CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 104回
今回はMixdownについて熟考してみます。
この連載でもMixdown(以下、Mix)について、いろいろと実践的に解説してきました。
セルフRECの場合は、そこそこの機材が揃っているメンバー宅で行うことが多いかと思いますが、メンバー立ち合いのもとで行うか、オンラインで行うかの2つに分かれるところでしょう。
レコーディングスタジオでMixを行う際、ここ20年くらいの傾向として、立ち合いMixよりオンラインMixが選ばれることが多くなってきているように感じます。
レコーディングエンジニアの方からオンラインMixを提案されることが多く、バンドマン側もそれが当たり前だと思っている、といった話をよく聞くようになりました。
例えば10年以上活動しているバンドで、過去7回のレコーディング経験のうち「ゼロから立ち合いのMix」経験が1回もない、といった事が結構あるのです。
改めて「立ち合いMix」「オンラインMix」それぞれのメリット、デメリットを考えてみました。
オンラインMixでよくある事例として
*とりあえずエンジニア1人で1回Mixをして、アーティスト側にネット経由でデータを送る
↓
*アーティスト側から電話やメールなどで、1回目のMixについて感想、指示がくるが、同じ空間でリアルタイムでやり取りしていない分、お互いの説明がうまく伝わらなかったり、的外れな指示が来たりする
といったことが日常茶飯事に起こります。
同じ部屋で立ち合いMixをしていれば、5~10分で終わってしまうような説明や指示も、オンラインだと説明の行き違いや、お互いデータを確認するのに時間帯がすれ違ったりすることで、完成形になるまでに思った以上の日数がかかってしまうこともあるのです。
【今月のMV】羊が眠ル夜に「空想タクシー」
PUTIT PETITのメンバーによる別バンドのMV。パワーポップ、シティーロックなどを軸に、クールにまとめ上げられたセンスの良さに着目したい。アーティスティックなモザイクもユニーク。
【今月のちょいレア】Elektron analog RYTM 8Voice Drum Computer
スウェーデンの電子楽器メーカーElektronによる、アナログドラムマシンとサンプラーのハイブリッド機材。キャラクター、クオリティー、価格、そして目を引くデザインなど、国産ドラムマシーンとは全てにおいて相違点がある。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
日々かりめろ「SeventhHaven」
日々かりめろ通算7作目にあたるオリジナルフルアルバム。内容的には前作を踏襲しつつも、彼らにしか出せない味わいと余裕が随所からにじみ出ており、頼もしさすら感じさせる一枚である。
深川隆成 「流れ星」
様々なメディアに取り上げられ注目を集めるジャズシンガー。タイトル曲と、残り2曲とのコントラストも素晴らしい。
カカシカシカカ「ATRAS」
タイトルからイメージされる、大平原が基軸となったエスニック風ビート。それらに連なる上モノとの辛みが実に音楽的だ。
深川隆成「愛の絆」
彼の代表曲と呼べそうなタイトル曲をはじめ、「As Time Goes By」「素敵な恵み(Amazing Grace)」のスタンダード2曲を収録。全ての世代に受け入れられそうな作品。
羊が眠ル夜に「空想タクシー」
王道のギターロック、パワーポップ、シティーロックを中心としたポップスの黄金律満載のリード曲。ボーカルとコーラスのシルキーなコンビネーション、バックサウンドの混ざり具合が素晴らしい。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 103回
今回取り上げるのは画期的なマスタリング系アウトボードT.C.electronic のFinalizerシリーズです。
Finalizerシリーズのアウトボードは、宅録ヘビーユーザーでも「一体何なのか」と疑問に思うことが多いようです。
1996年ごろリリースされた初代Finalizerは、この一台の中にEQはもとよりマルチバンドコンプ、ノーマライザー、エキスパンダー、リミッターが凝縮された画期的な機種でした。当時の定価で35万円ぐらい、購入層もプロが中心だったこともあり「ハイエンドな実力を持った逸品」と言われていました。
この頃はプラグインもそこそこ出始めてはいましたが、ほとんどがオモチャレベルで、プロの現場では正直相手にされておらず、故にこのFinalizerに期待する人が玄人ほど多かった記憶があります。
翌1997年には更に機能を追加したFinalizer Plusをリリース。
さらにその翌年、96K対応フラッグシップモデルFinalizer 96Kがリリースされました。
前モデルと比較すると「AD・DAコンバーターの強化」「ディザーが3倍に増えた」「ダイナミックEQなど強力な項目の追加」など、シリーズ最高峰にふさわしいリッチな内容になりました。
また、廉価版にあたるFinalizer Expressもリリースされ、手の届きやすい価格設定も相まって、アマチュア上級者からセミプロあたりのユーザーの注目を集めました。
どの製品も現在では生産完了となっていますが、興味のある方は中古市場をぜひチェックしてみてください。
【今月のMV】YAPOOL 「レイトショー」
https://www.youtube.com/watch?v=j33zm3Qf6Q0
ショートストーリーの中からYAPOOLというバンドの本質が垣間見える。
【今月のちょいレア】Fostex T-7
安価ながら上位機種と同レベルの音響製品を数多くリリースしてきたFostexが、20年くらい前に発売していたヘッドフォン。とにかくフラットでワイドレンジ、最新のハイエンドヘッドフォンと肩を並べられる実力が堪能できる。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
STAY FOR WELL 「Until The Summer Ends」
パワーポップ、メロコア、エモロックの中間を行く、新進気鋭バンドのシングル。どの楽曲も適度に攻めつつ、背伸びはせず等身大で勝負している点に好感が持てる。
The Sticamor 「AMORMEALS」
クールジャズ、コンテンポラリーフュージョン、ネオアシッドジャズなど、どこを切っても近未来的サウンドが楽しめるナイスなアルバム。常にイノベーター的感覚で新路を切り開いていく姿勢に脱帽だ。
Fumiya Kimura 「Intangible」
とにかく玄人受けに振り切ったOne & Onlyなサウンド。縦横斜め、すべてに計算しつくされたフューチャーアンビエントミュージックは、最低限の音数で最大限の魅力をアピールしている。
