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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第24回

先だって告知させていただいた「音楽プロデュースセミナー」、おかげさまで無事終了いたしました。
今回講師としてお招きした(株)クリエイティブマンプロダクション宣伝部長の平山善成氏からは、SUMMER SONICやパンクスプリング、electroxなど大型フェス制作サイドの貴重なお話を伺うことが出来ました。私もコメンテーターとしてかなり際どい質問もぶつけさせていただきましたが、非常に濃い内容の充実した二時間となりました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

 

■セルフRECに挑戦中の大学生バンドの進行状況は?

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エレキギターをアンプに通した音を、マイクで録音すると「目の前で鳴っているギターの音(特に歪み系)」と「マイクで録音した音」とのギャップに面くらった経験がある方もいらっしゃることでしょう。これはギターに限らず全てのパートにあり得ます。こういった事象についてギターで説明すると、まず「アンプを大音量で鳴らすため、数メートル離れて演奏する」ことで「アンプスピーカーから直接出る音」と「数メートル離れて聞く音」で違ってきます。それとマイクで拾う音はピンポイントであるため、本当の意味で楽器の音全てを拾うのは無理に近いのです。マイクの音域特性も関係しています。
プロ、アマ問わずセルフRECの悩みとして「マイク1~2本、2本の場合はオンマイクとオフマイクなど工夫して録音してみても、中低音域が薄くなりがちで納得いかない結果になる」という話を良く耳にします。レコスタなどでは、アンプを別ブースに入れて「敢えてアンプの音を聴かずに」マイクで拾う音だけを頼りに調整することもあります。しかしセルフRECではこのようなやり方はなかなか現実的ではありません。
スペースに限りのあるセルフRECでよりよい音を録る作戦の一つとして「マイク3本をオンマイクで録る」やり方があります。例えばSHURE Beta52を低音用、DPA4091を中低音~中音用、SHURE SM57を中音~高音用と、フルレンジで低音から高音まで「EQを使わずに」録ってみるということです。マイクプリアンプも、出来ればNeveやNeveのレプリカ系(Vintech AudioやBrentavrillなど)、Manley、Tubetech、Millenia、Amekクラスの物を3ch分は用意したいところです。パッチ系も含むシールド類、電源ケーブルも高級かつ曲のイメージに合う音質になるものを使用してください。(人に借りてでも、と力説しておきます!)
なおかつチューナーは間に挟まず、アンプのチューナーアウトから繋ぐことで音質の劣化を防げます。
たまにしか使わないエフェクターは基本的に外しておき、使うときに別トラックで録った方がイメージ通りになったりもします。(わざとチープな音を狙う場合は別)

そして一番重要なこととして「アンプ、ギター、エフェクター」の状態に注意する。意外と盲点になり得るのですが、状態の良いもので録らなければ意味がありません。プロミュージシャンは高い演奏力はもちろん、アンプや楽器類、エフェクターも改造したりしていますので録り音そのものが素晴らしく、ボリュームとパンニングだけで良い感じになってしまうものも少なくありません。

大学生バンドセルフRECの状況に戻りましょう。今回録る曲は同期が3パートあるので、ギターの録りの際アンプから録ることに加えラインパートも録ると、MIXのとき同期とギターが混ざりやすくなります。
つまりギターの一音色につき「マイクトラック3本分、3トラック」「ライン1トラック」の計4トラックを使用することになり、またEQは使用しない方がMIXの時ツブシが利きます。
これらの事を踏まえて、最初に録るバッキングパートはアンプから直の音で行こうということになった。アンプのMESA本体電源ケーブルは初期のAETを使用、シールドはエリクサ。電源を入れ、時間をおいてからスタンバイスイッチを入れ音作り開始。一発目の出音がアメリカンでファットな分離の良い音で、全員テンションが上がった。
仮に録ってみて、生音と録りのギャップをチェック。完全に一致はしないが、かなり目の前の出音に近い。アンプのつまみ、各トラックのブレンドをいじり理想に近づいていく。
キューボックスのモニターバランスも調整し、なかなか良い感じになってきた。

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【今月のちょいレア】DPA4091
見た目を良い意味で裏切る、無指向性のコンデンサーマイク。
洋楽ラウド系の「歪んでいても完全に輪郭が潰れにくい、
ハイファイな音」が録りやすい。アコギ録音にもぴったり。

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【今月のMV】 YU-DAI 「オーダーストップのないレストラン」
90’sUSAのHipHopをベースに、メロウなメロディーが堪能できる一曲。

 


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

Cuicks 「WARP」

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2015年6月号SOUNDDESIGNER、2017年1月号SOUND&RECORDING MAGAZINEにも取り上げられた、ネオアコベースのアブストラクト・ポップミュージックの決定盤。ファンタジーワールドに引き込まれるような世界観は、コーネリアスの名盤「ファンタズマ」を彷彿とさせる。
2016年12月全国発売。

 

CANDELASTAR 「BLUESTELLA」

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Disclosure、Yeah Yeah Yeahs、ROYKOSOPP、CUT///COPY、The Naked And Famousあたりをイメージさせるエレクトロユニットのミニアルバム。NewOrderのようなチープさも踏襲している。FUJIROCK系が好きな人に特におすすめしたい一枚。

 

鵲 「水槽」

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90’sを通過したJロックに、キーボードを前面フィーチャーした上モノがとにかくゴージャスなロックバンドのシングル。ソフトV系風のVo.スタイルがほんのり漂い、2010年代邦楽ロックの新たなスタンダードをアピールするような意欲作。

 

少年タイチ 「サスライ」

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日本のアンダーグラウンド系フォークパンクと初期のニューヨークパンクの精神性が、自然に結実した「少年タイチ」の満を持しての自信作。独特な世界観を持つ歌詞と声質がインパクト大である。

 

Same As Before 「衝動的Speaker」

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例えるなら「ONE OK ROCKを独自に解釈、咀嚼して新たに生み出された」とでも言うべきスピード感全開のマキシシングル。立川在住ながら海外展開も視野に入れた、グローバル志向な彼らの動きに注目したい。全国発売中。

 

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