音楽メディア・フリーマガジン

CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第130回

今回ご紹介するのは、コンプ、EQなどで定評のあるメーカー、dbx社の『DDP』です。

 

DDP=Digital Dynamics Processorは90年代後半にリリースされた、隠れた名アウトボードです。

機能はステレオコンプ、リミッター、ゲート、パラメトリックEQ、ディエッサー、AD/DAコンバーター。

特に素晴らしいのがAD/DAコンバーターです。

数字的なスペックは高くはないのですが、質実剛健でファットな質感は、現行の上位機種と比較しても引けを取りません。

またコンプのバリエーション、クオリティーも高評価を得ており、伝統的コンプのdbx160、162、165、そして

シルバーシリーズ566的なプリセット群に加え、Urei、Neve、SSL系まで力強くエミュレーションされています。

もちろんDDPのオリジナルコンプのバリエーションも非常に実践向きで、使いやすい物となっています。

ちなみに余談ですが、CDプレス用データの『DDP』も同じ表記ではありますが、こちらはDisk Discription Protocolの略で全くの別物です。


Sight Seeing

注目度の高い音楽スタジオをご紹介します。

TSUKIHANA SOUDS STUDIO

栃木県足利市に所在

設計・施工はアコースティックエンジニアリング

システムプランニング・機材コーディネートはコグレ楽器

33畳のメインブース。

大谷石や絹ガラス、障子、聚楽壁などを取り入れ「和」を貴重とした作りになっている。

レコーディング環境にも徹底的にこだわった。

 

ブースは他に4.2畳のピアノブース、そして3畳ほどのボーカルブースを有している。

 

コントロールルームは15畳

メインのミキサーは「SOLID STATE LOGIC ORIGIN32」

オーナーである栗原氏が一目惚れして導入

TSUKIHANA SOUNDS STUDIOを作るきっかけとなったとも言える。

スピーカーはGENELEC 1238A SAMとPMC PMC6-2の2種を設置

正面の壁にもメインブースと同じく大谷石を使用。

こちらは、細かく切り出したものを組み合わせている。

 

また、コントロールルームの後方には「縁側」をイメージしたベンチがあり、レコーディングやミックスの際にアーティストやスタッフはこちらで立ち会うことができる。

これだけの規模のスタジオだが、マシンルームは敢えて設けず。

近年、レコーディングに使用するコンピュータはエンジニアやクリエイターが持ち込むことが多く、スタジオにはコンピュータを常設していない。

スタジオエントランスから和を感じる作りに。

そしてオーナーの遊び心が施されている。

天井から吊るされている大小の金魚ちょうちんは、山口県から取り寄せた「柳井金魚ちょうちん」

 

細部にわたり、オーナーの栗原氏のこだわりが詰まったTSUKIHANA SOUNDS STUDIO

今のところ一般への貸出しは行ってない。


【今月のMV

Engrave Cancerous Country

https://www.youtube.com/watch?v=ubGC1GPvTX8

プロデューサーにPennywiseやYellow Cardなどを手がけるアメリカの敏腕エンジニアDarian Rundallを迎えた、19年ぶりの新曲。当スタジオはレコーディング全般を担当。MVには、クエンティン・タランティーノ監督のハリウッド映画『キル・ビル』で殺陣指導・出演の島口哲郎氏も特別出演している。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表

レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター

Whirlpool Records/brittford主宰

専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください

ラジオ川越 第2・4水曜 23:30 ~ 24:00 「Music Translation」放送中

2025年10月分の放送は10月8日(水)22日(水)

出演 樫村治延

番組は「Listen Now(JCBAインターネットサイマルラジオ配信)」でリアルタイム聴取できます

https://www.jcbasimul.com/radiokawagoe

(コミュニティFMなのでRadikoでは聞けません、ご了承ください)

当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します


 

TëKMO+SURFACE TENSION

結成当初からシティーポップ路線を展開してきたTëKMO+が、満を持してロックにチャレンジ。時代の流れに迎合しすぎず、抗わずといった姿勢に共感する。


 

lapremière Lazy!

ギターロックを基軸に、パワーポップ、オルタナ、ドリームポップ的要素を個性的に絡めた1st音源。聴きこむほどに細かい仕掛けに気づく。


 

ENGRAVE

国内パンクバンドの雄 『Engrave』19年ぶりとなるフルアルバム。プロデューサーにDarian Rundallを迎え、楽曲によってはPennywiseのメンバーも参加していることが話題になっている。当スタジオではレコーディング全般を担当。


 

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