深川 隆成「 STAND BY ME(そばにいて)」
BEN E.KINGの名曲であり、ジョン・レノンをはじめ世界中のミュージシャンがカバーしているSTAND BY MEを、深川 隆成が絶妙な日本語詞に翻訳、歌いあげた作品。
YAPOOL「Imagination」
王道R&Rにナイスな不純物が絡み合う作品。既存のロックに飽きてきた人にこそ聴いてほしい。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 102回
今回取り上げる機材はALLEN & HEATHのデジタルミキサーSQ-5です。
ALLEN & HEATHはアナログ、デジタル問わず、クオリティーの高い様々なグレードの製品をリリースしています。PA、レコーディングのどちらにもいける製品も数々存在し、写真のSQ-5もその類に属する実力機です。
マイクプリはもちろん、ADコンバーター(アナログ信号をデジタル信号に変換する重要なパーツ。カメラに例えるとレンズにあたる部分)やリバーブを始めとするエフェクター全般の実力は、内臓エフェクターと一言で表現できないくらい音楽的なクオリティーを誇ります。その優秀さは最新型プラグインを圧倒するほどです。
インターフェース機能も充実しており、USBケーブル1本でPCと接続して簡単に作業出来ます。
さらに特筆すべきは、32ch分までDAWとのパラ出しが可能、つまりハイスペックなデジタルのサミングアンプとしても使用できる点です。
DAW内部でのミックスは飽和状態になりがちで、この点でもSQ-5の実力には抜きんでる優秀さが感じられます。
サミングアンプを使用したことのある人にしか理解しにくいかも知れませんが、このミキサーはゆとりのある立体感的音像が演出しやすくなる、ハイクオリティーに直結するワークフローだと確信しています。
「録り音は結構良いのにミックスがうまくいかない」とお悩みの方に、まず試してほしいプロセスの1つと言えそうです。
【今月のちょいレア】Bettermaker MASTERING LIMITER 2.0
大好評だったMASTERING LIMITER 1.0の後継機。1.0よりも、かゆいところに手が届く製品に仕上がっている。アナログ機とは思えないほど細かな設定をPCからコントロール出来るのだが、2.0ではより多くのコントロールが可能となっている。
【今月のMV】YU-DAI 「Not A Husler」
https://www.youtube.com/watch?v=MhtrQNrD7FY
今どきのシティーポップ、R&Bをベースに、最先端トラップやEDM要素を一度分解後、再構築するようなハイエンド作品に仕上がっている。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
TOY 「Loyalty」
変わらず安定したハイクオリティーなHipHopを提供してくれる、TOYの意欲作。トラップ、HipHop、New R&Bの要素が交差する点が印象的。
MASHIRA 「思考回廊」
もろ主流ではないが、サブでもないHipHop系アーティストMASHIRAのシングル。楽曲の展開やリリック、声色の絡みが絶妙な作品。
おどるアナグマ 「ひとりごと」
多少強引な言い方をすると「少しフォーキーな“赤い公園”」といった感じか。どこか新鮮でなつかしいサウンドが印象的。平凡な歌詞の中にもさりげなく個性が光る。
星野由美子「 Chocolate Revolution」
2023年2月に開催されたイベント「MITO世界チョコレートフェスティバル」のテーマ曲に起用された。少しジャジーなPOPSで、これまでの彼女の音楽性にはない新局面となっている。
ZERo 「graffiti」
ロジャーニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズを筆頭に、ソフトロック、渋谷系エッセンスが随所に散りばめられたニューポップチューン。当スタジオでは、作曲、レコーディング、マスタリングを担当。
【特集アーティスト】
エマージェンザ・ジャパン2022の優勝バンド「パノラマとラボラトリー」がニューリリース
*プロフィール
坪井洋(drs.)がキースジャレットの影響を受け、北欧でジャズの勉強をしたいと思い海外修行を決意。
カナダ・スウェーデン・ドイツと渡り、ジャズフェス・ラジオ出演・ヨーロッパツアー等、音楽修行・活動を続けるうちに、ヨーロッパでは若者音楽と発展をしており、ジャズで培った能力を様々な音楽活動に繋げていることに感銘を受け、ジャンルを超えた音楽活動を目指したいと思うようになる。
帰国後、ジャンルを飛び越えた音楽活動の実現をするためメンバーを探し、同じくヨーロッパ音楽に影響を受け作編曲家としても活動していた森田珠美(key.)と出会い、ボーカルを加え、現在のパノラマとラボラトリーの基礎ができる。
その後、コロナ禍中にボーカルが体調を崩し無期休業となり、ボーカルを新しく探すことになる。
ジャンルを飛び越えた音楽のコンセプトは変わらず、電子サウンドを軸によりポップな音楽性に発展させ、2021年パノラマとラボラトリーとなる。
エマージェンザ・ジャパン優勝など躍進を続けるも、1年半でボーカル脱退。
そして1000人以上のボーカルを聴き、探し続けた中からaya (vo.)という若き才能を見つけ出し、2023年に新生パノラマとラボラトリーが誕生する。
ドイツ・台湾・ミャンマー・メキシコ等海外演奏、日本でも騎馬武者ロックフェス・アースガーデン等大型フェス出演。
ユーハイム・JILLSTUARTなどCM音楽、ラジオ音楽プロデュースなど制作・提供多数。
現在狛江エフエムでレギュラー番組を持ち、音楽解説もしているYoutube登録者数3000人以上と躍進中。
1.音楽活動を始めたきっかけ
aya(vo.)
小さい頃から歌うことが大好きで、ずっと密かに歌を仕事にしたいと思っていました。
しかし、恥ずかしい気持ちが勝ってしまいなかなか行動に移せず、気づいたら大学生に。
大学に入ったもののコロナで家から出られない期間が続き、何か始めなくては!!と思ってアコースティックギターを購入。毎日練習に明け暮れました。
それがきっかけで、作詞作曲やギター弾き語りでのSNS活動・ライブ活動を行うようになり、本格的に音楽活動を始めました。
森田珠美(key.)
小さい頃からピアノを習っていたものの音楽活動をしたいという発想には至らず、高校生になり流行っていたメロコアを聴いて、バンドしたい!と初めて思うようになりました。ベースがやりたくて購入、でも恥ずかしくてバンドしたいと言い出せずそのまま大学生に。
大学時代、鍵盤としてようやくバンドに入ることができて人と合わせる楽しさを知り、色んなライブに参加するようになりました。
坪井洋(drs.)
