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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第104回

CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 104


今回はMixdownについて熟考してみます。

この連載でもMixdown(以下、Mix)について、いろいろと実践的に解説してきました。

セルフRECの場合は、そこそこの機材が揃っているメンバー宅で行うことが多いかと思いますが、メンバー立ち合いのもとで行うか、オンラインで行うかの2つに分かれるところでしょう。

レコーディングスタジオでMixを行う際、ここ20年くらいの傾向として、立ち合いMixよりオンラインMixが選ばれることが多くなってきているように感じます。

レコーディングエンジニアの方からオンラインMixを提案されることが多く、バンドマン側もそれが当たり前だと思っている、といった話をよく聞くようになりました。

例えば10年以上活動しているバンドで、過去7回のレコーディング経験のうち「ゼロから立ち合いのMix」経験が1回もない、といった事が結構あるのです。

改めて「立ち合いMix」「オンラインMix」それぞれのメリット、デメリットを考えてみました。

 

オンラインMixでよくある事例として

*とりあえずエンジニア1人で1回Mixをして、アーティスト側にネット経由でデータを送る

 

*アーティスト側から電話やメールなどで、1回目のMixについて感想、指示がくるが、同じ空間でリアルタイムでやり取りしていない分、お互いの説明がうまく伝わらなかったり、的外れな指示が来たりする

といったことが日常茶飯事に起こります。

同じ部屋で立ち合いMixをしていれば、5~10分で終わってしまうような説明や指示も、オンラインだと説明の行き違いや、お互いデータを確認するのに時間帯がすれ違ったりすることで、完成形になるまでに思った以上の日数がかかってしまうこともあるのです。


【今月のMV】羊が眠ル夜に「空想タクシー」

https://youtu.be/FcmqV1QYNl8

PUTIT PETITのメンバーによる別バンドのMV。パワーポップ、シティーロックなどを軸に、クールにまとめ上げられたセンスの良さに着目したい。アーティスティックなモザイクもユニーク。


【今月のちょいレア】Elektron analog RYTM 8Voice Drum Computer

スウェーデンの電子楽器メーカーElektronによる、アナログドラムマシンとサンプラーのハイブリッド機材。キャラクター、クオリティー、価格、そして目を引くデザインなど、国産ドラムマシーンとは全てにおいて相違点がある。


 【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表

レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター

Whirlpool Records/brittford主宰

専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください

当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します


 

日々かりめろ「SeventhHaven

日々かりめろ通算7作目にあたるオリジナルフルアルバム。内容的には前作を踏襲しつつも、彼らにしか出せない味わいと余裕が随所からにじみ出ており、頼もしさすら感じさせる一枚である。


 

深川隆成 「流れ星」

様々なメディアに取り上げられ注目を集めるジャズシンガー。タイトル曲と、残り2曲とのコントラストも素晴らしい。


 

カカシカシカカ「ATRAS

タイトルからイメージされる、大平原が基軸となったエスニック風ビート。それらに連なる上モノとの辛みが実に音楽的だ。


 

深川隆成「愛の絆」

彼の代表曲と呼べそうなタイトル曲をはじめ、「As Time Goes By」「素敵な恵み(Amazing Grace)」のスタンダード2曲を収録。全ての世代に受け入れられそうな作品。


 

羊が眠ル夜に「空想タクシー」

王道のギターロック、パワーポップ、シティーロックを中心としたポップスの黄金律満載のリード曲。ボーカルとコーラスのシルキーなコンビネーション、バックサウンドの混ざり具合が素晴らしい。

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