CHAPTER H[aus]エンジニア樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第 131回
前回に引き続き、dbxのデジタルダイナミックプロセッサー「DDP」について考察します。
DDPはステレオコンプレッサー、リミッター、ノイズゲート/エキスパンダー、パラメトリックEQ、ディエッサー、AD/DAコンバーターを搭載した、ダイナミクス系マルチデジタルアウトボードです。
AD/DA部は、上限が24bit 48kまでなので、現行機材と比較するとスペック的には低いのですが、実際使用してみると印象が変わります。改めてスペック等の数字は、ほんの目安にしかならないということを実感します。
この機材は、全てが2chに(ステレオもしくはL・Rモノ)なっています。
これは接続の一例ですが
スネアの表・裏それぞれにマイクをセッティング(合計2本)
↓
マイクケーブルでマイクプリアンプにつなぐ
(マイクレベルからラインレベルに上げる)
↓
DDP
↓
オーディオインターフェース
↓
PCでREC
マイク2本を使用したギターアンプRECや、ドラムのオーバトップなど、ペアで録りたい素材に、特に重宝すると思います。
もちろん、基本的に1本で済んでしまうボーカルやベースなどの録りにも戦力になること間違いなしです。
【Sight Seeing】
注目度の高いバンド・アーティストのプライベートスタジオをご紹介します。
キーボード、パーカッションをやっております、木田 裕耶(きだ ゆうや)です。
私は都内で開催している歌謡曲、J-POPのセッションホストや、自身のバンド『とりいそぎ』のバンマス兼キーボードとしての活動、クラシックからポピュラーまで幅広く演奏活動をしております。
またアーティストのサポートや楽曲アレンジ、音楽教室、中学校吹奏楽部にて楽器講師をしています。
スタジオチャプターハウスのエンジニアである樫村様とは、自身のバンドのレコーディングでお世話になり、10年ほどのお付き合いになります。
今回は、私の作業スペースや機材をご紹介します。
まずメインの作業スペースになります。
電源タップはFURMAN SS-6Bを使用
PCはMac Book Pro
DAWはLogic proX
インターフェースはTASCAM US-2×2-CU
モニタースピーカーはAKAI RPM3
モニターヘッドフォンはTASCAM TH02
マスターキーボードはKORG KROSS88
を使用しています。
※撮影時はCASIO px-5sをセッティングしています。
モニター下のスピーカーはPanasonicのラジカセと繋いであり、ミックス時にさまざまな方法で確認するようにしています。
また基本的にソフト音源は、ほぼ使いません。
やはりハード音源の音圧には敵いません。
唯一ソフト音源で使うのは、Logic proX内のハモンド系のオルガンです。
音色の再現度や質感が良いです。
シールドはOYAIDE QAC-222Gを使用。
ボーカルやコーラス録音をする際は、YAMAHA MG06Xをかませてからインターフェースに送っています。
プリセットのリバーブが自然でとても良いです。
ケーブルはOYAIDE PA02を使用。
ボーカル録音はSE ELECTRONICS SE2200、2200aⅡを使っています。
ヘッドホンで聴くと、まるで目の前で歌っているような音圧と空気感です。
コーラスやその他楽器の録音ではTASCAM TM80を使っています。
安価ですが音質が良いので気に入っています。
所有している鍵盤楽器をご紹介します。
ライブでの使用が多い為、ステージ上での操作性や、僕がよく使うピアノ、エレピ、ストリング、ブラス、オルガンなどの音色が購入の決め手になります。
写真はCASIO CT-X3000。
・YAMAHA MX49
ライブでの使用が多いです。
瞬時にエフェクトやオクターブシフト、トランスポーズ切替ができるのがポイント高い。
・CASIO px-5s
シンセサイザー機能が搭載されている物だが、ピアノやエレピの音色が太く、主に音源として使用。
・CASIO CT-X3000
安価だが音色は抜群に良い。
特にピアノやストリングの音の広がりや、サックスの再現度は抜群。
・KORG KROSS88
主にマスターキーボードとして使用。