中学生の時に先輩たちのバンド演奏を見てバンドをやりたいと思い、前に出過ぎたくなという理由でベースかドラムで迷い、兄がスティックを持っていたことを思い出し、ドラムを選ぶ。
中高時代ほとんど音楽活動はできなかったがプロへの夢は持ち続け、特にTOTOに傾倒。
大学入学後ようやくドラムをできると思い、上手くなるためにはジャズだ!という偏見でジャズ研に入り、今まで聞いていたジャズはフュージョンであることを知るとともに、メロディアスなアプローチのドラムに感銘を受け、ジャズからドラムを本格的に始めました。
2.エマージェンザ・ジャパンの優勝バンドとしてドイツの野外フェスに出演されましたが、日本とドイツのライブシーンの違いについてどう感じましたか
シーンではないかもですが、1番感じたことは演奏に対する反応です。
全く知らないバンドで、しかも日本語で歌う僕らの演奏を受け入れ大絶賛してくれました。
ノリノリになってくれたことはもちろん、最終的には音楽に合わせて手を振ってくれました。
実はこちらから促そうと考えていたのですが、その前にウェーブが起きびっくりしました。
終わった後、他のミュージシャンたちが大勢待っていて「最高だった」とハグの嵐がすごかったです。
会場でも観客が何人も「演奏してた人だよね」と言って、感想を伝えてくれました。
言葉がわからない知らないなど関係なく”良いものは良い”と認めてそれを表現する力は、日本と大きく違うと感じました。
観客の年齢層もバラバラで、カップルや親子など若い人たちはもちろん年配の方も多く、日本の大きな祭りのようにいろんな人たちがそれぞれ楽しんでました。
おじいちゃんらしき人たちが踊りまくっていたのとか、本当にびっくりしました。
あとは、クオリティの高さです。一見適当にやってるような雰囲気を感じるのですが、ミュージシャンもPAもその他スタッフも実際になると完璧。しっかり作り込まれている背景も感じられ、そのギャップに驚かされました。
目指す型があるというより、そのものの良さや楽しみを引き出すことを実現するために行っているという自由さを感じ、僕らの引き出しを新たに見つけさせてくれたように感じます。
どっちが良いということでなく、日本ではなかなか感じない自由さであり厳しさだと思いました。
3.今回のミニアルバムの聴きどころ
なんといっても新ボーカルのayaの歌声です。
22歳ってこんなにできるの?という技術力も驚きですが、歌声がストレートに心に届く力を持っているんです。
そして海外での経験で得た”J-POPは世界で通用する”という自信のもと、よりPOPの可能性に挑戦する音楽を目指して作った楽曲が揃いました。
それが合わさったらこんな世界になるんだ、というところを聴いていただきたいです。
4.これからの国内外の音楽シーンはどうなっていくと思いますか
海外は「国や文化・親しんできた音楽を活かし昇華させている」ものが、さらに多様に評価されていると感じます。例えばBTSさんやAURORAさんのような方々です。
アフリカンの音楽がそうだったように、昔からある流れですがネットによる情報量の拡大が垣根をかなり取っ払い、これからも加速していくのではと思います。
日本は「輸入し自分達の中で生産消費が中心」のシーンで成長をしてきたと思います。
そしてネット時代の流れがきたことにより、質の向上と多様性の芽ができてきている感じがします。
ですので、これから日本の音楽シーンは、例えばアニメのように「独自の背景を持って昇華したもので世界と伍していく」のか「自分達の消費中心のままでいく」のか、また「模倣の時代に戻る」のか、の分かれ目のような気がします。
パノラマとラボラトリーは、昇華したJ-POPとして世界に伍するようなバンドを目指していきたいと思います。
5.今後の展望
ボーカルが新しくなりパワーアップしたばかりなので、日本での地盤を今年一年で作り上げたいと思います。
その最中も海外のチャンス・挑戦にも挑み、世界への流れも作っていきたいです。
世界のフェスにも出ているパノラマとラボラトリーが、武道館を満員にすることが目標です。
HP
https://www.instagram.com/pano_lab/
Youtube
https://www.youtube.com/@pano.laboratory
*最新アルバム
透過性ニュートラル
レコード番号:MZK-0007
発売元:ブリッジ
レーベル:MUZIKO
販売店:TOWER RECORDS・HMV等全国CDショップ他、アマゾンなどで5月31日発売
配信先:iTunes Store、Apple Music、Spotifyなど各種で配信
*ライブ情報
5月31日より西日本レコ発ツアー開始!
5月31日京都MOJO
6月4日和歌山CLUB GATEなど
【深掘り機材】
今回はForcusrite のマスタリング系アウトボード Mixmasterを深掘りします。
2001年に発売され、Forcusrite プラチナムシリーズの最上位モデルとして君臨していた名機です。
新品時の価格は¥188,000で、ライバル機はDBX QuantamやT.C.electronic Finalizerシリーズなど。
ビートルズのプロデューサーである、ジョージ・マーティンも使用していたことでも話題となりました。
Mixmasterは一部を除いてアナログな機材なのが特徴であり、音質もフルデジタルの機種と比較すると「アナログらしいまろやかでタイトな音」で、オールマイティーに使えそうです。
特にマルチバンドコンプのかかり具合が特徴的です。
音量50%くらいから入力
↓
少しずつ増やす
↓
LOW MID HIGHいずれかのリダクションが -3dBあたりで泳ぐくらいに設定
↓
各コンプの音域を上下させ、安定している所に決定
↓
一番右側にあるリミッターボタンを押し、トータルリミッターで音量のピークを整える
↓
EQをいじる
以上のやり方が一番の近道になりそうです。
前面パネルの右側にあるステレオイメージコントローラーはM.S処理用なので、左右には相当広がりますが位相があまり揃わず、おすすめしません。
ADコンバーターは中域~高域がややブライトな感じなので、低音をコントロールするときはEQとセットで追い込むのがベターでしょう。
また、信頼できるワードクロックジェネレーターからワードクロックを送ると、嫌みのない程度にシャキッとします。
最新型のマスタリング系プラグインを駆使しても、Mixmasterの領域にはまだまだ到達できないのでは、と感じてしまいます。
<代表的な接続例>
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
Deux_Dalpia「Mystical ~ひめとほりー~」
国内屈指のハンマーダルシマー奏者 田辺紀子氏と、ピアニスト三田﨑麻由氏によるユニットDeux_Dalpia(ドゥ・ダルピア)のミニアルバム。ピアノの祖先といわれるペルシャ起源のエキゾチックな弦打楽器ハンマーダルシマーの音色は、エアリーでブライトな存在感に満ち、心地よいひとときが楽しめる。
YAPOOL 「レイトショー」
従来のR&R・初期パンク・ガレージサウンドを、ワイルドかつ緻密に改定したロックバンドのシングル。単なる60~70年代リバイバルに終始せず、現在進行形の旬ネタを手際よく取り込む点に非常に好感が持てる。
安達勇人 「CREWS」
声優・俳優としても活躍するアーティスト安達勇人氏の最新アルバム。色とりどりのポップチューンが炸裂している意欲作。当スタジオでは「黎明DANCE」「サヨナラだけじゃ味気ない」のREC、MIXを担当。
PSYCHO FREAK 「OVER KILL」
90’sオールドメロコア、2000年代パワーポップ、そして最新型パンクロックをほんの少し取り入れたマキシシングル。リアルタイム世代よりツボを心得ていそうな楽曲揃いで、ライブパフォーマンスも圧巻である。
パノラマとラボラトリー「透過性ニュートラル」
世界最大級インディーバンドコンテスト「エマージェンザ」の日本大会で優勝、ドイツの大型フェス「taubertal FESTIVAL」でのエマージェンザ決勝大会に出場した、パノラマとラボラトリーのミニアルバム。インテリジェンスな近未来感が堪能できる、珠玉の一枚。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 100回
RUpert Neve Designs、MANLAY、Universal Audioといったハイエンドな音響機材を取り扱う輸入商社 Hook Upのホームページに、当スタジオ代表 樫村治延のインタビューが掲載されています。
https://hookup.co.jp/blog/1044814
海外の業務用映像機器、音響機器の輸入販売を取り扱う(株)オタリテックのホームページの「導入事例」に、チャプターハウスを取り上げていただきました。
https://otaritec.co.jp/installreport/pmc-sch/
2015年1月からスタートした当コラムも、おかげさまで100回を迎えることが出来ました。
今回は当スタジオに所縁の深い皆様より頂戴したお祝いコメントを掲載します。
アーティスト名(五十音順・敬称略)、写真、コメントの順に掲載
何事も続けることの大変さが身に染みる日々の中で、100という数字の重みを感じずにはいられません!
