前々回から取り上げているドイツのプロオーディオブランド「Mind Print」のフラッグシップアウトボード『DTC』。今回は、ステレオチャンネルストリップのEQ部分にフォーカスを当てます。
DTCのワークフローは以下の通りです。
マイクプリ部分はチューブ式ではありますが、オールドニーヴが更に粘っこくなったようなキャラクターで、ロック全般と相性が良さそうです。
EQのワークフローです。
かなり細かい音作りが可能です。
EQは、HiとLowのフィルター以外は結構穏やかで、位相のズレが少ない印象です。
惜しいのは、ツマミがグリッチ式ではなくスルータイプである点と、コンプのスレッショルド以外にステレオLINKを適用出来ない点です。
次回の連載では、コンプリミッター部分に触れたいと思います。
【Sight Seeing】
注目度の高いバンド·アーティストのプライベートスタジオをご紹介します。
サウンドクリエーターの鶴羽敏行です。
商用音楽など様々な音楽制作をしていますが、並行して「TsuruSwing」という名義で、HouseMusicをベースとした楽曲配信やマシンライブ、DJとしての活動もしています。
↑全体
私の自宅スタジオは3畳程度しかない小さなスタジオですが、全ての機材に手が届くのが利点です(笑)
大きな音を出せる環境ではありませんが、楽曲を聴いてくれたプロデューサー、クライアントさんから音を気に入っていただき、楽曲制作以外にもミックス、マスタリングのみ依頼されることもあります。
限られた環境で制作しているDTMerさんの励みになると思います(笑)
アナログシンセなどハードの機材が多めですが、仕事での楽曲制作はプラグインだけで完結することが多く、自分の活動用の機材という感じです。
↑正面
Sequential Prophet Rev2はマスターキーボード兼用として使用しています。
(奥にあり写っていませんが)オーディオIFはRME Fireface UCを、こちらは10年以上使い続けても故障や不具合など一切なく、フラットな音で信頼しています。
音響補正にARC STUDIOを導入しています。
アウトボードなどは使っておらず、UAD-2などを用いたプラグインベースでの作業になります。
モニターはYAMAHA HPH-MT8のみで制作し、ミックス、マスタリング時のみ Genelec 8020D、iLoud Micro Monitorを使用しています。
↑マシンライブ機材
SNSでマシンライブ朝練と題して(笑)週に2~3回、マシンライブの練習風景の投稿をしています。
マシンライブはPCを一切使わず、ハード機材のみで演奏をしていまして、Erektron OctaTrackにシーケンスデータ、同社のAnalog RYTM MK2にビートを仕込み、SP404SXでボーカルやワンショット系のサンプルを、シンセでソロやバッキングを演奏します。
↑マシンライブの模様
↑キーボード
Moog Subsequent 37は、TsuruSwingのほとんどの楽曲のベースで使用しており、特有の太い音は唯一無二と言えるでしょう。
その下のSequential Pro 3も、リードやベースに使用することもあります。
Roland XV-5080 は、25年前に購入したものですが現役で使用しており、90~2000年代の音が欲しい時に使用します。
Roland Jupiter-Xmは、ライブ用として重宝しています。
▫️機材リスト
⚫︎ハードシンセサイザー、リズムマシン、etc
・Sequential Prophet Rev2
・Sequential Pro 3
・Moog Subsequent 37
・Modal Argon8
・Roland Jupiter-Xm
・Roland XV-5080
・Novation Bass Station II
・Roland SP-404SX
・Roland TR-8
・Elektron Octatrack
・Elektron Analog Rytm MkII
・strymon BigSky
⚫︎PC周り、オーディオIF
・RME Fireface UC
・MOTU M2
・UAD-2 satellite
・Zoom LiveTrak L-6
・IK Multimedia ARC Studio
・Mac mini (M2 Pro)
・MacBook Air M4
⚫︎モニター、ヘッドフォン
・Genelec 8020D
・IK Multimedia iLoud Micro Monitor
・YAMAHA HPH-MT8
・Austrian Audio Hi-X65
⚫︎主な使用プラグイン
・UAD-2. Waves. Fabfilter Pro Q3、Softube Tape Sonnox Oxford INFLATOR Izotope Ozone. SMART EQ4
・Kontakt、Serum、DIVA、Nexus、
↑プロフィール
Toshiyuki Tsuruha / TsuruSwing
フリーランスのサウンドクリエーターとしてカラオケ音源、ゲーム、CM音楽、企業用BGMなど様々な音楽制作を経験し。現在も活動中。
TsuruSwing名義ではHouseMusicを軸とした制作活動を中心とし、avex「House Nation」のアルバムなどにも参加、シンガーのAK(柿原明美)やハウスプロデューサーユニットSTUDIO APARTMENTとのコラボレーション曲も多数発表している。
2024年には世界のTopDJにランクインし、メロディックハウスの女王と称されるNora En Pureが率いるスイスのレーベル Purified Recordsから自身の曲「Okutama」をリリースし、日本人では数少ないMelodicHouseのクリエーターとして世界から注目されている。
【今月のMV】
沢村御幸「ペットボトル」
https://www.youtube.com/watch?v=CC2GuRz1RJA
80’s風シティーポップに、CGを駆使したカラフルな映像がフレンドリーに絡む自信作。
当スタジオでは作曲、レコーディング、ミックスマスタリングを担当。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
ラジオ川越 第2・4水曜 23:30 ~ 24:00 「Music Translation」放送中
2025年7月分の放送は7月9日(水)23日(水)
出演 樫村治延
番組は「Listen Now(JCBAインターネットサイマルラジオ配信)」でリアルタイム聴取できます
https://www.jcbasimul.com/radiokawagoe
(コミュニティFMなのでRadikoでは聞けません、ご了承ください)
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
千田 恭平「吹き抜け」
“星野源”系とでも言うべき、肩の力を抜いたサウンド。カジュアルとインテリジェンスが等身大で交差する、2020年代のリアルタイムポップチューン。当スタジオではレコーディングを担当。
カカシカシカカ「はじまる-2-」
シティーポップ、アフリカンビート、ニューフォーク、クロスオーバーといったキーワードが浮かびそうな、各種ジャンルを網羅したミニアルバム。バンドの集大成ともいえる快作。当スタジオではレコーディングを担当。