が生んだファンキー演歌歌謡バンド。洋楽ファンクロックをベースに、歌謡曲、演歌、80年代J-POPの要素も見え隠れする独自の音楽性を持つ。2018年12月に新譜をリリース予定。


【今月のちょいレア】 Forcusrite Mixmaster
T.C.electronic Finalizer96kやDBX Quantamのライバル機種でもあるマルチバンドコンプの名機。
ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンが愛用していたことでも有名である。生産完了品。


 

【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

S.H.E(Struggle-Head,Emergence) 「 AtoZ-Anxiety to Zillion- 」


オルタナティブロックという範疇を軽々と飛び越え、5人の個性が1つの大きなベクトルの中でせめぎあいながらまとまっている。サウンド的にも余裕を感じる、現時点での最高傑作と言えよう。2018年11月britttfordレーベルより全国発売。

Andare 「 鏡に映る花のように 」

以前からの流れを踏襲しながらも、一回り大きくなった彼らの新作。国吉の攻めのピアノ&Vo.と、西川の紳士的ながらもアグレッシブなドラムとのバトルが頼もしい。歌声や歌詞から少し尖った安堵感もある。サポートベースに、アルカラの下上貴弘氏が参加しているのも話題の1つ。2018年10月ベルウッドレコードより全国発売。

川嶋志乃舞 「 ラブハイウエイE.P. 」

数か月前にフルアルバムをリリースしたばかりだが、インターバルの短さとは反比例して、演奏・作詞作曲ともにますますスキルアップしている。今回も新進気鋭のドラマー渡邊シン氏(ex.映画「坂道のアポロン」、ジェジュンコンサートツアーに帯同など)アレンジャー宮野弦士氏(ex.フィロソフィーのダンス)が参加、楽曲の魅力を最大限に押し上げている。

ハルヨリ


栃木在住ギターロックバンドのシングル。楽器隊はもとより、歌と歌詞を大切にするピュアな精神と、彼らの一番根底にある熱量が沸々と伝わってくる。ライブパフォーマンスも魅力的であり、今後ますますの活動を期待する。


GROANING BARBARIAN 「 沈む箱舟 」


キャリア10年超のベテラン勢で結成された、モダンヘヴィネス系バンドのシングル。全体的にダウナーでありながらも、等身大の疾走感がにじみ出ている。デスボイスの絡み方がナチュラルな雰囲気を醸し出しており、ラウド系リスナー以外からも支持されそうな可能性を感じる。

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