100回!本当におめでとうございます!
Andare / 国吉亜耶子
チャプターハウスでは、今まで4枚のアルバムを作りました。
あーでもない、こーでもない、と話し合いながら、ずっと音楽に浸れる素晴らしい時間でした。
また、録音しに行きます。
100回、本当におめでとうございます。
Andare / 西川真吾
レコーディングにて10年以上お世話になってます。
スタジオチャプターハウスでは、いい環境機材で気持ち良くRECさせてもらえるだけでなく、樫村さんの録音編曲の細かい指摘、豆知識はいつも芯を突いています。
いつも勉強になっていて、おかげでバンドの楽曲クオリティ作曲スキルが上がっている事は、言うまでもありません。
これからも日本の音楽界に鋭く切り込み、ハイセンスな風を吹かせる尖った存在でいてください。
連載100回目おめでとうございます。
The echo dek / Gt.Vo.野呂
バンドや個人案件の楽曲制作の度にレコーディングでお世話になっているのですが、毎度自分のイメージ通りの音をしっかりとキャプチャーして下さるので、絶対的に信頼をしております!
レコーディングはとにかく音に立体感があり、リッチなサウンドに仕立てて下さいます!
是非、ご検討の方はとても素敵な音の体験が出来ますので、レコーディングに行ってみてください!!
これからのスタジオの繫栄を心より願っております!!!
また近いうちに伺いますね・・・!笑
カカシカシカカ / 千田恭平
セルフRECはプロRECを超えられるか?連載100回おめでとうございます!
毎回楽しみに読ませて頂いています!
日立が、茨城が、日本が世界に誇るRecordingStudio CHAPTER H[aus]!
リハ後やレコーディングでの樫村さんとのやり取りは、音楽を創る歓びと深みを再発見出来る大切な時間です!
近々、レコーディングに入りたいと思ってますので宜しくお願いします。
CANDELASTAR / 竹内正樹
この度は連載100回おめでとうございます!
世界4大音楽の発信都市であるNY、ロンドン、パリ、ベルリン「+1」として、"日本のブルックリン"こと日立市を並べても違和感が無い程に、スタジオチャプターハウスで創られる音には、文字通り唯一無二のクオリティが強く感じられます。
そのスタジオチャプターハウスのオーナー兼エンジニア樫村さんによる本コラムを、まだあまり読んだ事の無いバンドマン・トラックメーカーの方々は、この機会に是非とも第1回からパラパラと目を通してみてください。
他のwebや雑誌のコラムにはありそうで無い、研究者・樫村さんならではの音処理や機材の選定基準等を学べるかと思います。
実際、自分が制作やライヴで長年愛用しているYAMAHAのMTR【AWシリーズ】に出会ったのも、樫村さんからのお勧めでしたから。
今後も尖り続ける東洋のゴッドファーザーのご活躍に期待するばかりで御座います。
Cuicks / ノハラユーキ(vox,guitar,computer)
連載100回おめでとうございます。
いつも僕らみたいなニッチジャンル(シューゲイズ)のことまで取り上げていただき、嬉しい限りです。
永遠に続けてください、僕もフィードバックノイズが途切れるまでお付き合いします。
cruyff in the bedroom / ハタユウスケ
JUNGLE☆LIFE連載100回おめでとうございます!
こんなにたくさん連載を続ける事ができるのは樫村さんの知識と感性によるものだと思います。
続ける事は人知れず苦労もあるかと思いますが、きっと樫村さんの記事を見て、音楽ライフに影響を及ぼしてる方は少なくないのではないでしょうか。
そして樫村さんのマスタリングは、音に明確なビジョンが見えるんですね!
日々音に対する探究心が尽きないんでしょうね。
そんな機材全般に拘り抜く姿勢があの音を作り上げるのでしょうか。
これからも、樫村さんの内心が垣間見れるような素敵な記事を期待しています!
黒沢和貴
連載100回おめでとうございます!
いつも楽しく拝読させて頂いてます、8年半続くってすごい事ですよね。目指せ200回!
S.H.Eも取り上げて頂いたり本当にお世話になっております!
樫村さんに録っていただきたい楽曲もこのコロナ禍で溜めてますので、またレコーディングに行きます!
S.H.E[Struggle-Head,Emergence] / Gt.Ryosuke
連載100回おめでとうございます!
レコーディングだけではなく、ライブハウスや機材、ミックスのノウハウ等、音楽における幅広く深い知識や情報をいつも分けていただき、本当にありがとうございます。
お話しを伺える時間が楽しすぎて、気づけば東京から月一でお邪魔しちゃっています(笑)
今月も来年もその先も、連載もお話しも引き続き楽しみにしています!
例えばあなたと私の関係について / Noya
祝連載100回目!
樫村さんには20歳頃から長らくお世話になっており、教えていただいた音楽はあたしの血となり肉となり、いまのCHiLi GiRL(川嶋志乃舞ポッププロジェクト)があるといっても過言ではありません。
父親世代ながらもどちらかといえば、大先輩であり友人であり研究仲間ですね。
三味線のRecに使うマイクなども試行錯誤しながら、行くたび行くたび、マイクやケーブルやスピーカーが進化をし続ける凄まじき城こそCHAPTER H[aus]です。
その片鱗や一部を紹介し続けてこられたこの連載コーナーも、ぜひ今からでもバックナンバーを読み返してみるべき!