タッチが丁度良く、エレピやベル系の音が良い。
・Roland GO:KEYS
安価だがローランドならではの音色がたくさん入っている。
・YAMAHA U30Bic
1980年代後半に製造されたアップライトピアノ。
材質にもお金をかけていた時代のピアノなので、今のピアノにはない豪華な音色。
最初にも書きましたが、私はキーボードの他にパーカッションもやります。
自宅にはマリンバ、シロフォン、グロッケン、ドラムセット、コンガ、カホン、小物パーカッションなどを所有しています。
※写真はSaito MSW-5400W 5.5オクターブマリンバ。
木田 裕耶 プロフィール
7歳よりピアノ、12歳より打楽器を始める。
東邦音楽大学附属東邦第二高等学校、東邦音楽大学卒業。
在学中よりショーバンド専属キーボーディストとして演奏活動を始める。
オリジナルバンド「とりいそぎ」キーボード兼バンドマスターとして活動。
音源制作やアレンジャーとしても活動中。
ヤマノミュージックサロン上尾、スクール熊谷ピアノ講師。
これまでに打楽器・室内楽を安藤芳広、石内聡明、河野玲子、小松玲子の各氏に、ピアノを浦川玲子、S.アーノルドの各氏に、エレクトーンを高橋朋彦氏に師事。
現在フリーのプレイヤーとして、クラシックからポピュラーまで演奏活動をする傍ら、指導活動にも力を入れている。
・演奏可能楽器
ピアノ、シンセサイザー、打楽器全般
・影響を受けたアーティスト
松任谷由実
・アレンジを手掛けた作品
rain/KAKKO
海を渡るあなたに/MFD
とりいそぎ プロフィール
2015年結成、メンバーは音大出身。
東京を中心にライブ活動を始め2017年EPリリース、レコ発ワンマンライブ開催。
2019年フルアルバムリリース、レコ発企画ライブ開催。
第29回 定禅寺ストリートジャズフェスティバル出演。
2024年EP2枚リリース、レコ発ワンマンライブ2公演開催。
CITYPOPやAORを軸に様々なジャンルの楽曲を持ち、ライヴでは決まった編成を持たないスタイル。
・「アイコン」Music Video
https://youtu.be/TRRWZzN6-1M?si=JccSZoi5VpuboNGv
【今月のMV】
ENGRAVE 「Honor And Pride」
https://www.youtube.com/watch?v=VKa2vQLHpNQ
和のクラシック的要素と、欧米のパワーパンクロックが見事に合致したENGRAVEの代表曲。Penny WiseやYellow Cardを手掛けた、エンジニアDarian Rundallのハンドリングも魅力の一つ。当スタジオではレコーディング全般を担当。
【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
ラジオ川越 第2・4水曜 23:30 ~ 24:00 「Music Translation」放送中
2025年11月分の放送は11月12日(水)26日(水)
出演 樫村治延
番組は「Listen Now(JCBAインターネットサイマルラジオ配信)」でリアルタイム聴取できます
https://www.jcbasimul.com/radiokawagoe
(コミュニティFMなのでRadikoでは聞けません、ご了承ください)
当スタジオで制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します
Major Flaw 「エルグの旅人」
シティーポップの要素がギターロックのフィールドに浸透している、ニューカマーバンドの意欲作。ギターポップ好きにも刺さりそうな魅力がある。
ともイル「夢ミル」
活動30周年を迎える「ともイル」。フォークをベースにしたアコースティックサウンドをひたすら追求してきた彼が、満を持してリリースした集大成的アルバム。歌詞から曲作りをしている人、必聴。
Psycho Freak 「Psycho Freak」
「USAラウド系ロック」meets「Hip Hop」といったワードがピッタリな、ロックバンドのアルバム。音楽性を絶妙に変化させ、時代に合わせたアップデートをさりげなく展開する姿勢に共感できる。
Yapool 「Yesterday」
ガレージロック、R&Rスピリッツの中に、かすかに感じるビートルズフレーバー。そんな今作は、彼らの新機軸になるであろうことは間違いない。