今回ご紹介するのは、コンプ、EQなどで定評のあるメーカー、dbx社の『DDP』です。
DDP=Digital Dynamics Processorは90年代後半にリリースされた、隠れた名アウトボードです。
機能はステレオコンプ、リミッター、ゲート、パラメトリックEQ、ディエッサー、AD/DAコンバーター。
特に素晴らしいのがAD/DAコンバーターです。
数字的なスペックは高くはないのですが、質実剛健でファットな質感は、現行の上位機種と比較しても引けを取りません。
またコンプのバリエーション、クオリティーも高評価を得ており、伝統的コンプのdbx160、162、165、そして
シルバーシリーズ566的なプリセット群に加え、Urei、Neve、SSL系まで力強くエミュレーションされています。
もちろんDDPのオリジナルコンプのバリエーションも非常に実践向きで、使いやすい物となっています。
ちなみに余談ですが、CDプレス用データの『DDP』も同じ表記ではありますが、こちらはDisk Discription Protocolの略で全くの別物です。
【Sight Seeing】
注目度の高い音楽スタジオをご紹介します。
TSUKIHANA SOUDS STUDIO
栃木県足利市に所在
設計・施工はアコースティックエンジニアリング
システムプランニング・機材コーディネートはコグレ楽器
33畳のメインブース。
大谷石や絹ガラス、障子、聚楽壁などを取り入れ「和」を貴重とした作りになっている。
レコーディング環境にも徹底的にこだわった。
ブースは他に4.2畳のピアノブース、そして3畳ほどのボーカルブースを有している。
コントロールルームは15畳
メインのミキサーは「SOLID STATE LOGIC ORIGIN32」
オーナーである栗原氏が一目惚れして導入
TSUKIHANA SOUNDS STUDIOを作るきっかけとなったとも言える。
スピーカーはGENELEC 1238A SAMとPMC PMC6-2の2種を設置
正面の壁にもメインブースと同じく大谷石を使用。
こちらは、細かく切り出したものを組み合わせている。
また、コントロールルームの後方には「縁側」をイメージしたベンチがあり、レコーディングやミックスの際にアーティストやスタッフはこちらで立ち会うことができる。
これだけの規模のスタジオだが、マシンルームは敢えて設けず。
近年、レコーディングに使用するコンピュータはエンジニアやクリエイターが持ち込むことが多く、スタジオにはコンピュータを常設していない。
スタジオエントランスから和を感じる作りに。
そしてオーナーの遊び心が施されている。
天井から吊るされている大小の金魚ちょうちんは、山口県から取り寄せた「柳井金魚ちょうちん」
細部にわたり、オーナーの栗原氏のこだわりが詰まったTSUKIHANA SOUNDS STUDIO
今のところ一般への貸出しは行ってない。
【今月のMV】
Engrave 「Cancerous Country」
https://www.youtube.com/watch?v=ubGC1GPvTX8
プロデューサーにPennywiseやYellow Cardなどを手がけるアメリカの敏腕エンジニアDarian Rundallを迎えた、19年ぶりの新曲。当スタジオはレコーディング全般を担当。MVには、クエンティン・タランティーノ監督のハリウッド映画『キル・ビル』で殺陣指導・出演の島口哲郎氏も特別出演している。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
ラジオ川越 第2・4水曜 23:30 ~ 24:00 「Music Translation」放送中
2025年10月分の放送は10月8日(水)22日(水)
出演 樫村治延
番組は「Listen Now(JCBAインターネットサイマルラジオ配信)」でリアルタイム聴取できます
https://www.jcbasimul.com/radiokawagoe
(コミュニティFMなのでRadikoでは聞けません、ご了承ください)
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
TëKMO+「SURFACE TENSION」
結成当初からシティーポップ路線を展開してきたTëKMO+が、満を持してロックにチャレンジ。時代の流れに迎合しすぎず、抗わずといった姿勢に共感する。
lapremière 「Lazy!」
ギターロックを基軸に、パワーポップ、オルタナ、ドリームポップ的要素を個性的に絡めた1st音源。聴きこむほどに細かい仕掛けに気づく。
ENGRAVE
国内パンクバンドの雄 『Engrave』19年ぶりとなるフルアルバム。プロデューサーにDarian Rundallを迎え、楽曲によってはPennywiseのメンバーも参加していることが話題になっている。当スタジオではレコーディング全般を担当。