そして最近、作詞と歌唱で参加させていただいた樫村さんの音楽プロジェクト「Electric Foundation」から "NeoSavia" ですが、そんな樫村城で英才教育を受けたあたしのアイデアもたくさん含まれた、斬新な一曲となりました。
Let's Make 桃源郷
That's NeoSavia...
まずラジオ等で先行公開されてゆきますので、皆さんぜひお楽しみにしていてくださいね。
樫村さん、これからも止まらぬ進化プロセスを連載し続けてください! おめでとうございます。
CHiLi GiRL / 川嶋志乃舞
この度は、JUNGLE☆LIFE『エンジニア樫村治延のセルフRECはプロRECを超えられるか?』100回連載、誠におめでとうございます。
私が所属している『とりいそぎ』というバンドのレコーディングで、樫村さんと知り合い早6年ほど経ちました。
樫村さんは、録音、ミックスをするだけではなく、そこに辿り着くまでの宅録環境などの知識を教えてくれる、他に類を見ないエンジニアです。
この連載では機材や接続方法まで詳しく説明してあり、未だに分からないことがあると辞書のように使わせていただいています(笑)
とてもありがたいのが、新品の高い機材を紹介するだけで無く、現在は廃版となっている機材なども掲載してくださるので、ネットや店頭で探す楽しさもあります。
今後も樫村さん目線の記事を楽しみにしております。
とりいそぎ / 木田裕耶
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか?連載100回おめでとうございます。
レコーディングエンジニア目線の機材紹介というのは中々身近にはないので、連載記事をいつも楽しみに拝見しております。
レコーディングの度に新しい機材を教えてくれるのも楽しみの1つです。
これからも連載を楽しみにしています。
NEREUS JAPAN 代表 / 大内智博
この度は連載100回、おめでとうございます。
私達も樫村さんの運営するチャプターハウスにお世話になってすでに3年経ちました。
毎年1枚ずつ、3枚のアルバムを製作させていただきました。いつも本当にありがとうございます。
チャプターハウスでのレコーディングは、限られた時間でも、どんな要望にも対応してくれるので本当に有り難く思っております。
私達の活動の要になっております。
どんな活動においても継続が一番大変ですが、連載も150回、200回と続けられるように期待しております。
私達も負けずに、これからも1年に1枚のペースでアルバム製作を継続していくつもりですので、引き続きよろしくお願いします。
この度は本当におめでとうございました。
日々かりめろ / きくP
連載100回、おめでとうございます。
チャプターハウスさんでアルバムを製作するようになって、「音」に対するアルバムの反響が全く変わりました。
地元に海外にも負けないスタジオがあって、そこでアルバムの製作が出来る私達は本当に幸せです。
どこに行っても「音が良い」と言っていただけるので、私達も誇らしく思っています。
これからもいろいろ細かい要望や、短時間での作業など、無理なことを沢山お願いするかと思いますが、末永くお付き合いいただけるようよろしくお願いします。
連載も引き続き頑張って下さい。
日々かりめろ / こずえ
14. 美元智衣
JUNGLE☆LIFE連載100回おめでとうございます!!
樫村さんにマスタリングをしていただく度に、音、機材への拘り、知識、愛を感じてなりません。
その姿勢に刺激を受け、私自身の音楽への在り方や今後の音楽スタイルについても改めて考えるきっかけになったり、背中を押してもらっています。
曲に光を与え、新しい扉を開いてくれる樫村さんのマスタリングはSpecialです。
人柄もまた温かくSpecialな存在です。
いつも素敵なマスタリングをありがとうございます。
これからも、JUNGLE☆LIFEをご覧になる皆様にも沢山の光を届け続けてくださいね。
美元智衣
この度は、「樫村 治延のセルフRECはプロRECを超えられるか?」
連載100回記念、おめでとうございます!
私が1stアルバムを制作した2010年よりお世話になっており、自分が今「エンジニア」として活動できているのも、ひとえに樫村さんのおかげだと思っております。
何年経ってもスタイルを貫き通す姿に、刺激を受ける方は多いはず。
樫村さんの今後の発展と、本連載の繁栄を心より祈念いたしております。
最後に、私も光栄なことに第97回で取り上げて頂きました。是非ご覧ください!
YU-DAI
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 99回
<特集アーティスト>
「生きること、歌うことを続けて、自分の歌がどうなるのかを知りたい」髙岩 大輝
*プロフィール
髙岩 大輝(たかいわ ひろき)
1992年生まれ 栃木県小山市出身。
大学を機に引っ越した福島県郡山市で、2014年に弾き語りで音楽活動を開始。
その後、地元栃木県のメンバーと共に、アコースティックバンド silaph(しらふ)を結成。
弾き語りの活動と並行し、栃木や福島を中心にライブハウスやカフェ、路上などで演奏を行う。
2017年には、RADIO BERRYが主催するROCK BERRY AUDITION2017にバンドで出場し、グランプリを受賞。
その後も音源リリース、企画ワンマンライブなど活動を続け、2020年バンド解散後現在も弾き語りで活動中。
2023年2月には最新音源「台風前夜ep」をリリース。
・音楽を始めたきっかけ
高校時代に、地元の友達に誘われて始めたコピーバンドがきっかけです。
その友達を通じて知り合った地元の先輩からCDを貸してもらい、色々なジャンルの音楽を聴くようになり、作詞作曲をするようになりました。
・好きなアーティスト
ゆらゆら帝国、serph、スピッツなどなど。
・これまでの音楽活動の中で、一番印象深い出来事
…たくさんあります。笑
・これから世界の音楽シーンはどうなっていくと思いますか
自分自身あまり時代についていけていないのですが、今以上にデジタル配信、サブスク配信が主流になっていくんじゃないかと思います。
・今後の展望
弾き語りの活動を続けつつ、バンドやデュオ編成での演奏など、やってみたいことがいろいろあるので、少しずつ実現していけたらと考えています。
