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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第127回

前々回から取り上げているドイツのプロオーディオブランド「Mind Print」のフラッグシップアウトボード『DTC』。今回は、ステレオチャンネルストリップのEQ部分にフォーカスを当てます。

 

DTCのワークフローは以下の通りです。

マイクプリ部分はチューブ式ではありますが、オールドニーヴが更に粘っこくなったようなキャラクターで、ロック全般と相性が良さそうです。

EQのワークフローです。

かなり細かい音作りが可能です。

EQは、HiとLowのフィルター以外は結構穏やかで、位相のズレが少ない印象です。

惜しいのは、ツマミがグリッチ式ではなくスルータイプである点と、コンプのスレッショルド以外にステレオLINKを適用出来ない点です。

次回の連載では、コンプリミッター部分に触れたいと思います。


Sight Seeing

注目度の高いバンド·アーティストのプライベートスタジオをご紹介します。

サウンドクリエーターの鶴羽敏行です。

商用音楽など様々な音楽制作をしていますが、並行して「TsuruSwing」という名義で、HouseMusicをベースとした楽曲配信やマシンライブ、DJとしての活動もしています。

全体

私の自宅スタジオは3畳程度しかない小さなスタジオですが、全ての機材に手が届くのが利点です(笑)

大きな音を出せる環境ではありませんが、楽曲を聴いてくれたプロデューサー、クライアントさんから音を気に入っていただき、楽曲制作以外にもミックス、マスタリングのみ依頼されることもあります。

限られた環境で制作しているDTMerさんの励みになると思います(笑)

アナログシンセなどハードの機材が多めですが、仕事での楽曲制作はプラグインだけで完結することが多く、自分の活動用の機材という感じです。

 

正面

Sequential Prophet Rev2はマスターキーボード兼用として使用しています。

(奥にあり写っていませんが)オーディオIFはRME Fireface UCを、こちらは10年以上使い続けても故障や不具合など一切なく、フラットな音で信頼しています。

音響補正にARC STUDIOを導入しています。

アウトボードなどは使っておらず、UAD-2などを用いたプラグインベースでの作業になります。

モニターはYAMAHA HPH-MT8のみで制作し、ミックス、マスタリング時のみ Genelec 8020D、iLoud Micro Monitorを使用しています。

 

 

マシンライブ機材

SNSでマシンライブ朝練と題して(笑)週に2~3回、マシンライブの練習風景の投稿をしています。

マシンライブはPCを一切使わず、ハード機材のみで演奏をしていまして、Erektron OctaTrackにシーケンスデータ、同社のAnalog RYTM MK2にビートを仕込み、SP404SXでボーカルやワンショット系のサンプルを、シンセでソロやバッキングを演奏します。

 

マシンライブの模様 

 

キーボード 

Moog Subsequent 37は、TsuruSwingのほとんどの楽曲のベースで使用しており、特有の太い音は唯一無二と言えるでしょう。

その下のSequential Pro 3も、リードやベースに使用することもあります。

Roland XV-5080 は、25年前に購入したものですが現役で使用しており、90~2000年代の音が欲しい時に使用します。

Roland Jupiter-Xmは、ライブ用として重宝しています。

 

▫️機材リスト

⚫︎ハードシンセサイザー、リズムマシン、etc

・Sequential Prophet Rev2

・Sequential Pro 3

・Moog Subsequent 37

・Modal Argon8

・Roland Jupiter-Xm

・Roland XV-5080

・Novation Bass Station II

・Roland SP-404SX

・Roland TR-8

・Elektron Octatrack

・Elektron Analog Rytm MkII

・strymon BigSky

⚫︎PC周り、オーディオIF

・RME Fireface UC 

・MOTU M2

・UAD-2 satellite

・Zoom LiveTrak L-6

・IK Multimedia ARC Studio

・Mac mini (M2 Pro)

・MacBook Air M4

⚫︎モニター、ヘッドフォン

・Genelec 8020D

・IK Multimedia iLoud Micro Monitor

・YAMAHA HPH-MT8

・Austrian Audio Hi-X65

⚫︎主な使用プラグイン

・UAD-2.  Waves. Fabfilter Pro Q3、Softube Tape Sonnox Oxford INFLATOR Izotope Ozone. SMART EQ4

・Kontakt、Serum、DIVA、Nexus、

 

プロフィール

Toshiyuki Tsuruha / TsuruSwing 

フリーランスのサウンドクリエーターとしてカラオケ音源、ゲーム、CM音楽、企業用BGMなど様々な音楽制作を経験し。現在も活動中。

TsuruSwing名義ではHouseMusicを軸とした制作活動を中心とし、avex「House Nation」のアルバムなどにも参加、シンガーのAK(柿原明美)やハウスプロデューサーユニットSTUDIO APARTMENTとのコラボレーション曲も多数発表している。

2024年には世界のTopDJにランクインし、メロディックハウスの女王と称されるNora En Pureが率いるスイスのレーベル Purified Recordsから自身の曲「Okutama」をリリースし、日本人では数少ないMelodicHouseのクリエーターとして世界から注目されている。

https://linktr.ee/tsuruswing


【今月のMV

沢村御幸「ペットボトル」

https://www.youtube.com/watch?v=CC2GuRz1RJA

80’s風シティーポップに、CGを駆使したカラフルな映像がフレンドリーに絡む自信作。

当スタジオでは作曲、レコーディング、ミックスマスタリングを担当。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表

レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター

Whirlpool Records/brittford主宰

専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください

ラジオ川越 第2・4水曜 23:30 ~ 24:00 「Music Translation」放送中

2025年7月分の放送は7月9日(水)23日(水)

出演 樫村治延

番組は「Listen Now(JCBAインターネットサイマルラジオ配信)」でリアルタイム聴取できます

https://www.jcbasimul.com/radiokawagoe

(コミュニティFMなのでRadikoでは聞けません、ご了承ください)

当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します


 

千田 恭平「吹き抜け」

“星野源”系とでも言うべき、肩の力を抜いたサウンド。カジュアルとインテリジェンスが等身大で交差する、2020年代のリアルタイムポップチューン。当スタジオではレコーディングを担当。


カカシカシカカ「はじまる-2-

シティーポップ、アフリカンビート、ニューフォーク、クロスオーバーといったキーワードが浮かびそうな、各種ジャンルを網羅したミニアルバム。バンドの集大成ともいえる快作。当スタジオではレコーディングを担当。 

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