年明けには数年ぶりに音源を作ることができ、今はいろいろな場所に歌を歌いに行きたい気持ちがあります。
https://www.facebook.com/hiroki.takaiwa.1
・髙岩大輝YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@modokiox
・2023.2.17 release「台風前夜ep」
1.台風前夜/2.バイバイサマー/3.探検隊
3曲入り800円
ライブ会場で販売中
(sns、メール等からの購入も可能です)
・出演依頼やCD購入などお問い合わせはこちらまで
【今月のMV】
wrongvacation 「Change」
https://www.youtube.com/watch?v=WZfgBoAXhbU
単なる60’s、70’sリバイバルとは一線を画する、2020年代オールドスクール系ソウルミュージックの傑作。映像もOne&Only感がみなぎっており素晴らしい。
【今月のちょいレア】
Acoustic Revive GB-TripleC-FM
現存する楽器用シールドの中で、最もワイドレンジでスーパーフラットと言える、常識を覆す逸品である。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
The BLuE 「DECISION」
80年代から2000年代初頭のアメリカンロックが根幹にあり、その上にUKロック、Jロック的エッセンスがバランスよく降りかかっているミニアルバム。ソフトなハイトーンヴォーカルと、楽器群の相性の良さに着目してほしい。
my ass 「grunge böy」
グランジ、オルタナ、ハードロックのいいとこどりバンドmy assのフルアルバム。原型むきだし、小細工なし、色付けなしの潔さに好感が持てる。
美元智衣「Miracle」
長年の大手レーベル所属の経験値を生かした、2020年代ネオJ-POPと呼べそうな作品。独立後4枚目にあたる本作は、現時点での最高レベルと言って間違いないだろう。当スタジオではマスタリングを担当。
カカシカシカカ「サバンナ」
曲名からも想像できる、アフリカンビートがぐいぐい引っ張るダンス系サウンド。壮大なメロディーラインと、少しエスニックな音色、歌詞の絡み具合が好印象。当スタジオではレコーディングを担当。
髙岩大輝「台風前夜ep」
フォークとロックの中間に位置する、個性的な弾き語りサウンド。普遍的な内容の中、じわじわ浸透する彼の声音とギターリフが特徴的だ。聴き手を選ばない魅力がいたるところに存在している。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 98回
今回取り上げるのは、イギリスのスタジオ用スピーカーの超ハイエンドブランド「PMC」です。
元々は1991年にイギリス国営放送BBCから派生したブランドであり、BBCを始めイギリス最大手のレコーディングスタジオ「メトロポリタンスタジオ」にも導入されるなど、輝かしい実績を誇ります。
実績、実力ともに段違いで、他高級ブランドの追従を許さないPMCが、30年以上の歴史の中で初めてブランド名を冠したニューモデル「PMC6」をリリースしました。
私が今までいろいろな高級スピーカーを聴いてきた中で、一番リアルでワイドレンジ、スーパーフラットだと確信したスピーカーです。
それなりのランクのスピーカースタンド、インシュレーター、スピーカーケーブル、そして電源ケーブルで周辺を固めると、スウィートスポットが広くなり、10畳以上の部屋であれば、リスニングポジションをいろいろ変えても印象が変わりません。
その他にもデジタル入力があるだけでなく、縦置き/横置きの自動DSP補正機能、マルチチャンネル/イマーシブシステムでの吊り下げが可能なシーリングマウントヨークなど、魅力的な特徴を数々兼ね備えています。
好みの問題はあれど、将来本職でやっていきたいと思う方にはうってつけのスピーカーだと思います。
【大学生バンドのセルフREC】
95回で少し触れたマスタリングについて、いよいよ具体化していきます。
この20年で、プラグインを中心にアウトボードなども、マスタリング専用ツールが発展、進化してきました。
ただ、パソコンにデータを出し入れしただけで音質が変型するのは相変わらずで、変形を防ぐためにも出来れば信頼できるハードウエアで作業したいところです。
また、マスタリングの全工程については「真にフラット、かつワイドレンジ」なスピーカーで作業するのが本来の在り方です。ヘッドフォンだけでは限界があります。
下に示したのは、一つの理想形です。
この図を見ると、一般的なミュージシャンからするとかなり圧倒されてしまうのではと思います。
ただし(95回でも取り上げているように)マスタリングという行為は、昔も今も相当な職人技が要求されるので、これがいわゆる出発点であると考えています。
【今月のMV】Porcho 「Something Strange」
https://www.youtube.com/watch?v=WPG4BRVALWw
全世代のブラックミュージック、90年代のミクスチャー、2000年代のオルタナティブロックがセンシティブに融合した、2020年代における真のフューチャーロック決定版。
【今月のちょいレア】Audix CX112B
隠れた名品CX111の後継モデル。自然に半歩前になる音像の在り方が、他にありそうでない個性派マイクだ。下手なEQやコンプは不要かも。(生産完了品)
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
THE Rick'n'roller 「Your dreams make me happy」
80年代青春パンクやR&Rがベースにありそうな、宮城在住ロックバンドのミニアルバム。ボーカルの倍音が豊かな声質が、一聴して脳裏に焼き付く。楽曲のバリエーションの豊かさも魅力の一つ。当スタジオではマスタリングを担当。
TRIPLETOPS「The Sounds」
茨城出身のガールズ・ユニットTRIPLETOPSの、約5年半にわたる活動の総集編となるフルアルバム。ブリットポップ、フューチャーEDM、ネオエレクトロニカ、ポストシューゲイザーといったオリジナリティーあふれる楽曲が満載の一枚。
ZERo「Beat Boutique」
ネオR&Bの定番を少し外した、大人のポップチューン。従来のZERo氏の楽曲とは一線を画する、新機軸となりそうな一曲。当スタジオでは楽曲提供、レコーディング全般を担当。
of Tropioque 「Buster Goes West」
ニューオーリンズ系バレルハウスサウンドが根幹にある、ルーツミュージックバンドのアナログ盤。年齢年代を問わず、USAエッセンスを楽しむことができる。今作は米国ワシントンD.C.にあるインディーレーベルElectric Cowbell Records からのリリース。
とりいそぎ「彼方の海にあなたを見たわ」
従来のポップスサウンドに、大胆なオーケストレーションをミックスアップさせた超意欲作。メンバー全員が音大出身というキャリアを、今までの彼らのどの楽曲よりもよく感じ取ることができる。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 97回
<特集アーティスト>
「ハイブリッド」なスタイルを強みに突き進むYU-DAIの音楽観
YU-DAI
Human Beat Boxer・MCとしてキャリアを重ね、これまで4枚のアルバム、2枚のEP、12インチシングルをリリース。
昨今はトラックメイカー・エンジニアとしても頭角を表し、年間400曲以上の楽曲提供・スタジオセッションをこなす。
特にヴォーカル、ラップ、ヒューマンビートボックス、外画吹替、ナレーション、家電音声等、声に関するレコーディング・整音技術には定評がある。
「作る」「歌う」「整える」全てを一貫して自ら行うからこそ生まれる感情的でも計算されたサウンドメイクは、類い稀なスタイルを確立している。
1. 音楽活動を始めたきっかけ
両親の影響もあり、幼少期から音楽が好きで沢山の音楽を聴いていましたが、The RootsのRahzelやAFRAさん、The Gospellersの酒井雄二さんの影響もあり12歳の時にヒューマンビートボックスを本格的に始め、
同時にMTRやMICも買い始めたので、アーティストとしてもエンジニアとしてもその時点から音楽活動にのめりこむようになっていきました。
2. 国内外の音楽シーンは、今後どうなっていくと思いますか
日本の音楽シーンに限定すれば、今までにあったムーブメントがアップデートされながら繰り返していくと思います。
具体例で言えば、80年代には沢山のアイドルが誕生。
90年代になるとR&Bやパワーポップス等音楽自体が進化した楽曲が流行り、2000年代もまた沢山のアイドルが生まれ、2010年前後はケロケロボイスにEDM、ポップスもコードがより複雑になり音楽自体が変化していきました。
今後も「アイドル時代」→「音楽自体の革命時代」という流れを音響技術の進化と共に10年周期で繰り返すと思います。
今までと大きく異なる点があるとすれば、影響を受ける「国」ではないでしょうか。
今までは曲調もサウンド面もUS(特に西海岸)やUKで起きているムーブメントを輸入してきたように見受けられますが、これからは韓国をはじめ、アジア圏の音楽からも影響を受けていきそうですね。
また、競争も激化すると思います。
昔はアーティストが作品を発信する方法は、レコード会社を介して作品をリリースするか、個人で何枚もカセットテープやCD-Rをコピーして手売りするかしかありませんでしたが、今は誰もが全世界に配信各社からいつでも手軽にリリースすることができるようになりました。
しかも買うだけでなく、"サブスクリプション"とか"リース"とかそんな方法でも。
いわゆる”有名"と言われている人達以外にも、国内外問わず優れた才能を持ち、最高峰の音楽を演奏・制作するアーティストは沢山いるはずなので、個人の才能を自由に発信できる昨今は、世界中のアーティストにとってチャンスであり、新たなジャンルや、未体験の感動的な音楽がどんどん生まれる可能性を秘めた音楽シーンになっていくと思います。
ただ、その分間口が広がった事で絶対数が増え、競争率は激化しますので、注目される存在になる為には、
より秀でたアプローチや技術がアーティスト本人だけでなく、プロデューサーやエンジニア等の製作チームにも求められていくのではないでしょうか。
3. 今後の展望
"ハイブリッドな音楽家”になる事です。
昔は1曲を作る毎に、作曲家、作詞家、アレンジャー、エンジニアもレコーディングエンジニア、ミキサー、マスタリングエンジニア、と沢山の人が関わる必要があり、制作に際しかなりの人件費やスケジューリングが必要でした。
でも昨今、制作予算が10年前、20年前に比べ大幅に減少している為、様々な技術を身につけているマルチプレイヤーが勝ち上がると思います。
例えば、REC, MIX, MASTER, 3人のエンジニアに5万円ずつ払うのであれば、8万円で全行程をFIXしてくれるエンジニアが1人いればクライアントの予算とエンジニア側の売上はWIN WINですし、スケジューリングも円滑になり、データの移動が不要な為、時間的なロスや送信時のヒューマンエラーも防げます。
また、機材の進化により作家自身がある程度のレベルまで家で仕上げることができるので、「この曲はMIXからお願い」とか、「この曲はマスタリングだけ」のように、あらゆる角度からの注文に対しマルチに対応できれば、クライアントから間違いなく重宝されます。
僕の例はレコーディングからマスタリングまで全てを行うことができますし、トラックメイクもしますし、スクラッチもコーラスも依頼があれば対応します。
このような話をすると必ず抱かれる懸念が「一つ一つのクオリティは大丈夫?」というお話ですが、それはもう努力するしかないですよね(笑)。僕も自信はあります。
また、僕は音楽制作に「Logic」は必要だけど「How to」は不要だと思ってます。
コード理論や音声に対する数学的な理論はしっかりおさえつつも、理屈にとらわれず直感や衝動、芸術観を大切に音楽と向き合っていきたいので、そういった考え方の面でも「エンジニア的思考」と「アーティスト的思考」を持つ、”ハイブリッドな音楽家”でいたいです。
T.H.P Official Web:http://thp.main.jp
Instagram:https://www.instagram.com/yudaibeat/
Twitter:https://twitter.com/YUDAI_Beatbox
MV : https://youtu.be/MhtrQNrD7FY
【最新作】
2022.12.28 発売
Not A Hustler
発売元:ULTRA-VYBE, INC.
レーベル:T.H.P
配信:iTunes, AppleMusic, Spotify, LINE MUSIC, AWA, レコチョク etc...配信各社より絶賛発売中
【今月のMV】307.(temporary named)「You Are Not Mine」
https://www.youtube.com/watch?v=3jmJdOtcQqY
“THE 1975 meets Autotune”といったキーワードがピッタリな、International感覚あふれるMV。
もろ洋楽チックな楽曲と、映像とのマッチングが素晴らしい。
【今月のちょいレア】TASCAM TM-180
プロ音響ブランドTASCAMが放つコンデンサーマイクの雄。
上位機種TM-280よりダイナミックマイク寄りで、「ガッツのあるコンデンサーマイク」とでも言うべきだろうか。現在は生産終了だが、状態の良い中古なら1万円ちょいで手に入ることも。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
Cusper「The View From Above」
Red House Painter のようなスローコア、サッドコアを軸に、オルタナティブロックまで幅広く表現された精神性の深いアルバム。帰国子女であるVo.Hamamoto氏の英詞と声音の絡みが絶妙。
307.(temporary named)「Prologue」
メロコア、オルタナ、パワーポップ、ギターポップなどがバランスよく組み込まれたミニアルバム。Blink182やTHE 1975あたりが好きな人に特に聴いてほしい。
Porco「HONEY MUSTARD HOT DOG」
ネオファンク、フューチャーオルタナといった2020年代洋楽サウンドを独自の世界観で表現するバンドのフルアルバム。国内外問わず、カルチャームーブメントが波及する可能性大。特にUS好きにおすすめしたい。
YU-DAI 「Not A Hustler」
NYに渡米経験のあるYU-DAI氏のシングル。Hip Hop、トラップ、R&Bをベースに、多岐にわたるクラブミュージックの神髄を追求、表現するのみならず、常にOne & Only的存在を目指す姿勢に好感が持てる。
A’ monster「真理」
80~90年代国内ポップロックの系譜を推進しているシングル。以前のバンド形態からの流れも汲みつつ、現在進行形のサウンドが体感できる。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 96回
今回ご紹介するのは、究極の自宅プライベートスタジオです。
私の知人で、北関東にお住まいN氏のご自宅プライベートスタジオの写真をお借りしました。
お仕事のかたわらアマチュアでライブ活動、音楽制作を楽しまれています。
本業顔負けのプロフェッショナル感覚をお持ちのN氏、常に音楽機材のブラッシュアップに心を砕いており
その審美眼にはいつも感心させられます。
まさにこれが「至高のセルフRECスタジオ」と言えるのではないか、と思います。
【今月のMV】ひっとみぃ「暗森な夜」
https://www.youtube.com/watch?v=vGANm2Br4hU
オリエンタルな雰囲気の導入部に「エスニック・パッチワークポップ」と命名したくなる、
オリジナリティー全開の意欲作。
シタール風のフレーズとパラドクス的な映像とのコントラストが好印象。
【今月のちょいレア】AUDIO FLY AF240
低音が少々あっさりしているが、プレーンという印象がぴったりのヘッドホン。
エイジング前と後では、音の変化率がありえないくらい大きいのが特徴。
ケーブルにマイクが装着されている点に着目したい。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
PEI「深海 20Hz」
福島を代表するギターロックバンドになりつつある、PEIのシングル。
前作より演奏力、作編曲力、音作り、ライブパフォーマンスなどマルチで向上している。
今後も活躍に期待したい。
小室壱成「city」
80’sリバイバルなシティーポップと、リアルタイムAORが首尾よくドッキングした、洗練されたポップミュージック。渋谷系が好きな人にもおすすめしたい。当スタジオではマスタリングを担当。
ハルノアリカ「ヘルスフードサック」
定番ギターロックを、彼らなりのアレンジで少しずつ個性を出している作品。
卓越した演奏力の中に、遊び心あるフレージングが楽しめる。当スタジオではドラムレコーディングを担当。
THE+BETH「バイキルト」
ポップパンク、パワーポップを軸としたガールズグループの新作。
前作より、楽曲と歌の質感がより一体化している。当スタジオではマスタリングを担当。
TOY「Too Proud」
従来のややメロウなトラップ要素を包括したHipHopチューン。
ほんの少し匂いだす「いかつい感じ」が、トラック全体にさりげなくスパイスを与えている。
CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 95回
今回ご紹介する電源ケーブルはACROLINK 6N-P4030 です。
見た目は前々回でご紹介したOKTSU DENKO AIR3シリーズのDestinyに似ていますが、音の傾向はかなり異なります。
Destinyは「タイトでコンプ感が強い」印象、対してこの6N-P4030は「ナチュラルかつワイドレンジ」で、オールマイティーに使えそうです。
中古品であれば、1万円台後半くらいで見かけることもあります。
最初の1本として購入する電源ケーブルとしてはもちろん、2本3本目にもおすすめです。
【大学生バンドのセルフREC】
ミックス作業は全曲終わっていないが、試しに1曲のみマスタリング作業をしてみることに。
マスタリングを自分たちだけで出来るか、もしくは業者に発注した方が良いかを見極めるためだ。
ミックスとマスタリングの違いを、ごく簡単に説明してみると
*料理の味付けをする→ミックス
*出来上がった料理を皿に盛り付け、見栄え良く仕上げる→マスタリング
といったところだろうか。
マスタリングという工程は、時代と共に解釈が変化してきている。
しかし、音楽制作全工程の中で「一番の職人技が要求される」という事実は、変わらないと思う。
ここ20余年で、高性能プラグインやアウトボードが数多くリリースされ、マスタリングに対しての敷居が低くなった雰囲気がある。
だが、あくまでも「便利になった」だけ、という点も否定は出来ないのではないか。
なぜなら、マスタリングに一番重要なツールは「フルレンジ、大音量で鳴らしてもフラットなジャッジが出来る、優秀なモニタースピーカー」「それらをサポートするハイエンドな電源周り」そして「鍛錬された耳」だからだ。
以前から何度となく触れている話題であるが「PC、DAW、オーディオインターフェースだけ」の内部MIX、マスタリングでのバウンスなどは、クオリティーがキープしにくい。
この連載では、PCベースではない「優秀なアウトボードやマスターレコーダー」を使用したマスタリング、その他工程の説明に、今後も特化していきたい。
【今月のMV】woe be gone「Teasin’」
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&Tv=Y_AATXMqjh0
流行りのシティーポップやギターロックとは一味違う、現在進行形アブストラクトミュージックと呼べそうな作品。良い意味でルーツがわかりにくく、玄人受けしそうな一曲。
【今月のちょいレア】Better maker MASTERING LIMITER
フルデジタルのアウトボードに見えるが、実はアナログのマスタリング用リミッター。
PCからの設定などはデジタルで行えるが、音声信号はフルアナログ。
このアウトボードに通すだけで、リッチな奥行き感が簡単に演出できる優れものだ。
数々の最新型プラグインを用意し、複数のマスターフェーダーに多段がけしたとしても、この機器の領域にはたどり着けないであろう。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
STAY FOR WELL 「SHE’S LEAVING HOME」
パワーポップ、メロコアを軸に、様々な要素が自然に組み込まれている作品。
90年代のオールドスクールから2020年代最新洋楽のエッセンスまで、随所から感じることができる。
プルスタンス「夢追いフール」
叙情的ギターロック、というキーワードがドンピシャで当てはまるバンドのシングル。
豊かな倍音成分が含まれるリッチな声質と、バックのサウンドの相性が心地よい。今後の活躍に期待大。
YAPOOL 「BOY」
R&R、パンク、ガレージロック、そして近年のUKロックサウンドを、独自の解釈で組み上げるYAPOOLの新作。前作の延長線上にありながらも、今作にも彼らの細かいこだわりが施されている。
woe be gone 「OOPS!」
宮城在住オルタナティブシティーポップバンドのEP。今作ではシティーポップ路線だけでなく、オルタナ・アブストラクト系の英語詞の楽曲、邦ロック的日本語詞の楽曲がバランスよく混在している。当スタジオではマスタリングを担当。
COLLAPSE 「BLACK SHEEP IS STILL DREAMING」(US盤)
国内を代表するシューゲイザーバンドCOLLAPSEのUS盤がドロップ。アメリカのみの通販限定リリースではあるが、今作で欧米圏にも少しずつ浸透していく予感がある。当スタジオではMixとマスタリングを担当。